伊藤忠食品<2692>(東1)は、飲料、食品の卸大手として猛暑関連株の一角に位置し、今年7月30日に今3月期第1四半期(1Q)決算の発表を予定しており、この決算発表を先取り、小型株中心に盛り上がっている猛暑関連人気の波及が期待される。
株価は、年初来高値3870円から今3月期業績の連続減益予想を嫌って3100円まで調整、半値戻し水準までリバウンドしているが、なお下げ過ぎを示唆しており、全値戻しも有力となる。
同社の1Q業績が注目されるのは、前年同期の業績が、東日本大震災以降の雇用・所得環境の低迷、夏場の電力不足などで消費者の低価格志向が強まったことなどを背景に連続減益となったことにある。
同社の商品別の売上高構成比は、ビールと飲料で全売上高のほぼ過半を占め、業態別の売上高も、スーパー、コンビニエンスストア向けで合計約70%に達し、ここにきて「アベノミクス」効果による消費マインドの好転でビールなどの消費がプラス転換しているからだ。これに猛暑需要先取りが加わって、発表される1Q業績が増益転換するか大きな株価ポイントとなる。
今3月期業績は、第2四半期累計・通期業績とも連続減益が予想されている。優良顧客・メーカーとの取引深耕により取引拡大を継続し、「デパ地下」のグロッサリー売場の運営受託を強化、Eコマース向けWEB卸のメーンサプライヤーとしてECサイトへの出店を拡大、オリジナルブランド商品も開発・発売するが、価格競争の激化などで保守的に見込み、通期純利益は、38億円(前期比8%減)としている。ただ東洋経済会社四季報夏号では、前期のシステム投資費用が一巡したとして、純利益を41億円、連続増配含みと観測しており、1Q業績が、この先行きを示唆することになる。
株価は、今年2月に発表した固定資産売却益計上を受けて年初来高値まで650円高、この高値から今期業績の連続減益予想で全般相場より早期に整理入りとなり、往って来い以上の値幅調整と日柄調整が続いた。PERは11倍台、PBRは0.6倍となお下げ過ぎであり、下値買い妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:38
|
注目銘柄