<カジノ解禁強まる、観光立国戦略が後押し>

日本でカジノ解禁の可能性が高まっている。過去に何度も話題になっているテーマだが、アベノミクス成長戦略では訪日外国人数の増加で国内消費の押し上げを狙い、カジノを含めた「観光立国」「国家戦略特区」を重点分野と位置付けている。
この観光立国の一環として、今秋の臨時国会ではカジノを合法化する関連法案の提出・可決の観測が高まっている。あらためてカジノ関連銘柄が注目されるだろう。
■世界120カ国で合法化、マカオはラスベガス抜いて世界最大のカジノ都市
日本では現在カジノ行為が刑法で処罰の対象となっているが、世界的に見れば約120カ国でカジノが合法化され、特に観光立国を目指すアジアの新興国を中心に外国人旅行客を増やす有力な手段となっている。そしてアジアのカジノ産業は中国からの富裕層旅行客なども取り込んで急成長している。マカオは米ラスベガスを抜いて世界最大のカジノ都市となり、シンガポールやフィリピンが続き、さらにマレーシア、ベトナム、韓国、豪州、ロシア極東などでもカジノ建設の動きが活発化している。
日本でも、安倍晋三内閣が成長戦略の重点分野とする「観光立国」や「国家戦略特区」推進案の中で、統合型リゾート(IR)の開発が盛り込まれた。統合型リゾートはカジノ、劇場、国際会議場、ホテルなどを集めた滞在型集客施設のことだ。日本維新の会も7月の参院選の公約として、カジノやレジャーなどを包括的に含む統合型リゾートの実現を掲げた。
■IR議連が今秋の臨時国会に関連法案提出の方針
カジノを合法化することに関しては、ギャンブル依存症や青少年への悪影響を懸念する声も根強いが、一方では観光振興、雇用創出、税収増加などへの期待感が高まっている。経済界にも「日本も新興国のように国際会議場にホテルやカジノなどを併設して競争力を高める政策が必要」と推進を求める声が広がっている。
日本でカジノ構想を実現するためには、刑法で処罰対象とされているカジノ行為を合法化する法律が必要になる。これまでにもたびたび議員立法を目指す動きが表面化しながら実現しなかったが、今回は実現の可能性が高まっているようだ。
日本の成長戦略の一環として観光立国の実現を目指し、統合型リゾートを考える超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟(IR議連)は、4月に開催した総会で、カジノを合法とする関連法案を議員立法として秋の臨時国会に提出する方針を確認した。そしてIR議連の最高顧問には安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相、日本維新の会の石原慎太郎共同代表、生活の党の小沢一郎代表が就任している。
IR議連はすでに11年8月、カジノを合法化して、カジノを中心とした観光施設を整備するための「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」を策定済みである。IR議連には社民党と共産党を除く与野党の議員が参加しており、特に自民党や日本維新の会などが積極推進の方針を示している。このため10月に召集が予定される今秋の臨時国会に提出されれば、成立する公算が高まっている。
アベノミクス成長戦略の目玉でもある「国家戦略特区」は東京、大阪、愛知の三大都市圏を中心に、規制緩和や税制優遇を進めて経済再生の起爆剤にすることを狙いとしているが、統合型リゾートの誘致にはすでに20カ所以上の自治体が名乗りを上げている。
■大阪湾に統合型リゾート構想、宮崎、長崎でも
大阪府・市は大阪湾にカジノを含む統合型リゾートを整備する構想を打ち出し、東京都はカジノや劇場の誘致を視野に入れて臨海副都心への国際会議誘致に力を入れる意向だ。千葉市美浜区の幕張地区では地元企業が中心となって統合型リゾートの誘致を目指している。さらに九州では、宮崎県宮崎市がシーガイアへの誘致を目指し、長崎県佐世保市のハウステンボスも候補として浮上している。
■カジノ関連セクター&銘柄
カジノ関連のセクター・銘柄としては、アミューズメント施設関連、遊戯機器・部品関連が中心となる。それ以外にも建設・不動産、ホテル・リゾート・レジャー施設、さらに外食など、観光関連との重複も含めて幅広いセクター・銘柄が対象となりそうだ。
【アミューズメント施設運営関連】
アドアーズ<4712>、ウェアハウス<4724>、ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)<6425>、セガサミーホールディングス<6460>、バンダイナムコホールディングス<7832>
【アミューズメント施設運営サポート・内装・ディスプレー関連】
インターライフホールディングス<1418>、イチケン<1847>、コモンウェルス・エンターテインメント<7612>、スペース<9622>、乃村工藝社<9716>、丹青社<9743>
【遊戯機器・金銭管理機器・部品・ゲーム・システム関連】
フィールズ<2767>、ミタチ産業<3321>、デジタルハーツ<3620>、テックファーム<3625>、ポールトゥウイン・ピットクルーホールディングス<3657>、ゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>、藤商事<6257>、平和<6412>、SANKYO<6417>、日本金銭機械<6418>、マースエンジニアリング<6419>、ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)<6425>、オーイズミ<6428>、ダイコク電機<6430>、グローリー<6457>、セガサミーホールディングス<6460>、アクセル<6730>、サン電子<6736>、ナナオ<6737>、リアルビジョン<6786>、バンダイナムコホールディングス<7832>、マミヤ・オーピー<7991>、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>、カプコン<9697>、コナミ<9766>。
【その他(企画・誘致、ホテル・リゾート・レジャー施設・劇場、国際会議、警備など】
ALSOK(綜合警備保障)<2331>、ゲンダイエージェンシー<2411>、博報堂DYホールディングス<2433>、一休<2450>、ヒビノ<2469>、翻訳センター<2483>、JALUX<2729>、電通<4324>、オリエンタルランド<4661>、RSC<4664>、フジ・メディア・ホールディングス<4676>、ラウンドワン<4680>、リゾートトラスト<4681>、リゾートソリューション<5261>、空港施設<8864>、日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>、エイチ・アイ・エス<9603>、グリーンランドリゾート<9656>、よみうりランド<9671>、東京都競馬<9672>、常磐興産<9675>、東京ドーム<9681>、東洋テック<9686>、鴨川グランドホテル<9695>、日本空港ビルデング<9706>、帝国ホテル<9708>、ロイヤルホテル<9713>、ホテルニューグランド<9720>、藤田観光<9722>、京都ホテル<9723>、KNT・CTホールディングス<9726>、セコム<9735>、CSP(セントラル警備保障)<9740>。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:35
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