
☆首都圏のマンションニーズが拡大
同社は、マンションの潜在需要が拡大しているとされる首都圏を中心に拡販を図る。全国では少子化が叫ばれるが、首都圏は出産増と毎年10万人超の人口流入により、毎年7万戸の住宅需要が発生しているとされる。
マンションの潜在需要が高いとされる首都圏だが、建築基準法の改正に加え、建築費の高騰により、中小のディベロッパーを中心に、供給戸数は減少。首都圏のマンション供給戸数は、05年の8万戸から08年は5万戸に減少している。建築費は過去1年で最大25%上昇したとされ、中小のディベロッパーが供給するのは厳しい状況が続く。
サブプライム問題が急上昇した07年秋以降、入札による地価は2年前の半分まで下落し、大手ディベロッパーにおいても、用地取得を差し控えようとする。入札による地価は2年前の半分まで下落した。
一方、日本綜合地所は、サブプライム問題が急上昇した07年秋以降、入札による土地取得を拡大。08年3月期における同社の用地取得総額は、入札の増加に伴い、前年対比で約650億円多い2、179億円分の用地を取得した。
☆大型物件の販売に注力
さらに同社は、11年3月末までの3ヵ年に、マンション売上高を3、930億円と計画するが、その81%に当る3、174億円の用地を既に取得済み。約6割を利益率の高い200戸以上の大型物件が占めており、「(日本綜合地所は)利益率の良い案件が仕込めている」と会社側。
確かに不動産市場の市況は不安定とされるが、影響出ているのは小型物件に限定されており、大型物件の市場は依然好調に推移している。日本綜合地所は、総戸数346戸の「ヴェレーナ港北ニュータウン」(神奈川県横浜市)や総戸数423戸の「ヴェレーナ青梅新町」(東京都青梅市)といった200戸以上の大型物件の販売に注力していくことで、収益拡大につなげていく。
☆特許を沢山取っている唯一のディベロッパー
さらに、同社分譲マンションは、新商品を付け加えることで、他社との差別化を図っていく。05年10月に実用新案登録した「オープンエアリビングバルコニー」は、奥行き4mをコンセプトにマンションの付加価値をつける。「2mのバルコニー付マンションに比べ、300万円程値段を上げているが、それでも売れ行きは好調」と会社側。オープンエアリビングバルコニーの導入率を08年3月期の20%から、09年3月期は61%に拡大していく。
08年3月にサッシ全体を跳ね上げることで、窓枠内の全開放を実現するという、「跳ね上げサッシ」の特許を取得。また同社は花粉対策としても有効とされる「エアシャワー」の特許を申請中。これらの商品企画は同社マンションの付加価値向上に貢献していくとされる。「(日本綜合地所は、)特許を沢山取っている唯一のディベロッパー」(会社側)。
さらに、同事業の収益基盤の拡充を図る同社は、投資開発事業に参入、都市部の収益用不動産を中心に再開発や転売を展開していく。同社は東京都新宿の高島屋前の収益案件も取得済み。
このように日本綜合地所は用地取得の拡大、大型物件の提供に加え、マンション付加価値の向上や投資開発事業を推進していくことで、11年3月期の不動産販売事業の売上高1、850億円(08年3月期比76.5%増)を目指す。
不動産賃貸事業は、取得用地を08年3月期の10万uから11年3月期には15万5、000uへと拡大することで、11年3月期の売上高59億円(08年3月期対比64.5%増)、資産残高920億円(同49.8%増)を目論む。特に、J−REIT関連の物件は「6月過ぎれば、さらに安価で放出されると聞く。積極的に仕込んでいきたい」(会社側)と購入に意欲的だ。
☆11年3月期経常利益は過去最高の150億円へ
同社は、08年3月期で10年連続最高経常利益を達成した。確かに、09年3月期の経常利益は70億円(前期比33.7%減)を予測するが、これは建築費の高騰が要因。物価高騰により、会社側は09年3月期の建築費を前期比30%増と見込むためだ。
一方、土地価格の下落に伴い、用地取得は今後も好調に推移することは、過去最高経常利益の更新という「体力回復」(会社側)に貢献するものと見られている。11年3月期の経常利益は同社過去最高の150億円(08年3月期対比2.14倍)を予定する。
会社側は「(06年3月期から08年3月期に実施された)前中期経営計画の結果、3ヵ年の経常利益は244億円と当初計画の214億円を上回った。新中期経営計画における3ヵ年の経常利益は、前中期経営計画を上回る320億円を目標とする。前中期経営計画より大幅なアップを目論む」とし、業績達成に向け自信をみせる。
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