[小倉正男の経済コラム]の記事一覧
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記事一覧 (02/02)【小倉正男の経済コラム】トランプ2.0「関税戦争」勃発 無益、無謀な挑戦
記事一覧 (01/24)【小倉正男の経済コラム】トランプ2.0「ウクライナ戦争」終結でディール
記事一覧 (01/09)【小倉正男の経済コラム】「トランプ2.0」「関税戦争」は陽動作戦?
記事一覧 (12/19)【小倉正男の経済コラム】「トランプ2.0」という不透明感「関税戦争」勃発?
記事一覧 (12/11)【小倉正男の経済コラム】政策保有株縮減「株価を意識した経営」の正論と現実
記事一覧 (11/24)【小倉正男の経済コラム】ROE・PBR改善に苦慮 増配、自己株買い活発化の底流
記事一覧 (11/03)【小倉正男の経済コラム】自民党惨敗 薄氷を踏むような石破政権
記事一覧 (10/14)【小倉正男の経済コラム】波乱の総選挙 相次ぐ石破総理の豹変の行方
記事一覧 (09/29)【小倉正男の経済コラム】石破茂新総裁「石破ショック」という荒天の船出
記事一覧 (09/23)【小倉正男の経済コラム】パウエル議長「後手に回らないことにコミット」
記事一覧 (09/03)【小倉正男の経済コラム】サラダクラブ「千切りキャベツ」深掘りに踏み込む
記事一覧 (08/25)【小倉正男の経済コラム】パウエル議長「金融政策を調整する時が来た」
記事一覧 (08/13)【小倉正男の経済コラム】FRBの独立性 トランプ候補は「NO」を宣言
記事一覧 (07/23)【小倉正男の経済コラム】「確トラ」利下げと減税の“総取り”政策狙う
記事一覧 (07/08)【小倉正男の経済コラム】米国9月利下げ開始機運 円安には干天に慈雨
記事一覧 (06/25)【小倉正男の経済コラム】1ドル160円接近 追加利上げ示唆でも円安進行
記事一覧 (06/04)【小倉正男の経済コラム】「トリプル安」円安が起因となって債券安、株安
記事一覧 (05/17)【小倉正男の経済コラム】「物流の2024年問題」生産性は上がったか?
記事一覧 (05/06)【小倉正男の経済コラム】1ドル150〜160円超 令和の「経済敗戦」
記事一覧 (04/19)【小倉正男の経済コラム】中東危機“報復の連鎖”の愚、「やめろ」の警告
2025年02月02日

【小倉正男の経済コラム】トランプ2.0「関税戦争」勃発 無益、無謀な挑戦

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■大統領令にサインでUSMCAは事実上反故

 「関税戦争」勃発、トランプ政権は2月1日からメキシコ、カナダに25%関税、中国に10%追加関税を課すと表明した。関税実施は3月に延期されるという見方があった。しかし、前日の1月31日に慌ただしく関税賦課が発表されている。(しかし、その後2月4日関税発効となり実施は延期されている。)

 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)は2020年、すなわちトランプ大統領の1期目に批准された経過がある。

 USMCAは北米自由貿易協定(NAFTA)を発展させたものだ。関税、数量制限など自由貿易を阻害する障壁を撤廃するとして発効している。米国、メキシコ、カナダ3カ国の議会でそれぞれ承認された貿易協定である。

 だが、トランプ大統領は大統領令へのサインによる関税賦課でUSMCAを事実上反故にしている。米国のことだが、大統領府が強すぎるというか、議会は存在感がまったく見えない。

■インフレがぶり返すリスク

 トランプ大統領は、トランプ政権閣内の誰からも異論は差し挟まれることもない。閣僚は職務に対する能力、識見よりトランプ大統領への忠誠心で選ばれているといわれている。米国では大統領府と議会、大統領府内とも権力に対するチェック&バランスは喪失しているようにしかみえない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:53 | 小倉正男の経済コラム
2025年01月24日

【小倉正男の経済コラム】トランプ2.0「ウクライナ戦争」終結でディール

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■ロシアに「ウクライナ戦争」終結合意を要求

 トランプ大統領は「タリフマン」(関税男)を自称している。「辞書の中で最も美しい言葉は関税だ」。そうした決めセリフを何かといえばうそぶいている。トランプ2.0、とりわけ「関税戦争」に世界は戦々恐々の体である。

 ロシアのプーチン大統領といえば、トランプ大統領に勝るとも劣らない強面だ。交渉事はトランプ大統領以上にタフであり、一筋縄ではいかない。トランプ大統領は、そのプーチン大統領に「ウクライナ戦争」の早期終結に合意をしなければ、ロシアと他の参加国に高水準の関税と追加制裁を課すと警告を発している。いわばディール(取り引き)をもちかけている。

