
■gamescomから東京ゲームショウへ、名作IPの再収益化とマルチ展開に注目
ゲーム株を巡り、「名作IP復活」が新たな投資テーマとして意識されそうだ。世界最大級のゲームイベント「gamescom 2026」がドイツ・ケルンで8月26〜30日に開催中で、9月17〜21日には30周年を迎える「東京ゲームショウ2026」が史上初の5日間開催を予定する。世界的な大型イベントが約3週間の間隔で続くなか、日本の大手ゲーム各社では、過去に人気を集めた大型IPを最新ハードや新たな技術で再構築し、再び成長資産として活用する動きが鮮明になっている。
先頭を走るのがカプコン<9697>(東証プライム)だ。20年ぶりのシリーズ最新作「鬼武者 Way of the Sword」を9月4日に発売する。当初予定の9月25日から3週間前倒しした。「鬼武者」シリーズは2026年3月末までに累計910万本を販売。同社は一定期間新作が発売されていないシリーズの再活性化にも注力し、保有コンテンツの価値最大化を進める方針を明確にしている。
■「新作が旧作も売る」――ゲーム会社の収益構造に変化
注目すべきは、ゲーム会社の収益源が「新作1本の初動」にとどまらなくなっている点だ。カプコンの2027年3月期第1四半期は売上高が前年同期比54.7%増の704億1000万円、営業利益が66.9%増の410億5400万円。完全新規IP「プラグマタ」の投入や主力シリーズのリピート販売強化が寄与し、デジタルコンテンツ販売本数は前年同期の1416万本から2381万本へ拡大した。同社では「バイオハザード レクイエム」への関心上昇が過去作品の販売にも波及しており、新作がシリーズ全体を再活性化する好循環もみられる。長期販売できる「カタログ資産」の厚みが収益力を左右する時代に入ったといえる。
スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>(東証プライム)傘下では、1997年の名作を現代技術で再構築する3部作の完結編「ファイナルファンタジーVII リベレーション」を2027年春に発売予定。PS5、Nintendo Switch 2、Xbox、PCなど幅広いプラットフォームに対応する。同社は中期経営計画でマルチプラットフォーム戦略を掲げており、有力IPの接点を広げ、収益機会を拡大する方向性が鮮明だ。
コナミグループ<9766>(東証プライム)もgamescomで「Castlevania:Belmont’s Curse」を世界初プレイアブル出展し、「SILENT HILL:Townfall」の最新映像を公開するなど、「悪魔城ドラキュラ」「サイレントヒル」といった世界的な知名度を持つIPの展開を加速している。
セガサミーホールディングス<6460>(東証プライム)傘下のアトラスは「ペルソナ4 リバイバル」を2027年2月18日に世界同時発売する。「ペルソナ」シリーズは世界累計販売3000万本を突破し、ナンバリング最新作「ペルソナ6」の開発も発表済み。人気作のリメイクで既存ファンと新規層を取り込みながら、新作へつなげる新旧IPの二段構えが進む。
■9月4日「鬼武者」、9月17日TGS――秋相場へ材料続く
相場で見るべきは「懐かしい作品が復活する」という話題性だけではない。既存IPはすでに世界的な知名度やファン層を持ち、新作やリメイクを起点に旧作ダウンロード販売、追加コンテンツ、映像、商品化など複数の収益機会へ展開できる。一方、ゲーム開発費の大型化が進むだけに、作品の評価や販売動向によっては期待先行となるリスクもある。焦点は、復活したIPが新規ユーザーを獲得し、シリーズ全体や周辺事業まで収益を押し上げられるかである。
まず9月4日にカプコンの「鬼武者」が発売され、その約2週間後の9月17日には東京ゲームショウが開幕する。30周年のTGSは21日まで史上初の5日間開催となる。gamescomで高まる世界のゲーム熱が東京へ引き継がれるなか、秋相場では「AI」や「半導体」に加え、企業が長年蓄積してきたIPという無形資産をいかに再活性化し、長期収益へ結び付けるかがゲーム関連株を選別する重要な視点になりそうだ。
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