電気化学工業<4061>(東1)は、今年5月、8月と年初来高値409円抜けに挑戦し、撃退されて1株純資産385円水準での高値もみ合いを3カ月にわたって続けてきたが、3度目の正直でこの上値フシを払って上値を伸ばす展開が想定される。11月8日予定の今3月期第2四半期(2Q)決算の発表に向けて、今3月期第1四半期(1Q)の好決算を見直す割安株買いの再発進が期待されるためで、通期業績の上ぶれも観測されている。連結子会社・デンカ生研が供給している季節性インフルエンザワクチンの需要期入りも、サポート材料となろう。
同社の1Q業績は、前年同期比6%増収、58%経常増益、72%純益増益とV字回復し、2Q累計業績対比の利益進捗率も、54〜58%と目安の50%を上回った。クロロプレンゴムの国内外の拡販に円安効果が加わり、スマートフォンのカバーガラス一体型タッチパネルの生産工程向けの仮固定用接着剤が続伸するなど好調に推移、前期業績を下方修正した原材料価格上昇に対しては価格改定が進んだことも寄与した。
今期通期業績は、期初予想を据え置き、経常利益230億円(前期比29%増)、純利益150億円(同33%増)と増益転換を見込んでいる。ただこの1Q好決算から業績上ぶれ期待も高まってきている。前期は、2Q累計決算発表時に期初予想を下方修正したが、今期は逆に上方修正となる展開である。東洋経済会社四季報秋号では、経常利益を235億円、純利益
を152億円と観測しており、11月8日発表予定の2Q累計決算が注目されることになる。
またインフルエンザのシーズン入りとともに、新型インフルエンザの流行が懸念されることになるが、同社が、2008年4月に株式交換で完全子会社化したデンカ生研は、同ワクチンの主要供給メーカーとなっており、感染拡大などのケースでは業績的にも株価的にも押し上げ材料として急浮上することになる。
株価は、今期業績のV字回復予想で年初来高値をつけて302円まで調整、1Q好決算で年初来高値に顔合わせしたが、戻り売りに押されPBR1倍水準でもみ合っている。PERは11倍台と割安であり、高値抜けから2010年6月高値477円、さらに2007年12月以来の500円台奪回を目指す値幅効果が期待される。(本紙編集長・浅妻昭治)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:53
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