
■キオクシアは約8000億円自社株買い完了+約5兆円投資、東証の投資単位引き下げで個人投資家の裾野拡大へ
AI・半導体株に9月相場の新たな物色材料が浮上している。キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)の1対3、東京エレクトロン<8035>(東証プライム)の1対5をはじめ、三井金属<5706>(東証プライム)は1対10、オルガノ<6368>(東証プライム)は1対5、ダイヘン<6622>(東証プライム・福証)は1対5、イビデン<4062>(東証プライム・名証プレミア)は1対2の株式分割を9月末に予定する。東証が投資単位50万円以上の企業に分割検討を促すなか、最低投資金額の低下は個人投資家の参加を広げる需給材料となる。
■キオクシアは「分割+巨額還元+成長投資」
中でも注目度が高いのがキオクシアである。7月31日に9月30日を基準日とする1対3分割を発表すると同時に、3000万株、8000億円を上限とする自己株取得枠を設定。8月10日までに1613万3500株を7999億9768万9000円で取得し、金額上限近くまで買い付けて終了した。
2027年3月期第1四半期は、生成AI用途を中心としたデータセンター需要や販売単価上昇が寄与し、売上収益1兆7671億円、営業利益1兆2700億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益8422億円と急拡大した。さらに8月27日にはサンディスクと、日本国内で2032年までに総額約5兆円を投じる計画を発表。四日市、北上の両拠点を軸に先端フラッシュメモリーの生産能力を強化する。
■東エレクも「5分割+自己株買い」
東京エレクトロンも9月末に1対5分割を予定し、上限1500億円の自己株買いを実施、7月末までに約1385億円を取得して完了した。三井金属、オルガノ、ダイヘン、イビデンまで含めると、半導体製造装置、メモリー、電子材料、パッケージ基板、超純水、電力機器と、生成AI投資の恩恵がサプライチェーン全体へ広がっていることが分かる。
とりわけイビデンは2026年1月1日にも1対2分割を実施しており、9月末の分割は今年2度目となる。値がさ化したAI関連株にとって、最低投資金額の引き下げが資本政策上の重要テーマになっていることを映す。
■本当の勝負は権利落ち後
もっとも、株式分割そのものでは企業価値やPER、PBRは変わらない。分割で株価が低く見えても、割安になったわけではない。重要なのは、分割後も利益成長が続き、新規投資家の参加で出来高や流動性が高まるかどうかである。
9月30日を基準日とする今回の分割銘柄は、9月29日から権利落ちとして売買される。注目すべきは権利取りまでの値動きより、その後も資金が定着するかだ。9月のAI・半導体株は、分割比率だけでなく「利益成長」「株主還元」「最低投資金額の低下」「AI向け成長投資」を重ねて選別したい。なかでもキオクシアは、約8000億円の自己株買い完了、3分割、約5兆円の共同投資計画が重なり、9月末相場を象徴する銘柄の一つとなりそうだ。
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