■内外とも増勢の観光旅行、海外は円高が追い風、国内はツリー効果 観光旅行・レジャー関連業界では、東日本大震災後の自粛ムードが一巡して需要の回復傾向を強めている。
春の行楽シーズンであるゴールデンウイーク(GW)期間は、天候不順の影響などで地域や業種によってややバラツキもあった模様だが、今年GWは休日の並びが良かったこともあり総じて好調だった模様である。さらに今後、夏から秋の行楽シーズンを迎えて一段の盛り上がりが期待されている。
海外旅行では為替の円高が追い風となって好調を維持している。また国内旅行では「東京スカイツリー」など、新観光スポットがGW前後から相次いでオープンしていることも寄与するだろう。
外国人訪日客の回復がやや遅れている模様だが、ビザ発給要件の緩和やLCC(格安航空会社)の就航なども寄与して、徐々に回復傾向を強めるだろう。
観光庁が5月17日に発表した「11年度主要旅行業者旅行取扱状況年度総計(速報)」によると、11年度(11年4月〜12年3月)の総取扱額は6兆490億円で、10年度(10年4月〜11年3月)に比べて0.5%減少となった。
このうち海外旅行は2兆2345億円で同2.0%増加した。為替の円高などが寄与して好調を維持した形である。一方、国内旅行は3兆7670億円で同1.4%減少、外国人旅行は473億円で同25.3%減少した。11年3月に発生した東日本大震災後の自粛ムードや、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染への不安などで、国内旅行と外国人旅行は低調だった。
ただし四半期別に前年度比増減率の推移を見ると、総取扱額は11年4〜6月(1Q)が16.2%減少、7〜9月(2Q)が0.5%減少、10〜12月(3Q)が2.9%増加、12年1〜3月(4Q)が13.4%増加と、回復傾向を強めている。
このうち海外旅行については1Qが11.9%減少、2Qが1.6%増加、3Qが5.7%増加、4Qが12.9%増加となり、為替の円高を追い風として、いち早く回復傾向となっている。国内旅行は1Qが17.6%減少、2Qが1.3%減少、3Qが1.5%増加、4Qが13.6%増加となった。11年10〜12月期以降は、東日本大震災後の自粛ムードが一巡して回復傾向を強めている。一方で外国人旅行は1Qが61.8%減少、2Qが22.8%減少、3Qが7.0%減少、4Qが20.6%増加となった。外国人の間では放射能汚染に対する不安感が強い模様で回復が遅れていたが、12年1〜3月以降は回復傾向となっている。
■国内宿泊観光が急回復、日帰りも引き続き好調 また、観光庁が6月18日に発表した「旅行・観光消費動向調査」によると、12年1〜3月期の旅行・観光の消費額(速報)は、国内宿泊観光旅行が2兆304億円となり、11年1〜3月期に比べて21.7%増加し、東日本大震災前の10年1〜3月期との比較でも5.7%増加した。国内日帰り観光旅行は7536億円となり、11年比で27.4%増加し、10年比でも7.5%増加した。
12年1〜3月期の延べ旅行者数(速報)は、国内宿泊観光旅行が4195万人・回となり、11年比で26.4%増加し、10年比でも17.7%増加した。国内日帰り観光旅行は4911万人・回となり、11年比で31.3%増加し、10年比でも25.4%増加した。
これらのデータから明らかなように、東日本大震災後の自粛ムードが一巡して、海外旅行は好調に推移し、国内旅行も東日本大震災前を上回る水準に回復している。そして観光旅行・レジャー関連業界にとって、今年の夏から秋にかけては一段の盛り上がりが期待されるだろう。
【特集:観光旅行・レジャー関連】
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(1)自粛ムード一巡し需要の回復傾向強める・
(2)海外旅行の大手各社取扱額は好調・
(3)五輪効果に原油価格下落の恩恵も・
(4)スカイツリー効果で外国人観光客も回復・
(5)LCC就航・増便が人気に拍車・
(6)有望旅行関連銘柄が浮上の気配
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:44
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