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記事一覧 (11/18)クリスマス商戦から連想して、食料品セクターを見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (11/14)懐かしい「飛ばし」という大見出し、90年代初めのマスコミ報道=浅妻昭治
記事一覧 (11/11)「企業業績の悪化」を織り込む展開へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (11/11)昭和時代の事件、再審請求のニュースから…社名に「昭和」のつく銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (11/07)昨今の相場はノイズばかりが前面に出て聞こえるはずの相場の声が・・・=浅妻昭治
記事一覧 (11/04)『NY強調で底堅い展開』を予想=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (11/04)政治家の「器」を垣間見た気がした…ところから、なぜか連想?建設業セクター=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (11/01)直近IPO2銘柄は「小さく産んで大きく育てる」IPO投資の理想形=浅妻昭治
記事一覧 (10/28)『決算横目に上値を試す展開』を予想=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/28)ホリデイ・シーズンに…お菓子から連想した銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (10/24)【今日の出来事&マーケット】ドル急落・NYダウ急伸は何を意味するか?=犬丸正寛
記事一覧 (10/24)自己責任の「投資」は、責任なすりつけ合いの「投機」に変じる?=浅妻昭治
記事一覧 (10/21)『波乱の中で下値を固める展開』を予想=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/21)秋の味覚から連想して、飲食店銘柄をウオッチしてみた=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (10/19)【今日の出来事&マーケット】ソフトバンクとドラゴンズ優勝は地方時代を象徴?=犬丸正寛
記事一覧 (10/18)【今日の出来事&マーケット】オリンパス株急落の意味するものは何か?=犬丸正寛
記事一覧 (10/17)昨今の相場は「先読みの先倒れ」という新格言が成立しそうな危うさ=浅妻昭治
記事一覧 (10/14)『本格相場への道を探る』展開へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/14)「イクメン」方面からもアピール…食品株=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (10/11)東京電力に「水に落ちた犬は叩け」とばかりに情け容赦なく指弾=浅妻昭治
2011年11月18日

クリスマス商戦から連想して、食料品セクターを見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 1ヵ月ほど前に、「まだ10月なのに、早くもクリスマスを意識したブランドサイトがある」という内容の原稿を書いたが、その後、11月に入り、多くのネットサイトでクリスマス商戦が始まっている。たとえばアメリカ系の宝飾ブランド、ティファニーのサイトでは、「12月○○日まで、ご注文金額が※※円以上の場合、配送料無料でお届けします」と出ているし、イギリス系ファッションブランドのバーバリーのサイトでは、クリスマスっぽいラッピングをしたプレゼントの画像を配し、スカーフ、バッグ、アクセサリーなどのギフト向け小物を多く出している。

 デパートやスーパーの売り場でも、まだクリスマス商戦は本格化していないように見えるものの、すでにクリスマスツリーやそれらしいディスプレイが飾られているところが多いような印象だ。クリスマスケーキや、パーティ用のお惣菜の受注も始まっている。また、この時期はお歳暮シーズンでもあり、多くのデパートでは専用の会場を設けて対応している。

 先日のボジョレー・ヌーヴォー解禁日にも思ったことだが、以前の好況期ほどの華やかさは無いものの、やはり行事ごとの時期というのはお店にとっては書き入れ時のひとつであるし、われわれ消費者にとっても、なんとなくワクワクしてしまう時節でもある。なので、商業主義に素直に乗せられて楽しむのもいいのではないか、と思ったのだった。

 クリスマスケーキやお歳暮から連想して、食料品セクターの銘柄を見てみた。

★江崎グリコ〈2206〉(東1)

 菓子メーカーの江崎グリコ<2206>(東1)を入れる。ポッキーなどのお菓子で有名だが、取り扱い商品分野は、冷菓、食品、牛乳・乳製品、畜産加工品など多岐に亘る。18日終値は6円高の941円。単位1000株。PERは約37.8倍、PBRは約1倍となっている。チャートは10月6日につけた年初来高値1005円から反落局面に転じていたが、11月4日につけた直近安値901円からは反発している。1000円フシまでの戻りが目標か。信用倍率は約0.1倍の売り長となっており、買い戻しによる踏み上げも期待できそうだ。

★日本ハム〈2282〉(東1)

 食肉、ハム・ソーセージで首位の日本ハム<2282>(東1)を入れる。18日終値は8円安の960円。単位1000株。PERは約17.6倍、PBRは約0.7倍となっている。チャートはこの3〜4ヵ月ほど、安値圏の950〜1000円ラインの間でモミ合いが続いている。モミ合い上ばなれから、まずは1050円フシ上抜けを目指す。信用倍率は約0.5倍の売り長となっており、買い戻しが入ってくることも期待できそうだ。大和証券キャピタル・マーケッツは14日付けのレーティングで、投資判断「1」(買い)、目標株価(6ヵ月)1200円とした。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:16 | 特集
2011年11月14日

懐かしい「飛ばし」という大見出し、90年代初めのマスコミ報道=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 上場会社や経済官庁の記者会見に出席するのは、経済部や証券部の記者と決まっている。幹事会社の代表質問のあと、どこの新聞社の記者が、質問の口火を切るか、上場会社や経済官庁の答えがどうなるかもおおよそ察しがつき、記者会見は、すべては想定問答集通りに進行するのが普通である。

 ところが、この記者会見に社会部の記者が出席すると、雰囲気は一変する。社会部の記者が出席するということは、記者会見そのものがスキャンダル絡みの緊急会見ということになる。記者の数は膨れ上がり、会見場にテレビカメラが入り、カメラマンが大挙押し寄せ、騒然として緊張感が走る。質疑の方向も、想定問答集のワクには収まらず予測不可能で、記者の厳しい詰問に担当者の答えは防戦一方となり、広報担当者も制御不能になる。

 「損失隠し」発覚で株価が急落し「監理銘柄」に指定されたオリンパス<7733>(東1)の記者会見も、現場には立ち会ってはいないが、その雰囲気はおおよそ想像ができるというものである。関連の新聞記事には、あの懐かしい「飛ばし」という大見出しが躍った。20年も前の1990年代初めのマスコミ報道が激化した証券不祥事当時に、新聞紙面を飾った証券用語である。「営業特金」、「握り」、「損失補てん」などとスキャンダルが次々と発覚し、ついには当時の故橋本龍太郎蔵相の辞任にまで発展した。

 国会の特別委員会の証人喚問には、社会部の記者が押し寄せて記者席は満杯となり、兜町のあちこちでは、大手証券の子会社が入居するビルの前にテレビカメラやカメラマンが、張り付いて屯するのが目撃された。この取材攻勢の目指すところはただ1つである。記者用語でいうところの「クビを取る(辞任)」か「縄付き(刑事被告人)を出す」かのいずれである。

 ともに監理銘柄に指定されたオリンパスと大王製紙<3880>(東1)の上場維持問題は、予断を許さない。東京市場は、欧米市場や中国市場の動向に振り回されて独自材料に事欠くといわれ続けてきたが、監理銘柄2銘柄は、日本企業のコンプライアンス(法令遵守)・ガバナンス(企業統治)問題としてマイナスの独自性を発揮し、売りの引き金材料とならないとも限らない。

 閑話休題。東京証券取引所には、11月29日に「東証マザーズCore指数」と連動する上場投資信託(ETF)が上場されるが、この上場を記念して東証が開催する上場セレモノーには、まさか社会部の取材攻勢はないはずである。個人投資家にも参加を募り、同時に東証マザーズの市況活性化シンポジウムも開催するから、ことによれば、これは東京市場のポジティブは独自材料になるかもしれない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:14 | 特集
2011年11月11日

「企業業績の悪化」を織り込む展開へ=犬丸正寛の相場展望

■「輸出関連企業」の業績が急速に悪化!

