
■8月の日経平均は月間約1950円高、9月初日は続落でもTOPIX9連騰
9月相場が始動した。8月31日の日経平均株価は6万6311円93銭で取引を終え、7月31日の6万4362円02銭から月間1949円91銭高、率にして約3.0%の上昇となった。9月1日は96円59銭安の6万6215円34銭と続落した一方、TOPIXは25.57ポイント高の4181.86と9日続伸。値がさの半導体・グロース株が指数の上値を抑える一方、バリュー株や内需株には買いが入り、指数の方向だけでは相場の強弱を測りにくい地合いとなっている。
8月は好決算や上方修正、増配、自社株買い、株主優待、株式分割など企業固有の材料を手掛かりに個別株物色が広がった。9月も同じ構図が続くなら、指数追随よりも材料の質と業績の裏付けを見極める選別力が問われる。
■9月15〜16日にFOMC、17〜18日に日銀会合――長期金利は一時3%
最大のイベントは日米中央銀行の連続会合である。米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月15〜16日、日銀の金融政策決定会合は17〜18日に予定される。日銀は無担保コール翌日物金利を1.0%程度で推移させる方針を採っているが、9月1日には新発10年国債利回りが一時3.00%と、1996年以来約30年ぶりの高水準に達した。追加利上げ観測に加え、インフレや財政への警戒が長期金利を押し上げている。
米国でも7月のFOMCは政策金利を据え置いたものの、3人が0.25%の利上げを支持した。9月会合は経済見通しも公表される重要回であり、日米双方で金融引き締めへの警戒が残る。為替、長期金利、銀行株、AI・半導体などのグロース株が短期間に振れやすく、9月中旬は相場の大きな分岐点になり得る。
■株式分割は53銘柄に増加、佐藤食品工業は「9月11日」が最初の締め切り
本紙が8月31日朝時点で集計した9月の株式分割権利銘柄は51銘柄だったが、同日大引け後に美樹工業<1718>(東証スタンダード)が1対3、SWCC<5805>(東証プライム)が1対5の株式分割を新たに発表した。いずれも9月30日を基準日とするため、9月1日時点の対象は53銘柄へ増えた。
大半は9月30日を基準日とし、権利付き最終日は9月28日、権利落ち日は29日となる。一方、佐藤食品工業<2814>(東証スタンダード)は9月15日を基準日として1株を2株に分割するため、権利付き最終日は9月11日、権利落ち日は14日と一足早い。「9月末まで待てばよい」と一括りにせず、個別の日程確認が必要である。
8月28日には日本石油輸送<9074>(東証スタンダード)が1対2、日本瓦斯<8174>(東証プライム)が1対3、佐藤食品工業が1対2の分割を発表。8月25日には東京海上ホールディングス<8766>(東証プライム)が1対15という大幅分割を打ち出した。東京証券取引所が7月28日、投資単位50万円以上の上場会社に対して投資単位引き下げに向けた株式分割の検討を改めて要請したこともあり、企業側の対応は広がりを見せている。
■「分割だけ」ではなく、業績・還元との複合材料を狙う
もっとも、株式分割は1株当たりの価格と最低投資金額を引き下げる一方、理論上の企業価値そのものを増やす材料ではない。相場で差がつきやすいのは、投資家層の拡大に加え、業績上方修正、増配、自社株買い、株主優待などが重なるケースである。
代表例の一つがRYODEN<8084>(東証プライム)だ。7月28日に2027年3月期の連結経常利益予想を60億円から75億円へ引き上げ、年間配当予想も150円から170円へ増額。3日後の31日には1対2の株式分割、自社株買い、株主優待制度の変更を発表した。厳密には「同時発表」ではないが、短期間に業績、還元、投資単位引き下げの材料が重なった点が重要である。
東京海上HDの1対15、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)の1対2、キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)の1対3、東京エレクトロン<8035>(東証プライム)の1対5など、主力株にも大幅分割が並ぶ。9月相場では「分割する会社」を一律に買うのではなく、「投資単位を引き下げて投資家層を広げる合理性があり、そのうえで利益成長や株主還元が伴う会社」を選別する視点が重要になる。
■9月は権利取りと金融政策の綱引き、長期金利3%が新たな変数
9月中旬は日米金融政策、月末は配当や株式分割の権利取りが重なる。金利上昇は銀行株にとって利ざや改善期待が追い風になりやすい半面、保有債券の評価や調達コストには注意が要る。値がさのグロース株にはバリュエーション面で逆風となりやすく、逆に金利警戒が後退すればAI・半導体株は反応しやすい。
9月1日は日経平均が続落する一方でTOPIXが9連騰した。指数が乱高下しても、個別企業の業績や資本政策が一様に悪化するわけではない。8月相場を支えた「好業績+株主還元+投資単位引き下げ」の組み合わせは、9月も有力な選別軸となる。
53銘柄を単なる権利取りリストとして見るのではなく、成長性、還元姿勢、投資単位引き下げの狙いまで比べる。長期金利3%という新たな環境の下で、企業価値向上策の濃淡を見極めることが、9月相場の有望株を探す手掛かりとなりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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