浅妻昭治のマーケット・センサー

しかも、NYダウの「十喜十憂」は、日本の逆コピー相場を連想させるから他人事の気がしない。バーナンキFRB(米連邦準備理事会)が、期待をつないだオバマ大統領の総額35兆円にも及ぶ景気・雇用対策も、上院と下院の民主党と共和党の議席数の「ねじれ」現象で、合意形成は難しいとしてご祝儀相場は空振りとなって、前週末のNYダウは、303ドル安と続急落した。
2000年代は、「アメリカン・スタンダード」が、「グローバル・スタンダード」として世界を席捲し、ヘッジファンド、ハゲタカファンドが跋扈したが、いまや2010年代は、「ジャパニーズ・スタンダード」が、世界各国を蚕食中だ。その心はデフレ経済と財政危機と政治のねじれ現象である。「失われた10年」は、「15年」、「20年」と長期化、「メイド・イン・ジャパン」としてブランド化して一大輸出商品に化けた皮肉な巡り合わせとなっている。その証拠に、前週末開催の7カ国財務相・中央銀行総裁会議でも、「ジャパニーズ・スタンダード」への懸念を共有しただけで、打開策も打ち出せずに終わっている。
相場の方も手詰まり状態となりつつあるが、こうした窒息寸前相場の東京市場では、かつては必ず神風が吹いて息を吹き返したものだ。「オイルマネー」や「青い目の外国人」などが大挙流入したが、いまや頼みの綱の中国マネーにも、バブル崩壊の観測がヒンピンと伝わってきて心もとない。東京市場は、流通市場とともに発行市場も、「縮み志向」で、新規株式公開(IPO)は低迷し、MBO(現経営陣による株式公開買い付け)による市場退場も、跡を絶たない。
「十喜十憂」相場では、分かりきったことを分かりきったようにやるしかなく選択肢が限られる。「リターン・リバーサル」で下げた銘柄ほど良く戻ることを期待して主力株を逆張りするか、現在、逆行高中のDeNA(ディー・エヌ・エー)<2432>(東1)、グリー<3632>(東1)のSNS関連株の短期売買である。兜町では「知ったら仕舞い」といわれているように、分かりきった銘柄に分かりきったように投資するには売買のタイミングが重要で、間違っても買ってヤラレ、売ってヤラレとなるリスクを避ける細心の注意は怠れない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。