
同社の今期業績は、売り上げ270億円(前期比4%増)、経常利益10億円(前期は1700万円の黒字)、純利益22億円(同2億6600万円の赤字)と3期ぶりの大幅増益転換が予想されている。前期業績は、東日本大震災・東京電力<9501>(東1)の福島第1原子力発電所事故で同社小高工場(福島県南相馬市)の操業停止が続いて顧客からの受注回復が遅れ生産効率が悪化、税金資産の一部取り崩しや生産設備の減損損失4億900万円を計上したことも重なって再下方修正され、純利益が赤字転落した。
これに対して今期は、4月に加須工場(埼玉県加須市)が竣工・稼働を開始し、5月には中国工場も竣工、産業用資材や引布加工品で自動車部品向けが、国内外で上向き、住宅関連でも前期の住宅メーカーの在庫調整一巡で回復することなどが要因となるもので、純利益は、東電の損害賠償額22億6200万円を特別利益に計上することで大幅黒字転換する。配当は、前期に年間8円(前々期実績10円)に減配したが、今期は9円に増配を予定している。
株価は、昨年11月の業績下方修正・減配で247円安値まで売られて東電からの損害賠償金受領発表で300円台を回復、今期業績のV字回復・増配予想で年初来高値まで4割高し、ほぼ往って来いの調整となった。PERは3倍台と東証第1部低PERランキングのトップ5にランクイン、PBRも0.4倍、配当利回りも2.4%と割り負けており、今年8月8日予定の同社の1Q業績発表を先取り、下値買い妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)