
「ブラックマンデー」の引き金は、ドル安に歯止めをかけようとした米国に対して、逆撫でするようにドイツが金利引き上げに動いた金融政策の不整合にあったといわれている。今回も、米国は政策金利を据え置いたが、7月3日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会では金利引き上げ必至といわれており、「ブラックマンデー」再来を危ぶむ声も囁かれている。
もう一つの既視感は、日本株の動向にある。実は「ブラックマンデー」の株価暴落が、連鎖・増幅するのを押し止め防波堤になったのは日本株であった。暴落翌日の10月21日に日経平均は9%超の急反発を演じて「ジャパンマネー」の存在感をまざまざと世界に知らしめた。それが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の過信の始まりで、その後のバブル形成の温床となったのはいうまでもない。
今回も、日本株は海外市場に比べて下落率が小さく、サブプライムローン問題の傷も浅く物価上昇率も僅小で比較優位にあり、世界同時株安の「止め男」、「ラストリゾート」とする観測もある。「既視感」が、現実になるかならないか、7月相場はまたまた難しい展開となりそうだ。
最悪の「既視感」を避け、「安全第一」、「利食い千人力」を心掛けるのが正解となりそうだ。とりあえず7月決算会社の期末配当か、1月決算会社の7月中間期配当を狙うインカム・ゲインが、所有期間利回りからも有効となりそうだ。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。