[小倉正男の経済コラム]の記事一覧
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記事一覧 (03/18)【小倉正男の経済コラム】古民家ビジネス 買い手は海外勢、「ヴィンテージ」を評価
記事一覧 (03/15)【小倉正男の経済コラム】スティーブ・ジョブズ「良いモノを高く」という系譜
記事一覧 (02/23)【小倉正男の経済コラム】「クリスピースパイス ペパー」新感覚の食べるスパイス
記事一覧 (02/07)【小倉正男の経済コラム】アップル「よいモノを高く」という頑固な信念
記事一覧 (01/25)【小倉正男の経済コラム】イノベーションなければ「いいモノを安く」は無意味
記事一覧 (01/18)【小倉正男の経済コラム】世界経済 不透明感が強く日本も波乱要因
記事一覧 (12/15)【小倉正男の経済コラム】中国「ゼロコロナ緩和」 輸出・輸入が大幅縮小の異常
記事一覧 (12/05)【小倉正男の経済コラム】中国・バブル崩壊 生産者物価がマイナスに転落
記事一覧 (11/23)【小倉正男の経済コラム】米国 大幅利上げで景況悪化だが強い消費
記事一覧 (11/15)【小倉正男の経済コラム】米国 インフレにも経済の厚みと凄み
記事一覧 (10/19)【小倉正男の経済コラム】プーチン大統領「控えめにいっても不愉快」の苦境
記事一覧 (10/12)【小倉正男の経済コラム】苦境のプーチン大統領 歴史は韻を踏むのか
記事一覧 (09/23)【小倉正男の経済コラム】関ヶ原の戦い 毛利輝元は「利益相反」戦略で破綻
記事一覧 (09/15)【小倉正男の経済コラム】関ヶ原の戦い 吉川広家は三万の兵を南宮山に“足止め“
記事一覧 (08/25)【小倉正男の経済コラム】「ジャクソンホール講演」利上げはデータ次第
記事一覧 (08/07)【小倉正男の経済コラム】設備投資:半導体、EV関連で活発化
記事一覧 (07/24)【小倉正男の経済コラム】日本で8〜9%インフレになったらパニックか?
記事一覧 (07/14)【小倉正男の経済コラム】「アベノミクス」依存〜継続か離脱か
記事一覧 (06/16)【小倉正男の経済コラム】マイナス金利・円安・補助金、保護はアニマルスピリット(野生)を殺す
記事一覧 (06/11)【小倉正男の経済コラム】アップルが中国離れ、「ゼロコロナ」でリスク極大化
2023年03月18日

【小倉正男の経済コラム】古民家ビジネス 買い手は海外勢、「ヴィンテージ」を評価

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■ローカルからグルーバルに発信

 京丹波町、京都府のほぼ真ん中に位置し里山が広がっている。福知山市などと並んで「森の京都」といわれている地域である。人口は1万2000人強、以前は1万5000人が住んでいた。人口減少は進行するばかりである。

 京丹波町の里山に古びた大きな門構えの古民家を取材した。田んぼの真ん中に石垣に囲まれた豪壮なその古民家は旧床屋屋敷で250年前の建物とされている。ざっくり250年前を調べると江戸時代中期(宝暦・天明期)にあたる。側用人・老中の田沼意次が権勢を振るっていた時期ということになる。

 旧庄屋16代当主が「古民家仕舞い」を決意して売却した。「17代」の新当主となったのは米国人である。米国在住だが、日本建築が好きで古民家などを欧米に紹介して販売する会社を立ち上げている。旧床屋屋敷は、その拠点のオフィスに活用する。屋敷、酒造蔵、屋敷内の掛け軸など旧い什器、土地台帳といった古文書、山林の一切合切を購入した。「円安ドル高」という為替動向も海外からの古民家購入には支援材料になっている。