「企業業績の悪化」を織り込む展開へ=犬丸正寛の相場展望 来週(14〜18日)は、『企業業績の悪化』を織り込む展開とみられる。9月の本・中間決算の主力どころの発表がほぼ一巡した。ソニー、パナソニックなどは、今3月期の最終損益が赤字見通しとなるなど、総じて、「輸出関連企業」の業績が急速に悪化している。

 EUの金融不安、中国など新興国の経済減速感、円高が響いている。たとえば、企業業績の悪化を現しているのが、日経平均の「予想PER」の上昇。日経平均は夏場水準とほぼ同じ位置にあるのに、PERは夏場の12倍台から現在は15倍台へ上昇している。

 PER=「株価」÷「1株利益」だから、夏場に比べ株価は同じでPERが上がっていることは1株利益が下がっていることである。つまり、企業業績が悪化し始めている。

 それでも今は、輸出株の不振を、輸出株以外の銘柄がカバーして、平均のPERは15倍台という姿だ。しかし、パナソニック<6752>(東1)ソニー<6758>(東1)オリンパス<7733>(東1)トヨタ自動車<7203>(東1)などの輸出株を中心に保有して人にとっては、PERは15倍台ではなく、100倍以上という印象だろう。

■どの時点で先行きの見極めがつくか?

 今後の見所は、トヨタ自動車が今3月期の見通しを「未定」としているように、先行き不透明なことに対し、どの時点で先行きの見極めがつくかである。トヨタでは、「円高」、「タイ洪水」の影響を業績「未定」の理由として挙げている。今後、とくにタイ洪水の影響は、上場企業の今期業績を押し下げる要因として表面化することが予想される。

 ヨーロッパもギリシャに続いてイタリアなどの財政不安が続いている。「借金問題」は、個人でも企業でも国家でも簡単には片付くものではない。とくに、「借金体質」という根本的な問題が解決されないからだ。

 「TPP」、「沖縄問題」も簡単ではない。これまで、アメリカ政府を蹴飛ばすような態度を取ってきた、日本の民主党政権に対し、アメリカは妥協することはないだろう。

 第3次補正予算が成立するのは、せめてもの救いではある。しかし、TPP、沖縄問題の行方次第では「解散」の可能性も否定できない。

 そうなれば、企業業績の先行きに不安がある中で、また政治空白となって、景気には悪影響。もちろん、解散があれば、新しい政権への期待は膨らむものの、その前に相場は、日経平均が3月の震災時下げでつけた安値(場中)8227円を見に行く可能性もあるだろう。とくに、このところの名門企業の相次ぐ株価暴落で中長期スタンスの買いが入り難くなっていることがマーケットにとっては痛い。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:55 | 特集

昭和時代の事件、再審請求のニュースから…社名に「昭和」のつく銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 11日付けのヤフーニュースで、「三鷹事件、44年ぶりに再審請求」という記事を見た。複数の新聞社や通信社が出した記事によると、同事件は、東京の国鉄(当時)三鷹駅で昭和24年(1949年)7月に無人の列車が暴走して6人が死亡、20人が重軽傷を負ったもの。国鉄労働組合員10人が電車転覆致死罪で起訴され、9人が無罪となり、1人は死刑が確定したが、収容中に病死した。今回は、その元死刑囚の現在60歳代の子息が、東京高裁に2回目の再審請求を申し立てたそうだ。10日に再審弁護団が明らかにしたところでは、元死刑囚の自白内容に無理があることや、アリバイの目撃証人がいることなど、28点(メディアにより38点との報道も)の新証拠を提出したという。

 三鷹事件は下山事件(昭和24年7月、下山定則国鉄総裁が失踪し、翌日、東京・綾瀬の線路上で遺体となって発見された事件)、松川事件(同年8月、福島県松川町で列車が脱線、3人が死亡)と並ぶ、戦後の有名な事件だ。推理作家の松本清張が著書『日本の黒い霧』で取り上げたこともあり(三鷹事件を除く)、人口に膾炙しているというイメージだ。また、多くのルポルタージュ本やドキュメンタリー番組で取り上げられ、謀略説などいろいろな説が出ている。

 平成に入って20年以上が経ち、人的・社会的な制約が当時とは違ってきている現在、新たな証拠や検証などで、真実が明らかにされるのだろうか、できればそうあってほしいと思った。

 上記の文とは関係ないが、連想して、社名に「昭和」のつく銘柄を見てみた。

★昭和シェル石油〈5002〉(東1)

 石油元売の昭和シェル石油<5002>(東1)を入れる。11日終値は6円安の507円。単位100株。PERは約6.8倍、PBRは約0.7倍となっている。チャートは4月4日につけた年初来高値912円から反落し、以降は続落トレンド。本日11日には年初来安値502円をつける場面もあった。地合いが軟調とはいえ、そろそろリバウンドに転じる頃合いか。底値圏の買い時と見て、まずは600円フシまでの戻りを目指す。11月4日付けのSMBC日興証券のレーティング(対象期間6〜12ヵ月)では、投資判断「2」(セクター平均並み)、目標株価580円とされた。

★丸全昭和運輸〈9068〉(東1)

 物流マネジメント、オペレーション、輸送業務、輸出入関連サービス、保管などの総合物流事業を行なっている、丸全昭和運輸<9068>(東1)を入れる。客先は石油化学、鉄鋼、建設機械、精密機械、アパレルなど多岐に亘る。11日終値は2円高の246円。単位1000株。PERは約9.3倍、PBRは約0.4倍となっている。チャートは9月30日につけた直近高値293円からの反落局面。下値240円フシにあたり、そろそろ反発のタイミングと見たい。13週移動平均線であり、ひとつのフシでもある、270円ライン奪回が目標か。

 業績は堅調。今期2012年3月期連結業績予想は前年比増収増益を見込んでおり、とくに前年に前々年比で少し凹んだ営業利益と純利益は、今期は2ケタ増益予想となっている。『会社四季報』には、次期2013年3月期も増収増益との予想値が出ている。6月末で利益剰余金383億6200万円、有利子負債210億6400万円、前期末で現金等115億9900万円と財務面も堅い。筆頭株主は丸全商事で、他の大口株主には自社(自己株口)、自社取引先持株会のほか、生保、損保、都銀、地銀、信託銀、信託口などが並んでおり、こちらの面から見ても堅そうだ。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:07 | 特集
2011年11月07日

昨今の相場はノイズばかりが前面に出て聞こえるはずの相場の声が・・・=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 年は取りたくないものである。私事で恐縮だが、テレビの音が聞き取り難くなってだんだんテレビのボリュームが大きくなり、家族の顰蹙を買うようになった。聴覚障害、難聴かと心配になって耳鼻咽喉科を受診した。担当医は、聴力検査をしたうえで心配はないという。高い周波数の音への聴力が低下する一部老化現象はあるが、標準値は超えているとの診察結果である。

 テレビのボリュームが大きくなるのも、聞き手の受信側の語音明瞭度に問題があるのではなく、発信側の放送局側の発音明瞭度の低下が原因であるとの見立てである。NHKのアナウンサーのように、ボイストレーニングをきちんと受けて、滑舌が回り、話す速度もゆっくりなら明瞭度に問題はないが、最近は、粗製濫造タレントが出ずっぱりで滑舌は回らず、そのうえ早口のスピード違反が横行しているから、明瞭度が低下して音量を上げてしまうのだという。名医の診断に畏敬の念を強めて安心するとともに、これはことによったら現在の株式投資にも当てはまるのではないかと妙な納得をした。