 しかし、ロシアに「関税戦争」を仕掛けるにしても、米国のロシアからの輸入は21年296億ドル、22年144億ドル、23年45・7億ドルと大幅に減り続けている。24年は30億ドル台にとどまったとみられる。石油、アルミニウム、銅、ニッケルなどロシアの戦争原資になりそうな鉱物は軒並み輸入停止措置がとられている。いまは一部希少金属のみの輸入に限定されている。

 こうなるとトランプ大統領の「関税戦争」はロシアには有効にはみえない。「他の参加国」とはどこを指しているのか曖昧にされている。ロシアを筆頭にこれらには「タリフマン」は通用しない。何か新しい制裁を追加しないと埒があかない。

■戦争終結合意は難航か

 プーチン大統領が発言している「ウクライナ戦争」和平交渉の条件は、ウクライナの無条件降伏を意味するものにほかならない。

 ロシアが闇雲に侵略しているルハンシク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンの4州のロシア領への正式併合を主張している。第二にウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟は認めない。要するにロシアはウクライナの主権を認めない。ウクライナはロシアの従属国になるということを戦争終結の条件としている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:14 | 小倉正男の経済コラム
2025年01月09日

【小倉正男の経済コラム】「トランプ2.0」「関税戦争」は陽動作戦?

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■米国産石油、天然ガス購入をEUに要求

 トランプ次期大統領が仕掛ける「関税戦争」は本気なのか。あるいは落とし所を予め設定してのブラフ(脅し・はったり)なのか。例えば後者にしても、これは本気だと相手に思わせる恐怖がないと効き目はない。

 軍事の戦略・戦術に陽動作戦というものがある。本筋の作戦は隠しておいて、相手(敵)の目を引き付けて異なった方向に敵を誘導する戦術である。陽動作戦も本気だということを見せ付けないと成功しない。

 トランプ次期大統領はEU(欧州連合)に対して「我々の石油と天然ガスを大量に購入することでアメリカの巨額の貿易収支赤字を解消するように伝えた」としている。決め台詞ももちろん忘れていない。「大量に購入しなければEUからの輸入品に関税をかける」と。

 トランプ次期大統領はすでにメキシコ、カナダに25%関税、中国に10%追加関税をかけると予告している。どうやらこれもEUには陽動作戦として十分に効果を発揮している。

 EUは石油、液化天然ガス(LNG)をロシアに依存してきている。ウクライナ戦争以降、EUはエネルギー政策を変更し、「脱ロシア」化に努力している。トランプ次期大統領の要求に応じ、EUは米国産石油、天然ガス輸入に切り替える検討を行うという方向を即刻打ち出している。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:09 | 小倉正男の経済コラム
2024年12月19日

【小倉正男の経済コラム】「トランプ2.0」という不透明感「関税戦争」勃発?

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■日銀は追加利上げを見送り

 日本銀行は12月金融政策決定会合(18,19日)での政策金利引き上げを見送る推移となっている。日銀としては、政策金利(現状0・25%)の追加利上げを進める意向だったとみられる。しかし、トランプ次期大統領の関税政策などで米国経済の先行きに不透明感が強まっている。「トランプ2.0」を見極めるという判断となっている。

 米国のほうは、FRB(米連邦準備制度理事会)が17,18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利の追加利下げを行った。0・25%の利下げを決定し政策金利は4・25〜4・50%になる。新年の利下げ回数は9月時点の年4回から年2回に減速を見込んでいる。

 米国の11月雇用は、前月落ち込んだ非農業部門雇用者数が22・7万人と急改善。失業率4・2%(前月4・1%)と横ばい。平均時給は前月比0・4%増(前年同月比4・0%増)となっている。消費者物価は前月比0・3%増だが、前年同月比では2・7%増。

 米国の景気は堅調であり、インフレは克服できたとは言えないが大枠で鈍化傾向に入っている。そのうえで雇用の改善傾向を維持したい。ただ、新年はトランプ次期大統領の政策「トランプ2.0」が発動される。FRBとしても予測不能の面があるだけに慎重な方針を採らざるを得なかったとみられる。

■トランプ次期大統領は就任当日から「関税戦争」開始か

 トランプ次期大統領は、新年1月20日の就任当日にメキシコ、カナダからの輸入に25%関税、中国からの輸入に10%の追加関税を課すと表明している。

 メキシコ、カナダに対する25%関税は、麻薬(フェンタニル)、そして不法移民の米国流入が止まるまで実施する。中国への10%追加関税は、メキシコ、カナダで合成されて持ち込まれている麻薬原材料が中国でつくられていることを理由としている。中国は麻薬原材料の取り締まりを行っていないとしている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:22 | 小倉正男の経済コラム
2024年12月11日