 この古民家売買の間に入ったのが中川住研(亀岡市)である。中川住研は、30年前から古民家を取り扱ってきた実績がある。この旧床屋屋敷を2022年9月に仕込んで23年1月に売却を果たしている。中川克之代表取締役は、「古民家はたくさんある。ただ、売り物件は多くはない。古民家の価値を評価しているのは欧米、中国など海外の個人客だ。当社はローカルからグローバルに発信している」と自社のビジネスモデルを語っている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:44 | 小倉正男の経済コラム
2023年03月15日

【小倉正男の経済コラム】スティーブ・ジョブズ「良いモノを高く」という系譜

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■時価総額NO・1企業として君臨

 「GAFAM」、グーグル、アマゾン、フェイスブック(現メタ)、アップル、マイクロソフトという蒼々たる現代テクノロジー企業を指す言葉である。なかでもアップルは、時価総額ランキングでトップの座に君臨している(2023年2月末)。いわば人気、そして実力とも世界NO・1企業と評価されているわけである。

 1976年、アップルはスティーブ・ジョブズなどによって創業されている。84年にはパーソナルコンピュータの先駆といえる「Macintosh」を商品化している。しかし、業績は安定せず、ジョブズはジョン・スカリーCEOなど取締役会との関係が悪化。85年にはジョブズは「Macintosh」部門を解任され、アップルを退社している。

 スカリーCEOは、ほかならぬジョブズがペプシコーラから引き抜いた経営者だった。だが、ジョブズとスカリーなど経営陣との対立は抜き差しならないものになり、結果としてスカリーはジョブズを退社に追い込んでいる。ジョブズとしたら、少なくとも当時においてスカリーは「仇敵」そのもの、あるいは「仇敵」以上にほかならなかったに違いない。

 その時代のアップルは「Macintosh」をつくった会社であり、米国のベンチャー企業の代表として注目されていた。「Macintosh」に対する専門筋の評価・人気は、日本でも上々で高いものだった。ただそれでもパソコンが一般に普及すのは1990年代以降であり、この段階はその寸前の時期で普及するイメージはまだ見えていなかった。いわばアップルは、「揺籃期」あるいは「青年期」段階に入ったばかりの会社だった。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:57 | 小倉正男の経済コラム
2023年02月23日

【小倉正男の経済コラム】「クリスピースパイス ペパー」新感覚の食べるスパイス

■ブラックペパーの辛みを抑えて何度も試作

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 新型コロナ感染症が中国・武漢で発症したのは2019年後半である。19年11月末にある菓子製品の包装関連企業大阪本社に取材していたら「上海工場が稼働できていない」という話を聞いた。当時は何のことやらわからない。どうして上海工場を動かせないのか。「新型肺炎が上海で流行して経済活動が止まっている」、という説明だった。

 20年に入るとこの新感染症は全世界に一気に広がり、新型コロナ禍はとどまるところがなかった。日本でもイベントなどもことごとく中止に追い込まれた。完全に収束したとはいえないが、22年後半には経済活動がようやく再開された。いまは止まっていたセールスプロモーションなどイベントも開催されるようになっている。

 調味料に実績があるユウキ食品が厨(KURIYA)東京・神保町本店とコラボレーションで「クリスピースパイス ペパー」の新発売キャンペーンを開催するというので参加した。フライドオニオン、アーモンドなどのザクザクとした素材にブラックペパー、フライドガーリック、バジルなど香辛料をブレンドした新感覚のスパイスである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:21 | 小倉正男の経済コラム
2023年02月07日

【小倉正男の経済コラム】アップル「よいモノを高く」という頑固な信念

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■景気後退と無縁ではなかった

 アップル、マイクロソフト、メタ(旧フェイスブック)などの2022年10〜12月決算は揃って純利益で減益となった。新型コロナの影響に加えてウクライナ戦争、インフレ、利上げなどが影響したとみられる。これらの米国テクノロジー有力企業も景気後退と無縁な存在ではなかったということになる。

