
営業利益段階で前年同期比増減を見ると、ローソン(2651)が同8%増の497億円、サークルKサンクス(3337)が同19%増の198億円、セブン&アイ・ホールディングス(3382)が同23%増の2162億円、ファミリーマート(8028)が同9%増の350億円、イオン(8267)が同9%増の1018億円、ユニー(8270)が同28%増の316億円、ミニストップ(9946)が同4%増の67億円と総じて好調だった。コンビニエンスストア事業の好調に加えて、GMS事業の営業損益も大幅に改善している。
各社ともに、東日本大震災の被災地などでの需要が活発だったうえに、内食・中食化の流れも追い風となり、弁当・総菜・スイーツ類などの販売が好調だった。中食分野を中心としてオリジナル商品や、PB(プライベートブランド)商品の開発・販促を強化していることも収益拡大に寄与している。タバコの値上げによる売上増も寄与した。アジア市場を中心に海外での店舗展開が進展したことも寄与した。またコンビニエンスストアは、移動販売車や宅配などで買い物不便地域への対応なども進めており、地域の社会インフラとしての存在価値が一段と高まっている模様だ。
グループでGMS事業やコンビニエンスストア事業を展開するセブン&アイ・ホールディングス(3382)、イオン(8267)、ユニー(8270)では、コンビニエンスストア事業が好調だったうえに、GMS事業の営業損益も大幅に改善した。衣料品などでの損益改善も進んだ模様であり、東日本大震災後の防災・節電関連商品も特需となった。
■中国などアジア市場へのグローバル展開が重要なポイント
日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の「コンビニエンスストア統計調査」によると、調査対象のJFA正会員コンビニエンスストア本部10社合計の既存店売上高(前年比)は、11年3月(東日本大震災で営業停止した店舗を除く)が107.7%、4月が101.6%、5月が105.7%、6月が109.0%、7月が109.5%、8月が107.9%、9月が96.0%、10月が114.1%、11月が107.5%、そして12月が104.1%と好調に推移している。なお前年のタバコ値上げの影響があり、9月は前年の駆け込み需要の反動で減少、10月は前年の買い控えの反動で大幅増加となっている。
12年2月期通期の連結業績予想については、3Q累計決算発表時では各社ともに従来予想を据え置いた。資産除去債務会計基準適用や震災関連などで特別損失を計上するが、営業利益と経常利益段階では増益の見通しである。
サークルKサンクス(3337)とユニー(8270)の2社は、足元の販売好調などを要因として、1月19日に12年2月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。
残りの5社について、通期連結営業利益予想に対する3Q累計連結営業利益の進捗率を見ると、ローソン(2651)が81%、セブン&アイ・ホールディングス(3382)が76%、ファミリーマート(8028)が83%、イオン(8267)が50%〜52%、ミニストップ(9946)が81%となっている。イオンについては上振れ期待は小さいが、足元の好調を考慮すれば残り4社についても上振れの可能性があるだろう。
13年2月期については、復興関連特需の反動減が懸念されるだけに、中食分野を中心とした商品力が明暗を分ける可能性もあるだろう。また今後は、中国などアジア市場へのグローバル展開が重要なポイントになりそうだ。
■株価は2月末の配当権利取りが支援材料に
各社の株価も概ね堅調に推移している。好業績に加えて、輸出関連セクターが軟調だったために、内需・ディフェンシブ系として消去法的に買われた面もある。
足元では、物色が景気敏感関連や輸出関連の買い戻しに向かい、内需・ディフェンシブ系については、やや物色の圏外となる可能性も考えられる。
ただし、2月末の配当権利取りも支援材料となるだけに、下値では買いが入る可能性がある。また、中国などアジア市場への積極的な展開が評価されれば、中期的な株価上昇につながる可能性もあるだろう。
【総合スーパー・大手コンビニの銘柄診断】
・セブン&アイは中国で順調に店舗展開を進める
・ファミリーマートは海外展開で20年度に4万店舗目指す
・ミニストップはデイリー商品の品揃え強化が寄与
・イオンは1業態1ブランド化や中国・アセアン市場シフトへ
・ユニーは5年間で300店舗の展開を目指す
・サークルKサンクスは業態・店舗網の再構築がポイント
・ローソンは中国での店舗展開の加速がポイント