【小倉正男の経済コラム】政策保有株縮減「株価を意識した経営」の正論と現実

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■政策保有株縮減は加速

 「政策保有株」縮減(売却)が加速されている。23年3月東京証券取引所は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を発表。これがきっかけとなっている。23年後半あたりから政策保有株売却が本格化し、24年〜26年あたりまで売却が続くとみられている。

 政策保有株とは、取引や提携関係の強化、企業買収防衛など特定目的で所有している株式だ。株式持ち合いなどから始まっている。企業はこれまで何があっても売却しないで保有してきている。しかし、それがいまでは当たり前に縮減が行われている。

 政策保有株は、端的にいうとROE(自己資本利益率)を低下させている要因とされている。歴史のある企業などでは、自己資本(純資産)の30〜40%が政策保有株という会社も珍しいことではない。「政策保有株は自己資本の相当部分を眠らせている」。つまり資本効率を悪化させているということになる。

 日本企業のROEは一般に低い。持っている自己資本をフルに活用していないという批判がある。確かにそれは正論といえば正論だ。企業各社としても無視できなくなっている。政策保有株を縮減するという行動は、そうした趨勢を背景にしている。

■ROE、PBRとも改善は進んでいない

 東証はROE8%をひとつの基準にしているようにみえる。つまり,上場各社にROE8%以上を目指せとしている。だが、ROEの改善は進んでいるとはいえない。

 ROE8%未満の企業は、24年5月でプライム市場45%・748社(22年7月47%・857社)、スタンダード市場59%・951社(同63%・912社)となっている。上場企業の約半数は、ROE8%超えは実現できていない。東証は「ROEに大きな変化は出ていない」としている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:36 | 小倉正男の経済コラム
2024年11月24日

【小倉正男の経済コラム】ROE・PBR改善に苦慮 増配、自己株買い活発化の底流

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■東証は「ROE・PBRの改善」を要請

 この1〜2年、日本の上場企業が直面しているのが「ROE・PBRの改善」という問題だ。

 ROEは「自己資本利益率」、企業が自己資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかという指標である。PBRは「株価純資産倍率」、企業の純資産(自己資本)との対比で株価がどのような評価を受けているかを示す指標ということになる。

 東京証券取引所は、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を発表している(23年3月)。プライム市場、スタンダード市場に上場している全企業に対して自社株価を分析して具体的な改善策を示してほしいという“要請”を行っている。

■分厚い自己資本、ROE低下、PBR1倍割れの「壁」

 東証は、ROE8%以上を目指してほしい、それが実現できればPBR1倍割れは自然に解消される、としているフシがある。

 しかし、日本企業は一般に自己資本がきわめて分厚い。自己資本比率が60%〜70%台といった企業が少なくない。そのためROE5%以下、PBR1倍割れという企業が相当数存在している。現実として上場企業の半数はそうした事態を抱えている。

 上場各企業をさっと眺めてみると、自己資本が時価総額を上回っているケースが少なくない。つまり、企業の「解散価値」のほうが高いわけだから、時価でその企業をM&Aをすればおつり(利益)が出る勘定になる。企業としても無視できない事態だが、「ROE・PBRの改善」を解消するのはそう簡単ではない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:44 | 小倉正男の経済コラム
2024年11月03日

【小倉正男の経済コラム】自民党惨敗 薄氷を踏むような石破政権

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■2週間で表紙を変えたが・・・

 米国大統領選挙(11月5日)が迫っている。大統領選挙は予備選、党員集会などを含めると1年近くを使って行われる。国のトップを4年間託すわけだから、そのぐらいの期間をかけて念入りに選別のふるいにかけている。

 1年かけてチェックされれば、政策、人柄、良いところだけではなく、欠点、弱点、難点も露呈しないわけがない。確かに米国大統領は、米国のみならず世界の政治・経済・軍事などのすべてに決定的に影響する。1年近くを選挙に費やす意味合いはあるということになる。

 それにつけても日本の自民党総裁選とは何だったのか。2週間ほど政策らしいような議論が行われた。しかも総裁選が終わったら、総裁選で話したことと平気で真逆のことをやっている。「君子豹変」(易経)とは、良い方向に変わるというのが本来の使われ方である。最近では節操がないという使われ方もされている。

■「豹変ラッシュ」で化粧を施したが

 石破茂総理は、自民党総裁に就任したばかりの9月30日に10月9日に衆議院解散、10月27日に総選挙を実施すると表明した。国会の首相指名選、天皇の任命というスケジュールを経て首相になるのがルールだ。首相になる以前に解散・総選挙を表明したのは前代未聞だ。

