[特集]の記事一覧
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記事一覧 (09/12)【相場展望】「一喜一憂」程度なら余裕のうち!「十喜十憂」となれば・・=浅妻昭治
記事一覧 (09/12)野田新内閣にマーケットは何を期待するか=妻と夫の株ロマン
記事一覧 (09/10)【東日本大震災から6ヶ月】フシ目のマーケットを検証=犬丸正寛
記事一覧 (09/09)日本株式会社『野田新社長の方針』に耳を傾ける相場へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (09/09)有名人似の書店員さん…から連想して、小売業セクター株=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (09/06)『新政権スタートで急落の相場』〜何が起きたか?=犬丸正寛
記事一覧 (09/05)問題は野田首相の「泥くささ」ではなく「増税くささ」にある=浅妻昭治
記事一覧 (09/04)『台風12号で災害列島見直しへ』求められる災害に強い国土造り=犬丸正寛
記事一覧 (09/03)『アメリカ雇用統計悪化がマーケットに与える影響』は?=犬丸正寛
記事一覧 (09/02)『野田新内閣の船出』を祝う相場展開へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (09/02)海外の豪邸を垣間見て…不動産株=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (08/29)【話題】民主党新代表は野田氏!マーケットは期待と不安が半々
記事一覧 (08/29)「政策待ちに政策なし」か?メガソーラー関連株で「ご祝儀相場」の打診=浅妻昭治
記事一覧 (08/27)新内閣に対する期待と不安の入り混じった相場へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (08/26)マイカーのタイヤ取り替えから連想して、ゴムセクターを見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (08/22)波乱相場をちょっとしたサプライズ!コロナとダイニチ工業の株価急騰=浅妻昭治
記事一覧 (08/19)『秋待つ直前の様子見相場』政治、経済とも具体的展開待ち=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (08/19)『空海と密教美術展』から連想した銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (08/15)米国NY商品取引所の金先物取引の証拠金引き上げ、なぜ取引規制が強化されたのか?=浅妻昭治
記事一覧 (08/14)【金融波乱を検証】プロ運用者の基本はS&P500=杉山哲夫氏にNY相場と為替を聞く
2011年09月12日

【相場展望】「一喜一憂」程度なら余裕のうち!「十喜十憂」となれば・・=浅妻昭治

■兜町は人っ子一人いない「死の町」にならないか心配

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「一喜一憂」程度なら、まだ余裕のうちだろう。ところがこれが、「十喜十憂」となれば、いささか焦らざるを得ない。最近の米国NYダウは、まさにこの「十喜十憂」である。9月に入って6営業日を経過したが、その内訳は1勝5敗の大幅負け越しで、上昇も下落もいずれも3ケタと、まさにジェットコースター相場である。このまま「十喜十憂」相場が続くようだと、就任9日目に辞任した鉢呂吉雄前経済産業大臣の問題コメントではないが、NYダウのコピー相場の兜町は、それこそ人っ子一人いない「死の町」にならないか心配になる。

 しかも、NYダウの「十喜十憂」は、日本の逆コピー相場を連想させるから他人事の気がしない。バーナンキFRB(米連邦準備理事会)が、期待をつないだオバマ大統領の総額35兆円にも及ぶ景気・雇用対策も、上院と下院の民主党と共和党の議席数の「ねじれ」現象で、合意形成は難しいとしてご祝儀相場は空振りとなって、前週末のNYダウは、303ドル安と続急落した。

 2000年代は、「アメリカン・スタンダード」が、「グローバル・スタンダード」として世界を席捲し、ヘッジファンド、ハゲタカファンドが跋扈したが、いまや2010年代は、「ジャパニーズ・スタンダード」が、世界各国を蚕食中だ。その心はデフレ経済と財政危機と政治のねじれ現象である。「失われた10年」は、「15年」、「20年」と長期化、「メイド・イン・ジャパン」としてブランド化して一大輸出商品に化けた皮肉な巡り合わせとなっている。その証拠に、前週末開催の7カ国財務相・中央銀行総裁会議でも、「ジャパニーズ・スタンダード」への懸念を共有しただけで、打開策も打ち出せずに終わっている。

