(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)※最新の情報に修正を加えてあります

【短期、中期、長期投資でも決めるのは今である】
■投資の時間軸は違っても、出発点はすべて現在にある
3日先を狙う短期投資、3カ月先を見据える中期投資、そして3年先の成長を期待する長期投資――。投資にはさまざまな時間軸があり、どの期間で成果を求めるかによって、銘柄の選び方も売買の方法も変わってくる。
大切なのは、自分の性格や資金の性質に合った投資のリズムを持つことである。短期間の値動きに機敏に対応するのが向いている人もいれば、多少の上下には動じず、時間を味方につける投資が適している人もいる。どちらが優れているということではない。自分に合わない時間軸で投資を続ければ、銘柄選びが正しくても判断を誤りやすくなる。
しかし、短期・中期・長期のどの投資にも共通する重要な一点がある。それは、将来を見て投資するとしても、実際に判断を下すのは常に「今」だということである。3年先を期待する投資であっても、3日先の値動きを狙う投資であっても、今この局面で「買う」「売る」「見送る」のどれを選ぶかが出発点となる。
■短期は勢い、中期は景気、長期は大きな流れを見る
投資期間が変われば、重視すべき材料も変わってくる。
長期投資では、政治や社会の大きな方向性など、企業を取り巻く長い流れを見極めることが重要になる。中期投資では、景気の方向や企業業績の変化などが判断材料となりやすい。短期投資では、相場の勢い、需給、投資家心理など、その時点で市場を動かしている力を重視することになる。
つまり、短期・中期・長期では見る景色が違う。しかし、最後に行き着く判断は同じである。今は買う場面なのか、売る場面なのか、それとも無理をせず見送る場面なのか。その決断を避けることはできない。
長期投資だから今日の値動きを気にしなくてよい、中期投資だから足元の相場環境は考えなくてよい、ということではない。むしろ投資期間が長いほど、最初にどの位置で投資を始めるかは、その後の成果に大きな影響を与える。
■「長期だからいつ買ってもよい」は危険な考え方
将来性のある企業を見つけたとしても、それだけで直ちに買えばよいとは限らない。どれほど魅力的な企業であっても、株価には買いやすい局面と慎重になるべき局面があるからだ。
長期投資では、「いずれ成長するから」という理由で現在の株価や相場環境を軽視しがちである。しかし、もし買った場所が長期的な高値圏だったなら、その後に企業が成長しても、株価が再び買値を上回るまで長い時間を必要とする可能性がある。
逆に、将来への期待がまだ十分に評価されていない局面を見極めることができれば、長い時間を味方につけることができる。長期投資とは、今を見なくてもよい投資ではない。長期だからこそ、スタート地点となる「今」の判断をより慎重に行う必要がある。
■未来を予想すること以上に「今どうするか」が重要
投資では、将来を正確に当てることばかりに意識が向きやすい。しかし、未来はまだ確定していない。投資家が実際にできることは、現在までに分かっている材料を整理し、その時点で最も妥当だと考える行動を選ぶことである。
上がりそうだから買う、下がりそうだから売るという単純な判断だけではない。「分からないから見送る」という選択も立派な投資判断である。
短期、中期、長期――どの投資スタイルを選んでも、投資家が立っている場所は常に現在である。将来の大きな利益を考えるほど、目の前の株価、相場環境、自分の資金状況を冷静に見つめる必要がある。
3日先を読む人も、3カ月先を見る人も、3年先を信じる人も、最後に問われるのは同じだ。
「今、買うのか。売るのか。それとも見送るのか」
未来を考える投資だからこそ、「今」を軽視してはいけない。それが、この格言が時代を超えて伝えている投資の基本である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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