 スケジュールを無視してまで急いだのは、新首相の人気が剥落しないうちに総選挙を行うという一点にあった。2週間で日本のトップを選ぶという制度の欠陥を利用して、中身はともかく表紙(顔)を変えて新鮮さを訴えるという自民党の過去の成功経験則による。国民を舐めてかかったといえるに違いない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:15 | 小倉正男の経済コラム
2024年10月14日

【小倉正男の経済コラム】波乱の総選挙 相次ぐ石破総理の豹変の行方

■政策活動費は「使う」から「使わない」に豹変

kk1.jpg コロコロとよく変わるものだ。今度は政策活動費である。石破茂総理(自民党総裁)は、9日の野党4党首との国会・党首討論で政策活動費について「衆院選(総選挙)で使うことはある」と明言した。「現在認められており、使うことはある。選挙区で厳しい戦いをしている地域もある」と発言している。

 自民党は野党から「政治とカネ」、裏金問題で集中攻撃を浴びている。大幅な議席減が避けられない情勢だ。使途公開がなされていない政策活動費を総選挙に使うとわざわざ公言するのだから、相当追い込まれているのだと思ったものである。

 ところが、13日朝のテレビ報道番組の野党党首との7党討論では、「選挙においては当然使わない」という豹変ぶりである。石破総理は、国会・党首討論では「衆院選では1円も使わないと明言しろ」と迫られ、それでも「適切に使う」と答弁している。13日は「選挙に使うことはいたしません」に変わった。

 使途は公開しない政策活動費であり、「使うことはある」などという発言は余計だったということなのか。あるいは、政策活動費投入では“金権選挙”のイメージが強まり、無党派層が反自民に雪崩を打つことのリスクを考えたのか。「当然使わない」にコロリと変わっている。

■成長戦略は見当たらない

 「It‘s the economy,stupid」(経済こそが問題なのだ、愚か者)

 1992年の米国大統領選挙でビル・クリントン候補(民主党)が使った表現である。共和党候補はジョージ・H・W・ブッシュ大統領で冷戦終結、湾岸戦争勝利で圧倒的に有利とみられていた。しかし、クリントン候補は国民の目を経済に向けさせて大統領になった。

 問題は石破総理の自民党に経済政策、とりわけ成長戦略がまったくないことだ。石破総理は、「地方こそ成長の主役」と地方の可能性を引き出す地方創生推進交付金倍増を打ち出している(4日・所信表明)。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:40 | 小倉正男の経済コラム
2024年09月29日

【小倉正男の経済コラム】石破茂新総裁「石破ショック」という荒天の船出

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■「石破ショック」、一過性で終わるか

 石破茂氏が自民党新総裁となった。第1回投票では、高市早苗氏が第1位になり、石破氏は後手に回ったが、最終的に決戦投票で石破氏が勝利した。

 27日の第1回投票では高市早苗氏がトップに立ち、「女性である私が決戦投票に進んだのは歴史的瞬間」というスピーチを行った。マーケットはいち早く反応、為替は1ドル146円の円安に急激に振れ、株式も上昇した。高市氏の「いま利上げはあほ」という積極財政を好感しての動きである。マーケットは、第1回投票の勢いから高市氏が新総裁になると先読みしたわけである。

 だが、石破氏の逆転勝利とともにマーケットは急転・様変わりした。為替は1ドル142円の円高となり、日経株価先物はマイナス2000円を大きく超える大幅低下となっている。債券価格は下落し、債券利回り(金利)は上昇する兆しをみせている。

 「高市トレード」の反動なのか、週明けのマーケットは大変なことになりそうだ。石破新総裁、とりもなおさず石破新首相となるわけだが、マーケットから手荒いセレブレーションを受けることになるとみられる。

 「石破ショック」、一過性のものなのか、一過性ではすまないのか。デジャブ(既視感)のない、かつてない荒天の船出ということになる。

■岸田首相は勝負強さで勝ち残る

 石破新総裁は総裁選直後の会見で、岸田文雄首相の路線継承を強調している。

 「岸田首相が一生懸命努力してきたデフレからの脱却を確実なものにしなければならない」

 キングメーカーの最たる者は岸田首相であり、岸田首相は「生き残り」どころか、「勝ち残り」を果たした格好だ。影響力の極大化に成功したといえる。

 政治家だから変わるのは必ずしも悪いことではない。石破新総裁は「『新しい資本主義』にさらに加速度をつけていきたい」とあらためて表明している。

 総裁選の勝利者は、石破新総裁と岸田首相ということになる。岸田首相は勝負強さをみせたわけである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:42 | 小倉正男の経済コラム
2024年09月23日