 相場の方も手詰まり状態となりつつあるが、こうした窒息寸前相場の東京市場では、かつては必ず神風が吹いて息を吹き返したものだ。「オイルマネー」や「青い目の外国人」などが大挙流入したが、いまや頼みの綱の中国マネーにも、バブル崩壊の観測がヒンピンと伝わってきて心もとない。東京市場は、流通市場とともに発行市場も、「縮み志向」で、新規株式公開(IPO)は低迷し、MBO(現経営陣による株式公開買い付け)による市場退場も、跡を絶たない。

 「十喜十憂」相場では、分かりきったことを分かりきったようにやるしかなく選択肢が限られる。「リターン・リバーサル」で下げた銘柄ほど良く戻ることを期待して主力株を逆張りするか、現在、逆行高中のDeNA(ディー・エヌ・エー)<2432>(東1)グリー<3632>(東1)のSNS関連株の短期売買である。兜町では「知ったら仕舞い」といわれているように、分かりきった銘柄に分かりきったように投資するには売買のタイミングが重要で、間違っても買ってヤラレ、売ってヤラレとなるリスクを避ける細心の注意は怠れない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:34 | 特集

野田新内閣にマーケットは何を期待するか=妻と夫の株ロマン


■大衆受けを狙うより真の日本の強さ引き出しに期待

妻驚いたわ、鉢呂吉雄経済産業大臣が辞任ですって。早すぎるわ。いったい何日間ですか。

夫9月2日の内閣発足から1週間ちょっとだ。しかも、まだ国会も開かれていない中でのことだからお粗末だね。

妻政治を職業とされているプロの国会議員同士の会話なら気をつけられるのに、庶民相手となると、どこかおかしいわ。民主党という党は庶民を小ばかにしているのかしら。あなたは民主党に月々いくらかの会費を払っているのでしょ。

夫わずかのサポーターとしてのものだ。大げさのものではない。今の話だけど、民主党が庶民を見下げといるということはないと思う。むしろ逆だと思う。菅さんの時もそういう印象はあったけど、民主党は庶民の党であるという意識が強いあまり、庶民受けする「言葉」や「テレビ映り」を意識しすぎて、却って、失敗しているように思われる。庶民に、「分かりやすく」、「親しみやすさ」という気持ちが行き過ぎて余計な言葉や動作になってしまっているように思われる。

妻テレビのバラエティ番組と変わらないみたい。

夫それは違う。テレビのほうがはるかに上だ。若い頃、ちょっとだけ番組作りにかかわったことがあるけど、ディレクターが事前に一言一句、使ってよい言葉、使っていけない言葉を入念に何度も打ち合わせする。とくに、庶民受けするバラエティ番組であるほど細心の注意を払っている。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:45 | 特集
2011年09月10日

【東日本大震災から6ヶ月】フシ目のマーケットを検証=犬丸正寛

【今日の出来事&マーケット】

■復興に動き出した政治と堅調な企業業績で「彼岸底」の可能性強い

【東日本大震災から6ヶ月】フシ目のマーケットを検証=犬丸正寛 3月11日(金)、14時46分に東日本を引き裂いた大地震と大津波から半年となる。マーケットでは、9月9日(金)がちょうど6ヶ月目のフシ目だった。

 現地を見ていないので実感としては言えないものの、テレビ、新聞、雑誌等で受ける印象では、復興は遅れているようだ。指摘されているように政治の役割が批判される点はあると思われるが、それだけ、難しく大きい課題を抱えているということだろう。

