
同社の今期業績は、第1四半期(1Q)決算発表の7月31日に早くも上方修正された。前期業績も、今年1月に下方修正した減額値を4月に一転して上方修正しており、これの延長線上の上方修正である。1Q業績が、パナマックス型のバラ積貨物船の新造船供給圧力が緩和して、ブラジル積み鉄鉱石輸送の荷動きが活発化、為替レートが、1ドル=99円と前年同期比17.33円の円安となって、大幅黒字転換し、3カ月実績で期初予想の第2四半期(2Q)累計業績の6カ月分を大きく上回ったことを踏まえて2Q累計・3月通期業績を上方修正した。
上方修正のうち3月通期業績は、前期に海運市況高騰時に定期用船した外航船舶4隻の契約期限前の契約解除や保有船舶の減損損失処理などの前倒しのリストラを実施していたこともあり、純利益を期初予想の35億円から60億円(前期は155億500万円の赤字)へ引き上げ、3期ぶりの黒字転換幅を拡大する。今後も、中国の景気動向や、猛暑による中国の穀物不作、食料自給率の低下懸念などから不定期船貨物の荷動き量増加、海運市況上昇の可能性も観測されており、さらに業績が上ぶれる展開もありそうだ。
株価は、2007年10月高値1370円から2112年9月安値79円まで一貫して調整、底値圏で喘いできたが、ようやく底上げに転じてきた。まだ2Q配当を無配継続、期末配当を未定とする片肺航海ではあるが、PERはわずか6倍台、PBRは0.8倍の低評価でしか過ぎない。400万株目前まで積み上がった信用買い残の整理も徐々ながら進捗しており、極低位値ごろも株価材料に、まず年初来高値199円抜けから1株純資産水準の219円への2割高は想定範囲内で、さらに上値挑戦が続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)