<株式評論家の海老原紀雄氏に聞く>
■円安基調とともに相場の基調も変わった、投票日までは期待先行

――ずばり、お聞きします。相場は変わりましたか。
【海老原氏】 潮目は完全に変わりましたね。今まで「外債」投資などが中心だった個人投資家の方の「株式」に対する問い合わせが増えていると聞いています。こうした動きからも手応えが今までとは違っています。
――なにが、背景ですか。
【海老原氏】 やはり、衆議院の解散選挙です。経済に対し積極的な自民党政権への期待です。
――景気に期待できますか。
【海老原氏】 現在は「期待」を買っている相場だと思います。ほんとうに、あれだけの景気対策ができるかどうかは、選挙での「票差」次第だと思います。振り返ってみると、昨年2月の日銀の金融緩和には意外性があったため日経平均は3月の1万0255円まで上がったと思います。今度の安倍総裁の「日銀総裁を交代させてでも」、という主旨の発言は、そこまで踏み込むのか、という意外性があります。赤字国債を日銀に買わせてでもデフレを終息させインフレにするという強いメッセージが伝わってきます。これは、本物だというマーケットの受取りかたです。
■シェールガスが強いアメリカと強いドルを演出
――円安も進んでいます。
【海老原氏】 これまで数年間にわたって円高で頭を押えられていた日本経済にとって円安に進むことは救世主と言ってよいと思います。FX取引をやっている人は1ドル・78円が81円へ急速に進んだ円安はまた円高になるという見方は強いようです。しかし、私は若干の揺り戻しによる円高はあっても、基調は円安に変わったと思います。とくに、アメリカ大統領が再選された場合は、前半の任期4年と後半の4年では政策とともに為替も大きく変わっています。これからの4年はドル高(円安)の可能性が強いとみています。とくに、2000年に「IT」がアメリカを強くしたように来年は「シェールガス」が強いアメリカ(=ドル高)を演出すると思いますよ。シェールガスによってアメリカは世界一の産油国となり、貿易収支は大幅に改善されるからです。
――もう一度、日本について見通しをお願いします。
【海老原氏】 12月16日の投票日までは自民党政権を期待した相場展開でしよう。とくに、空売りしていた売方の買戻しが中心だと思います。投票日まではもう少し上値はあるでしょうが、さらに上値を大きく追うことは難しいでしょう。投票日が近づけば調整もあるでしょう。要は、冒頭に申し上げたように「票差」です。自民党が圧勝すれば、言われているような金融緩和はあるでしょう。もし、僅差なら難しいと思いますよ。政権の潮目が変わっていることは間違いでしょうが、その当りのところは選挙の結果を見てから相場の組立てを考えればよいと思います。(株式評論家・海老原紀雄)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:37
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