 いずれまた襲って来るであろう大津波を想定すれば海の近くの平坦地での生活は見直さなくてはいけない。高台の用地をどのように用意するのか。個人単位で対応できる話ではない。しかも、高台に新しい生活の場を設けたからといって生活の糧(かて)が確保できるわけではない。

 とくに、被災地域が岩手県から茨城県まで広範囲に達しているため県単位の復興ではなく、東北地域全体の生活と産業が一体となった復興、再生計画が求められる。そのための企画立案と分析に時間がかかっていることは理解できる。

 それも、一歩前進の雰囲気は感じられる。10日(土)の新聞、雑誌では第3次補正予算について復興関連7〜8兆円という報道もあった。「1国2制度」を取り入れた規制ゼロのスーパー特区構想も報じられている。新政権発足と共に政治は動き始めてきたようだ。

 震災が発生した3月11日(金)の日経平均は1万254円(前日比179円安)の安値引け。TOPIX(東証株価指数)は915ポイント(前日比15ポイント安)と同じく安値引けだった。その後、3月15日(火)に日経平均は場中(ザラバ)で8227円、TOPIXも同日725ポイントの安値をつけた。

 そして、6ヶ月経った9月9日(金)の終値は日経平均では8737円、TOPIXでは755ポイントである。両指数とも3月15日の安値に対しては、かなり上の位置にある。

■ギリシャ問題あっても瞬間的か

 一部では、3月安値を切るような急落が伝えられている。しかし、筆者はその可能性は皆無無とは言えないものの、可能性は小さいとみている。もしも、日経平均、TOPIXが3月安値を切るとすれば、その時の条件は何か。(1)ギリシャのデフォルト(債務不履行)によるEU等の金融パニック、(2)日本政府の復興に対する無策、(3)日本企業の業績悪化、などだろう。このなかで、ギリシャ問題は否定はできない。しかし、仮にそうであったとしても日本の市場には瞬間的な影響でとどまるだろう。

 とくに、日本国民に「ギリシャのようになってはいけない」という危機感が強まり、「増税」に対し暗黙的了解が強まる。しかも、既に、復興に対し新政権は積極的に動き始めている。「無策」とはいえない。

 また、企業業績の強いことがある。夏場の電力危機を見事に乗り切った。特に、日本企業はリーマンショックのあとの不況において経費削減等のスリム化をはかっている。その分、国内消費等には影響が及んでいるものの、企業は復興の青写真が示されるなら、いつでも前向きに転じる準備はできている。9日現在の日経平均の予想1株利益は672円と高水準をキープできている。

 日本には、春と秋の「彼岸」がある。先祖の墓参りをして、苦しい中にも恵まれた国に感謝する。相場もこの彼岸を境として転機となっていることが多い。折りしも、アメリカでは日本の彼岸に当る日に、FOMC(公開市場委員会)を開いて金融政策面からの景気テコ入れを発表する見通し。動き出した野田新政権に期待して、「彼岸底」を信じてみたい。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:56 | 特集
2011年09月09日

日本株式会社『野田新社長の方針』に耳を傾ける相場へ=犬丸正寛の相場展望

日本株式会社『野田新社長の方針』に耳を傾ける相場へ=犬丸正寛の相場展望 来週(12日〜16日)は、『野田新社長の方針に耳を傾ける』相場だろう。野田総理は、「日本株式会社」の社長でもある。社員を前に、どのような方針と具体的な取り組みを示すか。とくに、前社長には、言葉に振り回された感があるので、実行が伴うかどうかを社員(国民)は見極めようとするだろう。

★「貸借対照表」重視型か、「損益計算書」重視型かを見守る

 その新社長訓示式は13日(火)に臨時国会として行われる。会社は突き詰めれば、「貸借対照表」と、「損益計算書」に集約される。一般的に企業を見ていても、財務・経理畑出身の社長は貸借対照表を重視し、営業畑出身の社長は損益計算書を重視する傾向が見受けられる。当然、貸借対照表重視型においては、「債務」(借金)を減らすことに加え、「経費削減」が優先され、損益計算書型においては「売上」を伸ばすことが最優先の取り組として、それぞれ、トップの口から述べられることが多い。