 アップルの減益は、主力商品の「iPhone」の売り上げが落ち込んだことが主因となっている。「iPhone」の大半は、台湾などの製造委託企業によってそれらの中国工場でつくられている。ティム・クックCEOは、中国のゼロコロナ政策の直撃で「iPhone」生産が遅延し、マーケットへの供給に問題が出たことを強調している。需要面の問題ではなく、供給にネックがあったというわけである。

 需要に問題があるとすれば、下手をすればアップルの経営・マーケテイングの失敗ということになる。しかし、供給の問題ならば、習近平主席のゼロコロナ政策による影響であり、一時的な頓挫という話になる。

 ただし、ティム・クックCEOとしても、「iPhone」の供給不足は解消するが、必ずしも先行きを楽観視しているわけではない。いまは景気後退と需要の成熟化が重なっている。しかもアップルは米中対立の激化、加えてゼロコロナによるサプライチェーン混乱もあったわけで、製品製造の中国依存に修正が迫られている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:50 | 小倉正男の経済コラム
2023年01月25日

【小倉正男の経済コラム】イノベーションなければ「いいモノを安く」は無意味

■「名古屋企業」の元祖ノリタケ

kk1.jpg 2000年代前半は、いわば「失われた30年」のどん底を極めた時期である。不動産バブル崩壊により大銀行が膨大な不良債権を抱えて青息吐息、財閥などの垣根を超えて金融再編成が進行した。その大不況の真っ最中、トヨタ自動車などを筆頭に「名古屋企業」が異例の収益力の強さをみせていた。

 実体は名古屋だけではなく、トヨタグループなど「三河企業」がその中核にあり、牽引していた面がある。東京からは、尾張(名古屋)も三河も同じにみえるが、地元ではそれぞれまったく違うわけである。

 ともあれ中部地方だけ景気が良かったのである。求人倍率は、全国のどの地域も1倍を大きく割り込んで沈みきっていた。しかし、中部のみ1倍超えだった。経済誌などメディアが「名古屋企業」の特集号を組んで、それが飛ぶように売れるという現象が勃発した。「名古屋企業」研究が大きなブームとなっていた。

 その時期にノリタケカンパニーリミテド(本社・名古屋市西区)を取材した。名古屋企業の元祖といわれる名門だが、いまでは工業用砥石、セラミックマテリアルなどに強みを持つ高収益企業である。このノリタケからTOTO、日本ガイシ、日本特殊陶業など蒼々たる企業が分社して枝分かれしている。いわゆる森村グループであり、その母体となった存在がノリタケである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:30 | 小倉正男の経済コラム
2023年01月18日

【小倉正男の経済コラム】世界経済 不透明感が強く日本も波乱要因

■米国はインフレが沈静化の兆し

kk1.jpg 米国のインフレ動向だが、ようやく何とか沈静化の兆しをみせている。2022年12月の消費者物価指数は6.5%増(前年同月比)。6.5%アップの消費者物価で沈静化の兆しというのは、少し違和感があるかもしれない。

 ただ、消費者物価が6%台の伸び率に落ち着いたのは2021年11月(6.8%増)以来のことだ。21年12月〜22年11月の消費者物価は、7〜9%台の増加という凄まじいインフレで推移してきている。そうした経過もあって、利上げ減速といった観測が強まっている。

 原油などエネルギー価格が一服傾向をみせているが依然として高止まりをみせている。家賃などの高騰が止まらない。人手不足から賃金上昇が続いているが、12月はやや賃金上昇に緩和の動きが伴っている。賃金上昇は基本的にモノ、サービスに価格転嫁されている。

 大幅かつ連続利上げで、確かにインフレのピークは越えたという趨勢になっている。だが、インフレ収束の兆しが出ているとはいえ、それでも克服したという状況とはいえない。金融引き締めが徐々に緩和される方向にあるとしても、まだ経過観察の領域を脱していない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:54 | 小倉正男の経済コラム
2022年12月15日

