前週末15日のユーロ圏財務相会合では、キプロスに対して最大100億ユーロの金融支援を実施することで大筋合意した。キプロスの債務残高は165億ユーロであり、100億ユーロという金融支援額はアイルランドやポルトガルに対する金融支援額に比べてはるかに少ない。しかしキプロスの銀行預金総額約700億ユーロに対して、少額預金者を含めた銀行預金者に対する課税で58億ユーロの歳入を確保することを、100億ユーロの金融支援の条件とした。このため他のユーロ圏諸国に対する支援時にも、同様の預金課税が適用されるのではないかという警戒感が広がった。イタリアの政局混乱が続いていることも影響しているだろう。
18日の外国為替市場では、早朝のオセアニアの時間帯からユーロが急落する流れとなり、日本の時間帯には1ドル=94円台前半、1ユーロ=121円台前半まで円が上昇する場面があった。欧州の時間帯に入ると、影響が波及することを懸念した要人発言が相次ぐ一方で、キプロス議会は銀行預金への課徴金適用に関する法案の採決を19日(日本時間20日午前1時)に延期した。またキプロス政府は、取り付け騒ぎなどの混乱を回避するため20日まで銀行を臨時休業とする模様だ。臨時休業がさらに長期化する可能性もあるようだ。そしてユーロ圏財務相は電話による緊急会合を開催することになった。こうした動きに対して市場は様子見姿勢を強めたが、一旦は1ドル=95円台前半、1ユーロ=123円台前半と円安方向に傾く場面もあり、やや落ち着いた形のようだ。また欧州や米国の主要株価指数も下落したが、下落率は日経平均株価やTOPIXほど大きくないようだ。
キプロスは地中海の小国であり、その経済規模は小さいためユーロ圏全体に与える影響は小さいとされている。キプロスの12年GDPは178億ユーロであり、ギリシャの1937億ユーロの10分の1以下の規模で、ユーロ圏全体の9兆4834億ユーロに占める割合は0.2%に過ぎない。このためキプロス問題がユーロ圏全体の危機に繋がる可能性は小さく、ショックは一時的・限定的であり、日本の株式市場は過剰反応という見方が現時点では優勢のようだ。
ただし最初は小さなショックでも、さまざまな噂が広がり、新たな事実が飛び出し、そして時間とともに問題の大きさが認識され、結果的に大きなショックに繋がったケースを、市場は過去に何度も経験している。
キプロスはGDP178億ユーロに対して約700億ユーロの預金があり、ロシアや英国など海外の富裕層の預金が多いため、マネーロンダリングの温床という噂も絶えない。今回の預金課税によって預金流出が警戒されるうえに、預金流出の動きが南欧諸国に広がることも警戒されている。さらに19日(日本時間20日午前1時)のキプロス議会で、課徴金適用に関する法案が否決されれば、キプロスのデフォルトやユーロ圏離脱の可能性が警戒されることになる。そうなれば、ユーロ圏離脱の動きがイタリアなどに波及する可能性が警戒されることになりかねない。当面はキプロス議会の採決を見守る形だろう。
