★貸借対象表にこだわりすぎると社員はソッポも

 その野田新社長については、「貸借対照表」重視タイプの印象が強い。売上を増やすことで財務内容を改善するというやり方より、直接、財務に手を差し込んで一気に改善する手法の雰囲気だ。当然、「増税」とか「債務カット」といったことが予想される。

 しかし、こうした政策はタイミングを誤ると景気にマイナスとなるだけでなく、社員(国民)の反発を受ける心配がある。ギリシャを見ていても、人は利益をカットされたり、負担がアップすることには敏感に反対する。やり遂げるには、理想論の「思い」だけでは難しい。実績が大切である。社員・国民の納得を得るだけの実績を野田新社長が持ち合わせているとは思えないところに心配がある。実績のないまま、いきなり負担増では社員はしらける心配がある。「あの社長が言うのなら着いて行こう」という実績をつくることが先決ではないのだろうか。急がなくてはいけないからこそ、まず小さな実績をつくることが大切だろう。

 社長就任早々で申し訳ないものの、自らの給与をカットするくらいのことをやったうえで社員・国民に負担を求めるというのなら分からないでもない。財務・経理畑の人には、数字ありきや理屈が先行するきらいがある。

 今の日本には財政再建も成長という売上も両方大切な時である。新社長の言葉をマーケットは見守っている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:54 | 特集

有名人似の書店員さん…から連想して、小売業セクター株=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ いつも行っている書店のひとつで、先日、いつものように本をレジへ持っていたところ、「あっ」と思った。その店員さんが、政治学者の姜尚中・東大教授にちょっと似ていたからだ。私は姜氏のファンというわけではないが、しかし客観的にはステキな男性だとの認識はあるので、ちょっとドギマギしてしまった(笑)。

そういえば、以前いつも行っていた美容院で、担当してくれていた30代の男性美容師さんが、私が読んでいる雑誌に載っていた姜氏のインタビュー写真を見て、「僕、ゲイじゃないですけど、姜さんをテレビで見て、低い声と抑え目なしゃべり方がカッコいいな、って思っちゃいましたよ」と言っていたのを思い出した。でも、その書店員さんは、声までは姜氏には似ておらず、残念ながら(?)ふつうの声で「○○円です」とか「ありがとうございました」と言っていたが…。

 また、いつも行っているデパ地下のお惣菜店には、俳優の大泉洋にちょっと似た感じの店員さん(たぶん店長さんかチーフさんクラスの人)がいる。話しやすくて、何度か買ったことのあるお客の顔をちゃんと憶えていて、上手に声を掛けてくる。そうした、感じの良さと親しみやすい雰囲気も、大泉氏に通じるように思うのだ。

 上記の文から連想して、小売業セクターで優良銘柄を探してみた。

★マツモトキヨシホールディングス〈3088〉(東1)

 ドラッグストア首位のマツモトキヨシホールディングス<3088>(東1)を入れる。9日終値は6円安の1545円。単位100株。PERは約9倍、PBRは約0.7倍となっている。チャートは8月9日につけた直近安値1433円から反発。以降は下値抵抗線を切り上げ、三角保ち合いを形成しているように見える。まずは1600円ライン上抜け、中期で1700円フシまでの戻りを目指す。8月15日付けの三菱UFJモルガン・スタンレー証券のレーティングでは、「ニュートラル」(中立)、目標株価1750円とされた。

★ユナイテッドアローズ〈7606〉(東1)

