【総合版】最新の株式・IRニュース一覧をチェック
2026年09月02日

イーソル、MBOで非公開化へ、ベイン系が1株820円でTOB――会社は賛同・応募推奨

■9月2日から10月19日まで、期末配当は無配・通期純利益予想を43.2%下方修正

 イーソル<4420>(東証スタンダード)は9月1日、マネジメント・バイアウト(MBO)の一環として、ベインキャピタル系のBCJ−110による普通株式の公開買付け(TOB)に賛同し、株主に応募を推奨すると発表した。公開買付価格は1株820円。TOBとその後の一連の手続きを通じて同社を完全子会社化し、イーソル株は上場廃止となる予定だ。8月28日には非公開化を含む中長期戦略を検討しているものの「現時点で決定した事実はない」と開示していたが、今回正式決定に至った。

■公開買付けは9月2日開始、買付予定数の下限1053万5800株

 公開買付期間は9月2日から10月19日までの30営業日で、決済開始日は10月26日。買付予定数は1710万9020株、下限は1053万5800株とし、上限は設定しない。応募株式数が下限に満たない場合は買い付けを実施せず、下限以上となった場合は応募株式の全部を買い付ける。TOBで対象株式の全てを取得できなかった場合は株式併合などのスクイーズアウト手続きを実施し、非公開化する方針である。

■価格交渉は600円から820円へ、8回の提案を経て決着

 公開買付価格を巡っては、ベインキャピタルが5月26日に1株600円を初回提案した後、独立した特別委員会が一般株主の利益や株価水準、過去のMBO事例におけるプレミアム水準などを踏まえて再検討を繰り返し要請した。提案価格は660円、730円、790円、800円と段階的に引き上げられ、8月27日の第8回提案で820円を最終価格とした。ベインキャピタルは820円について、デュー・ディリジェンスなどを踏まえて提示できる最大限の価格と説明し、特別委員会は8月28日に最終提案を受け入れた。

 820円は、非公開化に関する一部報道が出る前営業日の8月27日終値685円に対して19.71%、過去1カ月の終値平均713円に対して15.01%、過去3カ月平均779円に対して5.26%、過去6カ月平均680円に対して20.59%のプレミアムとなる。会社側は、近年のMBO事例と比較すればプレミアムが低い水準であることも認識しつつ、第三者算定機関による株式価値算定、価格交渉の経緯、公正性担保措置などを総合的に勘案し、820円を公正かつ妥当な価格と判断した。

■SDV市場の成長取り込みへ、人材投資とM&Aを加速

 イーソルは、自動車、デジタル家電、産業機器、医療機器メーカーなどを顧客に、リアルタイムOSからミドルウェア、プラットフォーム、アプリケーション、開発支援までをカバーする組込みソフトウェア事業を主力とし、センシングソリューション事業も展開する。ベインキャピタルは、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)などを背景に組込みソフトウェア開発市場が拡大局面にあるとみており、優秀なエンジニアの採用・育成を含む人的資本への先行投資、経営基盤の強化、M&Aによる事業規模拡大などを支援する。権藤正樹社長はTOB成立後も経営全般に関与する予定で、現在の経営体制も原則維持する方針としている。

■通期予想を下方修正、MBO関連費用などが影響

 同社は同日、2026年12月期の連結業績予想も修正した。売上高を従来予想の147億31百万円から144億3百万円、営業利益を10億93百万円から9億56百万円、経常利益を11億99百万円から10億76百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を8億24百万円から4億67百万円へ引き下げた。従来予想比では売上高2.2%減、営業利益12.6%減、経常利益10.3%減、純利益43.2%減となる。MBO関連費用の発生に加え、組込みソフトウェア事業で顧客の開発方針変更などにより売上高と利益の一部が減少する見込みとしている。

 もっとも、修正後予想を前期実績と比較すると、売上高は18.7%増、営業利益は17.3%増、経常利益は24.7%増となる計算で、純利益は21.9%減となる見通しだ。業績面では増収・営業増益・経常増益を見込むものの、株式市場での評価軸は今後、通常の業績成長よりTOBの成立と非公開化手続きの進展に移る。

■期末配当は4円から無配へ、9月1日終値はTOB価格を上回る

 配当予想も修正し、従来4円としていた期末配当を0円とした。年間配当は実施済みの中間配当1円50銭のみとなる。公開買付価格が期末配当を実施しないことを前提に決定されているためとしている。

 株価は非公開化観測を背景に先行して上昇し、9月1日は一時1010円まで上昇して年初来高値を更新、終値は前日比25円安の910円だった。正式発表前の通常取引終値は公開買付価格820円を90円上回っている。今後は9月2日の市場でTOB価格をどう織り込むかに加え、応募状況、公開買付けの成立、スクイーズアウトを含む上場廃止までの手続きが焦点となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事情報】2026年08月28日
【市場の死角】「当社発表ではない」で済むのか――正式開示前に流れる重要情報、問われる市場の公平性

→【総合版】最新の株式・IRニュース一覧をチェック >


提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:50 | 話題株