【小倉正男の経済コラム】中国「ゼロコロナ緩和」 輸出・輸入が大幅縮小の異常

■「ゼロコロナ緩和」への豹変

kk1.jpg 中国は、頑固なまでゼロコロナを進めてきたが「ゼロコロナ緩和」に豹変した。突然、手のひらを返したわけだが、大義名分は「オミクロンの病原性低下」(孫春蘭副首相)というのみである。

 孫副首相は、衛生部門との座談会でゼロコロナ緩和を語ったというのだが、何ともなしくずしで政策変更となっている。

 「習近平下台(辞めろ)」「共産党下台」――国民の不満、不安による反乱の連鎖で習近平国家主席の政策が事実上変更されたということもできる。これはかなり画期的な出来事といえる。

 ただ、頑迷なゼロコロナから急転直下の手のひら返しで、感染者、死者などが急増するといった可能性がないとはいえない。現実に主要都市で感染者が増大し、人手不足から経済混乱が発生している。先行きは何ともいえない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:26 | 小倉正男の経済コラム
2022年12月05日

【小倉正男の経済コラム】中国・バブル崩壊 生産者物価がマイナスに転落

■「習近平下台」ゼロコロナへの反乱

kk1.jpg 「ワールドカップ」で世界はサッカーに“発狂”している。そうしたお祭は嫌いではない。その喧噪にややかき消されているが、中国が大変なことになっている。

 ゼロコロナに反発して「習近平下台(辞めろ)」「共産党下台(辞めろ)」「自由が欲しい」と大規模デモが各都市に広がっている。厳重に統制されている国民が、身の危険をかえりみず異議を唱えるのは天安門事件(1989年)以来のことだ。“息苦しさ”にもう黙ってはいられないという行動にみえる。

 天安門事件は、民主化を求めた学生などエリート層を中心にした反乱だったが、今回は若い人たちを中心に国民の多数がゼロコロナという国家統制に憤っている。天安門事件では、実権を握っていたケ小平がデモ弾圧を命じたといわれている。天安門事件では「死者3000人(推定)」という凄まじい制圧が行われ、中国共産党の一大汚点となっている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:40 | 小倉正男の経済コラム
2022年11月23日

【小倉正男の経済コラム】米国 大幅利上げで景況悪化だが強い消費

■ようやく消費者物価、卸売物価とも低下

kk1.jpg 米国の消費者物価指数(CPI)だが、10月は前年同月比7.7%増(事前予想8.0%増)と伸び率を鈍化させている。10月の卸売物価指数(PPI=生産者物価指数)も前年同月比8.0%増(事前予想8.3%増)と伸び率はようやく低下の傾向をみせている。

 消費者物価、卸売物価ともほぼ軌を同じくするトレンドとなっている。ピークは6月の消費者物価9.1%増、卸売物価11.3%増。10月の消費者物価はなんとか伸び率8%を割り込み、卸売物価も同じ趨勢といえる。物価の大幅高騰はようやく峠を越えたかのようにみえる。

 「景気よりインフレ」と物価抑制を最重点とする連邦準備制度理事会(FRB)の急ピッチな連続大幅利上げが景気を抑え込んでいる。連続大幅利上げで景気(需要)を抑え込めば、経済の循環が悪くなり雇用、所得などに傷みが走る。だが、例え痛みがあってもインフレを削ぎ落とすには景気の過熱を冷やす必要があるというわけである。

■10月小売売上高は大幅贈

 ところが、10月の小売売上高は前月比1.3%増(事前予想1.0%増)となっている。9月の小売売上高は0.0%と横ばいだったが、10月は大幅増に転じている。年末セールを前倒しにしたアマゾンなど流通各社の「大規模セール」が寄与したといわれている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 22:56 | 小倉正男の経済コラム
2022年11月15日