 衣料・雑貨のセレクトショップを約150店、展開する、ユナイテッドアローズ〈7606〉(東1)を入れる。9日終値は44円高の1436円。単位100株。PERは約13.7倍、PBRは約3倍となっている。チャートは7月4日につけた年初来高値1728円から反落したものの、8月9日につけた直近安値1295円で底を打ったようだ。この1〜2ヵ月は上値1600円ライン、下値1300円ラインの三角保ち合いを形成しているように見える。保ち合い上放れで1600円ラインまでの戻りを目指す。月次売上の好況や、好業績観測報道なども出ており、買い安心感もある。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:53 | 特集
2011年09月06日

『新政権スタートで急落の相場』〜何が起きたか?=犬丸正寛

【今日の出来事&マーケット】

★「輸出関連株」から「内需関連株」へ潮流変化の動き

今日の出来事&マーケット 6日(火)の東京市場は、ほぼ「全面安」となった。前日のNYダウが253ドル安と大きく下げたことが響いた。日本では、野田新内閣がスタートしたばかりというのに。

 どのように見ればよいのか。筆者は、「マーケットで物色対象に変化が生じる時に起きる象徴的な動きである」とみている。「輸出関連株売り」の「内需関連株買い」の潮流の変化である。

 世界に目をやれば当然であろう。NYダウの不安定な動きに象徴されるアメリカ景気の不透明感。いっこうに収束する気配のないEUの財政不安。さらに、中国など新興国の高度経済成長に対するヒズミなどなど。どこを見ても海外の経済状況は良くない。

 当然、6日の東証1部の年初来新安値銘柄は輸出関連銘柄が圧倒的に多い。トヨタ自動車、スズキ、ヤマハ発、ソニー、パナソニック、東芝、三菱電機、ローム、カシオ、リコー、日本写真印刷、野村ホールディングスなど、グローバルで展開する銘柄ばかりである。

 このため、6日の日経平均終値は193円安の8590円と大きく下げた。下落率では2.2%。

 一方、TOPIX(東証株価指数)も下げてはいるものの、1.9%の下げにとどまっており、日経平均の下落率より小さい。これは、TOPIXには建設株など内需関連銘柄の寄与度が高いことがある。実際、建設株等は小幅安にとどまっている。とくに、小野薬品が新高値に買われるなど相場格言でいわれる『電気が消えるとお化けが出る』動きとなっている。電気とはエレクトロニクス株などの輸出関連株であり、お化けとはファインケミカル(精密化学)の代表の薬品株のことである。

 とくに、株式投資において注意すべきことは、「今より良くなるか、悪くなるか」という点である。この物差しに当てはめれば、輸出関連は良くなる可能性は多くは期待できない。むしろ、内需関連株には、新内閣による復興が背景にあるから期待が持てる。当然、内需関連銘柄に軍配が上がる。

★リーマンショック後の動きと反対の展開に

 しかし、今のマーケットには豊富な資金があるわけではないから、輸出関連株を売って内需関連株への乗り換え資金を作らなくてはいけない。振り返ってみれば、「09年3月」にも似たような動きが起きた。あの時は、人口減少、少子高齢化が進みデフレ解消は見込めないということで内需を一斉に売った。反対に、海外はリーマンショックから立ち直るために各国が足並みをそろえ大規模な景気刺激策を採るということで輸出株が買われる動きとなって現在まで続いた。これからは、09年3月当時の反対が来るものと捉えることができるだろう。

 ただ、不透明な海外においてアメリカについては基軸通貨ドルを支配している強みで、景気対策を打つことができる。実際、まもなく景気対策QE―3(第3次金融政策)が発表となる見通しだ。このため、NYダウは下げたといっても去る8月9日の安値1万604ドルに対しては余裕がある。

 今年の日本には、08年のリーマンショック以上の「東日本大震災」という経済にとって大ショックが起きた。リーマンショックの時と同様、日本でも大規模な復興・景気対策が大手を振って見込める。

 現物投資の個人投資家にはたいへん分かりやすい相場がこれからやってくる。復興に関連した内需関連銘柄を仕込む絶好のタイミングといえるだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:11 | 特集
2011年09月05日

問題は野田首相の「泥くささ」ではなく「増税くささ」にある=浅妻昭治

■リスクを最小化しリターンを最大化?