 「相場は相場に聞け」という相場格言がある。先入観に捉われずに素直に株価が発する声(情報)に耳をそばだてれば、自ずと株価の方向、「買い」か「売り」か、それとも「休め」かが聞き分けられ、株式投資のリスクを最小化し、リターンを最大化できるという教えである。ところが、昨今の相場は、この相場の声が聞こえ難くなっているのである。ノイズばかりが前面に出て、聞こえるはずの相場の声を覆いつくしてしまうのである。

 例えば、欧州の債務不安も、ギリシャの国民投票回避で本当に解決に向かっているのかどうかの情報は錯綜して、振り子は「売り」から「買い」まで何回も行きつ戻りつを繰り返すばかりである。決算発表にしても、下方修正をした銘柄に下げる銘柄もあれば上げる銘柄もあり、一方、上方修正した銘柄にも、買われる銘柄もあれば売られる銘柄も混在して方向性が、とんと定まらない。

 このノイズ相場は、名医の診断に従えば、聞き手サイドの投資家に問題があるのではなく、発信側のマーケットに問題があることになる。世界にはマネーが溢れ返って一億総投機化どころか、七十億総投機化し、一分一秒を争って強気と弱気が交錯し高速スピード化をしているのである。これでは、滑舌が回らず早口でまくし立てる粗製濫造タレントと変わらない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:17 | 特集
2011年11月04日

『NY強調で底堅い展開』を予想=犬丸正寛の相場展望

★電気など企業業績悪化は頭を押える、暖冬も消費に打撃

『NY強調で底堅い展開』を予想=犬丸正寛の相場展望=犬丸正寛の相場展望 来週(7日〜11日)は、『NYダウ強調を背景に底堅い展開』が予想されそうだ。

 NYダウは、10月21日に75日線を上回って以降、同線を割り込むことなく強い動きとなっている。仮に、調整があっても75日線(直近1万1480ドル)で下げ止まるものとみられる。ただ、短期的な上値のフシとなっている10月27日の1万2284ドルを抜くことができるかどうか。抜けば、1万2750ドルの壁へ挑戦のコースとなるだろう。1万2284ドルを抜くことができないようだと、1万1500〜1万2280ドルのモミ合いへ移行も予想される。

 ギリシャ問題は借金の多い国の先行きの難しいことを露呈した。国家でなくとも企業でも個人でも同じだろうが。陽気な話ではなく、陰気な話しだけに株価にはおもしろくない。目先的にいくら繕っても多額の借金を抱え、働く気のない相手を助けることには限界があるのではないか。しかも、「借りた者の強み」で、借りた者が開き直って貸した相手を半ば脅している状況だ。

★第3次補正予算成立に期待、やはり復興関連

 仮に、今回、EUがギリシャに対し妥協したとしても先行き同じことが通用するとは思えない。健全国のドイツ国民だって、ギリシャを救済するかどうか、「国民投票」をやってくれという可能性だってあるはず。ユーロ通貨の弱体化は、裏を返せばドルが強くなることでもある。「世界は、やはりドル」ということになればNYダウにとっても悪い話ではない。このあたりのことが、NYダウ強調の背景としてチラつく。

 ただ、決算発表最中の日本市場は本格的な上昇ということにはならないだろう。電気中心に企業業績の落ち込みが、あまりにも大きい。それをカバーするだけの内需の盛り上がりもない。しかも、「タイ洪水」の影響に加え、ここに来て、「11月に夏日」状態となって、冬物商品に打撃となっている。「冬物は1,2月に寒くてもあまり影響はない。冬物にとっては11月の気温がポイント」(中堅証券)だからだ。このまま、暖かい日が続くと、今年の冬物関連銘柄には期待できない。

 こうなってくると、11月中に成立見通しの第3次補正予算による「復興関連」に注目するしかなさそうだ。ただ、TPP問題がもつれると、予算後に解散選挙も考えておく必要はありそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:26 | 特集

政治家の「器」を垣間見た気がした…ところから、なぜか連想?建設業セクター=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 『文藝春秋』誌11月号を読んだ。10月8日発売号なので、すでに次号が出ているのかもしれないが、待合室でたまたま手に取ったところ、おもしろかったのでつい読みいってしまった。目玉特集のひとつは「田中角栄の恋文」。田中角栄元首相が、婚外の恋人であり、仕事上のパートナーでもあった佐藤昭さんに宛てた手紙類。それらがこのほど、昭さんと角栄氏の娘、佐藤あつ子さんが母親の遺品を整理していたおりに発見されたということで、評論家の立花隆氏の解説等をまじえて掲載されていた。

 手紙類は、角栄氏の直筆で「君(昭さん)とあつ子を誰よりも愛し、将来の幸福のため全力を尽くします」という内容の念書?のような物から、あつ子さんが生まれてすぐの頃なのか、「新生活の準備のために、とりあえずサンウェーブの株を売ったお金1500万円を渡します」といったような内容の物、昭さんに約2億円を借りるという借用書?のような物までさまざまあり、人間・田中角栄の息遣いが感じられるようでおもしろかった。

 ところで、同号には別の記事の「時代を創った女」というシリーズで、ジャーナリストの青木理氏による「中西ミツ子/総理を倒した元芸者と『マドンナ旋風』」が掲載されていた。1989年に、元芸妓の女性が宇野宗佑首相(当時)の愛人問題を週刊誌で告発。この問題が要因のひとつになり、自民党が選挙で惨敗したため、宇野氏は首相を引責辞任した。これらの経緯などについて、新たな取材等をもとに、現在の視点から、当時の状況等を振り返った内容となっている。

 その記事で、女性や周囲の人たちの話を読む限りでは、宇野氏は最初から最後まで女性を道具のように扱ったという印象を受ける。記事には、その女性の「元愛人と呼ばないでほしい。私は宇野氏から『愛された』ことはないのだから」といったような内容のコメントも載っており、胸に迫る物を感じた。

 角栄氏と宇野氏は置かれた状況も時代も違うし、一概に比べられはしないが、それでも、「両者の、政治家として、人間としての違いは、たとえばこういうところにもあったのではないか」と私は思った。カネと権力を持ち、何でも思い通りにしようと思えばできる立場にいても、愛する女性と子供に対しては誠実でありたいと、大真面目に「念書」を書く角栄氏に、人間としての器の大きさを見たように思う。婚外の恋人や非嫡出子をつくることが、社会的に、道徳的に、そして正妻や嫡出子に対して誠実かどうかは、また別の問題だが…(笑)。

 上記の文とは関係ないが、「政治とカネ」から連想して(?)、建設業セクターで優良銘柄を探してみた。

★ダイセキ環境ソリューション〈1712〉(東1)

 汚染土壌の調査、処理、リサイクル事業を行なっている、ダイセキ環境ソリューション<1712>(東1)を入れる。4日終値は2700円高の18万5300円。単位1株。PERは約41.1倍、PBRは約2.3倍となっている。チャートは9月26日につけた直近安値17万1700円からは反発したが、ここのところ、18万円台でモミ合いが続いている。上放れで、まずは20万円フシまでの戻りが目標か。10月中旬にコスモ証券が出したレーティング(投資期間6ヵ月)では、投資判断「B+」(5段階の2位)、目標株価23万円とされた。業績は好調。前期が凹んだとはいえ、今期2012年2月期は前年比2ケタ増収、営業・経常・純利益とも同2倍以上の増益を見込んでいる。

★積水ハウス〈1928〉(東1)

