1月11日の報道によると、京都大学の山中伸弥教授が、世界で初めて人の皮膚細胞から作製した、新型万能細胞(iPS細胞)の研究を強化する、国の支援策が出揃った。関係省庁合計で、約33億円を2008年度に投入。再生医療の早期実用化を目指すほか、iPS細胞を創薬に役立てる技術の開発や、有力特許の獲得を目指すという。
上記の施策は、10日にひらいた総合科学技術会議の会合で、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、特許庁が示したものだが、特定研究にこれほど短期間で巨費が投入されるのは、異例のケースだと報じられている。医療応用を見据えた戦略を早急に立案・実行し、優位性を保ちたい考えだという。
また、解説記事によると、「日本発の成果でも、臨床応用に不可欠な特許を米国などに押さえられては、…元も子もない」「…バイオ・医療分野での今後の日本の実力を左右する」そうだ。
これを読んで、シロート目にも、「たぶん、これまで、日本の研究成果が先行しながら、その後の対応がマズかったために、その果実を、欧米先進国や新興国に奪われたケースが、結構あったんだろうな…」と思った。
先般、報道された「途上国に温暖化対策で100億ドル支援」政府方針を見ても思ったが、世界での日本の地位低下について、国はそうとう焦りを感じているのではないか。…と、他人事のように言ってはいかんのだが。
というわけで、上記の文とは直接関係なく、「バイオ」をキーワードに探した、優良銘柄。
■宝ホールディングス<2531>(東1)傘下にバイオと酒造がある宝ホールディングスは「3番底」?形成 宝ホールディングス<2531>(東1)は傘下に
タカラバイオ<4974>(東マ)と宝酒造がある、持株会社。
チャートを見ると、昨年9月と11月と、今年の年初に630円ラインをつけて、2番底ならぬ3番底を形成。まずはこのまま続伸して、25日&26週移動平均線680円ライン〜次のフシ700円ラインまで戻していきたい。
11日終値654円でPERは32.86倍、PBR1.40倍。信用残は売り長なので、続伸→買い戻しが入って、さらに続伸という展開も期待したい。
業績は堅調。今期2008年3月期連結業績予想は、前年実績比微減収を見込んでいるが、営業・経常・純利益とも増益確保の見込み。業界観測では、次期2009年3月期も、減収だが増益と見られている。
傘下のタカラバイオも今期完全黒転の見込みだ。
■島津製作所<7701>(東1)分析機器メーカー島津製作所は、バイオ機器・解析受託事業も展開 島津製作所<7701>(東1)は分析機器メーカー。ほかに計測機器、検査機器など、さまざまな事業分野があり、そのうちのひとつにバイオ機器・受託解析事業があるということで、ここに入れる。
具体的には、ゲノム(遺伝情報)関連機器・解析サービス(DNA塩基配列解析など)、プロテオーム関連機器・解析サービスなど。プロテオームとは、ゲノムが書かれているたんぱく質のことを指すらしい。
難しいことはさておき(?)、チャートを見る。昨年8月につけた年初来高値1443円ピークに続落。今年に入って、1月7日につけた954円で底を打ったようだ。日足では、陽線・陰線取り混ぜながら、下値を切り上げる様相を見せている。
このまま戻り足を形成していきたい。まずは25日・26週移動平均線1030円ライン奪回を目指し、さらに前のフシ1200円ライン回復を目指したい。
11日終値983円で、PERは19.62倍、PBRは1.96倍。信用残は売り長で、これも続伸→買い戻しが入ってさらに続伸…という展開を期待。
業績は好調に右肩上がり、大口株主には信託口、生損保、都銀・信託銀など堅く、実質無借金と、財務も堅い。買い安心感も充分だ。
田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:26
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