【小倉正男の経済コラム】米国 インフレにも経済の厚みと凄み

■インフレは徐々に緩和の兆し

kk1.jpg 米国の中間選挙では、バイデンVSトランプにばかり焦点が当てられている感がある。「バイデン大統領は大きく負けたわけではないからむしろ勝利だ」「トランプ前大統領は不正選挙だと周囲に怒鳴り散らしている」――。両者とも次期大統領選挙を睨んでいるのだが、普通の国民からしたら猛烈な物価高(インフレ)のほうが生活面でリアルな争点であるのは間違いない。

 米国の消費者物価指数(CPI)だが、10月は前年同月比7.7%増となっている。消費者物価指数は6月9.1%増とピークをつけたが、7月8.5%増、8月8.3%増、9月8.2%増と4カ月連続で低下している。確かにインフレは高止まりから、ようやく緩和の兆しが現れてきている。

 9月はガソリン、食料品の上昇率がやや鈍化をみせた。だが、サービス価格が騰がり続けている。住居費の上昇が止まらない。医療、輸送などが上昇している。10月にはガソリン価格がピークアウト、食料品も低下している。サービスでは中古車販売、医療など低下している。ただ、住居費は依然上昇し、ホテル宿泊費は大幅高騰となっている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:48 | 小倉正男の経済コラム
2022年10月19日

【小倉正男の経済コラム】プーチン大統領「控えめにいっても不愉快」の苦境

kk1.jpg ウクライナの反転攻勢が凄まじい。9月以降、ウクライナは東部、南部で627集落を奪還したと発表している。ハルキウ州502、ドネツク州43,ルハンシク州7、ヘルソン州75集落がその内訳である。

 ゼレンスキー大統領は、「領土の一体性を回復する」と宣言。東部、南部、そしてクリミアのすべてを奪還するとしている。「勢い」はウクライナに傾いている。

■「控えめにいっても不愉快」と心境を晒す

 一方のプーチン大統領だが、さすがに苦境を認めている。
 旧ソ連の構成国による独立国家共同体(CIS)首脳会議でのロシアメディアとの一問一答、そのやり取りが興味深い。

 「プーチン大統領、後悔していませんか」
 メディアの質問は、ウクライナ東部、南部でのロシアの電撃的な敗退を指している。ズバリ、肺腑をえぐるような問いをシレっと投げかけている。ロシアはすでに9万人という膨大な兵員死傷者を出している。国民から反感を惹起する「部分的動員令」発令に追い込まれ、通貨・株式・国債のトリプル安に陥っている。

 「いや、はっきりさせておきたい。いま起こっていることは控えめにいっても不愉快だ。しかし、遅かれ早かれ同じことが起きていたし、最悪の状況になっていただろう」

 プーチン大統領は「後悔」を否定している。確かに「後悔している」とは、仮に思っていたとしても吐けない。ただ、(こんなはずではなかった)という感は拭えない。百戦錬磨のプーチン大統領にしては、絶対に見せないはずの心境を晒した発言といえる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:32 | 小倉正男の経済コラム
2022年10月12日

【小倉正男の経済コラム】苦境のプーチン大統領 歴史は韻を踏むのか

■腐肉で始まった「戦艦ポチョムキンの反乱」

kk1.jpg 『戦艦ポチョムキン』(セルゲイ・エイゼンシュテイン監督=1925年制作公開)というサイレント映画がある。1905年、ロシア黒海艦隊の新鋭戦艦ポチョムキンで起こった水兵たちの反乱を描いている。

 日露戦争(1904〜1905年)の日本海海戦でロシアバルチック艦隊は壊滅している。戦艦ポチョムキンの反乱事件は、その日本海海戦の1カ月後のことである。いわばロシアの敗色がいよいよ濃厚になってきた日露戦争末期に勃発している。

