「理論家は弱気」という極め付けは、兜町の不文律として長く言い伝えられてきた。かつて大量推奨販売方式、シナリオ営業が華やかだったころには、理論家集団の代表だった証券各社の調査部は、その弱気相場観測のために、証券各社の腕力相場に水を差しかねない邪魔者呼ばわりをされたことさえある。その両者のよって立つ相場感からすれば、無理からぬところである。株価変動要因は、「中期はファンダメンタルズ」、「短期は需給」といわれている。相場スタンスをファンダメンタルズに置くか、需給を重視するかによって当然、営業マンと調査マンの強気、弱気の相場感の違いが生まれてくるからである。現在の相場で、この強気、相場の相場スタンスで最も苦しんでいるのは、調査部の後継者である証券アナリストと睨んでいる。ファンダメンタルズからすれば、企業業績、景気実体ともなお悪化の懸念は強い。しかし需給面からは、売り方の買い戻しや外国人投資家のリバランス買い、さらに政府・日銀の株価対策などで相場は安値から大きくリバウンドしている。そこで証券アナリストの個別銘柄のレーティングでは、投資判断を引き上げながらも目標株価を引き下げたり、逆に投資判断を引き下げながら目標株価を引き上げるなどの奇妙なケースさえみられるようになる。それはあたかも高株価を理論的に後追いをするために、資産バブル相場下では「トービンのq」、ITバブル相場当時には「1株当たり売り上げ」などという新投資尺度を捻り出した辻褄合わせを彷彿とさせることにもなる。
こうした政策的な相場観測の圏外に位置するのは、ひとり個人投資家である。投資部門別株式売買状況でも、このリバウンド相場で個人投資家のみが売り越しの投資主体となって高値で賢くポジション調整を進めているからである。これは個人投資家がリスク許容度に余裕を持つ投資主体で、次の相場の方向を左右するキーパーソンであることも意味する。強気転換するのか、なお弱気堅持なのか動向からは目が離せない。
相場イベントからすれば先行きはなお多難である。4月中旬から3月期決算会社の決算発表が本格化し、5月の大型連休を控え、連休明けにはもしかしたら解散・総選挙の可能性もある。個人投資家がなお短期スタンスでの売り買いに徹する展開も見込まれることになる。
そこで浮上しそうなのが、復配期待の低位値ごろ株である。期初に2009年3月期に復配を予想した東証1部銘柄は、11銘柄あったが、そのうち2銘柄が復配を見送り、1銘柄が復配幅を縮小しており、復配が実現するかどうかは決算発表、株主総会を待たなければならないが、復配見送りでも株価水準的にはリスクは相対的に低い。東亜建設工業(1885)、東洋建設(1890)、五洋建設(1893)、プリマハム(2281)、ニチアス(5393)、日本コンベヤ(6375)、サンウエーブ工業(7993)、ジャックス(8584)、アイネス(9742)などに循環買いが回ってくることも想定される。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

























政府・与党が8日、追加経済対策に対応する2009年度補正予算案の財政支出(真水)を約15兆円、事業規模を56兆円超とする調整に入ったことを受け、9日の株式市場では、環境や公共事業関連銘柄にも物色が入った。










