JSP<7942>(東証プライム)は発泡プラスチック製品の大手である。グローバルニッチのマーケットリーダーとしてのさらなる競争優位性の追求、4つの成長エンジンを中心とした収益性の高い成長分野への集中投資などにより収益の最大化を図り、資本効率の向上を目指している。27年3月期は上方修正して大幅増収増益予想としている。需要が堅調に推移し、価格改定効果なども寄与する見込みだ。不透明感を考慮して下期の計画をほぼ据え置いた形のため、通期会社予想に再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は18年以来の高値圏で堅調だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■発泡プラスチック製品の大手
発泡プラスチック製品の大手で、押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレイ材、住宅用断熱材、一般包材など)、およびビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)を展開している。
22年1月には射出成形事業参入を目的としてGHEPI社(イタリア)に35%出資、23年9月には射出成形事業拡大を目的としてHAPP社(ドイツ)に70%出資、24年1月にはリサイクル発泡ポリプロピレン(ARPRO RE)供給体制強化を目的としてGID社(ドイツ)に30%出資、25年7月にはGHEPI社およびHAPP社の株式を追加取得して完全子会社化した。また26年2月にはGHEPI社の社名をJSP Injection Moulding Solutions S.r.l.へ、HAPP社の社名をInjection Moulding Solutions GmbHへ、それぞれ変更した。
26年3月期セグメント別業績は、押出事業の売上高が495億50百万円で営業利益(全社費用等調整前)が20億58百万円、ビーズ事業の売上高が959億05百万円で営業利益が66億33百万円だった。収益は販売数量、為替、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する。
■新中期経営計画「Change for Growth 2026」
長期ビジョン「VISION2027」の最終段階として、24年4月に新中期経営計画「Change for Growth 2026」(25年3月期〜27年3月期)を策定し、基本コンセプトにグループ全体の収益力強化、発泡樹脂製品による社会への貢献、経営期間の強化を掲げている。
定量目標は、27年3月期の売上高1600億円、営業利益100億円、営業利益率6.3%、経常利益104億円、親会社株主帰属当期純利益73億円、自己資本利益率(ROE)7.0%以上(中長期的には8%以上)としている。セグメント別の目標は、押出事業が売上高540億円、営業利益(全社費用等調整前)26億円、営業利益率4.8%、ビーズ事業が売上高1060億円、営業利益86億円、営業利益率8.1%としている。前提条件は、為替が140円/米ドル、150円/ユーロ、20円/人民元、ドバイ原油価格が90米ドル/バーレルである。3期累計の投資額は300億円(押出事業60億円、ビーズ事業210億円、共通30億円)の計画としている。収益力の強化により売上高、営業利益とも過去最高を目指す。なお株主還元方針を見直し、配当性向35%以上を目安とする。
収益力強化に向けた取り組みとしては、グローバルニッチのマーケットリーダーとしてのさらなる競争優位性の追求、4つの成長エンジンを中心とした収益性の高い成長分野への集中投資、ARPRO事業の自動車部品分野および非自動車部品分野への拡販、高まる環境ニーズに対する環境対応型製品の拡販による差別化、高付加価値製品の拡販や生産性向上によるコストダウンおよび適切な価格転嫁の実施を推進することにより、収益の最大化を図り、資本効率の向上を目指すとしている。
なお4つの成長エンジンは、ビーズ事業におけるARPRO(アープロ)事業、押出事業における建築住宅断熱材、押出事業におけるFPD表面保護材、および新事業領域である。ARPRO事業(発泡ポリプロピレン「ピーブロック」の製品名を全世界でARPROに統一)は、インドやメキシコ北部への進出、環境対応型製品や非自動車部品分野(空調システム分野等)への用途拡大、ブランド戦略推進による増販などにより販売数量23%増(24年3月期比)を目指す。ARPROは自動車軽量化要求に対応する製品として採用が拡大しているほか、非自動車分野として北米では競技用グランド基礎緩衝材用途、欧州ではHVAC(空調システム)用途などへの採用が広がっている。
建築住宅断熱材は、ミラフォームラムダやプレカット品など高付加価値製品の拡販により、販売数量15%増(24年3月期比)を目指す。FPD表面保護材は市場の高い成長性に加え、市場ニーズに対応した高付加価値製品の開発・拡販や新規顧客獲得により、販売数量21%増(24年3月期比)を目指す。新規事業領域は、出資する射出成形事業会社の売上規模拡大や国内開発案件(ブロー品など)の事業化に向けた取り組みを推進し、27年3月期売上高50億円を目指す。
25年2月には、4つの成長エンジンのうちの新事業領域におけるCOREDUAL製品の市場拡大に向けた取り組み強化をリリースした。FOAMCORE技術を用いた製品の販路拡大が見込まれるため、2025年4月より製品名称をCOREDUALとし、営業部門と連携を強化して拡販に注力する。COREDUALはブロー成形とビーズ成形を1つの金型で同時に行い、外皮と芯材を一体成形することで軽量かつ強度、断熱性に優れるという特徴がある。これまでは住宅資材用途を中心に展開してきたが、最近では自動車部品分野や建築・土木分野等にも用途が拡大している。
25年12月にはインドのプネ工場およびメキシコのラモス・アリスペ工場が操業開始した。両地域においては自動車部品用途をはじめとするARPROの需要拡大を見込んでいる。そして今回の生産拠点の操業により、世界22拠点でARPROの生産が可能になった。
26年8月には、コンクリート打設時の打ち分け作業を不要とする耐震スリット材「マガラーヌ」を開発し、販売開始した。東急建設、クギンと共同開発した。
■サステナビリティ経営やコーポレート・ガバナンスも強化
サステナビリティ経営やコーポレート・ガバナンスも強化している。21年4月にサステナビリティ推進室を新設、21年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。また25年7月には、押出法ポリスチレンフォーム(XPS)軽量盛土材スチロダイアブロック「DXグレード」について、EPD(環境製品宣言)の一つである「EPD Hub」を取得した。今後も環境対応型製品による社会課題解決への貢献、グループ全体でのGHQ排出量削減、人的資本に対する取り組みを強化する方針だ。