【小倉正男の経済コラム】パウエル議長「後手に回らないことにコミット」

■FRBは0・5%利下げを決定

kk1.jpg FRB(米連邦準備制度理事会)は、9月17〜18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で4年半ぶりに利下げに踏み切った。事前には0・25%の利下げになるという見方が多かったが、利下げ幅は予想を超えて0・5%というものだった。

 米国の政策金利は4・75〜5・0%に引き下げとなった。「我々が後手に回っているとは思っていない。後手に回らないことへのコミットメントのサインと受け止めてもらうことができる」。パウエルFRB議長は、FOMC後の会見でそう語っている。

 パウエル議長は、今回の0・5%利下げは経済のソフトランディングを確実にするためとしている。「ビハインド・ザ・カーブ」(金融政策で後手に回る)を回避するのが眼目で、利下げのタイミング、利下げ幅とも適切な決定であることを強調している。

 ただし、パウエル議長は0・5%の大幅利下げを継続するという観測、過度な期待にはしっかりと釘を刺している。「今回の決定を受けて、これが新しいペースだと誰も捉えるべきではない」。大幅利下げが継続されるという受け止めについては、そうしたことはないとはっきり否定している。

■日銀は利上げ見送り、「市場との対話」に課題を認める

 日本銀行は金融政策決定会合(9月19〜20日)で追加利上げを見送り、政策金利(0・25%)を維持すると発表している。7月末、日銀は現状の政策金利に利上げを行ったが、為替は1ドル160円内外から1ドル140円台の円高に振れ、8月の株式市場は大荒れとなり、大幅下落に見舞われている。

 植田和男総裁は、「今後とも経済・物価が見通し通りなら利上げする考えに変わりはない」としている。しかし、「すぐに利上げということにはならない」「決まったスケジュール感を持っているわけではない」と慎重な発言に終始した。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:47 | 小倉正男の経済コラム
2024年09月03日

【小倉正男の経済コラム】サラダクラブ「千切りキャベツ」深掘りに踏み込む

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■キャベツとは?

 この夏は酷暑で外出はしない。そんな風に決めていたが、8月下旬にサラダクラブが「サラダ白書2024」を発表するというので呼び出された。「サラダ白書2024」のミーティングでは、キャベツに焦点を当てたレクチャーが行われた。

 キャベツについては何も考えたことがなかった。食事でいえば、トンカツの付け合わせで使われるキャベツ、お好み焼きで豚肉、焼きそばなどと一緒にギュウギュウと詰めて用いられるキャベツぐらいしか思い浮かばない。

 恐慌史では産業革命期の1845年〜49年の「馬鈴薯恐慌」(ジャガイモ飢饉)という有名な事件がある。それ以前の大航海時代には胡椒がトップ商品だった。胡椒、そして胡椒貿易が大航海時代をもたらしたといわれている。だが、キャベツはそうした時代を画するものとは無縁である。

■キャベツは年間3万トン使用

 サラダクラブは1999年にキューピーと三菱商事により創業されている。新鮮な野菜を加工・袋詰めして洗わないでそのまま食卓に乗せられる「パッケージサラダ」のパイオニア企業である。

 「今年が25周年。この四半世紀にパッケージサラダは食卓に根付いてきただけではなくマーケットを拡大している。全体の市場規模は2000億円に接近している」(金子俊浩社長)。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:34 | 小倉正男の経済コラム
2024年08月25日

【小倉正男の経済コラム】パウエル議長「金融政策を調整する時が来た」

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■パウエル議長「金融政策を調整する時が来た」

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、「金融政策を調整する時が来た」と発言した。(8月23日・ワイオミング州ジャクソンホール講演)

 端的に言えば、9月に利下げに踏み込むと明言したに近い発言である。インフレを叩いてコントロールする時期は大枠で終了し、景気回復に取り組むという金融政策の転換を宣言した。

 週末のNY株式は一時490ドルを超える大幅値上がりとなった。株式市場としては待ちに待った利下げが実現する。NY株式が賑わうのは当然である。

 では日本の株式市場もというと、そういうわけにはいかない模様だ。問題は為替である。

 米国は9月利下げということで、早速のところドル安円高となっている。

 1ドル144円台という円高に転じている。少し以前までは、政府、日銀などが1ドル160円という過剰な円安を懸念していた。しかし、今度は逆に過剰な円高を懸念する局面を迎えている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:50 | 小倉正男の経済コラム
2024年08月13日

【小倉正男の経済コラム】FRBの独立性 トランプ候補は「NO」を宣言

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■「大統領はFRBの政策に発言権をもつべきだ」というトランプ候補

 共和党の大統領候補トランプ前大統領が、大統領に返り咲いたらFRB(連邦準備制度理事会)の独立性に「NO」を突き付けるという発言をしている。FRBの金融政策決定に「大統領は少なくとも発言権を持つべきだと思う」と強調している。

