
前2013年3月期は売上げが902億円と前々期比11%減、営業利益が6400万円と同96%減の散々な決算となった。一転、今2014年3月期は売上げ920億円と前期比2%増、営業利益は6億円と、同9.3倍の大幅増益が見込まれている。それを好感して5月15日に302円まで買い進まれた。
しかし今期の業績が回復するとは言え、今期の1株当たり利益が6.3円と一けた台にとどまる利益水準の低さから、天井は比較的低いものにとどまった。しかし、決算発表と同時に明らかになった第9次中期経営計画は、2017年3月期に売上げ1080億円(前期902億円)、営業利益30億円(同6400万円)という意欲的なもの。
前3月期までの第8次計画では成果が不十分だったことから、今回の9次計画では基本計画を迅速に展開する。同社は食器製造で培ったセラミックスの技術を核に、自動車・鉄鋼産業から電子部品、素材分野まで幅広い業界向けに4事業を展開している。工業機材事業は、自動車、鉄鋼、ベアリングなど向けの研削・研磨工具を生産しているが、日系顧客のほか現地顧客への販売を強化し、売上げの拡大を図る。セラミック・マテリアル事業は太陽電池セル・メーカー向けの電子ペースト、自動車や携帯電話向けの厚膜回路基板などを供給しているが、太陽電池市場の安定顧客向けの販売を強化する。エンジニアリング事業はリチウムイオン電池電極材料向け焼成炉・乾燥炉や混練、研削・切断置などは海外生産・調達基点を一層強化し、食器も新興国向けの販路」・販売体制を強化する。
第9次計画が目標を達成すると、1株当たり利益は31円にアップする。出遅れ訂正高相場はまだ道半ばと思われる。(株式評論家・隆盛)