
2007年相場は、日経平均で見れば2月と7月に2つの山があった。しかし、詳細に見れば「終値」は7月が高値だったが、プロ仕様の「ザラバ高値」では2月の1万8300円がピークだった。
TOPIXも2月が高値だったし、このほか大型株指数、中型株指数、小型株指数、ジャスダック指数、さらに東証1部の時価総額など多くの指標が「2月」高値だった。TOPIXは全銘柄が対象だが、日経平均は採用銘柄が225銘柄で、しかも輸出型の多いのが特徴だ。つまり、TOPIX2月高値、日経平均7月高値の差は「内需不振、輸出好調」を現したものだった。
2008年は内需が景気をリードできるかといえば難しい。少子高齢化で日本の社会が衰退に向かっているうえに、格差問題、平和につかり過ぎたことによる勤労意欲の低下など簡単には日本復権は難しい。しかも、勝ち組企業もリストラは一巡し、いっそうの業績を伸ばすには、日本のGDPが拡大するか海外景気がさらに伸長するかだが、海外景気にも暗雲が垂れ込めてきている。2008年はモミ合い相場の可能性が強いのではないか。
第一線の皆さんに相場展望を語ってもらった。
【相場展望】 ■ 海老原 紀雄氏(株式評論家)2008年は「ファンド」関連の訳あり銘柄に人気か
前半高、後半安で日経平均は
高値1万6000円、安値1万4000円 2008年はひと言で表現すれば、「個別相場」とみている。昔なら、仕手筋が中心となった相場だが、今は、「ファンド」だろう。内外、大小、数多くのファンドがあるが、いずれも成績が芳しくないので、彼らの台所事情で組み込んでいる銘柄が動く可能性がある。
多くの方が前半安、後半にもち直しとの見方が多いが、私は、「前半高、後半安」と見ている。後半高の根拠となっているアメリカの回復は、サブプライム問題はかつての日本のバブル崩壊と同じで解決には時間がかかる。
過剰流動性から足の速い資金が世界を駆け巡っているが、中国も住宅中心にバブルの様相を呈しているため警戒感が強まっている。原油、金がいつまでも高人気を持続するとも思えない。
私は「日経平均」に対し「TOPIX」の動きが弱いことを指摘してきた。日経平均は07年夏に高値をつけたが、TOPIXは07年3月にザラバ高値1823ポイントをつけ、それ以降、下落基調にあり全体相場は弱いと言い続けてきた。08年の日経平均は高値が前半で1万6000円程度、安値は後半に1万4000円程度とみている。テーマは「環境」くらいだが、環境を組み込んでいるファンドの成績はどこも思わしくなく、期待されているほどは動かないだろう。
基本は「業績が安定」、「配当利回りの良い」銘柄である。
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■ 水田 雅展(経済・株式評論家/アナリスト)心配なのは中国経済の行方、日経平均は安値前半に1万5000円、高値は後半に1万8000円 残念ながら2008年は好材料が思い浮かばない。むしろ、心配なのは中国経済の行方である。オリンピックの後にどの程度の反動が来るのか。その度合いによってはアメリカなど世界の景気に与える影響は厳しいものとなる。
強いて明るい材料といえば、サブプライム問題などの悪い材料が一応出尽くすこと、つまり相場で言うところの「悪材料で尽くし」となることだ。となれば、サブプライム問題で下げていた銀行株は狙える。
日経平均は安値は前半に1万5000円弱、高値は後半に1万8000円と見ている。
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■ 犬丸 正寛(経済・株式評論家)オリンピックの年は4〜6月高値のケース目立つ 日経平均は高値は前半に1万6750円、安値は後半に1万2200円程度。4年に一度のオリンピックの年は、過去3回のケースでは4〜6月に相場は高値をつけている。08年もその可能性はかなり高いのではないか。
オリンピックを開催しようとする国は、当然だが施設などの建設を集中的に活発化させる。この効果で鉄鋼需要が急増して2007年は鉄鋼、建設機械、商社、海運などが潤った。日本の公園からスベリ台が盗まれるほどの異常事態だった。こうした「異常」は相場のピークとなることが多く、バブル時代に田舎の原野の土地が急騰したのと同じだ。お祭りが終われば反動が出るのは、ごく普通の現象である。中国の場合、国土が広く、人口も多いから、オリンピック後にそのまま「下降へ一直線」はないにしても、宴の後の一服感は間違いなく出る。
その一服感とサブプライム問題の影響が重なって世界の景気、日本の景気を冷やす可能性は強い。特に、日本の場合、2002年2月から拡大に向かった景気は6年に達するが、その主役は当初は「大手企業のリストラ効果」だったが、後半は「輸出効果」である。その輸出に陰りが出れば景気頭打ちの可能性がある。
日経平均は4〜6月に高値1万6750円程度、安値は後半に1万2200円もあると思われる。注目銘柄はバイオエタノール関連で大成建設(1801)。業績急回復のルシアン(8027)に注目している。
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■ 浅妻 昭治(株式評論家)3月の彼岸を底に徐々に相場回復へ、物価高で個人消費は懸念材料 日経平均は安値は3月に1万4000円、高値は後半に1万7000円。
サブプライム問題はやはり相場の頭を押さえる材料で、この問題が解決するまでは動き難い。ひとつのメドとしては3月頃ではないだろうか。例年、彼岸あたりで底打ちのケースが多いので、今年も「彼岸底」となる可能性がある。
その後、徐々に反発に転じるが、無茶苦茶な強気にはなれない。物価が上昇している点が心配なところで、個人の懐に影響が大きいだけに、景気の大きな比率を占める個人消費に影響が出る可能性もあるためだ。
日経平均は安値1万4000円程度、高値1万7000円とみている。注目銘柄ではエレクトロニクス株をみている。業績上向きのソニー、大きくさげていた東京エレクトロン、アドバンテストなど。
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■ 長島 和弘(株式評論家)日経平均は2・3月高値、決算発表で5月末安値、業界再編で小売セクターに注目 日経平均は2〜3月に高値1万7000円程度をつけ、5月末に安値1万5000円をつけるとみている。5月末安値とみているのは決算発表で2009年3月期の見通しが保守的な慎重なものとなる可能性があるからだ。場合によると09年3月期は減益もありうるのではないか。
ただ、その後6〜7月は年金資金等の買いが入ってもち直すと思うが、北京オリンピックが終わると手がかり材料がなくなり沈滞相場となるのではないか。
注目は業界再編で「小売セクター」に注目している。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:55
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