
■850MWの能力増強、AI需要は半導体から電線・電力・冷却へ波及
米オラクルが9月10日に発表した2027年5月期第1四半期(6〜8月期)決算は、売上高が前年同期比30%増の193億4500万ドル、クラウド売上高が同62%増の116億700万ドルとなった。中でもクラウド・インフラストラクチャー(IaaS)は同121%増の74億ドルと2倍超に拡大した。AI向け計算需要に対応するため、同四半期にはデータセンター能力を850メガワット増強した。将来の売上高につながる残存履行義務(RPO)は6640億ドルと前年同期から2090億ドル増加。RPOが直ちに売上高となるわけではないものの、AIクラウド需要の厚みを示す数字といえる。
巨額投資を支える資金面にも注目したい。第1四半期の設備投資は285億ドルに達した一方、約113億6000万ドルを顧客からの前払いで賄った。フリーキャッシュフローは54億ドルの赤字だったが、市場予想より赤字幅は小さかった。通期売上高は少なくとも900億ドルを見込み、調整後1株利益予想を8.05ドルから8.10ドルへ引き上げた。通常取引で5%超下落していたオラクル株は、決算発表後の時間外取引でロイター報道時点で約4%反発した。
■東京市場は急落、「AI需要」より金利高が短期相場を支配
ただ、11日午前の東京市場はオラクルの好決算を素直に評価できる地合いではない。日経平均株価は一時、前日比2.8%安の6万3458円25銭付近まで下落した。原油高と米長期金利上昇への警戒からAI・半導体株への売りが強まり、アドバンテスト<6857>(東証プライム)は6%安、キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)も5.7%安となった。米10年債利回りが5%に接近するなか、短期的にはAIの成長期待より高PER株のバリュエーション調整が優勢となっている。
それでも中長期では、オラクルの数字がAI投資の裾野拡大を改めて裏付ける。データセンター増設にはGPUだけでなく、光通信、電力ケーブル、変圧器、発電設備、冷却システムが必要になる。日本株ではフジクラ<5803>(東証プライム)、古河電気工業<5801>(東証プライム)、住友電気工業<5802>(東証プライム)などがAIインフラ関連として意識されやすい。ただし、今回のオラクル決算が各社への直接受注を示したものではない。目先は米CPIと長期金利が最大の変動要因となるが、相場が落ち着いた局面で「半導体の次」として電線・電力設備株へ資金が戻るかが焦点となりそうだ。
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