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「神は細部に宿る」―――含蓄に富む箴言である。兜町流に解釈すれば、株価の小さな動きが、相場の大きな変化を予見していると読めることになる。「株価は株価に聞け」で、株価の動きを先入観なしに虚心坦懐にウオッチすれば、リスクを最小化し、リターンを最大化する好パフォーマンスが期待できるとする教えにもつながる。

 この箴言に照らして気になったのが、8月29日の民主党代表選挙と9月2日の野田内閣組閣当時の日経平均株価の動きであった。代表選の決戦投票で、野田佳彦候補の勝利が伝えられ、野田内閣の組閣で、安住淳財務大臣の就任が早打ちされたときは、いずれも取引時間中の日経平均株価は、下ぶれた。組閣以来、新聞、テレビは野田内閣の「どじょう人気」で持ち切りで、前週末の報道各社の世論調査でも、内閣支持率が、管内閣末期から急上昇しているが、この日経平均の下ぶれには「神が宿る」先見性が見てとれないかどうかということである。

 野田候補が勝利をしたときも、安住淳財務相就任が伝えられたときも、市場参加者が少なからず、「こりゃ アカン」と直感して株を売ったから日経平均が下ぶれたのは間違いない。問題は、「こりゃ アカン」の「アカン」の内容である。

■「敵の敵は味方」と割り切る覚悟

 第1は、自ら「どじょう」と称した野田首相の「泥くささ」ではなく「増税くささ」にある。民主党の代表選挙前から増税路線を隠すことのなかった野田首相である。柔道二段の猛者として「寝技」を封印するとは明言はしたが、財務官僚の強力サポートを受けて「裏技」ぐらいは駆使しそうだ。コンビとしても安住淳財務相は絶好で、もう復興増税、消費税増税一直線とならないとも限らない。政界の一寸先は闇だそうで、抱きつき戦術、大連立構想など何が飛び出すか激動含みで、ここは「敵の敵は味方」と割り切る覚悟を決める以外にない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:30 | 特集
2011年09月04日

『台風12号で災害列島見直しへ』求められる災害に強い国土造り=犬丸正寛

【今日の出来事&マーケット】

■「コンクリートから人へ」の見直し急務

『台風12号で災害列島見直しへ』求められる災害に強い国土造り=犬丸正寛 台風12号が週末に列島を襲った。最初は関東直撃かと思われていた。方向転換して四国、近畿に集中豪雨をもたらした。NHKの報道では亡くなられた方は11名、行方不明者25名という。大惨事である。

 台風が日本に来るのは今に始まったことではないものの、気になるのは、年々、被害の規模が大きくなっていることだ。とくに、降雨量が半端でない。今回も、わずか数日の間に1800ミリに達したところもあったようだ。テレビ中継でも、水害に見舞われた方が、「経験したことのない雨」と、そろって口にされている。

 これまで、安定した降雨に恵まれ、緑いっぱいの日本は美しき国であった。しかし、これほどの豪雨に見舞われると、もはや、「熱帯」であり、「アマゾン」のようである。

 根本的に災害対策を考える必要がある。人の住める場所を改めて見直す必要があるだろう。筆者は過疎地の出身である。少ない住人のために大々的な治水、災害対策を求めることには無理があるだろう。故郷は誰にとっても大切。しかし、前提条件となる「自然」が変わってしまった。列島地図を精査して安全に近い地域、場所を選び出し、そこには集中して安全対策を講じることが求められるのではないか。

■「建設株」の見直し機運が台頭

 今年は東日本大震災に見舞われた。津波に襲われたところには住むことはできない。津波だけではない。台風による洪水で家が流され、土砂崩れで家屋が押しつぶされた。これからも異常な降雨量が続くことになれば安全な場所に移るより仕方ない。

