
ユーロ問題は、なんとか小康状態を保っている。しかし、根本的に解決されたわけではない。いつまた火を噴くかわからない心配がある。アメリカも、かつてない規模のデモが起きている。これに、もしも、中国でも社会不安が起きたら世界経済の状況は厳しくなる。まさに、四面楚歌の油断できない状況が続く。もちろん、日本も他人事ではない。若い層の失業率は高く、不満は溜まりつつある。
こうしてみると、経済の舵取りの難しさを世界各国とも抱えている。とくに、アメリカも日本もこの2年余、庶民に軸足を置いた「経済的平等」、「友愛」を大切にした民主党政権の下で走ってきた。しかし、今の状態をみる限り、結果は「おもわしくない」と言わざるを得ない。競争社会において、格差がつき過ぎることは良くない。しかし、それを嫌がって、平等、優しさを強調すると「活力」が失われ、むしろ、庶民には、もっと厳しい状態を招く。やはり、企業、個人の意欲、活力が前面に出るような政治が必要だろう。
稼いだうえで「分配」を考えることが大切で、「分配ありき」では、ギリシャのように分配する原資がなくなってしまう。なにかの小説にでてくる言葉の、『人(とくに男)は強くなくては生きることができない。しかし、優しさを忘れたら生きる資格がない』と似ている。今の民主党政策は、優しさを重視するあまり強さを置き忘れているのではないか。強くない国は世界の中で衰退する。いっそのこと、優しさの民主党と強さの自民党が一緒になれば、新しい展開も期待できるのではないか。
民主党の野田内閣は、7日、停止していた公共工事について停止解除を決めたという。掲げてきた「セメントから人へ」政策の修正であろう。セメントも人も両方とも大切なのである。一応、新しい「芽」として注目できる。ただ、野田内閣は、昔の代官と農民の関係のように年貢をまきあげることが頭にあるようだ。それでは、農民は空腹で耕作をする元気も気力もなくなってしまう。増税が先行するようでは株価の上値は重いだろう。
まもなく、9月決算(3月期決算は中間)が発表となる。おそらく、最近の円高、世界経済波乱をみれば、輸出関連は厳しいだろう。ただ、輸出関連株は9月の下げで、そのあたりは、かなり織り込んだものとみることはできる。だけど、発表が終るまでは手は出せない。
その点、内需関連株は輸出関連のような急激な落ち込みはないはず。既に、以前より内需不振と言われ続けてきた。むしろ、厳しい内需の中で新しい展開を見せている企業もあるし、これから第3次補正予算で内需が復興中心に刺激される。そこへ、公共投資停止解除も加わり、悪い話ではない。
幸い、日経平均、TOPIXとも9月安値がボトムとなって、一応、「彼岸底」となっている。このまま、持ちこたえることができればマーケットに、徐々に力強さが戻るものとみられる。「輸出比率」と「外国人持株比率」の高い銘柄を避け、「内需株」中心の相場が展開されるものとみられる。