 積水グループで、工業化住宅請負、不動産販売・賃貸事業を行なっている、積水ハウス<1928>(東1)を入れる。4日終値は7円高の683円。単位1000株。PERは約13.0倍、PBRは約0.6倍となっている。チャートは3月14日につけた年初来高値944円から反落し、以降は続落トレンドとなっていた。が、8月19日に年初来安値642円をつけて以降はリバウンド。この1〜2ヵ月ほどは700円ライン前後でモミ合っている。長期チャートで見ても、とくに高値圏というわけではなく、PERやPBRを見ても、とくに割高感・過熱感は感じられない。まずは750円フシ上抜けを目指す。SMBCフレンド調査センターが2日付けで出したレーティングでは、「強気」(今後6ヵ月間の目標株価が現在の株価を10%以上、上回ると判断する)据え置きとされた。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:15 | 特集
2011年11月01日

直近IPO2銘柄は「小さく産んで大きく育てる」IPO投資の理想形=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー マネーはファッショナブルである。変わり身が速く、志操堅固などとは無縁である。「リスク・オフ(回避)」が突然、「リスク・オン(取得)」に変わることなど日常茶飯事だ。この10月も、月末ギリギリになって超弱気が超強気に180度転換した。キッカケは、27日の欧州連合(EU)ユーロ圏17カ国首脳会議での包括戦略の合意で、欧州の債務問題は一件落着として株価が急反発に転じた。

 マーケット関係者のコメントでも、投資テーマとして、欧州の金融システム不安は、もうシーズン・オフだという。11月3〜4日開催のG20(主要20カ国・地域)首脳会議のテーマも、欧州大手銀行の資本増強ではなく、景気回復策となるからだというのである。その証拠に、欧米各国の株価は、NYダウを筆頭に7月高値から10月安値まで急落した下落幅の半値戻しを達成している。相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」というわけだ。スタンダード・バラードの“世界は日の出を待っている”ではないが、“世界は株高を待っている”ことになる。

 独り取り残されたのが、日本である。為替介入のチャンスをみすみす取り逃がして円高は収まらず、日経平均株価の反発も、この夏の急落幅の3分の1戻しにとどまっている。G20では、消費税10%への引き上げを国際公約すると巷間伝えられているが、そんなことをしたら、世界のファッションとなっている「景気回復」にまたまた周回遅れになるのではないかと心配になる。

 日本の投資家だって“株高を待っている”のである。その明確な証拠が、やはりこの10月末のIPO(新規株式公開)に如実に現れた。10月20日IPOのシンバイオ製薬<4582>(JQG)と24日のスリー・ディー・マトリックス<3Dマトリックス、7777>(JQG)である。

 シンバイオ薬は、公開価格560円に対して20%安の初値をつけ、ストップ安の370円と売られ、上場2日目は、312円まで続急落したが、3日目には410円まで急反発した。一方、3Dマトリックスも、公開価格2100円に対して43%の1200円で初値をつけ1180円まで売られたが、前週末は2091円まで急反発し、公開価格目前となった。

 両社株ともバイオ・ベンチャーで業績は連続赤字、それなのに上場時の資金吸収額は32〜43億円と大きく、そのうえロックアップ条項付きだが、ベンチャー・キャピタルの保有株も多い。公開価格割れの初値形成は、当然、事前予想されたことである。

 それがなぜ、上場安値から急反発したこといえば、シンバイオ薬は、主力薬が台湾で新薬承認を取得したと発表したことがキッカケで、3Dマトリックスは、強気の中期経営計画の開示を引き金とした。投資家は、“株高を待っている”とばかりに買い材料に飛び付いたのである。

 実は、この2銘柄の急反発には、「小さく産んで大きく育てる」IPO投資の理想形となる前段の銘柄があった。今年6月24日に新規上場されたイートアンド<2882>(JQS)である。初値を公開価格2860円を下回る2631円でつけ、2250円まで売られたが、その後は、8月の今3月期第2半期累計決算の上方修正をキッカケに底上げ、前週27日には上場来高値3080円まで買い直された。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:51 | 特集
2011年10月28日

『決算横目に上値を試す展開』を予想=犬丸正寛の相場展望

『決算横目に上値を試す展開』を予想=犬丸正寛の相場展望 来週(10月31日〜11月4日)は、『決算を横目で睨みながら上値を試す展開』だろう。日経平均は場中値ベースで9月2日以来、ほぼ2ヶ月ぶりに9000円台を回復した。この勢いで一気に上値追いを期待したいところながら、「企業業績の不透明感」が頭を押えそうだ。

 「EU包括戦略」会議の合意で、当面は、「ヨーロッパ発の金融不安」は回避された。NYダウは8月2日以来となる1万2000ドル台に急伸、好感した。合意の中身は、「民間銀行のギリシャ債務の5割棒引き」、「銀行の資本増強」、「金融安定化基金の拡充」というもの。5割棒引き以外は、実行となると簡単ではないだろう。資本増強、基金拡充について、二つ返事で資金を出してくれるところがあるとは思えない。仮に、銀行が公的資金に頼れば、経営は縛られることになる。

 金融不安・混乱の起きたあとの経済活動は概して芳しくない。欧州は「国債」、日本は「不動産」という違いはあるものの、不動産バブルが弾けて金融不安に落ち込んだ日本は、いまだに後遺症になやまされ、内需不振が続いている。当然、今後のヨーロッパでも貸し渋りや信用力の低下から経済活動は長期低迷の懸念がある。ヨーロッパ輸出で潤ってきた新興国への影響もまぬがれないだろう。

 ヨーロッパ、振興国の経済活動が鈍ればアメリカへの影響も避けられない。その中でのNYダウの急伸ということだから、当然、上値には限界が予想される。とくに、NYダウには今年7月7日の1万2753ドルと、7月21日の1万2751ドルで、相場を見る人がもっとも嫌がる「ダブルトップ」の天井足が出ている。欧州の金融不安問題が根本的に解消されないと、この水準を本格的に上抜くことは難しいだろう。

 日本は、「決算発表」が本格化している。これまでの状況では、第1四半期(4〜6月)以降は、東日本大震災後の生産回復が寄与することから明るい見通しだった。しかし、夏場にヨーロッパでの金融不安、そして円高が加わった。この点の影響は任天堂<7974>日本写真印刷<7915>など欧州依存の高い京都銘柄等に業績悪化が顕著な形で現れている。それでも、株価にはかなり織り込んできていた。

★「タイ洪水」の影響判明は先へズレ込み上値圧迫に・4月からの超閑散でシコリなく売物は枯れている

 しかし、ここに来て、「タイ洪水」の影響が加わった。企業業績を見るうえで困ったことに、被害額が確定できていないことだ。このため、今度の決算発表時予想には十分反映されない。11月後半〜12月頃に被害額が表面化するものとみられ、企業業績はまだ安心できない状況である。

 ただ、4月以降の超閑散相場で、「シコリ」はあまりない。このため、売物が比較的少ない中で上値を追う可能性はある。当面の上値のフシは場中値で9098円(9月1日)、次いで9150円(8月16日)。ここを抜くと、9800円程度までは比較的真空地帯。第3次補正予算の閣議決定で復興需要の本格化を手がかりに、NYダウ次第では9800〜1万に挑戦する可能性なしとは言えない。しばらくは上値を試す展開だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:54 | 特集

ホリデイ・シーズンに…お菓子から連想した銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ インターネットの女性向けファッションサイトで、気に入っていつも見ているものがいくつかあるのだが、そのひとつ、アメリカのブランドサイトで、先日、画面のデザインが少しリニューアルされていた。いつもはピンクをベースにした画面構成なのだが、現在は赤を基調にした画面になっており、どうも、もうクリスマス商戦を意識しているらしいのだ。また、「△△△を買うと、期間限定で、※※※を無料プレゼント」といったようなキャンペーンも実施している。

