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2026年09月08日

【株式市場を読む】東証退場でも「上場は続く」――地方市場継続5社、協立情報通信などに再評価余地

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■10月1日付で10銘柄が東証上場廃止予定、5社は地方市場で売買継続

 東京証券取引所では10月1日、上場維持基準への不適合を理由に10銘柄が上場廃止となる予定である。対象はテクノマセマティカル、ヤマザキ、カワセコンピュータサプライ、協立情報通信、クボテック、山大、桜井製作所、光陽社、ネポン、ビーマップ。東証の市場改革が、上場維持基準を満たせない企業の退出を伴う段階に入ったことを象徴する動きといえる。

 ただし、「東証上場廃止=上場企業としての完全退場」ではない。協立情報通信と光陽社は名証メイン、ヤマザキは福証本則と札証本則、カワセコンピュータサプライとネポンは福証本則にも上場しており、東証から離れた後も地方市場で株式売買が継続する。つまり5社については、東証上場廃止後も公開市場で価格形成と売買の場が残ることになる。

 なお、山大<7426>については、9月24日の臨時株主総会で株式併合が承認され実施される場合、東証上場廃止日が10月1日から9月28日に変更される。したがって、実際に10月1日付で上場廃止となる銘柄数は今後の手続きによって変わる可能性がある。

■協立情報通信はPER6倍台、名証継続で「東証退場後」の評価に焦点

 地方市場で上場を続ける銘柄の中でも注目されるのが協立情報通信<3670>(東証スタンダード・名証メイン)である。9月8日の東証取引値1749円を基準にすると、会社予想PERは6.29倍、実績PBRは0.89倍、予想配当利回りは3.72%。2027年3月期の1株予想配当は65円となっている。実績ROEは14.08%、自己資本比率は62.9%で、株価指標だけでなく資本効率や財務面も評価材料となる。

 同社は2025年6月に名証メイン市場へ重複上場しており、東証上場廃止後も証券コード3670で名証上場を継続する。東証上場廃止という需給面の特殊要因はあるものの、企業そのものの事業や株式が消滅するわけではない。収益力、財務基盤、配当政策といった企業価値を構成する要素と、「東証から外れる」という市場区分上のイベントは分けて見る必要がある。

 PER6倍台、PBR1倍割れという現在の水準には、東証上場廃止後の流動性低下や投資家層の変化に対する警戒も反映されているとみられる。一方、業績や配当が安定して推移すれば、上場廃止というイベント通過後に、収益力や財務内容を改めて見直す動きが出る余地もある。

■光陽社はPBR0.5倍台、自己株取得も継続

 光陽社<7946>(東証スタンダード・名証メイン)も低PBRが目立つ。9月8日の東証取引値は360円で、会社予想PER10.16倍、実績PBR0.52倍、予想配当利回り3.06%、1株予想配当11円の水準にある。2025年6月から名証メイン市場にも上場しており、東証上場廃止後も名証で売買が続く。

 同社は9月1日にも自己株式の取得状況を開示しており、株主還元・資本政策への取り組みも続けている。もっとも、地方市場継続5社の収益力や財務内容、株価指標には差があるため、「東証上場廃止銘柄」という括りだけで一律に判断するのは適切ではない。

■「上場廃止リスク」と「企業価値」は分けて考える

 株式市場では「上場廃止」という言葉自体が強い警戒感を伴う。しかし今回の5社については、すでに名証、福証、札証へ重複上場しており、東証上場廃止後も上場会社として株式売買が続く。「東証から離れること」と「企業価値が失われること」は同義ではない。

 一方で、東証と地方市場では売買参加者や流動性に差が生じる可能性があり、上場市場が残るからといって取引環境が全く変わらないわけではない。売買高、値幅、約定機会などを確認する必要がある。この点は、地方市場継続銘柄を評価するうえで重要なリスク要因となる。

 その特殊な需給要因が一巡した後は、売上高や利益、キャッシュフロー、配当、純資産、成長戦略といった通常の投資尺度が再び重要になる。とりわけ協立情報通信のように低PER、PBR1倍割れ、一定の配当利回りを備え、名証で上場を継続する企業については、「東証退場後」に企業価値がどのように評価されるかが焦点となる。

■円高・株安の9月8日、バリュー株選別の視点も

 9月8日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比1130円51銭安の6万5269円33銭と3営業日ぶりに大幅反落し、TOPIXも75.47ポイント安の4050.33で終了した。ドル・円相場が一時1ドル=152円台まで円高方向に振れたことなどが輸出関連株の重しとなり、東証プライム市場では値下がり銘柄が広がった。

 相場全体の変動率が高まる局面では、高成長期待だけで買われた銘柄だけでなく、PER、PBR、配当利回り、財務内容など、企業価値に照らした個別選別の重要性が増す。その観点からは、東証という市場区分だけを基準に企業を評価するのではなく、地方市場で上場を続ける企業についても、収益力と株主還元を軸に検討する余地がある。

 10月1日は単なる「東証上場廃止の日」ではない。名証、福証、札証という地方市場が、東証を離れる企業の上場と価格形成を支える役割を改めて示す節目でもある。上場廃止に伴う需給変化を乗り越えた後、協立情報通信をはじめとする地方市場継続銘柄が、業績、財務、配当といった本来の企業価値を基準にどのような評価を受けるか。投資家にとっても、市場区分と企業価値を切り分けて考えるケーススタディーとなりそうだ。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:38 | コラム