
最近、株式投資のキーワードで環境関連のひとつとして『ドライミスト』が話題になっているらしい。ドライミストとは、(機種などにもよるが、一般的には)水道水を微細な粒子にして噴出させ、気化熱によって周囲(空間)を冷却するものだ。水は霧状なので、人や物に当たっても濡れることはなく、戸外でも屋内でも設置できる。
愛知万博でのデモ設置や、東京都が平成18年度に補助金を実施したことなどから、2〜3年前に一時、話題になったが、このたびは環境関連として再び注目されているようだ。
空調機器よりも電力などのエネルギー消費が少ないことや、噴霧による涼しげな視覚効果など、メリットは多い。東京都内では、六本木ヒルズ、新丸ビル、秋葉原などに設置されているという。そういえば、ヒルズの入り口あたりで、見たことある気がする。噴水みたいな設備、つまり、オブジェ的なものだと思っていたのだが。そうか…実はそんなにスゴイものだったのか…。
というわけで、「エコで夏を涼しく! ドライミスト関連銘柄」。(2008/7/15 株マニ)
■能美防災<6744>(東1)
防災システム最大手の能美防災はドライミストのシステム製造も行なう。堅い優良企業株 能美防災<6744>(東1)は防災システムの最大手メーカー。ドライミストのシステムも製造販売している。ヤフーで「ドライミスト」のキーワードで検索をかけると、トップに出てくるので、素直にここに入れる。
防災システムといっても、同社が扱っているのは、ビル向け、集合住宅向け、一般住宅向け、プラント向けなどさまざまあり、製品分野も、火災報知設備、消火設備、ガス漏れ刑法設備、防火・排煙設備、非常用放送設備、避難誘導設備、防犯警報設備など、多岐に渡る。同社サイトによると、「創業の原点」は、大正12(1923)年、創業者の能美輝一氏が、関東大震災の惨状を目の当たりにし、火災予防への研究を行なおうと決心したことにあるそうだ。…いい話だ…。
業績は堅調。今期2009年3月期連結業績予想は、前年比増収増益。『会社四季報』では、会社側予想値よりさらに上ブレした予想値を出しており、また、2010年3月期はさらに増収増益との予想値を出している。
筆頭株主は
セコム<9735>(東1)だが、ほかの大口株主には、自社代理店持株会、自社取引先持株会、自社従業員持株会、都銀、損保などが並んでおり、堅い。前期末で実質無借金、現金等171億円と、財務面も堅い、優良企業株だ。
チャートを見ると、この1ヵ月ほどは700円台から600円台前半へと続落トレンド。押し目の拾い時と見たい。14日終値636円でPERは12.39倍、PBRは0.80倍と割安。信用残は売買ほぼ拮抗。
■清水建設(1803)
ゼネコンの清水建設はドライミストシステム構築事業も行なう。続落&モミ合いから上放れへ ゼネコンの
清水建設<1803>(東1)は、ドライミストシステム構築事業も行なっている。というか、ドライミストシステム自体の開発を、前述の能美防災をはじめとしたメーカーや、名古屋大学などと共同で、経済産業省地域再生コンソーシアム研究開発事業として、行なったらしい。
チャートを見ると、6月17日につけた直近高値563円から反落→続落トレンドで来ている。下値フシ450円ラインで反発→まずは前の高値550円ライン奪回を目指したい。14日終値470円で、PERは15.40倍、PBRは1.08倍。
業績は…あんまり良くない。今期2009年3月期連結業績予想は、前年比増収減益。また、『会社四季報』では、次期2010年3月期は減収増益の予想値が出ている。信用残は0.74倍の売り長。反発&上昇局面に転じれば、買い戻しも入ってさらに上昇加速…との期待もできそうだ。
田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:17
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