浅妻昭治のマーケット・センサー
理想買いから現実売り―――兜町では日々、当たり前に繰り返されている相場シーンである。期待材料を先取り・先食いして株価が上昇して、期待材料が、現実化した途端に材料出尽くし感を強めて急落する相場パターンである。同じケースとは分かってはいるが、連休前の4月27日の日経平均株価の反落は、少なからず失望感を誘った。
日銀が、同日開催した金融政策決定会合で期待通りに追加金融緩和策を決定し、同緩和策が伝わった後場寄り付きには、日経平均株価が129円高と急伸したものの、同時進行した円高に押されて大引けは40円安と反落してしまった。しかも、前日には主力株が、増益転換・黒字転換予想の2013年3月期決算を発表したが、大引けで前日比プラスを維持したのはごく一握りの銘柄にとどまり、大半の銘柄が、その増益・黒字転換業績が、市場コンセンサスを下回るとして値下がりしてしまった。
今年2月の金融政策決定会合でも追加金融緩和策が発表され、円高が急速に修正され、日経平均株価は年初来高値1万255円まで急伸を演じたが、この再現を先取り・先食いした市場の期待は空振りとなった。しかも、この2月は、3月期決算会社の前期第3四半期業績発表のピークに当たり、多くの主力株が業績の下方修正、赤字転落、赤字幅拡大などを開示していた。その赤字転落会社に対しては、逆に「赤字を計上できることは体力、底力がある証」と究極のポジティブ評価をして年初来安値水準から高値まで大幅高したのである。この4月末も、相場環境として酷似しており、連想して再現期待を高めるのは当然であった。
27日の空振りが、今後の三振、ゲームセットにつながるかを結論付けるのはまだ早計だろう。連休の谷間、連休明け後の相場動向を注意深くウオッチしなければならない。ただ、少なくとも主力株を中心に業績相場が本格化するとするベストの相場シナリオだけを金科玉条とするのはリスクが大きい。ベスト・シナリオが、失速した場合の二の矢、三の矢の相場シナリオも準備しておく必要となる。
この二の矢、三の矢の相場シナリオで注目したいのが、2部株投資である。今年2月末も、東証2部総合株価指数が、最長の連騰記録を更新したが、この再現の先取りシナリオである。問題は、どの2部株にターゲットを絞るかにある。ここで参考にしたいのが、今年3月15日にみずほ証券リサーチ&コンサルティングが公表した投資分析レポートである。同レポートは、東証1部指定替え候補銘柄をリサーチしたもので、具体的に36銘柄をリストアップしており、うち24銘柄が東証2部株で占められており、これをマークする先取りシナリオである。
同コンサルティングは、昨年12月も同様のリポートを公表、リストアップ銘柄から今年2月末までに5銘柄が、実際に東証1部に指定替えされるなど確率の高さを誇っているが、今回のリストアップ銘柄でも、
松風<7979>(東1)が、3月29日付けで指定替え承認を実現した。同社の株価は、指定替えに際して東証株価指数(TOPIX)に算入され、指数連動型のファンドの新たな買い需要が発生する需給思惑から、承認とともに150円高、高値後のスピード調整を経て年初来高値1048円まで200円高した。リストアップされた2部株に同様の展開を期待して待ち伏せ買いするのである。(続きと詳細は
「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:05
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