
NYダウは、前週末に終値で最高値を更新した。4月の雇用者数が前月比28.8万人増加し失業率も6.3%と2008年水準へ大きく改善され、米国景気の強さが見直されてのNYダウ更新となっている。
ただ、NYダウの場中値ベースでは、まだ高値更新には至っていない。今年4月4日につけた場中最高値1万6631ドルまで残り11ドルとなっているだけに高値更新は間違いないと思われるが、ただ、気をつけておくべきは過去のケースでは高値を更新したところがピークとなって1〜2ヶ月の調整となっていることである。今回も最高値更新が好材料織込み済みとなる可能性はあるだろう。
一方、前週の日経平均はNYダウが終値で最高値を更新するほど強い動きだったにもかかわらず無反応だった。連休控えという事情があったためといえる。
そこで、当然、注目となるのは連休明けにNYダウ高を好感する展開となるかどうかである。とくに、今年4月3日以降、2兆円割れが続いている東証1部売買代金(=市場への流入資金)が、増加に転じることができるかどうかが最大のポイントとなるだろう。
売買代金が大きく増加し、NYダウ高を好感するためには、(1)外国人投資家の買い、(2)2015年3月期の大幅増益〜が条件となるだろう。
まず、外国人投資家については、日本株に対し本格的に買い出動する気配は感じられない。好調な米国景気・企業々績から他国のマーケットにエネルギーを費やすより自国マーケットで十分運用できるという事情もあるだろう。また、TPP交渉に対する米政府の意向を米国投資家が汲み取っているのかもしれない。
発表中の2014年3月期は好調だが、2015年3月期については、マダラ模様である。日経平均に採用の225銘柄ベースの予想1株利益は4月30日に1043円とアップし期待を持たせたものの、週末には1014円と再び元の1010円台に低下した。8日にトヨタ自動車の決算発表など主力どころの発表が控えているため、結論を急ぐことはできないが、これまでの発表で見る限り2015年3月期には多くは期待できないのではないか。
結果、日経平均は堅調が予想されるものの売買代金を伴った活況相場という展開は難しそうである。
ただ、個別的に見れば2015年3月期の業績好調銘柄については、資金が集中する展開が予想される。今週も引き続き、『森を見るより木を見る』展開だろう。