
平成18年1月13日に貸金業規制法第43条を事実上無効とする最高裁の司法判断、弁護士や司法書士に「過払いバブル」の特需が生じ、濡れ手に粟の状態が今でも続いている状況だ。大企業並みのテレビCMを打ち、事務員を数百人雇い、弁護士や司法書士は精々一人か二人。ここに悪徳と言われる一部の法律家が簡単に儲かるシステムが誕生したのだ。
消費者金融業など貸金業者が債務者に返した金利の過払い金総額は2006年以降だけで2兆円を超えるといわれている。
とにかく、この日の最高裁の判例を巡り、消費者金融などのノンバンクが将来像を描けない状況に陥ってしまったのだ。最高裁は、受取証書に(内閣府令に従い)契約年月日に代えて契約番号を記載したものは規制法43条の条件を満たしていない。従って、利息制限法を超えた金利も期限の利益喪失条項で強制している以上、任意とは言えないとして、規制法43条と利息制限法1条2項の適用を否定した。これが最高裁の解釈である以上、その影響は決定的になった。
法令と行政指導に従い取引・収受し、決済・納税も済ませた財産権(憲法29条1項)を、貸金業者は、「過払い返還」の名の下に時効もなく奪い続けられているのだ。
中小の貸金業者に至っては、とくにこの影響は甚大だった。行政府と立法府は、本来、平成18年の司法判断に対して、市場を守るために、対策を講ずる義務があったのだ。しかしながら、行政府と立法府は、同時期に進行していた貸金業規正法の見直し議論の中で実態と乖離した「多重債務者保護」という名目とともに、平成18年の司法判断を一般化する政策を実行してしまったのだ。結果は予想していた通りになろうとしている。甚大な影響を受けたこういった貸金業者や貸金業者であった者(廃業した貸金業者)が国家の振る舞いに適法性と正当性が回復されることを求め国家賠償請求訴訟をするという。
とくに中小の貸金業者や貸金業者であった者らは、廃業までの労働、納税、時間に対しての対価は、平成18年1月13日の判例をもってすべてを奪われたかたちだ。
貸金業制度に関するプロジェクトチーム(PT)でも議論はされているが、実効性のある解決策は見出せないままでいる。消費者金融などの貸金業者に言われている三重苦(過払い返還・上限金利引き下げ・貸し出し金額の総量規制)の中でも一番のネックは「過払い返還」だ。過払い返還については底なし沼状態で、今の消費者金融などの貸金業者は行く末に対して戦々恐々としている。
ある貸金業者が近日中にも、国家賠償請求訴訟を提訴する。この結果如何では、消費者金融などの貸金業者の国家賠償請求訴訟が乱立すると思われる。
また、そうでなくとも経営が苦しくなった貸金業者が最後の一手で国家賠償請求訴訟を提訴する可能性すら伺える。
現在、財務局などに届け出ている貸金業者は5千社弱だが、貸金業者が最多で存在した時には、5万社の業者が存在していたという。貸金業者であったものも含めれば、その数は10万件は超えるだろう。これら業者がこぞって国家賠償請求訴訟を提訴し、国の責任が認められればその影響は計り知れないものになるだろう。
そのリスクを少しでも回避するためには、弁護士、司法書士の過払い返還や債務整理に対する厳しい報酬規制を設け、ボランティアで過払い返還や債務整理等を受任する正義のあるものに任せればよいのだ。これもビジネス系と言われるような出資法の(29.2%)を超える成功報酬を貪る輩を必要以上にのさばらせた結果でもあるのだ。今ではこういった輩のうらで非弁行為や暴力団の資金源として暗躍するものも存在するという。最近では、法律家としては考えられない報酬隠しや脱税事件にまで発展している。
貸金業者は経費を計上後、税金を長きに渡り納税してきた。
今後はこういった貸金業者への補償なりを国家は自ら考えるべきであるし、国家賠償請求が提訴されてもそれは尤もなことであろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:28
|
コラム