 トランプ前大統領は、大統領に戻ったら金利を大幅に下げたい意向が強い。FRBの政策決定に大統領が介入するのは当然という考え方を隠していない。何でも自分の思い通りにやるのでは、自ら専制君主になると言っているのに等しい。

 民主党の大統領候補であるハリス副大統領は、「FRBの政策決定には決して介入しない」と表明している。「FRBは大統領から独立して決定を下すべきである」と。権力が集中するのは良いことではない。金融政策に大統領が発言する。このあたりにトランプ前大統領の危なさが露呈している。

 「もしハリ」、最近ではそう話されている。「米国第一主義」「自分第一主義」のトランプ前大統領が返り咲いたら、世界は大変なことになる。「もしハリ」どころか、「ほぼハリ」「確ハリ」に駆け上がってほしい。

■「アベノミクス」=「日本第一主義」という産業保護

 トランプ前大統領が明らかにしたFRBの政策決定に介入するという考え方は筋金入りだ。政権の下にFRBを置き、政権の意のままの金融政策にしたい。それこそ本気でそう思っている。

 金利を下げれば景気を刺激して浮揚する効果が生まれる。そのうえドル安になる作用が期待できるから国内製造業などの競争力を保持し労働者の雇用を維持できる。競争条件を自国に有利にできる。それなりに “大義名分”が成立する。国内産業・雇用を保護するという「米国第一主義」にシンクロするわけである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:14 | 小倉正男の経済コラム
2024年07月23日

【小倉正男の経済コラム】「確トラ」利下げと減税の“総取り”政策狙う

■「確トラ」、最初に行うのは利下げと減税

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 「もしトラ」、「ほぼトラ」といわれていたが、いまや「確トラ」とまでいわれている。一方の民主党のほうはバイデン大統領が大統領選挙から撤退を表明。ハリス副大統領を大統領候補として支持するとしている。共和党の大統領候補トランプ前大統領はすぐさま「パリス副大統領のほうが倒しやすい」という認識を示している。

 選挙のことであり、先は何ともいえない。ただ「確トラ」ではないが、トランプ氏に勢いが加わっているのは間違いない。11月の大統領選挙でトランプ氏が大統領に返り咲いたら、何が起こるのか。おそらくトランプ氏が最初に手を付けるのは金利(利下げ)と減税とみられる。

 インフレが鈍化傾向に転じていることから、市場では9月に利下げが行われるという見方が強まっている。だがトランプ氏は、大統領選挙前の9月利下げには当初から反対している。利下げによる景気刺激効果は、現職のバイデン大統領に有利に働くという思惑からの反対だった。しかし、いまやバイデン大統領は候補を降り、「確トラ」の状況だ。だがそれでも9月利下げには反対の立場は変わらない。

■利下げと減税=トランプ氏は“良いこと総取り”を狙う

 トランプ氏としたら、11月に大統領に返り咲いたら、あらためて利下げと減税を押し出したい。利下げと減税で景気を好転させ、バイデン大統領時代の経済(景気)とは画然と違うことを印象付けたい。いわば、“良いこと総取り”政策にほかならない。「確トラ」への状況変化でトランプ氏はそう読んでいるとみられる。

 日本との関連でいえば、トランプ氏はドルが円に対して高い、すなわち「ドル高円安」について問題視してきている。ドル高は米国製造業には「アンフェア」と捉えている。米国が利下げを行えば、「ドル安円高」に働くファクターになる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:36 | 小倉正男の経済コラム
2024年07月08日

【小倉正男の経済コラム】米国9月利下げ開始機運 円安には干天に慈雨

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■円安=前週は160円台から161円台に加速

 「円安」が継続している。前週は1ドル160円台から161円台にジワリと加速をみせている。週末の米国雇用統計では雇用者数、賃金の伸び率がやや鈍化、失業率が4・1%に上昇した。「9月利下げ開始の確率が高まった」という観測からナスダック、S&P500が過去最高値を更新した。長期金利(10年物国債金利)が低下し、1ドル160円台後半まで「円安」が緩和されている。

 だが、1ドル160円台〜161円台は、これまでの趨勢では「超円安」ゾーンにほかならない。日本政府・財務省の市場介入が意識されたが、いまのところ市場介入は手控えられている。

 この金融当局の為替市場介入については、米国のイエレン財務長官は、4月末に日本を名指しこそしていないものの「介入は稀であることを願う」と発言。5月にも「介入は稀であるべきで、介入は決して日常的に用いられる手段でない」と釘を刺している。米国は「市場主義」を貫いている。

