先に、憲法改正問題に関連しての「ヒットラー発言」で内外に物議を醸した麻生副総理兼財務大臣。だが、持前の舌の滑らかさは「舌禍騒動」後も変わらない。世上では『歴史を知らな過ぎる』とか『品位がない』などの批判が相変わらずだが、ここ霞ヶ関では、官僚は勿論、記者たちにも『分かりやすい』『的を衝いた発言』と評判は悪くない。盆休み前の定例記者会見でも、消費税の値上げについて、
「盆明けから有識者会議を開いて、いろいろな意見を聞いた上で総理が最終判断をする材料とされるということだが、今後ヒアリングを進める上で、大臣としてどういうふうに判断に生かしていこうと思っているのか」との記者の質問にこう発言した。
「いろいろな方々の意見というのがあります。この辺の霞が関とか永田町周辺にいると大体は情報が偏るんですよ。皆さんすごい情報を持っていると錯覚しているだけですから、マスコミは。地方を歩かない限りは情報はとらえられない。偏った情報では政治判断はできない。
ですから、国会議員が強いのは地元に帰って地元の話を聞くチャンスが多いんですよ。そこが国会議員と言いますか、選挙というものの面白いところ、良いところなんだと私はそう思っているんですけれども、なるべく自分で情報収集をするという努力をしないと、新聞とかテレビだけ見てそれが世論なんて思ったら大きな間違いですからね。
選挙の予想だってあまり当たりませんし、よく見るとみんな分かるんですよ。だからそういうのを実感するには、自分で歩いて探さなければ仕方がないんですよ。基本は自分で意見を聞いて歩くこと、そしてなるべく多くの方々の意見を参考にすることです。とはいえこれだけ時間が切羽詰まってくれば、呼ばれた方々も夏の暑い中で迷惑の極みとは思いますけれども、事は消費税という非常に大きな話なので、是非力を貸していただいて、こういった方々の意見を広く聞くという努力はしないといけません。
こちらが歩いて個別に聞くということは、物理的な点から言ってもなかなか難しいしということで、こういうことになっているのですけれども、そういった意見を踏まえた上で、それをまとめて、その上で総理が最終的に判断されます。そのお手伝いの一環として、甘利大臣と私の方でヒアリングするのを経済財政諮問会議でやるということです」。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
●[特集]の記事一覧
(ブログ内の記事検索は右サイドバーの検索窓から)
(08/15)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】財務省・麻生財務大臣、消費増税時期に関して「大切な情報は『中央』ではなく『地方』にある」と発言
(08/09)売買代金2兆円前後の中で個別物色の展開、円相場反転なら輸出株の戻りも=犬丸正寛相場展望
(08/07)日経平均は世界投機マネーの対象で1万4000円挟んで上下1000円幅の展開=海老原紀雄氏に聞く
(08/05)短期の売り買いの谷間に芽あり中期狙い=犬丸正寛の相場格言
(08/02)『金融相場と業績相場のミックス型』展開、日経平均1万5000円挑戦=犬丸正寛の相場展望
(08/01)【東証新指数特集】新指数導入で何が変わるのか?対象企業は上昇間違いなし?
(07/29)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】<財務省>麻生財務大臣、消費税の判断時期について『早期論』を展開
(07/26)夏相場特有の『膠着相場』に、日経平均は5日線と15日線を割り込み短期売買も回転効き難い=犬丸正寛の相場展望
(07/24)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】国交省:赤字空港解消の根本問題は「魅力的な空港」をつくること
(07/19)選挙後相場は急伸あっても単発、『異次元金融緩和』のような大材料が出るわけではない=犬丸正寛の相場展望
(07/12)日経平均は『株価・13週線・26週線』の順列に並び、中期上昇パターンに戻る、当面は猛暑、復興関連を物色=犬丸正寛の相場展望
(07/05)日経平均はトヨタに引っ張られ『3分の2戻し』に挑戦へ、本格相場は参議院選挙後に=犬丸正寛の相場展望
(07/01)【関心高まる知的資産】悩ましい中小企業の知財投資
(06/30)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】麻生副総理兼財務大臣「アベノミックスの効果はまだ地方にまで及んでいない」と発言
(06/28)『BRICs天井打ち』、『アメリカ高値波乱』、『日本押し目買い』を確認する相場へ=犬丸正寛の相場展望
(06/24)【特集】観光立国ニッポン関連銘柄
(06/21)ひと足早く調整入りの日本市場はNYダウ離れで底堅く推移、出来高は閑散気味に=犬丸正寛の相場展望
(06/16)アベノミクス期待材料は続く、一番のリスクは中国=妻と夫の株ロマン
(06/16)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】シンポジューム「サイバー戦争、最新のハッカー事情」に霞ヶ関関係者が注目
(06/14)日経平均はほぼ東日本大震災並みの下げ率で下値水準に=犬丸正寛の相場展望
(ブログ内の記事検索は右サイドバーの検索窓から)
(08/15)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】財務省・麻生財務大臣、消費増税時期に関して「大切な情報は『中央』ではなく『地方』にある」と発言
(08/09)売買代金2兆円前後の中で個別物色の展開、円相場反転なら輸出株の戻りも=犬丸正寛相場展望
(08/07)日経平均は世界投機マネーの対象で1万4000円挟んで上下1000円幅の展開=海老原紀雄氏に聞く
(08/05)短期の売り買いの谷間に芽あり中期狙い=犬丸正寛の相場格言
(08/02)『金融相場と業績相場のミックス型』展開、日経平均1万5000円挑戦=犬丸正寛の相場展望
(08/01)【東証新指数特集】新指数導入で何が変わるのか?対象企業は上昇間違いなし?
(07/29)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】<財務省>麻生財務大臣、消費税の判断時期について『早期論』を展開
(07/26)夏相場特有の『膠着相場』に、日経平均は5日線と15日線を割り込み短期売買も回転効き難い=犬丸正寛の相場展望
(07/24)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】国交省:赤字空港解消の根本問題は「魅力的な空港」をつくること
(07/19)選挙後相場は急伸あっても単発、『異次元金融緩和』のような大材料が出るわけではない=犬丸正寛の相場展望
(07/12)日経平均は『株価・13週線・26週線』の順列に並び、中期上昇パターンに戻る、当面は猛暑、復興関連を物色=犬丸正寛の相場展望
(07/05)日経平均はトヨタに引っ張られ『3分の2戻し』に挑戦へ、本格相場は参議院選挙後に=犬丸正寛の相場展望
(07/01)【関心高まる知的資産】悩ましい中小企業の知財投資
(06/30)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】麻生副総理兼財務大臣「アベノミックスの効果はまだ地方にまで及んでいない」と発言
(06/28)『BRICs天井打ち』、『アメリカ高値波乱』、『日本押し目買い』を確認する相場へ=犬丸正寛の相場展望
(06/24)【特集】観光立国ニッポン関連銘柄
(06/21)ひと足早く調整入りの日本市場はNYダウ離れで底堅く推移、出来高は閑散気味に=犬丸正寛の相場展望
(06/16)アベノミクス期待材料は続く、一番のリスクは中国=妻と夫の株ロマン
(06/16)【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】シンポジューム「サイバー戦争、最新のハッカー事情」に霞ヶ関関係者が注目
(06/14)日経平均はほぼ東日本大震災並みの下げ率で下値水準に=犬丸正寛の相場展望
2013年08月15日
【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】財務省・麻生財務大臣、消費増税時期に関して「大切な情報は『中央』ではなく『地方』にある」と発言
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:03
| 特集
2013年08月09日
売買代金2兆円前後の中で個別物色の展開、円相場反転なら輸出株の戻りも=犬丸正寛相場展望
来週(12〜16日)は、『盆休み』に入ることや企業の第1四半期決算発表が一巡し材料空白となることから売買代金は2兆円前後の低水準となり様子見の相場展開となりそうだ。その中で、大きく下げた銘柄には、『円相場』を睨みながら自律反発のタイミングを探る展開だろう。
3月期決算会社の第1四半期(4〜6月)決算がほぼ終わった。発表の前半ではトヨタ自動車など好調銘柄がみられたものの、後半ではニコンの大幅減額が表面化した。業績と株価の関係では、増額のトヨタ株価は大きく買われることはなく、減額のニコンは急落し年初来安値に沈んだ。こうした展開から言えるのは、「業績好調銘柄は株価に織り込み済み、業績の芳しくない銘柄は売る」ということだった。こうした動きも決算発表一巡で落ち着いてくるだろう。
そして、次の業績を手がかりに買う相場は10月後半から11月にかけての第2四半期決算の発表だろう。ここで、通期予想がどのていど増額となるかがポイントである。もちろん、3月期以外の銘柄はあるが、3月期企業が圧倒的に多いため全般相場への影響は大きいからである。
また、9月には『東京オリンピック』、『消費税』の決定も控えている。オリンピック東京開催決定なら、日本強靭化計画と相まって建設など内需型の関連銘柄が注目となるだろう。とくに、オリンピック開催決定なら景気押し上げ効果も見込めることから消費税引上げが決定されるものとみられる。そうなれば、財政悪化にブレーキがかかることから外国人投資家の買い再燃が期待される。
このように9月は相場の転機となることが予想されるが、足元は夏休み相場の展開だろう。日経平均の足元の位置は年初来高値1万5942円(5月)と安値1万0398円(1月)の「中間値」(1万3170円)に接近となっていることから、ほぼ調整の最終局面来ているものとみられる。
予想外の円高となったが、フシ目の1ドル・95円に接近したことで円高が反転する可能性もあるだろう。円安に向かうようなら輸出関連銘柄の反発も十分に予想される。
全体としては商いが少ない中での業績見通しがよく、これまで買われていなかったような銘柄が個別に物色される展開だろう。
3月期決算会社の第1四半期(4〜6月)決算がほぼ終わった。発表の前半ではトヨタ自動車など好調銘柄がみられたものの、後半ではニコンの大幅減額が表面化した。業績と株価の関係では、増額のトヨタ株価は大きく買われることはなく、減額のニコンは急落し年初来安値に沈んだ。こうした展開から言えるのは、「業績好調銘柄は株価に織り込み済み、業績の芳しくない銘柄は売る」ということだった。こうした動きも決算発表一巡で落ち着いてくるだろう。
そして、次の業績を手がかりに買う相場は10月後半から11月にかけての第2四半期決算の発表だろう。ここで、通期予想がどのていど増額となるかがポイントである。もちろん、3月期以外の銘柄はあるが、3月期企業が圧倒的に多いため全般相場への影響は大きいからである。
また、9月には『東京オリンピック』、『消費税』の決定も控えている。オリンピック東京開催決定なら、日本強靭化計画と相まって建設など内需型の関連銘柄が注目となるだろう。とくに、オリンピック開催決定なら景気押し上げ効果も見込めることから消費税引上げが決定されるものとみられる。そうなれば、財政悪化にブレーキがかかることから外国人投資家の買い再燃が期待される。
このように9月は相場の転機となることが予想されるが、足元は夏休み相場の展開だろう。日経平均の足元の位置は年初来高値1万5942円(5月)と安値1万0398円(1月)の「中間値」(1万3170円)に接近となっていることから、ほぼ調整の最終局面来ているものとみられる。
予想外の円高となったが、フシ目の1ドル・95円に接近したことで円高が反転する可能性もあるだろう。円安に向かうようなら輸出関連銘柄の反発も十分に予想される。
全体としては商いが少ない中での業績見通しがよく、これまで買われていなかったような銘柄が個別に物色される展開だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:51
| 特集
2013年08月07日
日経平均は世界投機マネーの対象で1万4000円挟んで上下1000円幅の展開=海老原紀雄氏に聞く
【株式評論家の海老原紀雄氏に『大幅下げの背景と行方』を聞く】
■7日の下げは200円分が行き過ぎ
――7日(水)の日経平均は576円安と大きく下げました。どう見ていますか。
【海老原氏】 為替相場の円高、3月期決算会社の第1四半期(4〜6月)決算発表による材料の一巡感などがあると思います。しかし、それ以上に日経平均が世界のマネーにとって上下に動かしやすい存在となっていることがあるのではないでしょうか。
――どういうことですか。
【海老原氏】 世界を見渡せば経済・景気では日本がもっとも安心できる存在です。企業収益も上向いています。このため、日経平均でみればPER15倍の1万3000円台は一応、下値岩盤ともいえるお墨付きの安心できる水準だと思います。ただ、アベノミクス効果を見極めるにはもう少し時間が必要という背景もあります。この前提において世界の投機マネーは1万4000円を中心に上下1000円幅で稼いでいるのだろうと思います。とくに、彼らは日経平均採用225銘柄のうち、どの銘柄を売ったり買ったりすれば影響が大きいかを熟知しています。たとえば、今日のTOPIX(東証株価指数)の下げ幅は30ポイント安でした。通常、日経平均はTOPIXの10倍ですから、本来、今日の日経平均の下げ幅は300円安(30ポイント×10倍)でよかったはずですが、実際は576円も下げました。予想される計算値より200円以上も大きく下げたことになります。日経平均採用銘柄の中でとくに影響度の大きい銘柄に売り圧力をかけた可能性があると思いますよ。驚いて狼狽売りすれば、今度は下値で買われることになるでしょうね。
――日本株は世界のマネーにとって、もっともおもしろい存在ということですか。
【海老原氏】 そうです。少し前までは「原油相場」が世界マネーの投機対象でしたが、あまり妙味がなくなってきたことから日本の株に目が向いたのではないでしょうか。当然、投機マネーは買い一辺倒ではありません。今回のように、上に行きに難くなったとみれば売り崩して下げさせて儲けるはずです。日経平均先物は「シカゴ」、「シンガポール」 「トウキョウ」と3ヶ所で売買されていますから投機マネーにとっては大変なご馳走だと思いますよ。