「ホリデイ・シーズン!」みたいなことが書かれていたので、私は最初、「今の時期の祝日というと、ハロウィーンかな…? もう少し先には感謝祭があるから…???」と思った。が、画像の雰囲気やモデルさんの写真の背景・効果などから、やはりクリスマスを意識したものだと思われる。アメリカの祝日について簡単に調べてみたところ、「サンクス・ギビング・デー(11月の第4木曜日)はホリデイ・シーズンの始まり」といったようなことが書かれていた。

そういえば日本でも、早いお店は11月からクリスマスの飾りつけをし、ボーナス商戦に入る。また、ファッション業界ではすでに、2012年の春夏物のコレクションを発表している。消費者の財布の紐が固くなっているのは、世界的な現象なのかもしれず、その中で、いかに消費を先取りしていくのかが課題なのだろう、と思った。

 ハロウィーンやクリスマスから、ケーキやお菓子を連想して、粉、砂糖、牛乳などの関連銘柄を見てみた。

★日清製粉グループ本社〈2002〉(東1)

 製粉トップの日清製粉グループ本社<2002>(東1)を入れる。28日終値は19円高の982円。単位500株。PERは約15.8倍、PBRは約0.9倍となっている。チャートは10月6日につけた直近高値1036円から反落し、続落トレンドだったものの、きのう27日につけた直近安値954円から反発した。本日28日の場中に発表した第2四半期(4〜9月)連結決算は前年同期比増収減益で、5月に発表した予想値より下ブレした。また、同時に通期業績予想で売上高、営業・経常・純利益とも下方修正を発表したが、悪材料出尽くし感からか、地合いの良さも背景に、本日は反発して引けている。

反発したとはいえ、中期チャートで見るとまだまだ安値圏にある。信用倍率は約0.6倍の売り長となっており、今後は買い戻しも入ってくると見る。中期で戻りをジックリ待つのも一手か。財務面を見ると、6月末で利益剰余金2414億4600万円、有利子負債40億1800万円、前期末で現金等420億円と堅い。大口株主は生保や信託口、大手商社、都銀のほか、山崎製パンなどが並んでおり、これまた堅い。買い安心感がある銘柄の、安値圏の拾い時と見る。

★森永乳業〈2264〉(東1)

 乳飲料、ヨーグルト、アイスクリームなどのメーカー、森永乳業<2264>(東1)を入れる。28日終値は7円高の316円。単位1000株。PERは約10.9倍、PBRは約0.7倍となっている。株価は変わらずを1日はさんで、5営業日、続落となっていたが、きのう27日につけた直近安値303円から反発し、以降は地合いの好転も背景に、ジリ高トレンドで来ている。まずは350円フシまでの戻りが目標となりそうだ。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:19 | 特集
2011年10月24日

【今日の出来事&マーケット】ドル急落・NYダウ急伸は何を意味するか?=犬丸正寛

■「通貨」は政府が発行、「株」は企業が発行、兄弟のようでも微妙な違いか

【今日の出来事&マーケット】ドル急落・NYダウ急伸は何を意味するか?=犬丸正寛 前週末の海外市場で、ドルが円に対し急落した。1ドル・75円78銭と、去る8月19日の1ドル75円・95銭を上回り円高・ドル安となった。一方で、NYダウは267ドル高と急伸した。

 これを受けて週明け24日(月)の日経平均は終値で165円高と急伸。為替は円高とはならず76円台前半で推移している。

 通常は、その国の通貨と株は連動して動く場合が多い。今回のアメリカは、少々、動きが違っているようだ。あるいは、前週末1日だけの動きで、明日からは、「株高・ドル高」となるのか、あるいは、逆に、ドル安に引っ張られて「株安・ドル安」となるのか注目される。

 もちろん、筆者は学者を生活の糧としているわけではないので正解を導き出すことは無理である。マスコミ流の、エイヤー的に見出しをつけるなら、「ドルは要らない、株が欲しい」ということだろうか。

 言うまでもなく、ドル紙幣もNY株も、どちらもアメリカを母体としていることでは同じ。兄弟のようなものだろう。しかし、兄弟でも性格、生活スタイル等が違うように両者にも違いがあるはず。特に、ドル紙幣は「政府」が発行し、証券取引所に上場されている株は「企業」が発行しているという違いはある。

 仮に、ギリシャのデフォルトでEUに金融不安が起きれば、ドルも巻き込まれる心配は大いにある。その場合は、株も無傷というわけにはいかないはずだが、株のほうが紙幣よりマシということだろうか。実際、財政赤字の政府と、自己資本のしっかりしているところが多い企業とではバランスシートに大きい違いがある。もちろん、この点は日本も同じである。

 少し、拡大解釈すれば、ドル紙幣発行の今の民主党・オバマ政権に対し「ノー」ということかもしれない。政府より企業の方がはるかにたくましいということなのかもしれない。
 日本でも企業はたくましいと指摘する人もいる。「企業の海外移転は、視点を変えてみれば、国家財政の赤字や、民主党の反企業的政策を嫌って、移民をしているようなものといえるのではないか。今、ギリシャでは国家破綻を見越して国民の一部において、カナダなどへの移民が増えているという。日本でも工場、研究所などを海外へ移しておけば、何かあれば、その企業は丸ごと移住できる」(中堅証券)。なんとも怖い話だ。

 考えても答えは見えて来ない。「マーケットに聞け」の教えに従って、明日からのNY市場の動きを見ておくことよりほかはなさそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:02 | 特集

自己責任の「投資」は、責任なすりつけ合いの「投機」に変じる?=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー ボヤキ漫才の決めゼリフではないが、「責任者出て来い!」とドツキたくなる相場シーンが多過ぎる。例えばオリンパス<7733>(東1)である。たった1週間で年初来安値まで5割安した株価急落の責任が、解職された同社のマイケル・ウッドフォード前社長にあるのか、それとも解職決議をした同社取締役会にあるのか、まだシロクロの決着がつかない。

 九州電力<9508>(東1)のヤラセ問題も、調査の最終報告書が提出されてからかえって問題は紛糾し、責任問題が不透明化した。大王製紙<3880>(東1)の元会長への巨額融資問題も、まだ藪の中で刑事事件に発展するのかしないのか予断を許さない。

 オリンパスと並んで流入している短期資金を二分している東京電力<9501>(東1)も、原発事故の避難指示・警戒地域から遠く首都圏にまで広がったホットスポットの放射性物質の除染に責任問題が発生するのかしないのか曖昧である。

 いまは経済産業大臣にピンチヒッター登板している枝野幸男前官房長官は、在職中に放射能汚染については、当時の記者会見で「直ちに健康被害に影響はない」と繰り返したが、この発言の責任の取り方について、その後、発言したとは聞こえてこない。九州電力の責任問題を声高にあげつらうほどの責任の取り方をしているのかと首をかしげたくなるばかりである。

 ギリシャで緊縮財政に反対したデモ隊や、ウォール街の反格差デモでプラカードを掲げた参加者も、責任追及のシュプレヒコールを上げたが、責任者が誰で、どこに隠れているのか、兜町の投資家と同様に、もどかしさと苛立ちを感じたと想像されるのである。責任所在と責任者が不確かなままでは、問題は、いつまでもアク抜けとはならず、もちろん一件落着とは程遠い。

 下半期入りした株式相場は、すでにこんなアゲインストな環境のなかで3週間を経過、兜町への流入投資資金は、ますます先細りし値動きは小幅化、膠着商状を濃くしている。最後の1週間、いよいよ本格化する9月中間期決算の発表を材料にした業績相場の発進にわずかに期待が残るが、それもせいぜい好業績銘柄の個別株物色に終わる可能性もないとはいえない。勢い株式投資は、リスク回避優先で、目先の値幅取りに終始し、自己責任の「投資」は、責任なすりつけ合いの「投機」に変じることになる。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:59 | 特集
2011年10月21日

