
値上げ関連株には、価格改定が消費者に敬遠され販売数量の減少につながるリスクがある。それならば、消費者の生活防衛、節約志向に「安さ」で応える本筋銘柄が浮上するはずだ。ディスカウントストア株、プライベートブランド(PB)株、PBの開発受託・供給銘柄、さらに食品売り場を拡充してスーパーマーケットやコンビニエンスストアのライバルに名乗りを上げるドラッグストア株などである。さらに日銀の政策金利引き上げを、いわば金利の「値上げ」と捉えるなら、地銀株を中心とした銀行株への目配りも怠れない。「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」を克服するため、一工夫も二工夫もする余地がありそうだ。
■冷凍食品株、缶詰株、乳業株などの主力株に割安株が目白押し
冷凍食品と缶詰の両方で値上げを発表した水産株では、極洋<1301>(東証プライム)、ニッスイ<1332>(東証プライム)、Umios<1333>(東証プライム)が並ぶ。このうち極洋はPER7.8倍、配当利回り3.3%で、ニッスイとUmiosはPER12〜13倍台、Umiosの配当利回りは3.4%となる。缶詰ではツナ缶のはごろもフーズ<2831>(東証スタンダード)も、今年8月に続き9月も値上げを予定しており、PERは11.4倍の低評価である。冷凍食品ではニップン<2001>(東証プライム)、イートアンドホールディングス<2882>(東証プライム)、日清食品ホールディングス<2897>(東証プライム)も値上げ組で、このうちニップンはPER11.1倍と割安である。乳製品大手3社の森永乳業<2264>(東証プライム)、明治ホールディングス<2269>(東証プライム)、雪印メグミルク<2270>(東証プライム)も値上げを予定しており、最も割安なのは雪印メグミルクのPER8.9倍である。
■麺・練り製品・だしにも低PERの「工夫銘柄」
このほか値上げ関連株では、柿の種の亀田製菓<2220>(東証プライム)、コーラのコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス<2579>(東証プライム)、醤油のキッコーマン<2801>(東証プライム)、昆布類のフジッコ<2908>(東証プライム)などのナショナルブランド株も候補に挙がる。割安株としては、「流水麺」のシマダヤ<250A>(東証スタンダード)のPER8.8倍、鏡餅のサトウ食品<2923>(東証スタンダード)のPER14.0倍、練り製品の紀文食品<2933>(東証プライム)のPER9.9倍、だしの理研ビタミン<4526>(東証プライム)のPER12.5倍などが「工夫銘柄」としてクローズアップされそうだ。
■本筋銘柄ではディスカウンター株のほか、日銀の金利「値上げ」を追い風に上方修正の銀行株も
生活防衛の本筋となるディスカウントストア株では、トライアルホールディングス<141A>(東証グロース)、神戸物産<3038>(東証プライム)、良品計画<7453>(東証プライム)、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>(東証プライム)、しまむら<8227>(東証プライム)、ニトリホールディングス<9843>(東証プライム)が全国区の主力銘柄となる。一方、割安株では大黒天物産<2791>(東証プライム)、PLANT<7646>(東証スタンダード)、マミーマート<9823>(東証スタンダード)、マキヤ<9890>(東証スタンダード)などが注目されよう。
PB関連株ではセブン&アイ・ホールディングス<3382>(東証プライム)とイオン<8267>(東証プライム)が双璧となるが、PB開発・供給銘柄には割安株が多い。久世<2708>(東証スタンダード)、尾家産業<7481>(東証スタンダード)、ドウシシャ<7483>(東証プライム)、アミファ<7800>(東証スタンダード)、トーホー<8142>(東証プライム)などが独自相場を展開する可能性がある。ドラッグストア関連では、PER12.9倍のクリエイトSDホールディングス<3148>(東証プライム)のほか、13倍台のサンドラッグ<9989>(東証プライム)、Genky DrugStores<9267>(東証プライム)が低PER上位3銘柄となる。
■銀行株は上方修正・株主還元・株式分割で選別
日銀の金利「値上げ」を追い風とする銀行株では、政策金利引き上げをある程度織り込んでいるとの見方もある。それでも、今3月期第1四半期(1Q)決算の発表に先立ち、あるいは1Q決算と同時に今期業績を上方修正した銘柄には、さらなる業績上振れ期待が高まりそうだ。
大手銀行では、りそなホールディングス<8308>(東証プライム)、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)が上方修正組で、ともに自己株式取得を同時発表した「ダブルセット」銘柄である。地銀株の上方修正組を発表順に挙げると、十六フィナンシャルグループ<7380>(東証プライム)、阿波銀行<8388>(東証プライム)、武蔵野銀行<8336>(東証プライム)、第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)、めぶきフィナンシャルグループ<7167>(東証プライム)、しずおかフィナンシャルグループ<5831>(東証プライム)、大分銀行<8392>(東証プライム)、いよぎんホールディングス<5830>(東証プライム)と続く。
しずおかFGは業績上方修正とともに増配、自己株式取得を同時発表した「フルセット」銘柄で、第四北越FG、めぶきFG、いよぎんHDも増配や自己株式取得を伴う「ダブルセット」銘柄である。ほくほくフィナンシャルグループ<8377>(東証プライム)と北日本銀行<8551>(東証プライム)は、ともに1Q決算発表に合わせて株式分割を発表しており、基準日が9月30日となるだけに、株価の押し上げ効果も期待される。
値上げラッシュは家計にとって紛れもない「ピンチ」である。一方、株式市場では、価格転嫁力を持つ企業、生活防衛需要を取り込む企業、金利上昇の恩恵を受ける企業を選別することで、そのピンチを投資機会へ転換する余地がある。「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」。9月相場では、まさにその一工夫が銘柄選びの明暗を分けそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
→【総合版】最新の株式・IRニュース一覧をチェック >

