■9月は『内需株』の一大相場も
――今後、個人投資家はどう対処すればよいのでしょう。
【海老原氏】 繰り返しますが基調としてはアベノミクスを背景に強い相場だと思います。したがって、今後も相場がこれ以上下がらないないとみれば彼らはドテンして買って来るでしょう。しかし、上値が重くなれば売り崩してくると思われます。常に彼らは逆張りの発想ですから、日経平均の値動き、売買代金などを注意深く見ておくことが大切だと思います。
――今後の相場のポイントは。
【海老原氏】 9月7日がポイントになるとみています。東京にオリンピックが決まるかどうかの日です。決まれば建設株中心に急伸相場となるでしょう。東日本復興も加わって、『日本再興相場』が展開されるとみています。円安→輸出関連というシナリオがマーケットでは、お題目のように取り上げられていますが、東京オリンピックが決まれば、輸出株ではなく、『大・内需相場』が来ると思います。
■7日の下げは200円分が行き過ぎ
――7日(水)の日経平均は576円安と大きく下げました。どう見ていますか。
【海老原氏】 為替相場の円高、3月期決算会社の第1四半期(4〜6月)決算発表による材料の一巡感などがあると思います。しかし、それ以上に日経平均が世界のマネーにとって上下に動かしやすい存在となっていることがあるのではないでしょうか。
――どういうことですか。
【海老原氏】 世界を見渡せば経済・景気では日本がもっとも安心できる存在です。企業収益も上向いています。このため、日経平均でみればPER15倍の1万3000円台は一応、下値岩盤ともいえるお墨付きの安心できる水準だと思います。ただ、アベノミクス効果を見極めるにはもう少し時間が必要という背景もあります。この前提において世界の投機マネーは1万4000円を中心に上下1000円幅で稼いでいるのだろうと思います。とくに、彼らは日経平均採用225銘柄のうち、どの銘柄を売ったり買ったりすれば影響が大きいかを熟知しています。たとえば、今日のTOPIX(東証株価指数)の下げ幅は30ポイント安でした。通常、日経平均はTOPIXの10倍ですから、本来、今日の日経平均の下げ幅は300円安(30ポイント×10倍)でよかったはずですが、実際は576円も下げました。予想される計算値より200円以上も大きく下げたことになります。日経平均採用銘柄の中でとくに影響度の大きい銘柄に売り圧力をかけた可能性があると思いますよ。驚いて狼狽売りすれば、今度は下値で買われることになるでしょうね。
――日本株は世界のマネーにとって、もっともおもしろい存在ということですか。
【海老原氏】 そうです。少し前までは「原油相場」が世界マネーの投機対象でしたが、あまり妙味がなくなってきたことから日本の株に目が向いたのではないでしょうか。当然、投機マネーは買い一辺倒ではありません。今回のように、上に行きに難くなったとみれば売り崩して下げさせて儲けるはずです。日経平均先物は「シカゴ」、「シンガポール」 「トウキョウ」と3ヶ所で売買されていますから投機マネーにとっては大変なご馳走だと思いますよ。
■9月は『内需株』の一大相場も
――今後、個人投資家はどう対処すればよいのでしょう。
【海老原氏】 繰り返しますが基調としてはアベノミクスを背景に強い相場だと思います。したがって、今後も相場がこれ以上下がらないないとみれば彼らはドテンして買って来るでしょう。しかし、上値が重くなれば売り崩してくると思われます。常に彼らは逆張りの発想ですから、日経平均の値動き、売買代金などを注意深く見ておくことが大切だと思います。
――今後の相場のポイントは。
【海老原氏】 9月7日がポイントになるとみています。東京にオリンピックが決まるかどうかの日です。決まれば建設株中心に急伸相場となるでしょう。東日本復興も加わって、『日本再興相場』が展開されるとみています。円安→輸出関連というシナリオがマーケットでは、お題目のように取り上げられていますが、東京オリンピックが決まれば、輸出株ではなく、『大・内需相場』が来ると思います。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:24
| 特集
2013年08月05日
短期の売り買いの谷間に芽あり中期狙い=犬丸正寛の相場格言
■短期の売り買いの谷間に芽あり中期狙い
情報公開が公平となり、手数料も安くなった昨今の相場では、個人投資家の売買は圧倒的に「短期」が中心となっています。
かつてのように、大量推奨販売で個人投資家をその気にさせて高値で売り逃げるというやり方は完全に通用しなくなっています。短期売買は個人投資家が「主役」になれることができた結果ともいえるでしょう。>>相場格言の続き(全文)を読む
情報公開が公平となり、手数料も安くなった昨今の相場では、個人投資家の売買は圧倒的に「短期」が中心となっています。
かつてのように、大量推奨販売で個人投資家をその気にさせて高値で売り逃げるというやり方は完全に通用しなくなっています。短期売買は個人投資家が「主役」になれることができた結果ともいえるでしょう。>>相場格言の続き(全文)を読む
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:32
| 特集
2013年08月02日
『金融相場と業績相場のミックス型』展開、日経平均1万5000円挑戦=犬丸正寛の相場展望
今週(7月29日〜8月2日)の相場は、前半のモミ合いから後半にかけて急上昇の展開となった。即ち、1万3613円で始まった日経平均は、週末8月2日には1万4466円とほぼ高値引けとなって週初に比べ853円(率で6.2%)の上昇となった。週末対週初比較での上げ幅としては恐らく今年最高とみられる。
(1)NYダウの最高値更新
(2)第1四半期決算発表の好調
(3)資金のダブつきーーなどが重なってのものとみられる。
アメリカは、30〜31日の金融政策会議で当面の金融緩和策継続を決めた。これを受けて、1日のNYダウは1万5650ドルと5月22日の1万5542ドルを抜いてほぼ2ヶ月半ぶりに最高値を更新した。アメリカの企業業績にはキャタピラーなど一部に翳りがみられるものの、量的金融緩和がカバーして相場を支えているという受け取り方のようである。
一方、日本では7月末の資金供給量が173兆3100億円と過去最高を記録している。しかも、日本においては好調な第1四半期決算の発表となっていることが大きい。つまり、NYダウは企業業績の不安を金融緩和が支えている姿であるのに対し、日本は業績も金融緩和も両方が日経平均にプラス作用しているということだ。言い換えれば、日本は『金融相場と業績相場のミックス型』ということになるだろう。
こうした勢いを受け継いで、来週(5日〜9日)の日経平均は週前半にも1万5000円へ挑戦となろう。ただ、週後半にかけては主力銘柄の決算発表が一巡することから上げの勢いは徐々に弱まるものとみられる。第1四半期(4〜6月)は前年同期に比べて好調なものの、通期を大きく増額したり、あるいは通期見通しがマーケットの事前予想を上回るという状況にはなっていない。たとえば、トヨタ自動車(7203)は2014年3月期を増額し1株利益を467.0円としたものの、四季報予想の473.6円には届かなかった。
今週も出来高が30億株台に乗せることがなかったように5月ころの相場に比べると物足りない。1万5000円前後までの比較的売り物の少ない中を値を飛ばしている印象が強い。このため、上値が重くなれば一気に利益確定売りが出てくるものとみられる。
日経平均で1万5000円台乗せ、トヨタで5月高値6760円を抜いたあたりが上値のフシとなりそうだ。
(1)NYダウの最高値更新
(2)第1四半期決算発表の好調
(3)資金のダブつきーーなどが重なってのものとみられる。
アメリカは、30〜31日の金融政策会議で当面の金融緩和策継続を決めた。これを受けて、1日のNYダウは1万5650ドルと5月22日の1万5542ドルを抜いてほぼ2ヶ月半ぶりに最高値を更新した。アメリカの企業業績にはキャタピラーなど一部に翳りがみられるものの、量的金融緩和がカバーして相場を支えているという受け取り方のようである。
一方、日本では7月末の資金供給量が173兆3100億円と過去最高を記録している。しかも、日本においては好調な第1四半期決算の発表となっていることが大きい。つまり、NYダウは企業業績の不安を金融緩和が支えている姿であるのに対し、日本は業績も金融緩和も両方が日経平均にプラス作用しているということだ。言い換えれば、日本は『金融相場と業績相場のミックス型』ということになるだろう。
こうした勢いを受け継いで、来週(5日〜9日)の日経平均は週前半にも1万5000円へ挑戦となろう。ただ、週後半にかけては主力銘柄の決算発表が一巡することから上げの勢いは徐々に弱まるものとみられる。第1四半期(4〜6月)は前年同期に比べて好調なものの、通期を大きく増額したり、あるいは通期見通しがマーケットの事前予想を上回るという状況にはなっていない。たとえば、トヨタ自動車(7203)は2014年3月期を増額し1株利益を467.0円としたものの、四季報予想の473.6円には届かなかった。
今週も出来高が30億株台に乗せることがなかったように5月ころの相場に比べると物足りない。1万5000円前後までの比較的売り物の少ない中を値を飛ばしている印象が強い。このため、上値が重くなれば一気に利益確定売りが出てくるものとみられる。
日経平均で1万5000円台乗せ、トヨタで5月高値6760円を抜いたあたりが上値のフシとなりそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:59
| 特集
2013年08月01日
【東証新指数特集】新指数導入で何が変わるのか?対象企業は上昇間違いなし?
★年内登場予定の東証新指数は世界初の『ROE』が基準
■300〜500銘柄、高ROEは高株価につながる
株式マーケットに新しい株式指数が登場する。グローバル時代を背景に魅力ある指数をつくり世界マネーを東京市場に引きこみ、売買を活発化し、既に、導入している超高速コンピュータの稼働率を高めることが狙いだが、個人投資家にとっても日本の国力・経済力・景気などに対し、より実感できる指数として使えることから資産運用をより着実なものとすることに役立つといえる。日本取引所グループが中心となって開発中で年内にもお披露目される見通しだ。
■約12倍の開き!?日経平均とTOPIXの違い
現在、日本には、「日経平均」と「TOPIX(東証株価指数)という代表的な指数があり、まず、両指数の違いを取り上げたい。それによって、新指数登場の背景が浮かび上がってくる。両指数とも東証1部上場銘柄を対象としている共通項がある反面、違いとしては、
(1)6月末時点で日経平均1万3677円、TOPIX1133ポイントという「株価」の違い
(2)「単位」が円とポイントという違い
(3)1部全上場銘柄1713社(6月末)の中で日経平均は225社を計算の対象、TOPIXは1713社すべてを対象としている
(4)日経平均は株価だけを計算の対象としているのに対しTOPIXは株価に「上場株数」を加えている
──といった違いがある。つまり・・・・・>>記事の全文はこちらから
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:57
| 特集
2013年07月29日
【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】<財務省>麻生財務大臣、消費税の判断時期について『早期論』を展開
■<財務省>麻生財務大臣、「決まっているものだから、さっさと上げたらいい」と、消費税の判断時期について『早期論』を展開
消費税の判断時期について、最近、安倍首相の経済・金融指南役である浜田内閣参与から『慎重論』が出るなど、政府内部でも意見が分かれているような印象が見受けられる。その中にあって、麻生財務大臣はかねてから、『法律どおり』『予定通り』という主張を繰り返し、8月12日に出る第一次QEの数字を見た上で、そこそこ良い数字が出ていれば中期財政計画を持っていくサンクトペテルブルク・サミットまでに決めたいというふうに、これまでサウンドしてきた。一方、2次QEもサンクトペテルブルクのすぐ直後にあるだけに、それも見ておきたいとも周囲に漏らしてきた。いずれにしても「秋の早い時期」を匂わせている。先週の定例記者会見では、その点について次のように語った。
「そうですね、2次QEまで見ておいた方が良いとは思いますよ。それは思いますけれども、より確実にしておいた方が良いのであって、サンクトペテルブルクには日本の方向としてはこれということを出せば良いのであって、最終判断を消費税でする場合には2次QEまで、より確実な数字を握っておいた方が良いとは思いますね」
安倍首相は「判断の時期」を10月頃と、この間ずっと発言してきているが、そこまで伸ばすよりも、2次QEを踏まえて、9月のできるだけ早い時期にしたらいいとの意見が政府内部や民間からも出ている。麻生大臣は消費税増税積極派ないし早期論者とも言われているが、その点に関しては、いつもの『麻生節』で次のように自説を展開した。
「(消費税増税は)法律でそうなっているわけですから、上がるだろうという話しなのに、なんだかいろいろな人がいろいろなことを言ったりするから、何となく、何がどうなっているんだ、よく分からない状態になっているきらいがある。マスコミが操作しているわけじゃないでしょうが、何となく世の中というのは何が起きているんだかよく分からないということになっているのではないの。やるんでしょうと言われれば、法律的にやりますということが書いてあるわけですから、その方向でいろいろなものを検討した上で決断をさせていただきますと答えているのですけれども。その時期が今年秋ということを申し上げているので、秋の定義が9月から11月だとか、いろいろな方がいろいろなことを仰いますけれども、決まっているんだったらさっさと、きちんと決めた方が早いなと。こういうものは何となく、えっ上げないのという話になったりなんかしてから、いえいえやっぱり上げますなんていうのは具合が悪いだろうなと、私はそう思います」。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
消費税の判断時期について、最近、安倍首相の経済・金融指南役である浜田内閣参与から『慎重論』が出るなど、政府内部でも意見が分かれているような印象が見受けられる。その中にあって、麻生財務大臣はかねてから、『法律どおり』『予定通り』という主張を繰り返し、8月12日に出る第一次QEの数字を見た上で、そこそこ良い数字が出ていれば中期財政計画を持っていくサンクトペテルブルク・サミットまでに決めたいというふうに、これまでサウンドしてきた。一方、2次QEもサンクトペテルブルクのすぐ直後にあるだけに、それも見ておきたいとも周囲に漏らしてきた。いずれにしても「秋の早い時期」を匂わせている。先週の定例記者会見では、その点について次のように語った。