『波乱の中で下値を固める展開』を予想=犬丸正寛の相場展望

★「EU首脳会議」と「タイ洪水」の影響が懸念材料

『波乱の中で下値を固める展開』を予想=犬丸正寛の相場展望 来週(24〜28日)は、『波乱の中で下値を固める展開』が予想される。波乱となる懸念材料は、
(1)23日のEU首脳会議での金融不安の行方
(2)「タイ洪水」の業績への影響、の2つ・・・だろう。

 EUの首脳会議の行方は待つよりほかはない。ただ、テレビで伝えられるギリシャの反政府デモを観ていると、容易でない印象を受ける。当面の資金繰りは手当てできたとしても、根本的に儲かる国家にできるのだろうか、借金国家から脱皮できるのだろうかと。既に、能力のある人はカナダなどへの移民が増えているという。

 EU諸国が長期にわたって助けることができるのかどうか。さらに、ギリシャ以外にもギリシャと似た国に同じようなことが起こる心配はないのか。『歌を忘れたカナリアは裏のお山に捨てましょう』のように、『稼ぐことを忘れた国家』も捨てられるのではないだろうか。EUがメンツにこだわっていると、全員がダメになる心配がある。もちろん、日本も呑気に構えていることは出来ないが。

 一方、「タイ洪水」の影響は全体として、どの程度の金額となるのか、全く分からない。工業品だけでなく、「海老」(エビ)などの輸入にも影響が予想されるのではないか。反面、タイの河川などの治水工事も見込めるのではないだろうか。いずれにしても、日本からの進出企業は多いだけに影響が出ることは避けられないだろう。とくに、9月期の決算発表が控えているだけに心配である。

 ただ、こうした波乱はあるものの、4月以降、大商いを演じる形で、買いついてはいないだけに売物は少ない。10月になって、東証1部出来高が20億株を超えた日は僅か2日間しかないことにも現れているように売物は枯れている。

 昔から、『閑散に売りなし』と教えている。まとまった売物がないのだから、下げる場面はあっても瞬間安で終る可能性もあるわけだ。波乱含みの中にも下値に対する強さをうかがわせる相場とみられる。引き続き、復興関連銘柄の押し目に注目するのがよいだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:54 | 特集

秋の味覚から連想して、飲食店銘柄をウオッチしてみた=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ いつも行っている懐石料理店というか和食店で、十月のコースをいただいてきた。松茸の土瓶蒸しや、伊勢海老・のどぐろ・松茸・栗・銀杏の宝楽焼き、ふかひれとすっぽんの椀物、松茸ご飯など、秋らしい味覚満載のコースを満喫した。味はもちろん良いのだが、盛り付けや器などの見た目も工夫されており、秋の気分を楽しめた。

 このお店に限らず、世の中の飲食店の多くは、季節感を取り入れたり、常に新しい企画(メニュー)を考えたりと、お客をあきさせない工夫をしておられて、大変だなあと思う。各家庭でコスト(家計のやりくり)や栄養バランス等を考慮しながら毎日の献立を考え、料理をすることも大変だと思うが、飲食店の場合は安定的な仕入れやお客受けなども考慮せねばならず、その点でも大変だ。…と、当たり前のことに、今さらのように気づいたのだった。

 飲食店銘柄をウオッチしてみた。

★物語コーポレーション〈3097〉(東1)

 愛知県を地盤として、焼肉やラーメン店など、直営とフランチャイズ合わせて約200店を展開する、物語コーポレーション<3097>(東1)を入れる。21日終値は4円安の1284円。単位100株。PERは約8.4倍、PBRは約1.6倍となっている。チャートは6月7日につけた年初来高値1560円から反落し、続落トレンドとなっていたが、9月14日と同26日につけた直近安値1150円でダブル底を形成。以降はリバウンドトレンドとなっている。まずは次のフシ1400円ラインまでの戻りが目標か。また、業績は好調。会社側予想値では、今期2012年6月期業績予想は前年比2ケタ増収増益を見込んでおり、『会社四季報』には、次期2013年6月期も増収増益との予想値が出ている。

★サイゼリヤ〈7581〉(東1)

 リーズナブルなイタリア料理店を全国で約860店、展開しているサイゼリヤ<7581>(東1)を入れる。21日終値は13円高の1341円。単位100株。PERは約10.3倍、PBRは約1.2倍となっている。チャートは7月20日につけた直近高値1647円から反落し、続落トレンドで来ていたが、9月26日につけた直近安値1265円から反発した。以降はモミ合いながらもリバウンド局面に入ったと見たい。まずは1500円フシまでの戻りを目指す。野村証券の11日付けのレーティングでは、投資判断「Buy」(買い)、目標株価1800円継続とされた。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 15:51 | 特集
2011年10月19日

【今日の出来事&マーケット】ソフトバンクとドラゴンズ優勝は地方時代を象徴?=犬丸正寛

■東京発の全国均一型を狙ったビジネスモデルは影が薄い

【今日の出来事&マーケット】ソフトバンクとドラゴンズ優勝は地方時代を象徴?=犬丸正寛 プロ野球で、パ・リーグの「ソフトバンク」に続いて、セ・リーグは「中日ドラゴンズ」が18日(火)にシーズンリーグの優勝を決めた。マーケットではソフトバンク<9984>(東1)株が直近安値2112円(9月27日)から21%強上昇し堅調。19日(水)には、中日の優勝が刺激になったとも思われることから、JR東海<9022>(東1)名古屋鉄道<9048>(東1)愛知銀行<8527>(東1)などの名古屋銘柄の一角が堅調となっている。

 セ・パ両リーグとも年間試合数は144試合。直近での勝率ではソフトバンク6割6分2厘、中日は5割6分1厘と違いはあるものの、両チームとも本拠地が東京ではないという共通項がある。言うまでもなく、ソフトバンクは福岡県福岡市、中日は愛知県名古屋市が本拠地。関東の常勝チームの巨人と西武は、それぞれセ・パで3位に沈んだ。

 こうした動きには、いくつかのヒントが含まれているように思われる。とくに、圧倒的な強さを誇ってきた巨人、西武のチーム不振が今年だけではない。ここ数年冴えない。実際、巨人の本拠地球場東京ドーム<9681>(東1)の株価は安値圏に沈んだまま。西武にいたっては母体の西武鉄道は何年か前に上場廃止に追い込まれている。最近は、スポーツニュース以外で、テレビにプロ野球が登場することはほとんどなくなった。むしろ、日本サッカーやアメリカ大リーグの放映が目につく。最近は、巨人のマークのついた帽子をかぶっている子供たちを見ることも少なくなった。

 かつての、「巨人―大鵬―卵焼き」の定番は消えてしまったようだ。今や、プロスポーツを目指す若い人は地方のチームに入団するケースが目立ち、腕に自信があればアメリカへ渡る。野球以外にサッカーを選ぶ人も増えている。こんな具合だから、産業界でも東京発の全国均一型を狙ったビジネスモデルは影が薄くなっている。

 とくに、ビジネス界では情報の発達で東京と地方の格差が縮まり、固定費負担の大きい東京に居る必要もなくなってきている。実際、投資の世界では、証券取引所の「適時情報閲覧サービス」によって、全国どこにいても平等に情報が入手できる。

 今後、こうした傾向は、まだ、しばらくは強まりそうだ。

(1)グローバル化の進展で企業、投資家の目が外に向く。これまで、東京は日本において絶対的存在だったが、これからは世界の中の1つの都市としての位置づけとなる

(2)日本は農業等も含め日本再生のためには、「道州制」の導入など地方活性化が求められ、地方の時代が来る

(3)「デジタル情報」より、「人を介したアナログ情報」が見直されるには、まだしばらく時間がかかる。社会全体が短期での成果を求める風潮が強くなっているからだ。行き着くところまで行かないと中長期的な発想は難しい・・・ことなどがあるだろう。