■市場介入しても円安には効果は限定的

 日本のほうは「社会主義」というか、「人為主義」だ。「(通貨が)過度な変動があった場合にはあらゆるオプションを排除せず適切な行動をとる」(鈴木財務大臣・神田財務官)と再三再四繰り返している。「市場介入は躊躇しない」というわけだが、市場に逆らってうまくいったという話は聞いたことがない。

 市場介入は、いわば市場は投機など過剰に動くものであり、人為で市場を正すという「反市場主義」という立場である。組織の中では正当なことであるに違いない。ただ、民間企業などの感覚からすれば、「ムリ・ムダ・ムラ」の範疇に入る。市場介入は円安に対して牽制効果しかない。しかもその牽制効果も長続きはしない。効果は限定的で「仕事をやっています」みたいな結果になりかねない。

 今回はまだ分からないが、いまのところ市場介入が行われていないのは良かったのではないかと思われる。結局のところ市場は見透かしているわけだから、市場のことは市場に任せるしかない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:15 | 小倉正男の経済コラム
2024年06月25日

【小倉正男の経済コラム】1ドル160円接近 追加利上げ示唆でも円安進行

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■1ドル160円台突入の円安から政府・日銀が会談

 「円安」(ドル高)が再進行している。根底には米国経済の底堅さ、もっといえば強さがある。裏からいえば日本経済の弱さも反映している。現状は1ドル159円77銭、1ドル160円台突入寸前だ。4月下旬以来のドル買い・円売りの状況になっている。

 その4月だが、日本銀行・植田和男総裁は円安の進行について「基調的な物価上昇率にいまのところ大きな影響はない」と発言している(4月26日記者会見)。同時に円安が基調的な物価上昇に影響があるなら「金融政策の判断材料になる」という認識も表明した。しかし、これが円安を牽制するにはハト派寄り発言と受け止められた。直後の4月末には1ドル160円台に突入している。

 5月7日植田総裁は岸田文雄首相と会談。「(最近の円安については)日銀の政策運営上十分に注視していくことを確認させていただいた」。植田総裁は会談で為替(円安)について話があったことを認め、「政府と日銀が密接に連携を図り、政策運営に努めていく点を確認した」。その後、財務省は4月26日〜5月29日に9・8兆円規模のドル売り・円買いの市場介入を行ったと公表している。

■「市場介入は稀であるべき」(イエレン財務長官)が米国の立場

 この財務省の為替市場介入については、米国に根回しが奏功した、あるいは黙認による了解の示唆を得たといったことはなかった模様だ。イエレン財務長官は、4月末に日本を名指しはしていないものの「介入は稀であることを願う」と発言。5月後半にも「介入は稀であるべきで、介入は決して日常的に用いられる手段でない」と改めて釘を刺している。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:41 | 小倉正男の経済コラム
2024年06月04日

【小倉正男の経済コラム】「トリプル安」円安が起因となって債券安、株安

■「円安になれば原価が下がる」

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 1〜2年前のことだが、ある輸出型製造業経営者に「円安」について聞いたことがある。「円安になれば、会社にとってビジネス、業績では得ですか」といった質問をした。

 普通はそうした素朴な質問はしない。話の流れで具体的にどういうメリットがあるのか、あらためて尋ねてみた。

 「円安になれば原価が下がりますからね」

 経験則なのか、ぽつりと答えてくれた。

 この25年3月期決算でも、輸出型製造業は1ドル140円、あるいは1ドル145円の想定レートを打ち出している企業が少なくない。現状は1ドル156〜157円台にある。それどころか1ドル160円に再接近している。現状は「円安」だが、輸出型製造業サイドは反対に「円高」を想定している。

 「25年3月期は円高を想定している。前期は円安で為替差益が大幅に出たが、25年3月期は円高でむしろ為替差損が出ると想定している」

 当方はそんな風、つまり「円高」になるようにはまったく思えないのだが、輸出型製造業サイドは極端な「円高」見通しを語っている。現状の「円安」がそのまま継続すれば、前期同様に為替差益が生み出される。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:45 | 小倉正男の経済コラム
2024年05月17日

【小倉正男の経済コラム】「物流の2024年問題」生産性は上がったか?