「そうですね、2次QEまで見ておいた方が良いとは思いますよ。それは思いますけれども、より確実にしておいた方が良いのであって、サンクトペテルブルクには日本の方向としてはこれということを出せば良いのであって、最終判断を消費税でする場合には2次QEまで、より確実な数字を握っておいた方が良いとは思いますね」
安倍首相は「判断の時期」を10月頃と、この間ずっと発言してきているが、そこまで伸ばすよりも、2次QEを踏まえて、9月のできるだけ早い時期にしたらいいとの意見が政府内部や民間からも出ている。麻生大臣は消費税増税積極派ないし早期論者とも言われているが、その点に関しては、いつもの『麻生節』で次のように自説を展開した。
「(消費税増税は)法律でそうなっているわけですから、上がるだろうという話しなのに、なんだかいろいろな人がいろいろなことを言ったりするから、何となく、何がどうなっているんだ、よく分からない状態になっているきらいがある。マスコミが操作しているわけじゃないでしょうが、何となく世の中というのは何が起きているんだかよく分からないということになっているのではないの。やるんでしょうと言われれば、法律的にやりますということが書いてあるわけですから、その方向でいろいろなものを検討した上で決断をさせていただきますと答えているのですけれども。その時期が今年秋ということを申し上げているので、秋の定義が9月から11月だとか、いろいろな方がいろいろなことを仰いますけれども、決まっているんだったらさっさと、きちんと決めた方が早いなと。こういうものは何となく、えっ上げないのという話になったりなんかしてから、いえいえやっぱり上げますなんていうのは具合が悪いだろうなと、私はそう思います」。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:59
| 特集
2013年07月26日
夏相場特有の『膠着相場』に、日経平均は5日線と15日線を割り込み短期売買も回転効き難い=犬丸正寛の相場展望
日経平均の移動平均線(日足)に、代表的なものとして『5日線』、『15日線』、『30日線』がある。5日線では超短期、15日線では1〜2週間、30日線では1ヶ月ていどの売買に用いて、『買って儲かるかどうか』の勢いを見るのに用いられている。
6月27日以降、日々の日経平均は『5日線』、『15日線』とも上回って推移していた。仮に、日経平均指数に投資した場合、買いの回転が効いていたわけである。
しかし、26日(金)には5日線及び15日線を割り込んだ。短期売買においてさえ儲け難くなっていることを表している。幸い、中期投資の基準となる『30日線』(1万3900円ていど)に対しては余裕があり、じっくり投資型の人には慌てる必要はない。
こうした回転の効き難くなった背景には、(1)選挙後に期待された外国人投資家の買いが入っていない、(2)決算発表が接近している中でキャノンの減額修正が響いた、(3)TPPなどで与党内がまとまり政権安定を不動にすることができるかを見極めたい──といったことがある。しかも、夏休み本番ということもある。
とくに、マーケット心理を悪くしたのはキャノンの減額修正である。「円安効果」から、むしろ増額期待さえあったのが、一転して今12月期を減額修正した。欧州及び中国経済の悪化の影響が予想以上に厳しいということのようで、今後、輸出型銘柄においてアメリカ向け比率の大きいところは心配ないとしても欧州、中国向け比率の高いところは注意が必要という見方が強くなっている。
まもなく、2014年3月期の第1四半期(4〜6月)決算が発表となるが、ここでの通期予想の増額を期待することは難しそうである。アベノミクス効果で企業業績の上積みを期待できるのは早くて第2四半期だろう。
一方、外国人投資家は日本株を買い越しているものの、昨年暮れや今年春のような大規模のものではない。その背景には、米国政府は新しい駐日大使に元ケネディ大統領の長女を予定するなど親密さは増しているものの、一方では選挙に勝利した安倍政権がTPP問題、消費税問題、原発問題、集団自衛権問題、憲法問題、沖縄問題などで与党内をまとめることができるかを見極めたいとの雰囲気も強いようである。もしも、与党内の足並みが乱れるようなら、また総理が次々と交代するのではないかという心配を持たれている。外国人投資家の買いが本格化するのは政権の安定度を見極めてからということのようである。
また、来週末にはアメリカの雇用統計の発表が控えている。国内ではデトロイト市の財政破綻、外では中国など新興国の金融不安の心配などもあり金融の量的緩和縮小の行方は難しいところにある。仮に、縮小ならNYダウの位置が高いところにあるだけに下押す可能性も考えておく必要はあるだろう。
売買代金、出来高とも盛り上がり欠ける水準での推移となっておりマーケットは力不足といえる状態。ただ、空売りを仕掛けるほどマーケットの基調が弱いということでもなく、よほどのことがない限り、日経平均は『30日線』を割り込むような大きな下げにはならないとみられる。上にも行き難く、結局、夏相場特有の膠着相場となって材料株の個別物色の展開だろう。
6月27日以降、日々の日経平均は『5日線』、『15日線』とも上回って推移していた。仮に、日経平均指数に投資した場合、買いの回転が効いていたわけである。
しかし、26日(金)には5日線及び15日線を割り込んだ。短期売買においてさえ儲け難くなっていることを表している。幸い、中期投資の基準となる『30日線』(1万3900円ていど)に対しては余裕があり、じっくり投資型の人には慌てる必要はない。
こうした回転の効き難くなった背景には、(1)選挙後に期待された外国人投資家の買いが入っていない、(2)決算発表が接近している中でキャノンの減額修正が響いた、(3)TPPなどで与党内がまとまり政権安定を不動にすることができるかを見極めたい──といったことがある。しかも、夏休み本番ということもある。
とくに、マーケット心理を悪くしたのはキャノンの減額修正である。「円安効果」から、むしろ増額期待さえあったのが、一転して今12月期を減額修正した。欧州及び中国経済の悪化の影響が予想以上に厳しいということのようで、今後、輸出型銘柄においてアメリカ向け比率の大きいところは心配ないとしても欧州、中国向け比率の高いところは注意が必要という見方が強くなっている。
まもなく、2014年3月期の第1四半期(4〜6月)決算が発表となるが、ここでの通期予想の増額を期待することは難しそうである。アベノミクス効果で企業業績の上積みを期待できるのは早くて第2四半期だろう。
一方、外国人投資家は日本株を買い越しているものの、昨年暮れや今年春のような大規模のものではない。その背景には、米国政府は新しい駐日大使に元ケネディ大統領の長女を予定するなど親密さは増しているものの、一方では選挙に勝利した安倍政権がTPP問題、消費税問題、原発問題、集団自衛権問題、憲法問題、沖縄問題などで与党内をまとめることができるかを見極めたいとの雰囲気も強いようである。もしも、与党内の足並みが乱れるようなら、また総理が次々と交代するのではないかという心配を持たれている。外国人投資家の買いが本格化するのは政権の安定度を見極めてからということのようである。
また、来週末にはアメリカの雇用統計の発表が控えている。国内ではデトロイト市の財政破綻、外では中国など新興国の金融不安の心配などもあり金融の量的緩和縮小の行方は難しいところにある。仮に、縮小ならNYダウの位置が高いところにあるだけに下押す可能性も考えておく必要はあるだろう。
売買代金、出来高とも盛り上がり欠ける水準での推移となっておりマーケットは力不足といえる状態。ただ、空売りを仕掛けるほどマーケットの基調が弱いということでもなく、よほどのことがない限り、日経平均は『30日線』を割り込むような大きな下げにはならないとみられる。上にも行き難く、結局、夏相場特有の膠着相場となって材料株の個別物色の展開だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:38
| 特集
2013年07月24日
【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】国交省:赤字空港解消の根本問題は「魅力的な空港」をつくること
国交省が進めている「赤字空港解消」=「民営化」の一つに「空港経営権の売却」があるが、これは「滑走路の増設計画」なるものがセットとなって進められている。そして、その手始めとして、現在、「福岡空港」が浮上している。福岡空港は北海道の新千歳と並び、航空会社にとって羽田とのドル箱路線があるため、滑走路の増設はかねてより求められていたところでもある。
だが、空港事情に詳しい関係者によると「福岡空港は赤字空港の一つ。そこで、滑走路を増やし、飛行機をたくさん飛ばして黒字にしようとしているわけだ。ただし、福岡空港は他の赤字空港とは経営環境が異なる。空港敷地内に地権者がいて地代を払っているため、赤字になっているだけ。利用者がいなくて赤字になっている他の地方空港とは違い、魅力がある空港だからこそ、民間企業も出資する。
つまり、他の多くの赤字空港は、今のところ民間企業が出資するうまみがない」と言うのだ。国交省の中にも、「どう魅力的な空港にすればいいか、というのが赤字空港の根本問題であり、単に形だけ"民営化"すればいいという話ではない」という声も起きている。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
だが、空港事情に詳しい関係者によると「福岡空港は赤字空港の一つ。そこで、滑走路を増やし、飛行機をたくさん飛ばして黒字にしようとしているわけだ。ただし、福岡空港は他の赤字空港とは経営環境が異なる。空港敷地内に地権者がいて地代を払っているため、赤字になっているだけ。利用者がいなくて赤字になっている他の地方空港とは違い、魅力がある空港だからこそ、民間企業も出資する。
つまり、他の多くの赤字空港は、今のところ民間企業が出資するうまみがない」と言うのだ。国交省の中にも、「どう魅力的な空港にすればいいか、というのが赤字空港の根本問題であり、単に形だけ"民営化"すればいいという話ではない」という声も起きている。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:11
| 特集
2013年07月19日
選挙後相場は急伸あっても単発、『異次元金融緩和』のような大材料が出るわけではない=犬丸正寛の相場展望
21日(日)の参議院選挙を控えて、『短期マネー』が換金売りを急いだことで週末(19日)の日経平均は反落した。7月1日〜18日まで、日経平均の『日々の高値と安値の幅』は平均208円だったが、19日には一気に540円に拡大した。主力の外国人投資家の買いが入っていないことから短期資金が売りに回ればストンと下げてしまう。主力不在の象徴的な展開といえる。
短期マネーが売り急いだのは、参議院選挙で保守勝利は確実と言われているものの、選挙は水ものと言われることから、もしも大勝とならなかった時を考えて換金を急いだということだろう。また、保守が圧勝したとしても相場的には織込み済みの可能性もある。とくに、自民党が勝ったからといって、早速、次の日に4月の異次元金融緩和のような大材料が出るわけではない。
そして、もう一つ、短期マネーが売り急ぐ理由としては、『中国リスク』が指摘されている。「IMFからシャドーバンキングの改革を求められるなど中国は難しい局面にある。これからも、連休前になると中国リスクから、買い手控えや換金売りは出る展開が予想される」(中堅証券)。
シャドーバンキング(影の銀行)の融資残は公式発表されているだけで140兆円規模。実際には数百兆円、一説には1000兆円近くともいわれ不良債権化すれば日本のバブル崩壊時の金融不安とは比べものにならないほど影響は大きいと予想される。しかも、中国経済は物づくりのしっかりとした基盤ができていないため、金融が崩壊したらその後の再興には、日本の20年以上となる心配がある。
このため、この点をアメリカはそうとう警戒しているもようである。米FRB議長が量的金融緩和縮小を5月に口にしてから今日まで実施を見送っているのは、中国経済に対する配慮があるものとみられる。もっとも、量的金融緩和縮小の延期でNYダウが強いことはプラスではあるが。
さて、選挙後の日本のマーケットはどう動くか。短期マネーは引き続き活発な動きを見せるものとみられる。しかし、相場本格上昇のポイントは主役の外国人投資家である。とくに、日経平均が1万5000円に接近となっているこの水準からは売物が出てくる。短期マネーだけでは吸収は無理だろう。見所としては、5月23日の5兆8000億円から減少し、現在、2兆円程度となっている『売買代金』が、どのていど増えてくるかである。少なくと3兆5000〜4兆円まで増えることが相場上昇の条件とみられる。
仮に、外国人投資家が日本株買いに動くとすれば、選挙に勝利し『政権安定』ということに対する評価だろう。世界を見渡して、『景気回復』、『政権安定』、『世情安定』という3つがそろっているのはアメリカと日本くらい、ということに対する評価が高まることだろう。
しかし、それも選挙直後だけで長続きはしない可能性がある。理由の一つは、具体的な目に見える新しい政策が出るわけではないこと。もうひとつは外国人投資家の夏休みということがある。
こうした観点からは、夏相場は強いものの、高値圏でのモミ合いが予想され、本格的な相場は秋からということになりそうだ。引き続き短期マネー中心の目まぐるしい展開の相場が予想される。
短期マネーが売り急いだのは、参議院選挙で保守勝利は確実と言われているものの、選挙は水ものと言われることから、もしも大勝とならなかった時を考えて換金を急いだということだろう。また、保守が圧勝したとしても相場的には織込み済みの可能性もある。とくに、自民党が勝ったからといって、早速、次の日に4月の異次元金融緩和のような大材料が出るわけではない。
そして、もう一つ、短期マネーが売り急ぐ理由としては、『中国リスク』が指摘されている。「IMFからシャドーバンキングの改革を求められるなど中国は難しい局面にある。これからも、連休前になると中国リスクから、買い手控えや換金売りは出る展開が予想される」(中堅証券)。
シャドーバンキング(影の銀行)の融資残は公式発表されているだけで140兆円規模。実際には数百兆円、一説には1000兆円近くともいわれ不良債権化すれば日本のバブル崩壊時の金融不安とは比べものにならないほど影響は大きいと予想される。しかも、中国経済は物づくりのしっかりとした基盤ができていないため、金融が崩壊したらその後の再興には、日本の20年以上となる心配がある。
このため、この点をアメリカはそうとう警戒しているもようである。米FRB議長が量的金融緩和縮小を5月に口にしてから今日まで実施を見送っているのは、中国経済に対する配慮があるものとみられる。もっとも、量的金融緩和縮小の延期でNYダウが強いことはプラスではあるが。
さて、選挙後の日本のマーケットはどう動くか。短期マネーは引き続き活発な動きを見せるものとみられる。しかし、相場本格上昇のポイントは主役の外国人投資家である。とくに、日経平均が1万5000円に接近となっているこの水準からは売物が出てくる。短期マネーだけでは吸収は無理だろう。見所としては、5月23日の5兆8000億円から減少し、現在、2兆円程度となっている『売買代金』が、どのていど増えてくるかである。少なくと3兆5000〜4兆円まで増えることが相場上昇の条件とみられる。