 水兵たちの反乱は腐った肉をきっかけに起こっている。ウジ虫が湧いた肉でつくったボルシチに水兵たちは抗議したが、将校は水兵を処刑した。水兵たちはこれに怒って一斉蜂起したという出来事である。ロシアの第1次革命期を象徴する事件が、戦艦ポチョムキンの反乱といえる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:24 | 小倉正男の経済コラム
2022年09月23日

【小倉正男の経済コラム】関ヶ原の戦い 毛利輝元は「利益相反」戦略で破綻

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■南宮山の何とも不思議な展開

 南宮山麓にあるのが「南宮大社」(美濃一の宮=岐阜県不破郡垂井町)。

 「関ヶ原の戦い」では、南宮山に東軍の毛利勢が陣を築いた。南宮大社の近くの麓に先手の吉川広家、その上の南宮山登り口に安国寺恵瓊、さらに登った山稜に西軍総大将である毛利輝元の名代・毛利秀元が毛利本軍を率いて陣を構えている。

 毛利勢は総勢二万余。その背後には長束正家、長宗我部盛親が布陣、これを加えれば三万に迫る軍勢になる。毛利勢が動けば長束、長宗我部もすぐに連携して撃って出る体勢となっている。

 慶長5年(1600年)9月15日早朝、関ヶ原で合戦の火蓋が切られている。大垣城を背にして南宮山を越えた所に広がる関ヶ原では一進一退の激戦が繰り広げられている。石田三成など西軍は総じて笹尾山など高地に陣を取っており、襲いかかってくる福島正則、井伊直政など東軍を押し返している。

 しかし、東軍を率いる徳川家康が本陣を構える桃配山の背後に聳える南宮山は、吉川広家が毛利、長束、長宗我部など西軍を抑えて動かないでいる。桃配山本陣の東軍後詰めは池田輝政、浅野幸長、山内一豊、蜂須賀至鎮などが中山道沿いを毛利勢に備えている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:26 | 小倉正男の経済コラム
2022年09月15日

【小倉正男の経済コラム】関ヶ原の戦い 吉川広家は三万の兵を南宮山に“足止め“

■石田三成に勝つチャンスはなかったか

 「関ヶ原の戦い」は、慶長5年(1600年)の旧暦9月15日に行われている。

 「西軍を実質的に率いた石田三成は、幼君(豊臣秀頼)でも群臣がまとまれば天下を治めることができるという考え方。東軍の総大将の徳川家康は、天下は力ある者の回り持ちという考え方だ。信長、秀吉もそれをやった、と。それがぶつかったのが関ヶ原の戦い」
 小和田哲男・岐阜関ヶ原古戦場記念館館長はそう説明している。

 名刺交換の立ち話で小和田哲男先生に、「関ヶ原の戦いで石田三成に仮に勝機があったとすれば、どういう局面でどうすることが必要だったか」とお伺いした。関ヶ原以外に戦場を設定するというやり方もあるが、関ヶ原しか決戦の場がないとしても石田三成に勝つチャンスはなかったか。

 小和田哲男先生は、「大阪城に籠もっていた西軍総大将の毛利輝元を関ヶ原の戦いに引っ張り出していたら、結果は違っていたかもしれない」と。

 ほとんど間髪を入れないでの答えであり、石田三成が形勢逆転する可能性は乏しいにしても“毛利輝元を関ヶ原に持ってくる”、それが唯一の方策だったという響きだった。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:40 | 小倉正男の経済コラム
2022年08月25日

【小倉正男の経済コラム】「ジャクソンホール講演」利上げはデータ次第

■総合購買担当者指数はさらに低下

kk1.jpg 米国の総合購買担当者指数(PMI)だが、8月速報は45・0となり2カ月連続で50を下回っている。7月に好況・不況の分かれ目といわれる50を割り込んだが、8月はさらに低下している。

 総合購買担当者指数は、一般に景気先行性が高い指標といわれている。製造業、サービス産業とも購買担当者に代表される企業心理は、利上げなど金融引き締めから縮小に転じているようにみえる。とりわけ、サービス産業が低調に転じている。