 政権を取った民主党は、「コンクリートから人へ」を打ち出してきた。しかし、今、これだけの災害に見舞われていることから政策は見直す必要があるのではないか。「人のためにコンクリートは大切」なのだ。

 長らく低迷してきた「建設株」に、今回の東日本大震災と毎年発生する洪水によって、見直し機運が台頭するものとみられる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:22 | 特集
2011年09月03日

『アメリカ雇用統計悪化がマーケットに与える影響』は?=犬丸正寛

【今日の出来事&マーケット】

■マーケットは「景気刺激の催促」を強める

犬丸正寛 週末2日に発表された「8月のアメリカ雇用統計」は、非農業部門の就業者数の伸びは前月比横ばいと発表された。これを受けて2日のNYダウは一時282ドル安まであり、終値は253ドル安の1万1240ドル。週明けのマーケットはどう動くか。

 これで、7月まで10ヶ月連続で続いた就業者の増加が止まった。通信大手企業のストの影響が大きかったといわれるものの、それを吸収できなかったところにアメリカ景気の足腰が弱くなっていると受け取られた。

 しかし、これによってNYダウが、これ以上大きく下がることはないだろう。実際、去る8月9日の安値1万604ドルに対しては十分な余裕がある。機関投資家等が見る「S&P500」についても、2日の終値は1173ポイントと、去る8月9日の1101ポイントに対し6.5%上にある。

 今回の雇用者数横ばいは、政府に対し景気対策を催促する働きがある。既に、NYダウは景気対策を催促して、8月9日の安値1万604ドルから9月1日には1万1716ドルまで10.4%値上りしていた。今回の悪い雇用統計によって、見出し的効果は大きく、「催促」はいっそう強まるものとみられる。

 実際、早速、オバマ大統領は8日にも景気対策についての声明を発表するという。さらに、9月20日、21日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)で景気対策「QE3」(第3次量的緩和)が検討されるもよう。

■悪いことを放置できないのが政治の役目

 足元の統計数字が悪いからといって、今は弱気は禁物である。悪いことを放置することはできない。「悪いからこそなんとかするのが政治」だからだ。これから、8日の大統領声明、20〜21日のFOMCの景気刺激策の本気度をマーケットは読み込んでいくだろう。

 仮に、8日の大統領声明が期待されるものでなければマーケットは、もう一段下げて催促の動きを強めるものとみられる。

 NYダウが波乱含みながらも催促相場を強めることは日本のマーケットにとっても悪い話ではない。日本でも「野田新内閣」による「経済復興」を買う相場が予想されている。猛暑のあとの今年の秋は、日米とも政治に対する期待が一段と強まっている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 22:46 | 特集
2011年09月02日

『野田新内閣の船出』を祝う相場展開へ=犬丸正寛の相場展望

『野田新内閣の船出』を祝う相場展開へ=犬丸相場展望 来週(5日〜9日)は、『野田新内閣の船出』を祝う相場展開だろう。実際、マーケットの反応は評価したものとなっている。

 たとえば、民主党の代表選挙で野田氏が代表に選ばれた8月29日(月)の日経平均終値は8851円。衆参で首班指名された30日は8953円、そして組閣が出来上がりスタートした2日(金)は8950円。代表選挙から組閣までの動きでは、「堅調」といえる展開だ。

 この背景には、菅総理が6月2日に退陣表明して以降、ガタついた政局が落ち着いたことがある。菅総理は9月以降も続投かとも思われたが、引け際は、それまでの態度とは一変して、さっぱりしたものだった。さすがである。むしろ、国会会期の終盤では、今にして思えば、敢えて、悪役的に振舞われた感じも受ける。それによって、「野田丸」の船出はずいぶんと荷が軽くなったのではないか。