仮に、外国人投資家が日本株買いに動くとすれば、選挙に勝利し『政権安定』ということに対する評価だろう。世界を見渡して、『景気回復』、『政権安定』、『世情安定』という3つがそろっているのはアメリカと日本くらい、ということに対する評価が高まることだろう。
しかし、それも選挙直後だけで長続きはしない可能性がある。理由の一つは、具体的な目に見える新しい政策が出るわけではないこと。もうひとつは外国人投資家の夏休みということがある。
こうした観点からは、夏相場は強いものの、高値圏でのモミ合いが予想され、本格的な相場は秋からということになりそうだ。引き続き短期マネー中心の目まぐるしい展開の相場が予想される。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:28
| 特集
2013年07月12日
日経平均は『株価・13週線・26週線』の順列に並び、中期上昇パターンに戻る、当面は猛暑、復興関連を物色=犬丸正寛の相場展望
日経平均は急伸の後、去る12日から1万4000円台のモミ合いが続いている。『上値が重い』と見ることができる半面、『戻り待ちの売り物を消化し堅調』展開ともいえる。
マーケットでは、「5月に向けて大商いをした割には意外に売り物は少ない」とのディーラー担当者の見方もある。堅調な展開とみるのが正解かもしれない。基本的に投資家の間に先高期待が強いことがあるということのようだ。
その代表的な意見が、『政権交代でメインプレーヤーの企業』にとって活動しやすいことがある。とくに、物価上昇率2%が明確に打ち出されており、企業にとっては収益を上げやすい環境である。とくに、アメリカのように超金融緩和政策のあとには実体経済の好転が待っている』という期待がある。
実際、日銀は景気についてこのほど2年半ぶりに『回復』と宣言した。2年半前の2011年1月の回復宣言のときはその後1ヶ月でTOPIXは6%高と好調だったが、3月の東日本大震災に見舞われてヘタってしまった。今回は、当時のような大震災がなければ、景気回復宣言を受けて相場は着実に上昇するものとみられる。
一方、アメリカはひと足早く金融相場から業績相場へ移っているが、とくに、アメリカは足元では量的金融緩和の持続が報道されている。これは下降懸念の強まっている新興国への配慮だろう。とくに、米中間で首脳会談に続いて政府高級者の戦略経済対話が行われ、経済減速、株価下落の目立つ中国に配慮したものとみられる。基本的には、アメリカは量的金融緩和縮小の方向にあるとみておいた方はよいだろう。
NYダウは5月につけた最高値1万5542ドルに接近している。現実の景気の良いことを手がかりにしているわけだが、高値を更新して一段高に進むのか、あるいはダブル天井となるのか、量的金融緩和政策の行方と重ね合わせ注目しておく場面である。
日経平均の週足チャートは、前週(1〜5日)に週末株価が13週線を抜いたことで、チャートの形としては「株価」→「13週線」→「26週線」が順番に並ぶ『上昇相場の形』に戻った。こうしたパターンになった時は、よほどの突発的な悪材料が出ない限り数ヶ月単位での上昇相場が見込まれる。
ただ、足元は主役の外国人投資家の夏休みということもあって、マーケットへ流入している資金が細っているため当面は商いを伴った急伸相場ではなく、限られた資金の中での個別物色の展開とみられる。21日に参議院選挙の投票を控えているため、とくに来週は堅調な中で模様ながめ気分が強まりそうだ。
猛暑関連、復興関連といったところが物色のコアとなりそうだ。
マーケットでは、「5月に向けて大商いをした割には意外に売り物は少ない」とのディーラー担当者の見方もある。堅調な展開とみるのが正解かもしれない。基本的に投資家の間に先高期待が強いことがあるということのようだ。
その代表的な意見が、『政権交代でメインプレーヤーの企業』にとって活動しやすいことがある。とくに、物価上昇率2%が明確に打ち出されており、企業にとっては収益を上げやすい環境である。とくに、アメリカのように超金融緩和政策のあとには実体経済の好転が待っている』という期待がある。
実際、日銀は景気についてこのほど2年半ぶりに『回復』と宣言した。2年半前の2011年1月の回復宣言のときはその後1ヶ月でTOPIXは6%高と好調だったが、3月の東日本大震災に見舞われてヘタってしまった。今回は、当時のような大震災がなければ、景気回復宣言を受けて相場は着実に上昇するものとみられる。
一方、アメリカはひと足早く金融相場から業績相場へ移っているが、とくに、アメリカは足元では量的金融緩和の持続が報道されている。これは下降懸念の強まっている新興国への配慮だろう。とくに、米中間で首脳会談に続いて政府高級者の戦略経済対話が行われ、経済減速、株価下落の目立つ中国に配慮したものとみられる。基本的には、アメリカは量的金融緩和縮小の方向にあるとみておいた方はよいだろう。
NYダウは5月につけた最高値1万5542ドルに接近している。現実の景気の良いことを手がかりにしているわけだが、高値を更新して一段高に進むのか、あるいはダブル天井となるのか、量的金融緩和政策の行方と重ね合わせ注目しておく場面である。
日経平均の週足チャートは、前週(1〜5日)に週末株価が13週線を抜いたことで、チャートの形としては「株価」→「13週線」→「26週線」が順番に並ぶ『上昇相場の形』に戻った。こうしたパターンになった時は、よほどの突発的な悪材料が出ない限り数ヶ月単位での上昇相場が見込まれる。
ただ、足元は主役の外国人投資家の夏休みということもあって、マーケットへ流入している資金が細っているため当面は商いを伴った急伸相場ではなく、限られた資金の中での個別物色の展開とみられる。21日に参議院選挙の投票を控えているため、とくに来週は堅調な中で模様ながめ気分が強まりそうだ。
猛暑関連、復興関連といったところが物色のコアとなりそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:38
| 特集
2013年07月05日
日経平均はトヨタに引っ張られ『3分の2戻し』に挑戦へ、本格相場は参議院選挙後に=犬丸正寛の相場展望
日経平均は、『5月高値』から『6月安値』までの下げ幅に対する『半値戻し』を達成し、来週(8〜12日)は、『3分の2戻し』の1万4766円を目指すものとみられる。ただ、今夕発表されるアメリカの6月雇用統計次第ではNYダウに左右されることも予想される。
日経平均は、去る、2日に1万4000円を1ヶ月ぶりに回復し、その後も1万4000円前後で堅調だったことから、下値はなさそうだとの見通しで買い気が高まり一気に『半値戻し』(1万4178円)を達成した。出来高は20億株台と多くはないものの、「意外に戻り待ちの売り物は少ない。短期筋の売りは一巡しているようだ」(中堅証券)。
半値戻しを達成したことで次はフシ目の『3分の2戻し』(1万4776円)が目処となってくる。とくに、指標銘柄のトヨタ自動車(7203)が、5月高値から6月安値までの下げに対する『3分の戻し』(6293円)を達成していることからも日経平均の3分の2戻しは期待できそうだ。
日経平均の3分の2戻し水準は、同時に週足の13週線(1万4724円程度)が位置しているところでもある。当然、信用取引買残や現物買いの売りが出やすくなる水準でもある。
とくに、5月第2週〜5月第4週の出来高合計が約920億株にも膨らみ、この時の日経平均が1万3951円〜1万5942円だから売り物が出てくるのも当然だろう。それらの売り物は短期売買中心の買いで消化することは難しいだろう。頼みは外国人投資家ということになるものの、外国人投資家は昨年12月と今年4月に買い越しの大きいヤマを作ったあとは総じておとなしい展開である。作年12月は政権交代直後であり、今年4月は異次元の金融緩和政策があったときで、どちらも、政治・政策絡みの材料が明確となったときである。まさに、外国人投資家は『政治・政策を最重要視する』といわれる通りの動きだったといえる。
このことを当てはめると、外国人投資家が昨年12月、今年4月に続く『日本株買い第3弾』に出てくるのは、7月21日の参議院選挙で自民・公明が圧勝することがきっかけとなるのではないだろうかだろうか。保守圧勝なら政権安定を評価して第1弾、第2弾を上回る規模の買いも期待できるだろう。
なぜなら、世界を見渡すと、『欧州経済停滞』、『中国など新興国の減速』、『中東の混乱』など明るい国はなく、好いのはアメリカと日本だけであり、しかも、アメリカは景気が成熟期に入っているのに対し日本は長期停滞から本格的回復に向かおうとしている「おいしい局面」だから、これを外国人投資家が見逃すはずはない。要は日本国民が安倍政権に長期安定のお墨付きを与えるかどうかである。
来週は日経平均が半値戻しの勢いを引き継いで13週線を抜く場面もありそうだ。しかし、上値に対する持続力には限界がありそうで参議院選を意識して徐々に上値は重くなりそうだ。
日経平均は、去る、2日に1万4000円を1ヶ月ぶりに回復し、その後も1万4000円前後で堅調だったことから、下値はなさそうだとの見通しで買い気が高まり一気に『半値戻し』(1万4178円)を達成した。出来高は20億株台と多くはないものの、「意外に戻り待ちの売り物は少ない。短期筋の売りは一巡しているようだ」(中堅証券)。
半値戻しを達成したことで次はフシ目の『3分の2戻し』(1万4776円)が目処となってくる。とくに、指標銘柄のトヨタ自動車(7203)が、5月高値から6月安値までの下げに対する『3分の戻し』(6293円)を達成していることからも日経平均の3分の2戻しは期待できそうだ。
日経平均の3分の2戻し水準は、同時に週足の13週線(1万4724円程度)が位置しているところでもある。当然、信用取引買残や現物買いの売りが出やすくなる水準でもある。
とくに、5月第2週〜5月第4週の出来高合計が約920億株にも膨らみ、この時の日経平均が1万3951円〜1万5942円だから売り物が出てくるのも当然だろう。それらの売り物は短期売買中心の買いで消化することは難しいだろう。頼みは外国人投資家ということになるものの、外国人投資家は昨年12月と今年4月に買い越しの大きいヤマを作ったあとは総じておとなしい展開である。作年12月は政権交代直後であり、今年4月は異次元の金融緩和政策があったときで、どちらも、政治・政策絡みの材料が明確となったときである。まさに、外国人投資家は『政治・政策を最重要視する』といわれる通りの動きだったといえる。
このことを当てはめると、外国人投資家が昨年12月、今年4月に続く『日本株買い第3弾』に出てくるのは、7月21日の参議院選挙で自民・公明が圧勝することがきっかけとなるのではないだろうかだろうか。保守圧勝なら政権安定を評価して第1弾、第2弾を上回る規模の買いも期待できるだろう。
なぜなら、世界を見渡すと、『欧州経済停滞』、『中国など新興国の減速』、『中東の混乱』など明るい国はなく、好いのはアメリカと日本だけであり、しかも、アメリカは景気が成熟期に入っているのに対し日本は長期停滞から本格的回復に向かおうとしている「おいしい局面」だから、これを外国人投資家が見逃すはずはない。要は日本国民が安倍政権に長期安定のお墨付きを与えるかどうかである。
来週は日経平均が半値戻しの勢いを引き継いで13週線を抜く場面もありそうだ。しかし、上値に対する持続力には限界がありそうで参議院選を意識して徐々に上値は重くなりそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:20
| 特集
2013年07月01日
【関心高まる知的資産】悩ましい中小企業の知財投資
我が国の中小企業は約400万社あると言われていますが、知財制度を活用しているのは依然として大企業が中心です。現実味のない話かもしれませんが、仮に400万社のうち1/4が年1回特許出願したとすると、年間100万件となります。日本の2012年の出願件数は34万件ですので、約3倍ということになります。ちなみに世界の動向をみますと、同年における中国の特許出願件数は53万件となり、50万件の米国を抜き世界一となりました。
知財制度は、世界的な協調政策のなかで運用されていますので、企業の規模を問わず、商売をする以上は知財に関わらないことがリスクとなります。
しかしながら、積極的に関わっても上手に活用しなければ、これもリスクとなってしまいます。
特許の話は複雑になるので、商標出願を例にとってご説明しますが、例えば、Aという中小企業が新製品を開発することにしたとします。資金力に乏しいA社は、早く新商品を発売して収益をあげるべく、社員一丸となって開発を進め、何とか3ヶ月後に発売できる目処をつけました。商品名は社内で公募し、決まったのは発売の1ヶ月前。勿論、見識あるA社の経営者は、弁理士に依頼して商標を出願。事前調査では、登録できる可能性は高いと言われ、結果を待たずして商品を発売。このような見切り発車は非常にリスキーですが、結果を予測するのも経営に資する知財戦略の一つと思った判断でした。
その後、経営者の予測どおり商標は登録に。これで安心と商品を増産。市場では独自の商品性が高く評価され順調に売れ始めました。
さて、ここまでは、さすがA社の経営者ということになりますが、その後第三者から特許庁に対し「商標登録異議申立」がなされ、結果としてその商標は取り消されてしまいました。そればかりか、当該商品名が第三者の商標を侵害している可能性が指摘され、商品名の使用は諦めることになりました。
商標制度には、このような異議申立により一旦登録となった商標が取り消されたり、無効審判請求(これは特許制度にもあります)により取り消されることがあり、決して安心とは言えないのです。
中小企業にとっては、知財政策の成否が死活問題となります。ですから、少なくとも知財コストを軽減する制度の創設が望まれます。
現政権は、参院選に向けての公約で投資減税を掲げていますが、是非とも中小企業の知財投資減税制度も組み入れて欲しいものです。(コスモテック特許情報システム株式会社 取締役 小笠原 秀征)
知財制度は、世界的な協調政策のなかで運用されていますので、企業の規模を問わず、商売をする以上は知財に関わらないことがリスクとなります。
しかしながら、積極的に関わっても上手に活用しなければ、これもリスクとなってしまいます。
特許の話は複雑になるので、商標出願を例にとってご説明しますが、例えば、Aという中小企業が新製品を開発することにしたとします。資金力に乏しいA社は、早く新商品を発売して収益をあげるべく、社員一丸となって開発を進め、何とか3ヶ月後に発売できる目処をつけました。商品名は社内で公募し、決まったのは発売の1ヶ月前。勿論、見識あるA社の経営者は、弁理士に依頼して商標を出願。事前調査では、登録できる可能性は高いと言われ、結果を待たずして商品を発売。このような見切り発車は非常にリスキーですが、結果を予測するのも経営に資する知財戦略の一つと思った判断でした。
