
同社の前3月期業績は、昨年10月に2Q累計業績、11月に3月通期業績をそれぞれ上方修正、通期純利益は、60億円(前々期比64%増)と大幅に続伸して、2007年3月期の過去最高(60億円)に肩を並べる。セメント業界の国内需要が、東日本大震災の復興資材の拡大で2Qに前年同期比5.2%増の2134万トンと伸び、輸出分を含めた総販売数量が、同4.1%増の2599万トンとなり、この経営環境下で同社がグループ挙げてのコスト削減や事業拡大に取り組んだことが上方修正につながった。
株価は、この相次ぐ上方修正で327円高値まで買い進まれたが、復興需要が本格化した年明け後は、2月開示の前期第3四半期業績がV字回復して3月通期業績対比で高利益進捗率を示したにもかかわらず、織り込み済みとして逆に年初来安値246円まで調整した。復興需要関連の本命株として期待をそれだけ高め、信用買い残が積み上がったことが響いたものである。
この信用の高値期日は、今年6月に最終を迎えこの整理が本格化するのが5カ月目となるのが通例であり、5月の3月期決算発表で、前期業績の上ぶれ着地、今期業績の続伸の好実態が再認識され上値トライとなれば、買い残が一気に解消、回転が効く展開も有力となる。PERは19倍台と割安感は小さいが、PBRは0.9倍と割り負けており、高値奪回へ下げ過ぎ訂正をサポートしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)