 生産者物価指数は、7月に前年同月比9・8%上昇にとどまっている。前月比では0・5%低下した。久々の低下で、ガソリン価格などの低下、サプライチェーン正常化が寄与しているといわれている。消費者物価のほうは、7月は前年同月比8・5%上昇、家賃、外食などの高騰が影響している。だが、消費者物価も6月の9・1%上昇に比べるとやや緩和されている。

 7月はインフレのピークになるとみられていたが、インフレの勢いが少し弱くなっている。インフレのピークは越えたようにみえないではない。しかし、依然として高止まりしている。ただ、一方で景気のほうは頭を打って後退の兆しが現れているようにもみえる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:52 | 小倉正男の経済コラム
2022年08月07日

【小倉正男の経済コラム】設備投資:半導体、EV関連で活発化

■設備投資は自己資金、あるいは借入金で?

kk1.jpg 配管工事のある有力企業なのだが、用地を取得し資材加工工場、研究開発センターなどをつくると発表した。優良企業であり、内部留保(利益剰余金)は、その企業の時価総額を少し上回る金額となっている。

 工場用地取得、そして工場、研究開発施設建設も「すべて自己資金で賄う」としている。企業サイドの経営者たちとしたら、自己資金で設備投資ができるというのはきわめて素晴らしいというか、世間から評価される、褒められるという認識にほかならない。

 ところが株主総会で、「設備投資は自己資金ではなく借入金で行うべきだ。自己資金というのはそもそも株主資本であり、本来は配当、自社株買いなど株主還元に廻すべき」という株主提案があったというのである。もちろん、その提案は却下されているのだが。

 いやはや日本の株主総会もそこまで来ている。やはり主力工場老朽化で新工場建設構想を進めている他の企業も「当社もそういう提案、要求があるのではないかと懸念している」と。内部留保が充分であり、自己資金で設備投資に踏み切る企業が続出している。経営サイドと株主サイドの立場の違いではあるが、設備投資は自己資金で行うか、借入金で行うか。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:50 | 小倉正男の経済コラム
2022年07月24日

【小倉正男の経済コラム】日本で8〜9%インフレになったらパニックか?

■米国はインフレ直撃だが消費は順調

kk1.jpg 米国の小売売上高だが、6月は前月比1%増と順調な動きをみせた。ガソリンが高止まりしているが、在庫不足が解消された自動車販売が好転している。家電製品なども需要が堅調で、バー・レストランなどサービス産業への消費も悪くはなかった。

 6月の消費者物価指数は前年同月比9・1%増(5月8・6%増)と40年ぶりの異常な高騰を記録している。インフレに直撃されているわけだが、案外なことに米国の消費は底堅さを示している。雇用増、賃金アップなどが消費を下支えしている格好だ。

 前月の5月の小売売上高は0・3%減(当初0・1%減と発表されたが0・3%減に改訂)であり、景気後退が強く意識された。大幅利上げの動きも相まって米国景気について悲観論が大きく浸透することになった。

 しかし、6月の小売り(消費)の健闘は、インフレへの抵抗をみせた格好になる。いわば、米国景気の決定要因である消費が簡単にインフレに屈するわけではないという傾向を示したことになる。6月もそうだったが、あるいは7月がインフレのピークになるという見方が根強いが、果たして米国の景気はどうなるか。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:10 | 小倉正男の経済コラム
2022年07月14日

【小倉正男の経済コラム】「アベノミクス」依存〜継続か離脱か

■支払い金利は極小化

kk1.jpg 銀座、新橋などの目抜き通りを歩いてみたら、もう何年も以前からのことらしいのだが大手銀行の路面店が消えている。おそらく元の路面店の周辺なのだろうが、銀行店舗は近隣のビルの何階かに移転したということである。確かに、郊外でも駅前から銀行路面店は消え、駅から離れたビルの上階フロアに移転している。