その後、経営者の予測どおり商標は登録に。これで安心と商品を増産。市場では独自の商品性が高く評価され順調に売れ始めました。
さて、ここまでは、さすがA社の経営者ということになりますが、その後第三者から特許庁に対し「商標登録異議申立」がなされ、結果としてその商標は取り消されてしまいました。そればかりか、当該商品名が第三者の商標を侵害している可能性が指摘され、商品名の使用は諦めることになりました。
商標制度には、このような異議申立により一旦登録となった商標が取り消されたり、無効審判請求(これは特許制度にもあります)により取り消されることがあり、決して安心とは言えないのです。
中小企業にとっては、知財政策の成否が死活問題となります。ですから、少なくとも知財コストを軽減する制度の創設が望まれます。
現政権は、参院選に向けての公約で投資減税を掲げていますが、是非とも中小企業の知財投資減税制度も組み入れて欲しいものです。(コスモテック特許情報システム株式会社 取締役 小笠原 秀征)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:19
| 特集
2013年06月30日
【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】麻生副総理兼財務大臣「アベノミックスの効果はまだ地方にまで及んでいない」と発言
通常国会が会期を終了した25日、麻生副総理兼財務大臣は記者会見に応じ、「都議選の評価」と「参議院選挙の見通し」を述べる一方、「アベノミックスの効果はまだ地方にまで及んでいない」「投資を決断するのは、どの会社でも社長で、その判断の決め手は、今後インフレになるという確信だ」と、次のように語った。
都議選で自民党は、59人の公認候補が全員通ったというが、そのまま参院選の勝利につながるというほど選挙は甘くない。投票率が11%も下がり浮動票が大幅に減り、その分、基本的組織を持っている公明党、共産党、自民党が強味を発揮しただけだ。また、アベノミクスの効果というか、何となく景気が良くなったなという感覚は、東京都とか1都3県に近いところには出ていると思うが、果たして地方にまで及んでいるだろうか。予算が実行に移されても、実態はまだまだそうなってはいない。国の予算の執行には時間がかかる、この頃は前倒し率が高くなったとはいえ、なかなか直ぐには改善できない。だから、地方が「景気がよくなった」という気持ちが参議院の選挙までに出てくるかどうか不明だ。
もう一つ経済で気になる点は、経営者、特に地方の経営者が投資をどうしようかなと思って控えているということだ。これは経営者側に立たないと分からないところだが、少なくとも経営者というのは、そこに需要があるということがない限りは、設備投資を含めて投資なんかしない。だが、もう15年ほど設備投資をやっていないから、設備が古くなっている分だけ生産効率が落ちていると思う。省エネの機械とかに設備投資をした方が、結果として利潤が高くなるという計算をするか否かという判断はこれからだと思う。
そして、投資全般について言えば、最終的に、所詮行き着くところは社長で、社長の決断、それが全てだ。その際社長が考える一番大事なことは、デフレが終わってインフレに向かうという確信が出てくるか出てこないかだ。そこが一番大きなものだと思う。それは需要が出るか出ないかと密接に関係する。需要が先だと言われればそうかもしれないが、デフレではなくてインフレになるという確信が持てたら、社長は設備投資を決断するだろう。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
都議選で自民党は、59人の公認候補が全員通ったというが、そのまま参院選の勝利につながるというほど選挙は甘くない。投票率が11%も下がり浮動票が大幅に減り、その分、基本的組織を持っている公明党、共産党、自民党が強味を発揮しただけだ。また、アベノミクスの効果というか、何となく景気が良くなったなという感覚は、東京都とか1都3県に近いところには出ていると思うが、果たして地方にまで及んでいるだろうか。予算が実行に移されても、実態はまだまだそうなってはいない。国の予算の執行には時間がかかる、この頃は前倒し率が高くなったとはいえ、なかなか直ぐには改善できない。だから、地方が「景気がよくなった」という気持ちが参議院の選挙までに出てくるかどうか不明だ。
もう一つ経済で気になる点は、経営者、特に地方の経営者が投資をどうしようかなと思って控えているということだ。これは経営者側に立たないと分からないところだが、少なくとも経営者というのは、そこに需要があるということがない限りは、設備投資を含めて投資なんかしない。だが、もう15年ほど設備投資をやっていないから、設備が古くなっている分だけ生産効率が落ちていると思う。省エネの機械とかに設備投資をした方が、結果として利潤が高くなるという計算をするか否かという判断はこれからだと思う。
そして、投資全般について言えば、最終的に、所詮行き着くところは社長で、社長の決断、それが全てだ。その際社長が考える一番大事なことは、デフレが終わってインフレに向かうという確信が出てくるか出てこないかだ。そこが一番大きなものだと思う。それは需要が出るか出ないかと密接に関係する。需要が先だと言われればそうかもしれないが、デフレではなくてインフレになるという確信が持てたら、社長は設備投資を決断するだろう。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:39
| 特集
2013年06月28日
『BRICs天井打ち』、『アメリカ高値波乱』、『日本押し目買い』を確認する相場へ=犬丸正寛の相場展望
『株主総会前は高い』というジンクス通り、6月末の相場は引き締まった展開となった。今後は、後半相場の最大のイベントである「参議院選挙」を意識し、選挙後のシナリオを描く展開に移るものとみられる。
日経平均は6月13日に瞬間、1万2415円と下げた。しかし、6月上旬からの動きでは、ほぼ1万3000円を挟んだモミ合いが続き、株主総会集中の6月末に向けて強くなり、28日には5月高値(1万5942円=場中値)から6月13日安値までの下げ幅に対する「3分の1戻し」を達成した。次は、「半値戻し」の1万4200円ていどが目処となるだろう。
外部材料ではアメリカの金融緩和終了見通しに加え、ここに来てBRICsといわれる中国など新興国の「経済減速・株価下落・デモ」などが相次いで伝えられている。新興国はこれまでの高成長で人々は豊かさの味を覚えたことから、経済減速と格差拡大に不満を強めている。日本が昭和40年当時、学生運動などを経験したのと似ている。日本は持ち前の勤勉さで底力を発揮し真の豊かさを身につけたが、果たして、中国など新興国が今後どのように苦難を乗り越えていくか注目される。
既に、世界マネーは経済停滞と社会不安を嫌って新興国から逃げ出している。労働賃金が高騰していることから外資企業の新興国への進出もひところに比べ勢いは薄らいでいるようだ。もちろん、新興国への魅力がなくなっているわけではない。新興国は多くの人口を持ち、引き続き消費地としての魅力はあるものの、その前に通らなくてはいけない試練が待ち構えているということである。
しかも、欧州経済の実態は悪いままである。世界で残るのはアメリカと日本ということになる。とくに、日本は東日本大震災を乗り越えようとしているしアベノミクス効果で経済は本格的に上向く方向にある。さらに、先の都議選では自民・公明の保守が大勝利した。7月の参議院選挙でも有利が予想され勝利すれば、これまで不安定だった日本の政治に安定感が増す。外国人投資家の日本を見る目は変わってくるだろう。そのことは同時にアベノミクスを本格的に支持し中長期スタンスで効果を期待することでもある。
こうしたことを総合して相場的に言うと、『BRICsは天井打ち』、『アメリカは高値波乱』、そして、『日本は押し目買い』と、みることができるだろう。とくに、ドルが世界に拡散されてきた「金融相場」では内容よりゲーム感覚が優先したが、ドル縮小から今後は国家や企業の実力を吟味する「業績相場」に移っていくものとみられる。
実力&業績相場ということになれば、日本の実力を凝縮した存在のトヨタ自動車ということになるだろう。参議院選挙後は自民・公明が勝利し参議院でのネジレが解消されるなら、先ずはトヨタ株価はリーマンショック直前につけた高値8350円挑戦に向けた展開に入っていくものとみられる。
日経平均の半値戻しの1万4200円水準は週足の13週線が位置する水準でもある。外国人投資家が大きく買い越してくれば別だが、今ていどの売買高や売買金額では一気に半値戻しを達成し、そのまま上値を追うことは難しいだろう。例年、株主総会後は一服となっているため、今後は下値26週線と上値13週線との間のモミ合いに移っていくものとみられる。もちろん、『日本株の押し目買い』ということではなんら変わりはない。
日経平均は6月13日に瞬間、1万2415円と下げた。しかし、6月上旬からの動きでは、ほぼ1万3000円を挟んだモミ合いが続き、株主総会集中の6月末に向けて強くなり、28日には5月高値(1万5942円=場中値)から6月13日安値までの下げ幅に対する「3分の1戻し」を達成した。次は、「半値戻し」の1万4200円ていどが目処となるだろう。
外部材料ではアメリカの金融緩和終了見通しに加え、ここに来てBRICsといわれる中国など新興国の「経済減速・株価下落・デモ」などが相次いで伝えられている。新興国はこれまでの高成長で人々は豊かさの味を覚えたことから、経済減速と格差拡大に不満を強めている。日本が昭和40年当時、学生運動などを経験したのと似ている。日本は持ち前の勤勉さで底力を発揮し真の豊かさを身につけたが、果たして、中国など新興国が今後どのように苦難を乗り越えていくか注目される。
既に、世界マネーは経済停滞と社会不安を嫌って新興国から逃げ出している。労働賃金が高騰していることから外資企業の新興国への進出もひところに比べ勢いは薄らいでいるようだ。もちろん、新興国への魅力がなくなっているわけではない。新興国は多くの人口を持ち、引き続き消費地としての魅力はあるものの、その前に通らなくてはいけない試練が待ち構えているということである。
しかも、欧州経済の実態は悪いままである。世界で残るのはアメリカと日本ということになる。とくに、日本は東日本大震災を乗り越えようとしているしアベノミクス効果で経済は本格的に上向く方向にある。さらに、先の都議選では自民・公明の保守が大勝利した。7月の参議院選挙でも有利が予想され勝利すれば、これまで不安定だった日本の政治に安定感が増す。外国人投資家の日本を見る目は変わってくるだろう。そのことは同時にアベノミクスを本格的に支持し中長期スタンスで効果を期待することでもある。
こうしたことを総合して相場的に言うと、『BRICsは天井打ち』、『アメリカは高値波乱』、そして、『日本は押し目買い』と、みることができるだろう。とくに、ドルが世界に拡散されてきた「金融相場」では内容よりゲーム感覚が優先したが、ドル縮小から今後は国家や企業の実力を吟味する「業績相場」に移っていくものとみられる。
実力&業績相場ということになれば、日本の実力を凝縮した存在のトヨタ自動車ということになるだろう。参議院選挙後は自民・公明が勝利し参議院でのネジレが解消されるなら、先ずはトヨタ株価はリーマンショック直前につけた高値8350円挑戦に向けた展開に入っていくものとみられる。
日経平均の半値戻しの1万4200円水準は週足の13週線が位置する水準でもある。外国人投資家が大きく買い越してくれば別だが、今ていどの売買高や売買金額では一気に半値戻しを達成し、そのまま上値を追うことは難しいだろう。例年、株主総会後は一服となっているため、今後は下値26週線と上値13週線との間のモミ合いに移っていくものとみられる。もちろん、『日本株の押し目買い』ということではなんら変わりはない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:44
| 特集
2013年06月24日
【特集】観光立国ニッポン関連銘柄
■訪日外国人数が過去最高水準、富士山の世界遺産で人気に拍車
訪日外国人数が増加基調で過去最高水準となっている。為替の円安の流れが追い風であり、アベノミクス成長戦略では訪日外国人数の増加で国内消費の押し上げを狙う「観光立国ニッポン」を重点分野と位置付けている。6月22日に富士山の世界文化遺産登録が正式決定したことも後押し要因となりそうだ。さらに20年夏季オリンピックの東京招致に成功すれば、観光関連業界にとって一段と追い風になるだろう。
日本政府観光局(JNTO)が6月19日に発表した13年5月(推計値)の訪日外国人数は前年比31.2%増の87万5000人だった。5月としての過去最高だった08年の73万6000人を大幅に上回った。また単月ベースでは13年4月の92万3000人、10年7月の87万8000人に次ぐ過去3番目の高水準だった。国別に見ると、中国(前年比27.2%減)は尖閣諸島問題以降の前年割れが続いているが、韓国(同45.5%増)、台湾(同61.7%増)、香港(同82.2%増)、タイ(同67.8%増)などアジア諸国が特に高い伸びとなった。
JNTO調査による訪日外国人数の推移を見ると、12年(確定値)は前年比34.4%増の835万8105人(うち観光客数は604万1645人)だった。13年は1月(暫定値)が同1.9%減の66万8610人、2月(暫定値)が同33.5%増の72万9460人、3月(暫定値)が同26.7%増の85万7024人、4月(推計値)が同18.4%増の92万3000人、5月(推計値)が同31.2%増の87万5400人となり、13年1月〜5月累計(推計値)は同20.9%増の405万3500人となっている。
08年の世界金融危機、11年の東日本大震災と福島原子力発電所事故の影響が一巡したことに加えて、格安航空会社(LCC)の就航や航空座席の供給量拡大、継続的な訪日旅行プロモーションの効果、経済成長著しい東南アジア諸国の生活水準向上などが背景にあり、特に円安方向の流れが強い追い風となっているようだ。
■訪日外国人数の増加で旅行中の日本国内消費額も増加基調
訪日外国人数の増加に伴って宿泊、買い物、飲食など、訪日外国人による旅行中の日本国内での消費額も増加基調となっている。
国土交通省観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、12年の訪日外国人の日本国内での1人当たり旅行中支出額(推計)は11万1983円となり、11年に比べて1.7%減少した。国別には中国16万154円、米国13万244円、シンガポール11万2665円、香港10万9934円、マレーシア10万5676円、タイ10万4893円、台湾8万5266円、韓国6万1983円などとなっている。