 とくに、現在の株式マーケットでは、「モグラたたき」のごとく、短期売買、それも超短期売買が中心となっている。この背景には、名門企業のJALの破綻や東京電力<9501>(東1)株の暴落などで長期投資に対する不安があることも事実。しかも、さらに来年には、現在の処理時間0.002秒を上回る超高速の売買システムが取引所に構築されるという。まさに「速いもの勝ち」の時代がいっそう強まる。

 ただ、思い出されることがある。かつて、「大きいことは良いこと」として、量や規模の拡大を追及した。その結果、1980年代後半の「バブル経済」を作り出し、そして、その崩壊に苦しんだ苦い経験がある。今度もまた、「速い」ことに対する天井がどこかで来るのかもしれない。その反動と反省が来るまでは、世の中に「ゆっくり」主義のリズムが生まれるのは無理なのかもしれない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:11 | 特集
2011年10月18日

【今日の出来事&マーケット】オリンパス株急落の意味するものは何か?=犬丸正寛

■「代表取締役の解雇等決議」が嵐を巻き起こす!

【今日の出来事&マーケット】オリンパス株急落の意味するものは何か?=犬丸正寛 オリンパス<7733>(東1)が、14日(金)9時30分に発表した「代表取締役の解雇等決議」がマーケットに嵐を巻き起こしている。14日(金)のオリンパス株は450円安、17日(月)も500円安と暴落、さらに、この日(18日)も274円安の1281円と、2009年2月の安値1210円以来の水準まで下げた。10月13日(木)には直近高値2526円をつけていたから、わずか3営業日で49.2%の大幅下げ。

 オリンパス株に冷水を浴びせられた形となって、18日の日経平均は152円安と急反落した。とくに、マーケットでは、オリンパス社長の「解雇」という2文字に強く反応している。社長を解任されたのは、マイケル・シー・ウッドフォード氏。同氏は2005年にオリンパス・メディカル・システムの社長を務め、今年5月に同社社長に就いていた。同社の発表資料によると、「マイケル・シー・ウッドフォード氏と他の経営陣の間にて、経営の方向性・手法に関して大きな乖離が生じ、経営の意志決定に支障をきたす状況になった」ということだ。

 「外国人経営者をトップに据えれば、当然、考え方の違いは予想されていたはず。それを解任するということだから東日本大震災並みの想定外のことが起きたのだろう。多額の使途不明金で問題となっている大王製紙とは次元の違うもの」との見方も。もちろん、想定外のことが何かは、分からないが。

 最近、外国との問題ではスズキ<7269>(東1)もフォルクスワーゲンとの間で提携に関する違反の有無をめぐってモメている。スズキの株価は3月の震災時安値を大きく下回り、9月12日に年初来安値1468円をつけ不振。ライバルのダイハツ工業<7262>(東1)が上場来高値となっているのとは対照的だ。

 グローバル化時代の進展とともに外国企業との間で、今後、こうした提携問題、国際訴訟問題、進出先での雇用問題、さらには今回のタイ洪水など、トラブル、リスク表面化が予想される。しかも、その場合、意外に株価への影響が大きいという悩ましさがある。

■リスクとリターンを見極める目がますます大切

 もちろん、リスクを恐れていては外には出てはいけない。狭い日本では食べていけない。ゴーン日産自動車<7201>(東1)のように外国人経営者で業績を向上させ、株価堅調というところもある。国際訴訟関連のビジネスで業績を飛躍させているUBIC<2158>(東マ)も存在感を高めている。

 ただ、これまで、どちらかといえば、グローバル展開についてはマーケットにおいての評価は良い点ばかりが目立ってきたことは事実。これからは、良いことばかりでなく、マイナス面も表面化することを、今回のオリンパス株価急落、ギリシャの金融不安、そして、これから業績への悪影響が予想されるタイの洪水などの出来事はマーケットに対し注意信号を点滅させていると見るべきだろう。

 個人投資家にとっては、グローバル化は企業にまかせておけばよいという考えだけでは通用しなくなった。とくに、これまでは国内中心に見ておけばよかった社会、経済について世界によりいっそう目を向けなくてはいけない時代。かつては、『遠くて知らないものには手を出すな』という教えを守っていればよかった。しかし、それでは、日本企業も投資家も成果を挙げることは難しくなっている。積極的に外に目を向け、学び、リスクとリターンを見極める目がますます大切となっている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:09 | 特集
2011年10月17日

昨今の相場は「先読みの先倒れ」という新格言が成立しそうな危うさ=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 相場格言の「早耳の早倒れ」は、飛び付き買いの危険性を教えてくれるが、昨今の相場は、「先読みの先倒れ」という新格言が成立しそうな危うさが付きまとっている。株価は、6カ月先を予見すると信じられてきたが、そんな先入観に捉われて投資するとロクなことがないのだ。客観的で透明性が増したといわれそうだが、株価が、経済指標のゼロ・コンマ何パーセント上ぶれたか、下ぶれたかで一喜一憂する傾向が強まっているのである。しかも、その経済指標の多くは、すでに1カ月前、3カ月前の過去のパフォーマンスを集計したもので、株価は予見性を発揮するどころか、後向きの確認行為にしか過ぎなくなって、あの株式投資の夢や希望、ロマンは、カゲもカケラもきれいに消えてしまった。

 今回の欧州の債務問題も、ギリシャへの金融支援が決定したと思ったら、相次ぐ国債の格付け引き下げがあって、さらに欧州の大手金融機関の実質破綻に飛び火するなど迷走した。「リーマン・ショック」の再来を予見して売ってヤラれ、欧州金融安定基金(EFSF)拡充で金融安定化を先取り買いしてヤラれとチグハグなことこの上もない。強気も弱気も、どちらも当たり屋で曲がり屋ということになり、こうなると相場に振り回されないよう、落ちこぼれないように、単純に相場に追従する以外に有効な投資方法が見出せないこととなる。

 相場追従の投資スタイルとなれば、欧州発の信用不安が一巡し、「リーマン・ショック」再発が回避されたとする修復相場に連動する以外にない。マーケットから「イエローカード」を突き付けられたユーロが、どれだけドル、円に対して買い直されるか試すリバウンド相場がスタートすることになる。銘柄的には、年初来安値まで売られたコマツ<6301>(東1)TDK<6762>(東1)村田製作所<6981>(大1)などの景気敏感株が、下げた株ほどよく戻りとする「リターン・リバーサル」相場が、主流となるはずだ。

 ところがこの景気敏感株のほかに、究極の「リターン・リバーサル銘柄」ともいうべき急騰銘柄が登場してきた。前週末14日にストップ高したマルマエ<6264>(東マ)である。「継続企業の前提の関する事項の注記」(ゴーイングコンサーン、GC)の記載解消を発表したこと引き金となった。同社は10月11日にも前2011年8月期業績の再上方修正を発表してストップ高しており、前週の株価は、わずか5日間で2回のストップ高を交えて56%高と急騰した。「GC」注記をして自らの「イエローカード」を掲げた銘柄が、その「イエローカード」を降ろしたことが株価を急騰させたのである。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:48 | 特集
2011年10月14日

『本格相場への道を探る』展開へ=犬丸正寛の相場展望

★NYダウ75日線上抜きの有無がポイント

『本格相場への道を探る』展開へ=犬丸正寛の相場展望 来週(17〜21日)は、『本格相場への道を探る展開』だろう。日経平均は10月5日の8343円をボトムに13日の8854円まで6.1%上昇、短期的な底は入っているとみられる。

