これまでの小売セクターにおけるM&Aは、主に規模(店舗数や売上高)の拡大によるバイイングパワーの強化、PB(プライベートブランド)商品の拡大、面(出店地域)の拡大、ドミナント戦略の強化などを狙いとしてきた。そうした狙いもあって、M&Aは同一業態内での再編の動きが主流だった。しかし、最近では一業態内でのM&Aにとどまらず、異業態に対するM&Aも活発化してきている。コンビニエンスストアのローソン<2651>は、従来型のコンビニエンスストア業態にこだわらず、複合型店舗の出店に積極的である。家電量販店のヤマダ電機<9831>は、家電分野にとどまらず、M&Aを活用して住宅分野への進出を加速させている。
直近では、8月21日に百貨店のJ.フロントリテイリング<3086>による、ファッションビル経営のパルコ<8251>に対するTOB(株式公開買い付け)が成立した。23日には、コンビニエンスストアのローソン<2651>が、調剤薬局のクオール<3034>に出資して提携関係を強化すると発表した。共同運営の調剤薬局併設型コンビニエンスストアの出店を継続し、共同展開の進展に応じて関係強化を検討するとしている。ノウハウの相互活用や複合型店舗出店による集客力強化が狙いのようだ。
こうした異業態に対するM&Aが活発化している背景には、縮小する国内市場でのパイの奪い合いや生き残り競争の激化がある。加速する高齢化社会にあっては特に、シニア層向けの品揃えや宅配対応などが集客力強化のポイントになるとの判断もあるようだ。今後も同一業態内での中小チェーンに対する大手チェーンのM&A攻勢が継続することはもちろんだが、異業態に対するM&Aが加速する可能性も高いだけに、M&Aに積極的な銘柄の動きに注目しておきたい。M&Aのターゲット候補となる銘柄には、さらに注目度が増すだろう。輸出株が不振の折、内需関連の小売セクター株が注目を集めそうだ。
