1人当たり支出額は僅かに減少したが訪日外国人数が大幅に増加したため、12年の訪日外国人の日本国内での旅行消費額(パッケージツアー参加費に含まれる国内収入分を加えた推計)合計は1兆861億円となり、11年に比べて33.5%増加した。国別には中国2688億円、台湾1648億円、韓国1466億円、米国979億円、香港655億円の順となり、費目別構成比は宿泊料金34%、買い物代31%、飲食費21%、交通費11%の順である。
さらに、観光庁が4月30日発表した13年1月〜3月期の訪日外国人1人当たり旅行中支出額は11万2594円で前年比4.0%減少したが、旅行消費額合計は同13.2%増加の約2539億円だった。中国からの旅行者数減少で1人当たり支出額は減少した形だが、円安効果に加えて、格安航空会社(LCC)の就航拡大でアジアの若者が日本に旅行しやすくなったことも訪日外国人数の増加につながり、平均宿泊数の増加も消費額を押し上げているようだ。
■旅行会社やホテルなどに大きな経済効果
訪日外国人数の増加や日本国内での消費額増加によって、旅行会社、交通機関、ホテル、百貨店、土産、飲食など幅広い分野で経済効果が拡大している。
観光庁が5月21日に発表した12年度(12年4月〜13年3月)の主要旅行業者(58社)の総取扱額は、11年度比5.1%増の6兆3457億円となり2年ぶりに増加した。58社ベースでは07年度の6兆8163億円、08年度の6兆4394億円に次ぐ水準だった。世界金融危機や東日本大震災の影響が一巡した形であり、13年度は過去最高を更新する可能性がありそうだ。
12年度の内訳を見ると国内旅行が同4.5%増の3兆9374億円、海外旅行が同5.3%増の2兆3419億円、外国人旅行(海外からの訪日旅行)が同44.8%増の663億円だった。海外旅行者数が過去最高を更新した一方で、国内も東京スカイツリー効果や景気回復で観光客が増加している。円安が追い風となって外国人旅行が大幅に増加したことも特徴だ。業者別では1位JTBグループ、2位阪急交通社、3位日本旅行、4位エイチ・アイ・エス、5位近畿日本ツーリスト、6位楽天トラベルだった。
都市ホテルの稼働率も上昇している。日本経済新聞社の調査によると13年4月の東京地区主要19ホテルの平均客室稼働率は88.0%で前年比5.7ポイント上昇した。14か月連続で前年を上回り03年11月の89.0%以来の高水準だった。大阪地区主要15ホテルは89.8%で同0.9ポイント上昇、名古屋地区主要16ホテルは84.9%で同5.7ポイント上昇した。円安効果で外国人客が増加し、景気回復で国内ビジネス・観光客も増加している。客室稼働率上昇に伴って客室単価も上昇傾向を強めているようだ。
内閣府が6月10日に発表した5月景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、現状判断DIは前月比0.8ポイント低下して55.7だった。5月初旬の気温低下に伴う衣料品の販売不調や、5月下旬からの株価下落などが影響して2カ月連続の低下となったが、北海道の観光型ホテルではアジアからの観光目的旅行者数が回復して国内客も好調、近畿の観光型旅館では宿泊人員が7カ月連続で前年を上回り2年前の水準に戻ったなどの回答が見られる。観光需要の盛り上がりが地方の観光地にも波及しているようだ。
■円安進行が追い風、富士山の世界遺産登録やオリンピックの東京招致も期待
訪日外国人数が増加基調となっている背景には、東日本大震災や福島原子力発電所事故の影響が一巡したことに加えて、アベノミクス効果などで為替の円高修正が進んだことも主要因と考えられる。
為替の円安が一段と進行すれば、単に訪日外国人数の増加だけでなく、一方では日本人観光客の旅行先の国内シフトにも繫がるため、観光関連国内消費額を一段と押し上げる要因となりそうだ。
カンボジアのプノンペンで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で6月22日、日本の富士山(山梨県・静岡県)の世界文化遺産登録が正式決定されたことも注目材料となっている。すでに大手旅行会社を中心として訪日外国人向けの富士山登山ツアーなどの販売が始まり、富士山周辺の宿泊施設では夏休みの予約が急増している模様だ。国内外の観光客の富士山登山・周遊ツアー関連、登山・サイクリング・アウトドア用品関連、土産・イベント関連など、関連ビジネスへの期待も高まるだろう。
さらに20年夏季オリンピック開催都市が、9月7日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で決定される予定だ。20年開催都市については東京(日本)、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市が招致を争っている。安倍晋三首相はIOC総会に出席して最後のプレゼンテーションに臨む方向で調整しているようだ。東京招致に成功すれば観光関連需要にとって一段と追い風になるだろう。
■「観光立国ニッポン」はアベノミクス成長戦略の重点分野
安倍晋三内閣が決定した成長戦略では「観光立国ニッポン」を重点分野の一つに位置づけている。日本が持つ観光資源などのポテンシャルを活かして、訪日外国人数は12年の835万人を13年に1000万人、30年に3000万人超、そして訪日外国人消費額については12年の1兆860億円を13年に約1兆3000億円、30年に約4兆7000億円に増やす目標を掲げている。
目標実現に向けた政策としては、日本ブランド発信に向けた省庁・関係機関の横断的体制を今夏までに構築する、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国からの観光客への観光査証(ビザ)発給要件の緩和を今夏までに進める、30年までにアジア1の国際会議開催国となるため世界トップ級の受け入れ環境を持つグローバル戦略都市を育成するとしている。
そして政府は6月11日の観光立国推進閣僚会議で、東南アジア向けの観光ビザ発給要件を今夏から緩和することを正式決定した。タイとマレーシアからの観光客はビザ取得を免除し、ベトナムとフィリピンからの観光客は期限内に何度でも入国できる数次ビザを新たに発給する。すでに数次ビザを発給しているインドネシアからの観光客は滞在できる日数を延長する。なおシンガポールからの観光客はすでにビザ取得が免除されている。
観光ビザ発給要件の緩和に加えて、外国人が空港以外で購入する化粧品や食品などの消耗品を免税対象に加えることや、海外富裕層の来日を促す誘致策なども検討する。海外富裕層に関しては、タイやオーストラリアなどが導入している「ロングステイビザ」を参考にして、数年間の日本滞在を認める制度を検討するようだ。
羽田空港と成田空港の国際線発着枠拡大、入国審査のスピードアップなどの政策も推進する。14年3月末には羽田空港の国際線発着枠が現状の年6万回(昼間3万回、深夜早朝3万回)から年9万回(昼間6万回、深夜早朝3万回)に拡大され、国際線利用者数は13年度予想の約820万人から14年度には約1270万人に急増する見込みだ。成田空港についても14年度中に、発着枠を現状の年27万回から年30万回に拡大する計画だ。
また6月19日には、国や自治体が管理する空港の運営権売却を認める民活空港運営法が参院で可決、成立した。大手商社や大手不動産などが関心を示している模様であり、日本の空港が本格的な民営化時代を迎える。着陸料の大幅値下げによる格安航空会社(LCC)の誘致、路線の維持・拡充、航空運賃の引き下げ、魅力的な商業施設の集積などが加速する可能性もあり、地方空港でも訪日外国人数の増加に繋がることが期待されるだろう。
■一段の規制改革も重要
外務省が5月13日に発表した12年の査証(ビザ)発給統計によると、外国人に発給したビザ総数は前年比46.5%増の198万6539件だった。東日本大震災前の10年を上回り、韓国と台湾からの短期滞在者のビザ申請を免除した05年以降で最多となった。国別では最多の中国の前年割れが続いているが、一方では経済成長著しい東南アジア諸国向けの発給数が大幅に増加している。
ただし、訪日外国人数は増加基調で過去最高水準だが世界的に見ると依然として水準は低い。日本は10年時点で世界30位であり、観光収入も世界19位にとどまっている。また、日本が観光ビザを免除しているのは13年4月時点で64カ国・地域であるのに対して、外国人集客で競合する韓国は110カ国・地域に達しているという。このため観光庁は、13年版観光白書で日本を「観光新興国」と位置付け、ビザ発給要件緩和や観光情報発信などに省庁横断で取り組む必要性を訴えている。
中国に関しては当分の間、尖閣諸島問題の影響が残りそうだが、今後は経済成長著しい東南アジア諸国からの訪日外国人の取り組みが重要になり、ビザ発給要件を緩和する国・地域の拡大など、一段の規制改革も重要なポイントになりそうだ。
■「観光立国ニッポン」関連銘柄
訪日外国人数の増加で国内消費への波及効果が期待され、旅行代理店、交通機関、宿泊関連だけでなく、リゾート・テーマパーク関連、免税店・土産店、百貨店・家電量販店などへの恩恵も大きいだろう。高度な医療技術を活用した「医療ツーリズム」の本格化も期待されるだろう。
旅館・ホテル運営の星野リゾートは訪日外国人の取り込みを狙って、16年に東京・大手町に高級和風旅館「星のや東京」を開業させる。JR九州が10月から運行開始する超豪華寝台列車「ななつ星」は、3泊4日で運賃は1人最高55万円だが、将来は外国人観光客の取り込みを狙っているようだ。
観光情報・プラン、宿泊予約、旅行スケジュール管理、目的地の天候情報、自動音声翻訳サービスなどで、訪日外国人にも対応したアプリケーション開発も一段と活発化するだろう。富士山関連として、登山・サイクリング・アウトドア・スポーツ用品などにも恩恵がありそうだ。
■交通関連
東武鉄道<9001>、東京急行電鉄<9005>、京浜急行電鉄<9006>、小田急電鉄<9007>、京王電鉄<9008>、京成電鉄<9009>、富士急行<9010>、東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>、西日本旅客鉄道(JR西日本)<9021>、東海旅客鉄道(JR東海)<9022>、西日本鉄道<9031>、近畿日本鉄道<9041>、阪急阪神ホールディングス<9042>、南海電気鉄道<9044>、京阪電気鉄道<9045>、名古屋鉄道<9048>、日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>、スカイマーク<9204>、スターフライヤー<9206>など
■観光情報・旅行代理店・ホテル予約関連
カカクコム<2371>、一休<2450>、オールアバウト<2454>、比較.com<2477>、ヤフー<4689>、楽天<4755>、ニッコウトラベル<9373>、ユーラシア旅行社<9376>、エイチ・アイ・エス<9603>、KNT−CTホールディングス<9726>など
■ホテル・リゾート・テーマパーク・遊園地・ゴルフ場・スキー場・芸能・エンタテインメント関連
アコーディア・ゴルフ<2131>、PGMホールディングス<2466>、ゴルフダイジェスト・オンライン<3319>、オリエンタルランド<4661>、リゾートトラスト<4681>、リゾートソリューション<5261>、サンリオ<8136>、共立メンテナンス<9616>、グリーンランドリゾート<9656>、歌舞伎座<9661>、よみうりランド<9671>、常磐興産<9675>、東京ドーム<9681>、鴨川グランドホテル<9695>、東京會舘<9701>、帝国ホテル<9708>、ロイヤルホテル<9713>、ホテルニューグランド<9720>、藤田観光<9722>、京都ホテル<9723>、ジャパン・ホテル・リート投資法人<8985>、星野リゾート・リート投資法人(7月12日新規上場予定)など
■広告・誘致活動・イベント・地図・検索・サービス関連
博報堂DYホールディングス<2433>、共同ピーアール<2436>、プラップジャパン<2449>、駅探<3646>、ヒト・コミュニケーションズ<3654>、ジョルダン<3710>、マクロミル<3730>、電通<4324>、インテージ<4326>、ウェザーニューズ<4825>、ゼンリン<9474>、昭文社<9475>、アサツーディ・ケイ<9747>など
■百貨店・免税店・土産店・和食店関連
J.フロントリテイリング<3086>、三越伊勢丹ホールディングス<3099>、うかい<7621>、ラオックス<8202>、高島屋<8233>、日本空港ビルデング<9706>など
■富士山の世界文化遺産登録関連(上記銘柄以外)
ウォーターダイレクト<2588>、アルペン<3028>、ティムコ<7501>、ヒマラヤ<7514>、アシックス<7936>、ミズノ<8022>、ゴールドウイン<8111>、デサント<8114>、ゼビオ<8281>、静岡銀行<8355>、山梨銀行<8360>、アシックス商事<9814>など。
訪日外国人数が増加基調で過去最高水準となっている。為替の円安の流れが追い風であり、アベノミクス成長戦略では訪日外国人数の増加で国内消費の押し上げを狙う「観光立国ニッポン」を重点分野と位置付けている。6月22日に富士山の世界文化遺産登録が正式決定したことも後押し要因となりそうだ。さらに20年夏季オリンピックの東京招致に成功すれば、観光関連業界にとって一段と追い風になるだろう。
日本政府観光局(JNTO)が6月19日に発表した13年5月(推計値)の訪日外国人数は前年比31.2%増の87万5000人だった。5月としての過去最高だった08年の73万6000人を大幅に上回った。また単月ベースでは13年4月の92万3000人、10年7月の87万8000人に次ぐ過去3番目の高水準だった。国別に見ると、中国(前年比27.2%減)は尖閣諸島問題以降の前年割れが続いているが、韓国(同45.5%増)、台湾(同61.7%増)、香港(同82.2%増)、タイ(同67.8%増)などアジア諸国が特に高い伸びとなった。
JNTO調査による訪日外国人数の推移を見ると、12年(確定値)は前年比34.4%増の835万8105人(うち観光客数は604万1645人)だった。13年は1月(暫定値)が同1.9%減の66万8610人、2月(暫定値)が同33.5%増の72万9460人、3月(暫定値)が同26.7%増の85万7024人、4月(推計値)が同18.4%増の92万3000人、5月(推計値)が同31.2%増の87万5400人となり、13年1月〜5月累計(推計値)は同20.9%増の405万3500人となっている。
08年の世界金融危機、11年の東日本大震災と福島原子力発電所事故の影響が一巡したことに加えて、格安航空会社(LCC)の就航や航空座席の供給量拡大、継続的な訪日旅行プロモーションの効果、経済成長著しい東南アジア諸国の生活水準向上などが背景にあり、特に円安方向の流れが強い追い風となっているようだ。
■訪日外国人数の増加で旅行中の日本国内消費額も増加基調
訪日外国人数の増加に伴って宿泊、買い物、飲食など、訪日外国人による旅行中の日本国内での消費額も増加基調となっている。