26年3月には、グループ会社のJSPパッケージングが供給する「資源循環の実証に向けた『ミラピールⓇ容器』」に使用されるスチレンシートを、同社が原材料として供給するとりリースした。関係各社と連携したクローズドな循環モデルの実証実験において活用される。
■27年3月期は上方修正して大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性
27年3月期の連結業績予想(26年7月31日付で上方修正)は、売上高が前期比15.5%増の1680億円、営業利益が28.8%増の100億円、経常利益が26.0%増の102億円、親会社株主帰属当期純利益が13.6%増の75億円としている。配当予想については据え置いて前期比10円増配の100円(第2四半期末50円、期末50円)としている。連続増配で予想配当性向は34.9%となる。
前回予想(26年4月30日付の期初公表値、売上高1640億円、営業利益70億円、経常利益72億円、親会社株主帰属当期純利益50億円)に対して、売上高を40億円、営業利益を30億円、経常利益を30億円、親会社株主帰属当期純利益を25億円それぞれ上方修正した。依然として不透明感が強いものの、需要が堅調に推移し、価格改定効果なども寄与する見込みだ。
第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比19.1%増の409億52百万円、営業利益が2.8倍の35億41百万円、経常利益が2.8倍の35億75百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.2倍の27億93百万円だった。需要が堅調に推移して大幅増収増益だった。
押出事業は売上高が14.3%増の140億82百万円、営業利益(全社費用等調整前)が3.1倍の13億10百万円だった。大幅増収増益だった。食品容器用「スチレンペーパー」を中心とする生活資材製品は食品トレー向け分野が減少したが、広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」が増加し、価格改定効果も寄与した。フラットパネルディスプライ向け「ミラマット」を中心とする産業資材製品は高付加価値製品が減少したが、汎用製品および一般包材が増加した。発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とする建築土木資材製品は建築・住宅分野向けや土木分野向けが増加した。
ビーズ事業は売上高が21.8%増の268億69百万円、営業利益が2.3倍の24億83百万円だった。大幅増収増益だった。製品価格改定前の一時的な需要も寄与して、発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心に好調に推移した。地域別動向として、国内は自動車分野が増加、北米は自動車分野・非自動車分野とも増加、南米は自動車分野が増加、欧州は自動車分野が増加、中国はバッテリー関連の包装材分野が増加、台湾はAIサーバー関連の包装材分野が増加、東南アジアは自動車分野が増加した。発泡性ポリスチレン「スチロダイア」を中心とする発泡性ビーズ製品は農業・土木分野などが増加した。
修正後の通期セグメント別計画は、押出事業の売上高が前期比7.0%増の530億円で営業利益(全社費用等調整前)が2.0%増の21億円、ビーズ事業の売上高が19.9%増の1150億円で営業利益が34.2%増の89億円としている。前回予想は押出事業の売上高が520億円で営業利益が12億円、ビーズ事業の売上高が1120億円で営業利益が69億円であり、両事業とも大幅に上方修正した。
押出事業は、販売数量が前回予想を下回るが、価格改定効果により売上高・利益とも前回予想を上回る見込みだ。需要動向として、生活資材製品および産業資材製品については第1四半期に原材料供給不安に伴う一時的な需要増加があったが、通期では概ね前期並みの販売水準を見込む。建築・住宅分野向けについては第1四半期の一時的な需要増加の反動に加え、原材料価格や物価上昇の影響により第2四半期以降に需要減少を見込む。
ビーズ事業は、発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品が好調に推移し、販売数量増加および価格改定効果により、売上高・利益とも前回予想を上回る。中国ではバッテリー関連の包装材分野が引き続き堅調に推移する見込みだ。
なお修正後の中間期連結業績予想は売上高が前期比22.3%増の860億円、営業利益が127.5%増の70億円、経常利益が119.1%増の71億円、親会社株主帰属中間純利益が92.3%増の55億円としている。前回予想(売上高820億円、営業利益39億円、経常利益40億円、親会社株主帰属中間純利益29億円)に対して、売上高を40億円、営業利益を31億円、経常利益を31億円、親会社株主帰属中間純利益を26億円それぞれ上方修正した。
中間期を大幅に上方修正したのに対して、下期については期初計画をほぼ据え置いた形となっている。これは第1四半期の一時的な需要増加の反動に加え、下期の不透明感を考慮しているためだ。ただし価格改定効果などを勘案すれば会社予想に再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年3月末対象
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(継続保有1年以上はクオカード1000円分、継続保有期間3年以上はクオカード3000円分)する。
■株価は上値試す
株価は18年以来の高値圏で堅調だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月26日の終値は3115円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS286円18銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の100円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4145円07銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約816億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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2026年08月27日
JSP、27年3月期業績予想を上方修正、大幅増収増益へ、需要堅調と価格改定効果で再上振れ余地も
【アナリスト銘柄分析の最新記事】
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:36
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