
■CSR(企業の社会的責任)とは
CSR(corporate social responsibility=企業の社会的責任)というのは、企業が収益を上げて配当を行い、法令を順守するだけでなく、人権対策や男女平等に配慮した適正な雇用・労働条件の推進、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献など、企業が市民として果たすべき社会的責任のことである。
従来、企業は経済的な組織として売上高や利益などの経済的成果によって評価されてきたが、企業の規模や社会的影響力が大きくなるにつれて、企業の社会的責任が問われるようになった。そして近年では企業の社会的活動と企業価値創造の関係性が確認されるようになったこともあり、企業のCSR活動に着目した責任投資(サステナブル投資)が機関投資家を中心に拡大している。
>>>【CSR関連銘柄特集】社会的責任を果たしている優良企業を紹介
■企業のCSR活動を評価対象とするSRI投資・ESG投資が拡大
企業のCSR活動を評価対象として投資する手法はSRI投資(socially responsible investment=社会的責任投資)、または「環境・社会・企業統治」の3要素の頭文字「ESG」を取ったESG(Environment Social Governance=環境・社会・ガバナンス)投資と呼ばれている。
企業が社会的責任を積極的に果たしながら活動しているかということを考慮しながら、業績など財務面での評価と組み合わせて投資先を選別し、社会的な責任を果たしている優良な企業に投資を実行する投資手法である。
■SRI投資の起源は1920年代
SRI投資(社会的責任投資)の起源は1920年代の米国で、教会が資産運用にあたってキリスト教的倫理の観点から、アルコール、タバコ、ギャンブル、武器など社会的にみて望ましくない事業に関わる企業を、投資対象から除外したことに始まったとされている。その後、米国で企業に社会的責任を求める運動が高まり、1970年代にはベトナム戦争に関わる企業、1980年代には当時アパルトヘイト政策を採用していた南アフリカへの進出企業を、投資対象から除外するネガティブ・スクリーニングに繋がった。
さらに1990年代に入ると地球環境問題、人権問題、開発途上国問題などへの関心が高まり、2000年代に入ると社会問題への対応に優れた企業を選んで投資するポジティブ・スクリーニングが広がった。当初のSRI投資は投資信託を購入する個人投資家が中心だったが、1990年代後半からは機関投資家が運用にSRI投資を組み込み始めた。2000年には英国で年金基金が倫理などを投資に考慮するよう求める法改正があり、環境・社会・人権などに配慮した企業で構成する株価指数も開発された。
2000年代に入ると企業不祥事が相次いだことも契機として、企業統治の在り方や透明性に対する投資家の意識が高まった。そして2006年には国連責任投資原則(UNPRI)が制定され、投資の意思決定の過程に「環境・社会・企業統治」を意味する「ESG」の課題を取り入れることや、投資対象の企業にESG課題の適切な開示を求めるなどの6原則が掲げられた。それ以来、欧米の年金基金を中心にESG(環境・社会・ガバナンス)投資という概念が広まった。
>>>記事の全文を読む