 とくに、短期的な相場強弱の目安とされる30日線を去る11日に上回って、直近14日まで4営業日30日線の上で推移している。上値を指向しているとみてよい。

 ただ、本格的上昇の尺度とされる「75日線」は上抜いていない。とくに、当面はNYダウが、75日線を抜くことができるかどうかがポイント。去る、12日にNYダウが1万1625ドルと急伸したときも75日線に頭を押えられた。13日時点のNYダウは終値で1万1478ドルと75日線の1万1607ドルには届いていない。日本時間の今夜(14日)がどうなるか、さらに来週の動きがどうなるか最大の見所といえる。もちろん、上抜けばNYダウは1万2000ドル台へ向けて本格上昇が予想される。

 一方、日経平均の75日線は9200円程度とかなり上にある。日本の場合は、まだ本格相場を語る段階にはない。ただ、NYダウが75日線を抜いて来るようなら、日経平均も先行き9000円乗せから75日線を目指すものとみられる。

 アメリカにとって、タイの洪水被害はほとんど影響ないだろう。やはり、アメリカにとって気になるのはヨーロッパの金融不安であり中国経済の減速感だろう。1度は否決したスロバキアは2度目でヨーロッパの金融機能強化に賛成した。ユーロ参加17カ国の足並みが揃った。安心はできないものの、当面の危機は乗り越えたのではないだろうか。この意味ではNYダウに期待できるのだが。

 日本は20日から臨時国会が召集される見通し。第3次補正予算が成立すれば復興が本格的に動き出す。ただ、日本からの進出企業が多いタイの洪水被害の影響は小さくはなさそうだ。とくに、これから9月期本決算・第2四半期決算の発表が始まるだけに気がかりな点である。

 このため、日経平均が75日線を上抜いて本格上昇となるためには、

(1)NYダウの上伸
(2)復興需要の本格化
(3)決算発表終了・・・などを見たうえでということになるだろう。短期的には9000円を目指したジリ高相場だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:37 | 特集

「イクメン」方面からもアピール…食品株=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 最近、あるインスタント食品のパッケージに、男性がフライパンを持って子供と一緒にいるイラストとともに「パパでも簡単!」というキャッチコピーが印刷されているのを見た。以前、子育てに積極的な男性をさす「イクメン」という言葉が流行っていた(あるいは定着した)ようだが、そういった方面からの流れだろうか?と思った。そういえば、別の企業のインスタントラーメンのコマーシャルでは、有名な男性俳優さんや男性タレントさんが子供と一緒にラーメンを作って食べているシーンがあったように思う。

 昔は、レトルトカレーでも女優さんがコマーシャルをしていたものだが、少しずつ時代は変わっているのかもしれない。とくに今は、就労環境の変化を背景に、若い人たちの価値観が変化しており、「男性も家事や育児を手伝って当然」という人、女性が結婚・出産後も働き続けることに抵抗感が少ない人も増えているように思う。食品業界も、こうした変化に対応し、少し以前は「忙しい主婦がサッと簡単に調理できる物」を想定し、今は「家事に不慣れな男性でも簡単に調理できる物」という想定で、一部の商品づくりや宣伝などを行なっているのかもしれないなあ、と思ったのだった。

 食料品セクターで銘柄をウオッチしてみた。

★味の素〈2802〉(東1)

 調味料の国内最大手、味の素<2802>(東1)を入れる。うま味調味料で有名な同社だが、和風だしの素や中華調味料といった商品も多く出している。14日終値は11円安の881円。単位1000株。PERは15.3倍、PBRは約1.0倍となっている。チャートは10月6日につけた直近高値948円から反落し、以降は続落トレンドとなっている。安値880円ラインにあたり、そろそろ反発のタイミングと見たい。ただ、中期チャートで見るとまだ底値圏とまでは言えず、地合いによっては850円フシまで待って買うほうが無難かもしれない。950円フシまでの戻りが目標になりそうだ。

★永谷園〈2899〉(東1)

 永谷園<2899>(東1)はお茶漬けの素で有名だが、ちらし寿司の素やチャーハンの素、そうざいの素などの商品も多くある。14日終値は14円安の852円。単位1000株。PERは約16.5倍、PBRは約1.4倍となっている。株価は9月29日と同30日につけた年初来高値890円から反落し、続落トレンドで来ている。チャート的には下値800円ラインまで下がりきったところを待って買うのが無難そうだ。信用倍率も約0.1倍となっており、今は「カラ売り銘柄」の様相を呈している。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:57 | 特集
2011年10月11日

東京電力に「水に落ちた犬は叩け」とばかりに情け容赦なく指弾=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 10月相場入り早々にまた難題である。ベルギー系金融大手のデクシアが事実上の経営破たんをした。ギリシャ国債を大量に抱えて行き詰まりが懸念されていたこととはいえ、遂にフランス・ベルギー両政府の公的支援を受け入れ、分割・解体されることになった。3年前の「リーマンショック」の再来となって欧州金融危機が、世界的な金融危機として波及するのか、それとも瀬戸際でなんとかコントロールされて一過性のショックに終わって悪材料織り込み済みとなるのか予断を許さない。EU(欧州連合)には、少なくとも25の銀行が公的資金の注入を必要としているとも言われており、マーケットが「水に落ちた犬は叩け」とかさにかかって売り浴びせないことを願うばかりである。

 欧州債務不安ほどのスケールではないが。「水に落ちた犬は叩け」とばかりに情け容赦なく指弾されているのが、原発事故を起こした東京電力<9501>(東1)である。国会の参考人質問に呼び出された同社の西澤俊夫社長は、厳しい詰問に平謝りに謝罪して防戦一方で、10月3日に公表された経営・財務調査委員会の報告書では、5月に同社が公表した今年度の経費削減額5034億円はお手盛りでまだまだ甘く、今後10年間で倍の2兆5000億円のリストラ余地があると手厳しく追求された。

 かつての東電とは、天国と地獄ほどの落差である。経団連銘柄、「01銘柄」の代表格として床の間を背にした上座に座り、円高不況時などでは、鷹揚に構えて設備投資前倒し、円高差益還元などの円高対策の協力に応じ、電線地中化などを相場テーマとして浮上させたことなども数限りあった。それも、10月3日の報告書では、資材調達の高コスト体質が明らかになったなどと切り捨てられると身も蓋もなくなる。

 極め付きは、東京証券取引所が、連休前の7日に公表したTOPIX(東証株価指数)ニューインデックスシリーズの構成銘柄の10月31日付けの定期見直しで、同社株をCore30から除外したことだろう。Core中のCore銘柄が、主役の座から外され、代わってファナック<6954>(東1)が新規採用される。時価総額の凋落ぶりからは致し方のないところではある。

 同社の時価総額は、東日本大震災、福島第1原子力発電所の事故が発生した3月11日から上場来安値148円まで急落した6月9日に93%も激減し、連休前7日には3535億円まで回復したが、3月11日に比べてなお10分の1のレベルにとどまる。時価総額ランキングでも、159位まで成り下がり、電力業界でもかつての断トツが、四国電力<9507>(東1)の後塵を拝し、業界7位への急落だ。法的整理、上場廃止を免れただけでも奇貨としなければならない立場だが、マーケットのリアリズムは厳正であるということだろう。

 Core30からの除外の株価への影響は限定的にとどまるというのが、市場関係者の平均的な見方のようである。Core30に連動してインデックス運用しているのが、ヘッジファンドなどの一部投資家に限定されているためとされている。しかし先々、日経平均株価の採用銘柄の見直しなども控えているのである。またまた「水に落ちた犬は叩け」となるのか、官房長官時代から原発事故に関して金融機関の債権放棄や株主責任の追及などに張り切っていた枝野幸男経済産業大臣の政策対応も含めて、東電の株価の不安定要因ではあり続ける。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:59 | 特集