■小物商品ではダンボール箱物流が消滅

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 「物流の2024年問題」、この4月1日からドラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されている。ずいぶん以前から取り沙汰されていた“働き方改革”だが、長い猶予期間を経てようやく実行されたことになる。

 トラック物流というと、荷台にはダンボールの箱がずっと重なっているのが通常だ。ダンボール箱がトラック物流の主役の座を担っている。何しろダンボールは丈夫である。モノも詰め込める。

 ところが、ここにきてEコマース用小物商品の物流では紙製「包装材」、あるいは紙製「包装袋」というものが、ダンボール箱に取って代わる動きを顕在化させている。丈夫さに特徴があるクラフト紙を使用した包装袋なのだが、急速にダンボールに代替している。

 紙製包装袋というものは以前から存在する商品であることは間違いない。しかし、この“オールドルーキー”が突然という格好でもてはやされている。当惑してしまうというか、不思議なこともあるものである。

■「空気」を運ぶ部分をカットする

 しかし、物流・包装業界に聞いたら納得の話だった。

 「ダンボール箱とクラフト紙製包装袋との競合はコストの問題ではない。トラックの積載効率から小型商品の物流では紙製包装袋のほうがフィットしている。物流の2024年問題から急激な変化が起こっている。紙製包装袋自体は目新しいものではないが、新需要を取り込んでいる」

 小型商品では、ダンボール箱に詰め込むと隙間ができる。ダンボール、紙などの緩衝材などを入れて隙間を埋めている。しかし、それではトラック物流では「空気」を運ぶ部分が大きくなる。紙製包装袋では、小型商品を詰め込んで緩衝材は入れるが、「空気」を運ぶ部分を少なくできる。

 つまり、小物商品のトラック物流では紙製包装袋のほうが積載効率を上げられる。「空気」を運ぶ部分をカットし、運べる数量を増やせる。その結果、ドラックドライバーの残業を減らすというわけである。逆にいえば、トラック物流は「空気」の部分を運んでいて長い残業に明け暮れしてきたことになる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:54 | 小倉正男の経済コラム
2024年05月06日

【小倉正男の経済コラム】1ドル150〜160円超 令和の「経済敗戦」

■4月雇用は予想を下回り、長期金利低下しNY株価は上昇

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 米国労働省が発表した4月雇用統計だが、景気の現状を反映するといわれる非農業部門雇用者数は17万5000人増加となり、予想雇用者数24万人を大きく下回る結果となった。前月は30万3000人増(改定値31万5000人増)の雇用者数だった。さすがに雇用者増はやや鈍化となった格好である。

 失業率は3・9%(予想3・8%)と前月の3・8%から悪化している。平均時給は0・2%(予想0・3%)で前月の0・3%を下回った。労働需給の過熱感はやや低下の兆しがみえる。ただし、4月単月ベースの推移であり、今後のトレンドを指し示すかどうかは何ともいえない。

 「9月には利下げが行われる」(市場筋)といった金利低下期待がにわかにぶり返したが、この傾向が5月、6月と継続しなければ利下げのスケジュールは見込めない。現状では利下げ期待は掛け声というか、少し気が早いということになる。

 だが、久々の“景気鈍化”を示す指数に市場は反応している。米国国債10年物利回りは4・50%に大幅低下している。円は一時1ドル160円台に突入したが、巨額の為替介入で1ドル153円台となっていた。4月雇用統計発表で一時151円台になり、その後も152円台と円高に転じている。前週末のNY株式市場は450ドル高、ナスダックは315ドル高と大幅上昇している。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:22 | 小倉正男の経済コラム
2024年04月19日

【小倉正男の経済コラム】中東危機“報復の連鎖”の愚、「やめろ」の警告

■“報復の連鎖”の罠を回避できるか

kk1.jpg 4月1日イスラエルの戦闘機がシリア・ダマスカスのイラン領事部を空爆した。イラン革命防衛隊は、この爆撃で将官7名が死亡したと発表している。領事部はイラン大使館の隣にあり、ピンポイントで攻撃されている。

 イランは14日にミサイル、ドローンを大量動員してイスラエルを攻撃した。イラン領事部爆撃に対する報復である。ただし、イスラエルに本気で深刻な打撃を与える意図はなかったとみられる。そのうえイラン軍統合参謀本部議長は、「この攻撃により作戦は終了したと考える」と語っている。

 これは意外な対応だった。いわば大人の対応というか、自制を効かせた限定的な攻撃にとどめたようにみえる。居丈高な表明も抑制している。この攻撃中に米国はイランから「作戦はこれで終了、さらなる攻撃はない」という示唆を受け取ったといわれる。米国はイランがイスラエルとの激突回避に相当に腐心しているという感触を得た模様だ。

 問題は右派戦時内閣のネタニヤフ首相のイスラエルがどう対応するかだ。最悪のケースでは“報復の連鎖”になりかねない。報復の応酬から、地獄の淵を覗くような事態に至る愚は回避しなければならない。

 バイデン大統領はイランに対してもそうだったが、イスラエルに自制を求めている。「イスラエル国民の74%はイランへの反撃は同盟国(米国)の信頼を損なわれるようなら反対」(ヘブライ大学世論調査)。「イスラエル国民は米国との関係を不安定なものにしてまでイランに攻撃するのは反対」と報道されている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:50 | 小倉正男の経済コラム