
同社の株価は、ジャスダック市場(スタンダード)から東証第1部に新規上場された際に実施した新株式発行(発行価格1407円)・株式売出しが、需給面のボディーブローとなって上場初日につけた上場来高値から調整入りとなり、前期期末配当の上場記念配当上乗せの年間35円(前々期実績30円)の配当権利取りの一巡と、全般相場急落とが重なって長大下ヒゲを伸ばして上場来安値まで突っ込んだ。
この間、同社の業績は、スマートフォン・タブレット端末関連製品が好調に推移しているものの、パソコンの個人市場向けの伸び悩みでストレージ・メモリの販売が減少し、価格競争の激化と一昨年のタイの洪水による仕入価格上昇や円安の影響などで前期業績を下方修正するなど低調に推移した。前期業績は、この下方修正をやや上ぶれて着地したものの、純利益は、30億9800万円(前々期比6%減)と前々期の過去最高から減益転換した。
続く今3月期業績は、パソコン市場が安定化しスマホ・タブレット端末関連製品の開発を強化し、海外市場でも同社の「ELCOM」ブランドの専門ショップを展開することなどから増益転換を予想、純利益は、32億6000万円(前期比5%増)と前々期の過去最高(33億1300万円)目前となる。
この新製品開発については、今年7月下旬にはLED液晶ディスプレイから発生し、健康被害が懸念されるブルーライトを約65%もカットするブルーライト対策メガネ「PC GLASSES」の超吸収タイブを発売し、8月上旬には充電式のモバイルバッテリーを発売するなど、新製品投入が相次いでいる。業績についても、8月6日に予定している今期1Q決算の発表で、前年同期の減益転換からの増益転換を再確認する展開が想定される。
株価は、上場来安値から200円幅の底上げをして上場高値からの調整幅の半値戻し水準までリバウンドしているが、PERは7倍台となお下げ過ぎを示唆している。最高値奪回の全値戻しを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)