 金融の異次元緩和、ゼロ〜マイナス金利が9年ほど継続している。以前には、企業各社は金利支払いで赤字化し、倒産したりしたものだが、支払い金利というコスト負担は極限まで軽減されている。反面では何もなすことなく、といえば語弊があるが貸し出しで巨額収益を稼いでいた銀行の路面店が目抜き通りから去っている。

 ある大手機械企業A社の決算でみると、A社の有利子負債は1070億円だが支払い金利は13億円に収まっている。同様に中堅機械企業のB社でみると、170億円の有利子負債で支払い金利は2・2億円である。A社、B社とも実質的な支払い金利負担率は1・2%内外。企業は普通にやっていれば、金融超緩和により収益が生み出される構造になっている。

 新型コロナ禍下の2021年度の税収だが、法人税、所得税、消費税の「基本3税」が伸長している。法人税が伸びているのだから、企業でいえば収益が増加していることになる。もちろん、企業収益のなかには「雇用調整助成金」など補助金の注入も含まれている。国としても、金利安、円安、そして補助金給付などを何とか複雑にやりくりを繰り返しながら、税収を上げている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:44 | 小倉正男の経済コラム
2022年06月16日

【小倉正男の経済コラム】マイナス金利・円安・補助金、保護はアニマルスピリット(野生)を殺す

■何故、日本は補助金行政になるのか

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 日本の失業率だが2・5%(4月)と、一見すると凄まじい優等生ぶりである。金融ではマイナス金利、為替は超円安である。それでは株価は上昇しているのかといえば、その反対で極端な低下となっている。

 ある音響関連機械企業の事例だが、この企業は雇用調整助成金4億円を計上している。雇用調整助成金という補助金が経常利益の25%を占めている(2021年度)。

 コロナ禍の極端な事例とはいえるが、補助金が失業率の低さを裏側で支えている。「社内失業」、仕事がない社員を企業内に置いている。異様な失業率の低さは維持されている。もっとも企業サイドは、「コロナ禍に直撃されており、補助金でも何でももらえるものはもらって生き残るのが先決」と必死である。

 役人OBの同級生と一杯やった時に「何故、日本は補助金行政ばかりをやるのか」という話になった。「それは政治家にとっても役人にしても何かと都合がよいからだ」。それがアンサーだった。なるほど補助金なら選挙で票につながるかもしれない。業界団体などに再就職(天下り)の地ならしになる可能性もありうる。そういえば身近にも「GoToイート」、「県民割」そして「GoToトラベル」(7月再開意向)と飲食、旅行などにも継続的に補助金が出ている。石油元売りへの「ガソリン補助金」もある。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:36 | 小倉正男の経済コラム
2022年06月11日

【小倉正男の経済コラム】アップルが中国離れ、「ゼロコロナ」でリスク極大化

■長期ロックダウンでGDP(4〜6月)はマイナス成長

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 中国経済が分岐点に立っている。あるいは、曲がり角を迎えているといったほうがよいかもしれない。

 中国のGDP(国内総生産)だが、1〜3月は実質成長率で4・8%増(前年同期比)だった。不動産開発投資が一服状態に入っているが、消費、民間投資などが順調だった。だが、3月には消費が急減速し、飲食などが大幅なマイナスに転じている。この時期、新型コロナ感染症が徐々に都市部に浸透し始めたことを示している。

 4〜6月のGDPは、マイナス成長に陥るという見方が出ている。「ゼロコロナ政策」による上海など各都市・地域の長期ロックダウン(都市封鎖)が本格化し、経済そのものが停止したためである。

 日本の自動車産業なども上海などから部品供給が止まり、国内工場の操業を一時的に休止する動きが表面化している。6月には上海などのロックダウンが解除された。だが、中国の長期ロックダウンは、中国に集中しているサプライチェーンが寸断され、機能不全に陥るというリスクを顕在化させた。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:49 | 小倉正男の経済コラム