国土交通省観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、12年の訪日外国人の日本国内での1人当たり旅行中支出額(推計)は11万1983円となり、11年に比べて1.7%減少した。国別には中国16万154円、米国13万244円、シンガポール11万2665円、香港10万9934円、マレーシア10万5676円、タイ10万4893円、台湾8万5266円、韓国6万1983円などとなっている。
1人当たり支出額は僅かに減少したが訪日外国人数が大幅に増加したため、12年の訪日外国人の日本国内での旅行消費額(パッケージツアー参加費に含まれる国内収入分を加えた推計)合計は1兆861億円となり、11年に比べて33.5%増加した。国別には中国2688億円、台湾1648億円、韓国1466億円、米国979億円、香港655億円の順となり、費目別構成比は宿泊料金34%、買い物代31%、飲食費21%、交通費11%の順である。
さらに、観光庁が4月30日発表した13年1月〜3月期の訪日外国人1人当たり旅行中支出額は11万2594円で前年比4.0%減少したが、旅行消費額合計は同13.2%増加の約2539億円だった。中国からの旅行者数減少で1人当たり支出額は減少した形だが、円安効果に加えて、格安航空会社(LCC)の就航拡大でアジアの若者が日本に旅行しやすくなったことも訪日外国人数の増加につながり、平均宿泊数の増加も消費額を押し上げているようだ。
■旅行会社やホテルなどに大きな経済効果
訪日外国人数の増加や日本国内での消費額増加によって、旅行会社、交通機関、ホテル、百貨店、土産、飲食など幅広い分野で経済効果が拡大している。
観光庁が5月21日に発表した12年度(12年4月〜13年3月)の主要旅行業者(58社)の総取扱額は、11年度比5.1%増の6兆3457億円となり2年ぶりに増加した。58社ベースでは07年度の6兆8163億円、08年度の6兆4394億円に次ぐ水準だった。世界金融危機や東日本大震災の影響が一巡した形であり、13年度は過去最高を更新する可能性がありそうだ。
12年度の内訳を見ると国内旅行が同4.5%増の3兆9374億円、海外旅行が同5.3%増の2兆3419億円、外国人旅行(海外からの訪日旅行)が同44.8%増の663億円だった。海外旅行者数が過去最高を更新した一方で、国内も東京スカイツリー効果や景気回復で観光客が増加している。円安が追い風となって外国人旅行が大幅に増加したことも特徴だ。業者別では1位JTBグループ、2位阪急交通社、3位日本旅行、4位エイチ・アイ・エス、5位近畿日本ツーリスト、6位楽天トラベルだった。
都市ホテルの稼働率も上昇している。日本経済新聞社の調査によると13年4月の東京地区主要19ホテルの平均客室稼働率は88.0%で前年比5.7ポイント上昇した。14か月連続で前年を上回り03年11月の89.0%以来の高水準だった。大阪地区主要15ホテルは89.8%で同0.9ポイント上昇、名古屋地区主要16ホテルは84.9%で同5.7ポイント上昇した。円安効果で外国人客が増加し、景気回復で国内ビジネス・観光客も増加している。客室稼働率上昇に伴って客室単価も上昇傾向を強めているようだ。
内閣府が6月10日に発表した5月景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、現状判断DIは前月比0.8ポイント低下して55.7だった。5月初旬の気温低下に伴う衣料品の販売不調や、5月下旬からの株価下落などが影響して2カ月連続の低下となったが、北海道の観光型ホテルではアジアからの観光目的旅行者数が回復して国内客も好調、近畿の観光型旅館では宿泊人員が7カ月連続で前年を上回り2年前の水準に戻ったなどの回答が見られる。観光需要の盛り上がりが地方の観光地にも波及しているようだ。
■円安進行が追い風、富士山の世界遺産登録やオリンピックの東京招致も期待
訪日外国人数が増加基調となっている背景には、東日本大震災や福島原子力発電所事故の影響が一巡したことに加えて、アベノミクス効果などで為替の円高修正が進んだことも主要因と考えられる。
為替の円安が一段と進行すれば、単に訪日外国人数の増加だけでなく、一方では日本人観光客の旅行先の国内シフトにも繫がるため、観光関連国内消費額を一段と押し上げる要因となりそうだ。
カンボジアのプノンペンで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で6月22日、日本の富士山(山梨県・静岡県)の世界文化遺産登録が正式決定されたことも注目材料となっている。すでに大手旅行会社を中心として訪日外国人向けの富士山登山ツアーなどの販売が始まり、富士山周辺の宿泊施設では夏休みの予約が急増している模様だ。国内外の観光客の富士山登山・周遊ツアー関連、登山・サイクリング・アウトドア用品関連、土産・イベント関連など、関連ビジネスへの期待も高まるだろう。
さらに20年夏季オリンピック開催都市が、9月7日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で決定される予定だ。20年開催都市については東京(日本)、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市が招致を争っている。安倍晋三首相はIOC総会に出席して最後のプレゼンテーションに臨む方向で調整しているようだ。東京招致に成功すれば観光関連需要にとって一段と追い風になるだろう。
■「観光立国ニッポン」はアベノミクス成長戦略の重点分野
安倍晋三内閣が決定した成長戦略では「観光立国ニッポン」を重点分野の一つに位置づけている。日本が持つ観光資源などのポテンシャルを活かして、訪日外国人数は12年の835万人を13年に1000万人、30年に3000万人超、そして訪日外国人消費額については12年の1兆860億円を13年に約1兆3000億円、30年に約4兆7000億円に増やす目標を掲げている。
目標実現に向けた政策としては、日本ブランド発信に向けた省庁・関係機関の横断的体制を今夏までに構築する、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国からの観光客への観光査証(ビザ)発給要件の緩和を今夏までに進める、30年までにアジア1の国際会議開催国となるため世界トップ級の受け入れ環境を持つグローバル戦略都市を育成するとしている。
そして政府は6月11日の観光立国推進閣僚会議で、東南アジア向けの観光ビザ発給要件を今夏から緩和することを正式決定した。タイとマレーシアからの観光客はビザ取得を免除し、ベトナムとフィリピンからの観光客は期限内に何度でも入国できる数次ビザを新たに発給する。すでに数次ビザを発給しているインドネシアからの観光客は滞在できる日数を延長する。なおシンガポールからの観光客はすでにビザ取得が免除されている。
観光ビザ発給要件の緩和に加えて、外国人が空港以外で購入する化粧品や食品などの消耗品を免税対象に加えることや、海外富裕層の来日を促す誘致策なども検討する。海外富裕層に関しては、タイやオーストラリアなどが導入している「ロングステイビザ」を参考にして、数年間の日本滞在を認める制度を検討するようだ。
羽田空港と成田空港の国際線発着枠拡大、入国審査のスピードアップなどの政策も推進する。14年3月末には羽田空港の国際線発着枠が現状の年6万回(昼間3万回、深夜早朝3万回)から年9万回(昼間6万回、深夜早朝3万回)に拡大され、国際線利用者数は13年度予想の約820万人から14年度には約1270万人に急増する見込みだ。成田空港についても14年度中に、発着枠を現状の年27万回から年30万回に拡大する計画だ。
また6月19日には、国や自治体が管理する空港の運営権売却を認める民活空港運営法が参院で可決、成立した。大手商社や大手不動産などが関心を示している模様であり、日本の空港が本格的な民営化時代を迎える。着陸料の大幅値下げによる格安航空会社(LCC)の誘致、路線の維持・拡充、航空運賃の引き下げ、魅力的な商業施設の集積などが加速する可能性もあり、地方空港でも訪日外国人数の増加に繋がることが期待されるだろう。
■一段の規制改革も重要
外務省が5月13日に発表した12年の査証(ビザ)発給統計によると、外国人に発給したビザ総数は前年比46.5%増の198万6539件だった。東日本大震災前の10年を上回り、韓国と台湾からの短期滞在者のビザ申請を免除した05年以降で最多となった。国別では最多の中国の前年割れが続いているが、一方では経済成長著しい東南アジア諸国向けの発給数が大幅に増加している。
ただし、訪日外国人数は増加基調で過去最高水準だが世界的に見ると依然として水準は低い。日本は10年時点で世界30位であり、観光収入も世界19位にとどまっている。また、日本が観光ビザを免除しているのは13年4月時点で64カ国・地域であるのに対して、外国人集客で競合する韓国は110カ国・地域に達しているという。このため観光庁は、13年版観光白書で日本を「観光新興国」と位置付け、ビザ発給要件緩和や観光情報発信などに省庁横断で取り組む必要性を訴えている。
中国に関しては当分の間、尖閣諸島問題の影響が残りそうだが、今後は経済成長著しい東南アジア諸国からの訪日外国人の取り組みが重要になり、ビザ発給要件を緩和する国・地域の拡大など、一段の規制改革も重要なポイントになりそうだ。
■「観光立国ニッポン」関連銘柄
訪日外国人数の増加で国内消費への波及効果が期待され、旅行代理店、交通機関、宿泊関連だけでなく、リゾート・テーマパーク関連、免税店・土産店、百貨店・家電量販店などへの恩恵も大きいだろう。高度な医療技術を活用した「医療ツーリズム」の本格化も期待されるだろう。
旅館・ホテル運営の星野リゾートは訪日外国人の取り込みを狙って、16年に東京・大手町に高級和風旅館「星のや東京」を開業させる。JR九州が10月から運行開始する超豪華寝台列車「ななつ星」は、3泊4日で運賃は1人最高55万円だが、将来は外国人観光客の取り込みを狙っているようだ。
観光情報・プラン、宿泊予約、旅行スケジュール管理、目的地の天候情報、自動音声翻訳サービスなどで、訪日外国人にも対応したアプリケーション開発も一段と活発化するだろう。富士山関連として、登山・サイクリング・アウトドア・スポーツ用品などにも恩恵がありそうだ。
■交通関連
東武鉄道<9001>、東京急行電鉄<9005>、京浜急行電鉄<9006>、小田急電鉄<9007>、京王電鉄<9008>、京成電鉄<9009>、富士急行<9010>、東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>、西日本旅客鉄道(JR西日本)<9021>、東海旅客鉄道(JR東海)<9022>、西日本鉄道<9031>、近畿日本鉄道<9041>、阪急阪神ホールディングス<9042>、南海電気鉄道<9044>、京阪電気鉄道<9045>、名古屋鉄道<9048>、日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>、スカイマーク<9204>、スターフライヤー<9206>など
■観光情報・旅行代理店・ホテル予約関連
カカクコム<2371>、一休<2450>、オールアバウト<2454>、比較.com<2477>、ヤフー<4689>、楽天<4755>、ニッコウトラベル<9373>、ユーラシア旅行社<9376>、エイチ・アイ・エス<9603>、KNT−CTホールディングス<9726>など
■ホテル・リゾート・テーマパーク・遊園地・ゴルフ場・スキー場・芸能・エンタテインメント関連
アコーディア・ゴルフ<2131>、PGMホールディングス<2466>、ゴルフダイジェスト・オンライン<3319>、オリエンタルランド<4661>、リゾートトラスト<4681>、リゾートソリューション<5261>、サンリオ<8136>、共立メンテナンス<9616>、グリーンランドリゾート<9656>、歌舞伎座<9661>、よみうりランド<9671>、常磐興産<9675>、東京ドーム<9681>、鴨川グランドホテル<9695>、東京會舘<9701>、帝国ホテル<9708>、ロイヤルホテル<9713>、ホテルニューグランド<9720>、藤田観光<9722>、京都ホテル<9723>、ジャパン・ホテル・リート投資法人<8985>、星野リゾート・リート投資法人(7月12日新規上場予定)など
■広告・誘致活動・イベント・地図・検索・サービス関連
博報堂DYホールディングス<2433>、共同ピーアール<2436>、プラップジャパン<2449>、駅探<3646>、ヒト・コミュニケーションズ<3654>、ジョルダン<3710>、マクロミル<3730>、電通<4324>、インテージ<4326>、ウェザーニューズ<4825>、ゼンリン<9474>、昭文社<9475>、アサツーディ・ケイ<9747>など
■百貨店・免税店・土産店・和食店関連
J.フロントリテイリング<3086>、三越伊勢丹ホールディングス<3099>、うかい<7621>、ラオックス<8202>、高島屋<8233>、日本空港ビルデング<9706>など
■富士山の世界文化遺産登録関連(上記銘柄以外)
ウォーターダイレクト<2588>、アルペン<3028>、ティムコ<7501>、ヒマラヤ<7514>、アシックス<7936>、ミズノ<8022>、ゴールドウイン<8111>、デサント<8114>、ゼビオ<8281>、静岡銀行<8355>、山梨銀行<8360>、アシックス商事<9814>など。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:48
| 特集
2013年06月21日
ひと足早く調整入りの日本市場はNYダウ離れで底堅く推移、出来高は閑散気味に=犬丸正寛の相場展望
来週(25〜28日)の相場は、NYダウとは違った展開となっている日経平均が、どのていど強さをみせるかが注目される。
NYダウ、日経平均とも高値をつけた時期は5月22日頃でほぼ同じながら、その後の動きに違いがみられる。日経平均の1番底は6月13日であるのに対し、NYダウは今、1番底をつけに行っている。5月高値のあとNYダウが高値圏で値を保っていたのに対し、日経平均は大きく下げたため、日経平均にひと足早く調整一巡感が台頭している。このため、来週、NYダウがよほどの暴落とならない限り、日経平均は底堅く推移するものとみられる。
両指数の背景には、「金融緩和の終了感」という類似した点がある。日本では4月の日銀の異次元金融緩和を好感した展開となったものの、その後は期待した緩和策は出ていない。これを嫌って日経平均は大きく下げる一因となった。アメリカでは、FRB議長が年内の金融の量的緩和終了を示唆したことでNYダウは高値圏のモミ合いを下放れた。しかし、この先のNYダウは、足元の景気好調に対する評価から大きくは下げないものとみられる。
これからの日米マーケットは、共に金融緩和という一大イベントが終わりつつあることから、「金融相場」から「業績相場」への色合いを強めていくものとみられる。とくに、現実の景気・企業績が好調なアメリカに対し、日本はこれからアベノミクス効果が景気・企業業績に本格的に現れるかどうかが注目される局面である。金融緩和による円安効果で輸出関連企業の企業業績は上向いているものの、日本全体に景況感の高揚ということではない。日経平均予想1株利益でみても6月7日に904円のあとは890円台で伸び悩みとなっている。
