浅妻昭治のマーケット・センサー
3月決算会社の業績発表が始まった。発表一番乗りは、例年通りに
あみやき亭<2753>(東1)と
アドヴァン<7463>(東1)の2社であった。3月期決算締め切り直後の4月2日の寄り付き前、7時30分に仲良く発表して同着となった。かつては、先陣争いで抜きつ抜かれつを演じたが、このところは本決算だけでなく四半期決算でも同着と一番乗りを分け合ってきた。
この超早期開示には、株価プレミアムがついているようである。取引所が勧奨する迅速なディスクロージャーの模範生であり、さらにこの決算記事は、必ず大新聞が、取り上げるからである。好決算なら大きく持ち上げ、芳しい決算内容でなくても、叩き記事とはならず好意的に取り上げる傾向が見受けられる。このプレミアムは、10%近くに達すると個人的には試算している。
この決算開示に関して、もう一つ発表プレミアムが期待できる銘柄グループがある。大型連休中の谷間期間中に決算を発表する銘柄群である。3月期決算の発表は、スタート直後に5月のゴールデン・ウイーク入りで中断となる。ただしマーケットは、連休の谷間の5月1〜2日は通常通りに場を開いており、つれて小数だが、この谷間に決算発表を行なう会社がある。昨年の大型連休は、日並びがよいといわれて、谷間は5月2日の1日だけだったが、今年は、1日、2日の2日間となる。この2日間に決算を発表する銘柄には、「谷間プレミム」が期待でき、もう一つのサクセス・シナリオが描けることになる。
なぜ「谷間プレミアム」が期待できるかといえば、注目度が増すからだ。世の中が、最大9連休となる大型連休に浮かれ、市場参加者が少なくなるのとは対照的に、サーリーマン投資家のなかには、このときとばかりにパソコンの前に座りネット取引にてぐすねを引く向きも少なくない。またマスコミ各社は、この時期、ネタ不足に苦労する。普段は取り上げることのない決算記事を詳報するケースも出てくる。これは証券マンにも共通で、株価材料品枯れのなか、決算発表会社に飛び付き買いを敢行しないとも限らない。
この「谷間プレミアム」は、早速、この大型連休中から狙ってみる価値がある。ターゲット株は、決算発表のスケジュールに目を通せば自ずから浮かび上がってくる。東証、大証で5月1〜2日に発表を予定している銘柄は、重複を除くと40社強に達する。この40社強からより高プレミアムが期待できる銘柄を厳選するのである。
もちろん、「谷間プレミム」を謳歌するのは予定通りに決算を発表する銘柄だけに限られるわけではない。ポジティブ・サプライズのある銘柄にも株価上乗せ効果が、期待できる。昨年でいえば、5月2日に業績を上方修正した
GMOペイメントゲートウェイ<3769>(東1)、
丸山製作所<6316>(東1)、
兼松<8020>(東1)は、連休明け後に高人気化したが、こうした銘柄が出てきた場合は、素直に追随することはいうまでもない。
スケジュール通りに決算を発表する40社強からどう妙味株を絞り込むか?まず昨年も連休の谷間の2日に決算を発表したかどうかでフルイにかけ、次に2012年3月期決算が好調に推移したか不調だったか、今期業績も期待できる要因があるかどうかでスクリーングするのである。
昨年5月2日に決算を発表し、今年も5月1日に発表を予定している
日本調剤<3314>(東1)、
出光興産<5019>(東1)は、今年1〜2月に2012年3月期業績を下方修正したばかりだが、これも谷間プレミアムからすれば、決算発表に際しては悪材料出尽くしと評価される可能性もある。この2銘柄と対照的に2012年3月期業績を上方修正し昨年と同様に連休の谷間に決算発表を予定している銘柄をピックアップすると、限定5銘柄があげられる。決算発表をぜひマークし、当たりをつけておくべきだろう。(続きと詳細は
「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:45
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