■識別手段に「コード71」は必要条件だ
全国で相次いでいる「過払い利息返還請求」で、請求者とその代理人(弁護士や司法書士)との間でトラブルが増え続け社会問題化している。そこへ、報酬が確実に見込める案件しか引き受けない弁護士、返還金の9割近くも報酬として不正に受け取った司法書士も話題になるなどこと欠かない。
日本貸金業協会の調査によれば、会員業者が債務者に返還したり、元本から差し引いたりした金額は2006年度5,535億円、07年度9,511億円に達し、返還請求者の9割が弁護士、司法書士のお世話になったという。
一方、この間に貸金業者は疲弊し、ピーク時には4万社ほどあった登録貸金業者が、最近の調査では5千社を割ったとの報道もある。まさに貸金業者は生き残りをかけ、過払い金への対応に四苦八苦しているのが現状のようだ。
■過払い金返還が新たなビジネスチャンスを生むとは? 最近では返還金を分割支払する貸金業者まで出現、それも少なくないというのだ。ところが、待ってました「新たなビジネスチャンス」とばかりに群がる動きが目立ってきたというから驚く。ある人物は言う「森の神様2つ目を手に入れ、胸のドキドキが止まらない」と。
実態はこうだ。まず債務者の代理人(司法書士、弁護士)が何らか(裁判、和解)の交渉を行った結果過払い額が決定する。この交渉過程で「支払方法を分割払いで」という貸金業者の希望について話し合われ確定したとしよう。『代理人には今までのように一度に「キャッシュ」が入ってこない』、そこで登場したのが新ビジネス、そのスキームはこうだ。
代理人は「キャッシュ」を得るべく、過払い額が決定した債権をダンピングした上で第三者に譲渡、以後の分割支払い分は債権を譲り受けた第三者のもの。ダンピング分の利益を得るというものだ。
この「新たなビジネス」は日増しに存在感を増しているという。まさにソウルフィル、ベアスターンズ、リーマンブラザーズと世界恐慌を招いた「債権の流動化」の仕組みとそっくりなのには呆れる。
このときは司法判断が、経済構造を悪化させた「代表的な悪い例」と、世界恐慌の犯人探しは行われたが、この状況を招いた責任は司法判断を下した者には課せられていないが・・・。
■多重債務者救済は「どこ吹く風」に 貸金業者は平成18年1月以降、「多重債務者を救えるのなら」と過払い金返還に応じてきたのだが、この”返還金請求バブル”を食いものにしようと、「司法書士」「弁護士」「過払い債権のアレンジャー」へと凄みを増していく。パンデミック現象にも似た嵐に、多重債務者救済は「どこ吹く風」になる。
このスキーム横行の先には、いつの日にか過払い債権の破綻、多重債務者といわれる債務者へ資金が届くどころか、貸金業法の完全施行に伴う総量規制とのダブルパンチで、「多重債務者が漂流、資金に窮する個人が急増する事態」を招くのは火を見るより明らかだ。さらに彼らが追い詰められ、犯罪に結び付くような世相形成に繋がっては取り返しがつかない。
こんなイヤな時世が想定される最中、西陣織、カマンベールチーズ、酢の業者関係者は戦々恐々としている、と風のたよりも。
■再び、コード71が必須の理由 コード71とは、日本信用情報機構(JICC)が過払い請求を行った者に目印をつけるサービスコードだ。貸金業改正法で新設される指定信用情報機関の認定をめぐりこのサービスコードの扱いが議論されてきた。
「コード71」を外す理由として、過払い返還をビジネスとする司法書士、弁護士は、「コード71を残せば、過払い請求を躊躇する債務者が続出するのではないか」という。貸金業にとっては与信情報は情報が多ければ多いほど、正確さが増すのは明白だ。リスク軽減への命綱でもある。さらに、コード71の効果も無視できない。例えば、過払い請求した債務者は返還額が所得を急増させるケースもある。何かの事情で所得証明を必要とした時、コード71が証明根拠として扱われる点だ。この有用性は東京、大阪の高裁で争われ、両高裁は有用性を認めている。
本来、個人情報が簡単な操作で削除するなど論外だ。大きな存在意味を持つコード71を削除する論には賛同できるものではない。世の中で類をみない失策として永く汚名を伝えることだろう。
速やかに、「過払い返還請求を廃止」するとともに、貸金業改正法制定前の原点に帰り、完全施行の影響を貸金業者、消費者両者の立場に立って真摯に検討し常識ある社会の形成を目指すべきではないのか。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:37
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