日経平均は5月23日の1万5942円から6月13日の1万2415円まで22.1%下げ、11年3月の東日本大震災下げの24%に近い水準まで下げたことで売方は積極的に攻勢をかけづらいところにある。一方の買方も5月までのような何でも買いから選別買いのスタンスを強めている。このため、5月23日には76億株にまで膨らんだ出来高はこのところ20億株台まで減少している。
来週以降も日経平均は底堅く推移するものと予想されるものの、出来高は引き続き大きくは増えないものとみられる。とくに、1ドル・103円まで進んだ円安がこのところ97円ていどへ円高となっていることから第1四半期(4〜6月)での通期予想に対する増額は期待できないだろう。金融相場から業績相場へ移行とはいうものの、第2四半期(4〜9月)決算が発表となる10月頃までは本格的業績相場は難しそうだ。
夏場はサマーストック関連や、7月16日の東証と大証の現物市場統合から大証単独銘柄に対する見直し買いなどが予想されそうだ。
NYダウ、日経平均とも高値をつけた時期は5月22日頃でほぼ同じながら、その後の動きに違いがみられる。日経平均の1番底は6月13日であるのに対し、NYダウは今、1番底をつけに行っている。5月高値のあとNYダウが高値圏で値を保っていたのに対し、日経平均は大きく下げたため、日経平均にひと足早く調整一巡感が台頭している。このため、来週、NYダウがよほどの暴落とならない限り、日経平均は底堅く推移するものとみられる。
両指数の背景には、「金融緩和の終了感」という類似した点がある。日本では4月の日銀の異次元金融緩和を好感した展開となったものの、その後は期待した緩和策は出ていない。これを嫌って日経平均は大きく下げる一因となった。アメリカでは、FRB議長が年内の金融の量的緩和終了を示唆したことでNYダウは高値圏のモミ合いを下放れた。しかし、この先のNYダウは、足元の景気好調に対する評価から大きくは下げないものとみられる。
これからの日米マーケットは、共に金融緩和という一大イベントが終わりつつあることから、「金融相場」から「業績相場」への色合いを強めていくものとみられる。とくに、現実の景気・企業績が好調なアメリカに対し、日本はこれからアベノミクス効果が景気・企業業績に本格的に現れるかどうかが注目される局面である。金融緩和による円安効果で輸出関連企業の企業業績は上向いているものの、日本全体に景況感の高揚ということではない。日経平均予想1株利益でみても6月7日に904円のあとは890円台で伸び悩みとなっている。
日経平均は5月23日の1万5942円から6月13日の1万2415円まで22.1%下げ、11年3月の東日本大震災下げの24%に近い水準まで下げたことで売方は積極的に攻勢をかけづらいところにある。一方の買方も5月までのような何でも買いから選別買いのスタンスを強めている。このため、5月23日には76億株にまで膨らんだ出来高はこのところ20億株台まで減少している。
来週以降も日経平均は底堅く推移するものと予想されるものの、出来高は引き続き大きくは増えないものとみられる。とくに、1ドル・103円まで進んだ円安がこのところ97円ていどへ円高となっていることから第1四半期(4〜6月)での通期予想に対する増額は期待できないだろう。金融相場から業績相場へ移行とはいうものの、第2四半期(4〜9月)決算が発表となる10月頃までは本格的業績相場は難しそうだ。
夏場はサマーストック関連や、7月16日の東証と大証の現物市場統合から大証単独銘柄に対する見直し買いなどが予想されそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:47
| 特集
2013年06月16日
アベノミクス期待材料は続く、一番のリスクは中国=妻と夫の株ロマン
今年前半相場(1〜6月)は、最後のところで急落しました。7月からの後半相場はどうかしら。
急落した背景は、いろいろ言われてはいるが、ひとことで言うなら、「食べ過ぎた」ことが原因だと思っているよ。1日の出来高が12〜13億株だったのが、たとえば5月23日には76億株に急増するなど明らかに出来高が多かった。買方と売方に分けて言えば、買方に力が入りすぎたといえる。
■買方をその気にさせたアベノミクス、当面、食べすぎの反動
アベノミクスは買方をその気にさせた、ということにもなりますね。
そういうことだろう。ただ、東京都議選、参議院選挙に照準を合わせる必要があったため、材料を小出しではなく一気に出さなくてはいけないという事情はあったと思われる。売方の立場からみれば、ご馳走はこれで終りで、もうご馳走は出ないと判断して、空売り攻勢に出てきたということもできる。
アベノミクスがだめということではないのですね。
経済の先生方など専門家の方々は批判もあるようだ。細かく分析すれば問題はあるだろう。しかし、アベノミクスは国策的なものだから日本の再生をはかるという大きい目標はなんら変わっていない。今は安倍さんに代わる人はいないと思う。ここで、批判を強めて、また総理を代えるようでは日本は世界から、どっちへ向いているか分からない国ということになって外国人投資家の株、国債売りにつながる心配があると思う。
>>全文を読む(アベノミクス期待材料は続く、一番のリスクは中国=妻と夫の株ロマン)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:45
| 特集
【佐藤修の霞ヶ関・裏読み情報】シンポジューム「サイバー戦争、最新のハッカー事情」に霞ヶ関関係者が注目
先週、都内で霞ヶ関の情報、通信、公安、防衛関係者を交えた「新らしい戦争、サイバー」なるシンポジュームが開かれた。
そこには日本国内で活躍する『天才ハッカー』が2人登場、実際にターゲットのパソコンや携帯に侵入するデモンストレーションをやって見せ、「日本においてセキュリティ上、一番危ないのはパソコンより携帯電話、それもスマホやアイフォーンで、特にメールは筒抜け」だと指摘した。
会議で更に興味深かったのは、それらのデモというより、『こぼれ話』の方で、中国のハッカー事情に詳しいA氏は、大連の関係者に招かれて『指導』に行った折、其処のコンピュータの画面に見たものは、なんと日本の社会保険庁の「年金記録」であったという。だとすれば、日本の重要情報が中国に握られているということでもある。
また、出席者のB氏は韓国のサイバー事情について、「あの国のサイバー騒ぎは、企業や政府機関による”やらせ”が多い。謀略の臭いも強い。明らかに株価上昇や売り上げ拡大を狙ったものもあり、また政治的危機感を醸し出すツールにも利用されている」と語っていた。
さらにヨーロッパのサイバー事情については、ドイツの例として、サイバー攻撃による列車運行妨害を防ぐため、大学に多額の資金を提供して、セキュリティソフトの開発をしているという情報も紹介された。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
そこには日本国内で活躍する『天才ハッカー』が2人登場、実際にターゲットのパソコンや携帯に侵入するデモンストレーションをやって見せ、「日本においてセキュリティ上、一番危ないのはパソコンより携帯電話、それもスマホやアイフォーンで、特にメールは筒抜け」だと指摘した。
会議で更に興味深かったのは、それらのデモというより、『こぼれ話』の方で、中国のハッカー事情に詳しいA氏は、大連の関係者に招かれて『指導』に行った折、其処のコンピュータの画面に見たものは、なんと日本の社会保険庁の「年金記録」であったという。だとすれば、日本の重要情報が中国に握られているということでもある。
また、出席者のB氏は韓国のサイバー事情について、「あの国のサイバー騒ぎは、企業や政府機関による”やらせ”が多い。謀略の臭いも強い。明らかに株価上昇や売り上げ拡大を狙ったものもあり、また政治的危機感を醸し出すツールにも利用されている」と語っていた。
さらにヨーロッパのサイバー事情については、ドイツの例として、サイバー攻撃による列車運行妨害を防ぐため、大学に多額の資金を提供して、セキュリティソフトの開発をしているという情報も紹介された。(政治ジャーナリスト・佐藤修)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:32
| 特集
2013年06月14日
日経平均はほぼ東日本大震災並みの下げ率で下値水準に=犬丸正寛の相場展望
■秋相場まで出来高細ることも
マーケットは大きく揺れ動いている。上げも迫力があったが、それ以上に下げの凄さがある。それを現しているのが日経平均の1日当変動幅である。
昨年11月の8653円から今年5月23日の高値1万5942円までの上げ幅は約7300円、これに対し高値から6月13日の直近安値1万4215円までの下げ幅は約3500円である。値幅を見ただけでは、上げ幅が多いといえるものの、これをそれぞれの営業日数で1日当平均に置き換えと様子は変わってくる。
上げ相場の過程では1日平均の幅は約60円であるのに対し、下げ過程の1日平均の幅は約230円と、上げの1日平均に対し4倍近くに達している。このことから、いえることは、(1)市場参加者が短期間のうちに一気に弱気に転じた、(2)相場の調整としては男性的な値幅整理だった――とみることができる。
かつての相場においても、「何々ショック」と呼ばれる男性型の短期急落は幾度も経験している。共通しているのは、強気充満に近いマーケット状態において思いがけない材料が出た場合にみられる。今回は、アベノミクスに対する期待の高まりで買い安心感が充満していた点はほぼ従来と同じだろう。ただ、今回はとくに悪材料が出た、ということではなかった点に今までと違うところがある。こういった前提で今後を見通すとどういうことになるか。
最近での大きい下げが参考になるはずである。2011年3月の東日本大震災では高値からボトムまでの下落率は約24%だった。リーマンショックの時は約52%の大きい下げだった。
そして、今回の下落率は22%超に達している。今回の下げをリーマンショック並みとみるか、東日本大震災並みとみるかによって見方は当然、分かれる。筆者は今回の下げは東日本大震災に近い下げではないかとみている。外国人投資家が日本株を売ったということではグローバル的な要因を含んでいるともいえるが、それ以上に国内投資家が買い安心になりすぎていたということから東日本大震災型の国内的材料による下げだったと思われる。
そういう前提に立てば、現在の下落率22%は東日本大震災の下落率24%に対比すれば、そろそろ下値水準に来ているとみることができるのではなかろうか。とくに、期待されたほど円安に進んでいないとしても、昨年秋からの円安効果で企業業績は間違いなく上向いている。『企業業績が上向いているときには相場はいつまで下げ続けることはない』という教えもあり、そろそろ相場は下値水準に到達とみて、とくに、これまで買いそびれていた人には好い買い場到来とみられる。
なお、これだけ、大きく下げた相場だから、何かネーミングを付けたいところだが、なかなかピッタリした言葉がない。強いて言うと、安倍政権が参議院選挙を意識するあまり、一度にテーブルへご馳走を並べすぎた反動ということで、「急性胃炎ショック」とでも言いたいところである。
そして、過去のショック安でボトムをつけたあとの展開をみると、売り一巡から出来高が少なくなる閑散相場がしばらく続いている。今回も外国人投資家の夏休み等を考えると、徐々に出来高は少なくなり、下値を固めながら秋相場を迎えることになるのではなかろうか。当面は下げの大きかった銘柄の戻り狙いから、その後、夏場に活躍の材料株中心の展開に移っていくものとみられる。
マーケットは大きく揺れ動いている。上げも迫力があったが、それ以上に下げの凄さがある。それを現しているのが日経平均の1日当変動幅である。
昨年11月の8653円から今年5月23日の高値1万5942円までの上げ幅は約7300円、これに対し高値から6月13日の直近安値1万4215円までの下げ幅は約3500円である。値幅を見ただけでは、上げ幅が多いといえるものの、これをそれぞれの営業日数で1日当平均に置き換えと様子は変わってくる。
上げ相場の過程では1日平均の幅は約60円であるのに対し、下げ過程の1日平均の幅は約230円と、上げの1日平均に対し4倍近くに達している。このことから、いえることは、(1)市場参加者が短期間のうちに一気に弱気に転じた、(2)相場の調整としては男性的な値幅整理だった――とみることができる。
かつての相場においても、「何々ショック」と呼ばれる男性型の短期急落は幾度も経験している。共通しているのは、強気充満に近いマーケット状態において思いがけない材料が出た場合にみられる。今回は、アベノミクスに対する期待の高まりで買い安心感が充満していた点はほぼ従来と同じだろう。ただ、今回はとくに悪材料が出た、ということではなかった点に今までと違うところがある。こういった前提で今後を見通すとどういうことになるか。
最近での大きい下げが参考になるはずである。2011年3月の東日本大震災では高値からボトムまでの下落率は約24%だった。リーマンショックの時は約52%の大きい下げだった。
そして、今回の下落率は22%超に達している。今回の下げをリーマンショック並みとみるか、東日本大震災並みとみるかによって見方は当然、分かれる。筆者は今回の下げは東日本大震災に近い下げではないかとみている。外国人投資家が日本株を売ったということではグローバル的な要因を含んでいるともいえるが、それ以上に国内投資家が買い安心になりすぎていたということから東日本大震災型の国内的材料による下げだったと思われる。
そういう前提に立てば、現在の下落率22%は東日本大震災の下落率24%に対比すれば、そろそろ下値水準に来ているとみることができるのではなかろうか。とくに、期待されたほど円安に進んでいないとしても、昨年秋からの円安効果で企業業績は間違いなく上向いている。『企業業績が上向いているときには相場はいつまで下げ続けることはない』という教えもあり、そろそろ相場は下値水準に到達とみて、とくに、これまで買いそびれていた人には好い買い場到来とみられる。
なお、これだけ、大きく下げた相場だから、何かネーミングを付けたいところだが、なかなかピッタリした言葉がない。強いて言うと、安倍政権が参議院選挙を意識するあまり、一度にテーブルへご馳走を並べすぎた反動ということで、「急性胃炎ショック」とでも言いたいところである。
そして、過去のショック安でボトムをつけたあとの展開をみると、売り一巡から出来高が少なくなる閑散相場がしばらく続いている。今回も外国人投資家の夏休み等を考えると、徐々に出来高は少なくなり、下値を固めながら秋相場を迎えることになるのではなかろうか。当面は下げの大きかった銘柄の戻り狙いから、その後、夏場に活躍の材料株中心の展開に移っていくものとみられる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:32
| 特集