
■売上高962億ドル、2028年1月期は約70%増収の予備的見通し――供給制約と利益率をにらみ次の主役を探る
8月28日の東京株式市場で焦点となるのは、米エヌビディア<NVDA>(NASDAQ)の好決算そのものより、それを受けた米市場の本格的な評価である。同社が米国時間26日引け後に発表した2027年1月期第2四半期の売上高は前年同期比106%増の962億ドル、データセンター売上高は117%増の890億ドル。第3四半期は売上高1080億ドル±2%を見込み、中国向けデータセンター計算用半導体の売上高は織り込んでいない。さらに決算説明会では、2028年1月期の売上高について約70%増という異例の予備的見通しを示した。
27日の米市場ではエヌビディア株が8.7%高と急伸し、ナスダック総合指数は1.57%高、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.3%高となった。AI投資のピークアウト懸念に対し、米市場はひとまず「成長継続」と判定した格好だ。
■短期――27日の「朝高失速」を越えられるか
もっとも、東京市場はすでに一度エヌビディア決算を織り込んでいる。27日の日経平均は好決算を受けて寄り付き直後に前日比約690円高まで上昇したものの、その後失速し、130円安の6万6131円98銭で引けた。AI・半導体株も朝高後に伸び悩んだ。
したがって28日は、アドバンテスト<6857>(東証プライム)、東京エレクトロン<8035>(東証プライム)、キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)などが、米半導体株高を受けて改めて買い直されるかがポイントとなる。単なる「高寄り」ではなく、寄り後も出来高を伴って高値を維持できるかが、AI相場再点火を判断する第一関門だ。
■中期――「エヌビディア一本足」から供給制約解消相場へ
中期で最も重要なのは、需要より供給が成長を制約している点である。エヌビディアは2028年1月期末まで供給がボトルネックになるとの見方を示した。顧客側の需要見通しは同社の成長率が倍増する規模を示す一方、供給能力を踏まえ約70%増収を見込んでいる。
次世代基盤「Vera Rubin」はすでに本格生産に入り、8月には製品出荷を開始。第3四半期にはデータセンター売上高の約20%を占める見通しだ。AI投資はGPUだけで完結せず、HBMなどのメモリー、製造装置、検査、ネットワーク、電力、冷却、データセンターへ広がる。「エヌビディアを買う相場」から「AIの供給制約を解消する企業を探す相場」へ移る可能性がある。
■長期――最大の弱点は「利益率」、売上成長との綱引きへ
長期では売上高の伸び以上に粗利益率を注視したい。第2四半期の粗利益率は75.0%だったが、第3四半期は74.0%±0.5ポイントを予想。メモリー価格の急騰を受け、第4四半期には71〜72%まで低下し、2028年1月期は値上げ効果などで72〜73%に落ち着くとの見通しを示している。
つまり今後の焦点は「AI需要が続くか」だけではない。圧倒的な需要を売上高に変えながら、部材高や供給制約を吸収し、どこまで利益率を守れるかである。約70%増収という成長力と利益率低下の綱引きが、エヌビディア株の評価を左右する局面に入った。
■8月28日の焦点――エヌビディアからウォーシュFRB議長へ
もう一つの焦点はFRBである。ケビン・ウォーシュ議長は米東部時間28日午前10時、日本時間午後11時、ジャクソンホール経済政策シンポジウムで基調講演する予定だ。米国ではインフレ圧力がなお根強く、発言次第では長期金利が動き、高PERのAI・半導体株に逆風となる可能性がある。
28日の東京市場は、エヌビディア決算を初めて評価する日ではない。27日の「朝高失速」を経て、米市場がエヌビディア株8.7%高という明確な回答を出した後の二度目の試金石である。短期は半導体株の持続力、中期はAIサプライチェーンへの物色拡大、長期は売上成長と利益率の両立を読む局面となる。エヌビディア決算が示したのはAI相場の終幕ではない。次の焦点は「膨張するAI投資の利益を誰が取るのか」である。
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