★「復興」が一大テーマ

 日本には取り組む課題は多いだけに新内閣は思い切ってやれるはず。とくに、優先順位をつけるなら、「復興」と「アメリカとの関係強化」、そして、「TPP(環太平洋経済連携協定)対応」だろう。

 早速、新内閣は対米強化に向け動き出している。これも、行動力が乏しいといわれた前内閣のことがあるはずだ。エネルギー問題もあるが、菅内閣が道筋をつけたことで、内政では「復興」に全力で取り組むことができる。この復興については、与党内からも野党内からも反対はできない。少なくとも年内は「復興」を掲げて進むことで安定した航海が予想されそうだ。

 ただ、具体的な政策段階になってくると温度差は出るだろう。たとえば、復興策についても、話題となっている「カジノ構想」については賛成派と反対派に分かれることが予想される。また、締め切り時間が迫りつつある「TPP」にしても同様で、全員が賛成ということにはならない。ましてや、日米間の懸案の沖縄基地問題は簡単ではない。政権を揺るがす問題となる可能性さえ含んでいる。

★9150円を抜けば1万円へ航海開始も

 一般に「新政権100日」といわれ、穏やかさが予想される。しかし、具体的政策となるほど厄介な問題ばかりだけに、場合によると、「新婚(新内閣)100日のアツアツ期間」を待たず、荒れ始めることも無しとはいえない。

 それでも、当面は全員が異論のない「復興」をテーマにマーケットは「復興相場」を買う展開だろう。日経平均は上値のフシである8月16日の9150円(場中高値)をどの時点で抜くかが見所。早い時期に抜くようなら1万円を目指した航海が予想される。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:23 | 特集

海外の豪邸を垣間見て…不動産株=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 最近、アメリカの不動産サイトを見ることにハマッている。といってももちろん、買えるわけでもないのだが(笑)、見ているだけでもなかなか楽しいのでハマッているのだ。土地と建物あわせて数億円〜数十億円するような豪邸がたくさん紹介されていて、たとえていうと雑誌でセレブの生活を垣間見るような、そんな楽しさである。

 ネットで紹介されている物件のほとんどは中古の転売物件だ。そのためか、サイトの写真を見る限りでは、家具やインテリアが整っている。豪邸の場合、しつらいはインテリアデザイナー等のプロに依頼するのがほとんどであり、家具やインテリアは個人的な持ち物というより、家に付属している物という感覚が強いからだろうか。まるでインテリア雑誌の美しいビジュアルを眺めているようで楽しい。物件によって、まるでミニ・ホワイトハウスみたいな「いかにもアメリカの豪邸」だったり、美術館のようなアバンギャルドな建物&インテリアだったり、木と石を多用したクラシック風、モダン、スペイン・中米風、地中海風…と、いろいろな物が見られる。

 また、高い物件には、ほとんどプールと暖炉とホームシアターがついている。これもアメリカ人(というか、欧米人全般?)の志向や価値観を見るようでおもしろい。そして、やはり思うことは、「同じくらいの金額を出すなら、日本よりもアメリカのほうが、より広くより立派な地所と建物が買えるのだなあ」ということだ。

 上記の文とは関係ないが、連想して、不動産銘柄を見てみた。

★野村不動産ホールディングス〈3231〉(東1)

 マンション開発・分譲、不動産の資産運用事業などを行なっている、野村不動産ホールディングス〈3231〉(東1)を入れる。2日終値は38円安の1162円。単位100株。PERは約15.8倍、PBRは約0.7倍となっている。チャートはこの1ヵ月ほど、1450円ラインから1100円ラインへ続落トレンドとなっていたが、8月24日に直近安値1109円をつけて以降は反発している。底値圏の拾い時と見て、まずは1300円フシ上抜けを目指す。少し古くて恐縮だが、8月1日付けの野村証券のレーティングでは、「Buy」(買い)、目標株価1700円とされた。

★住友不動産販売〈8870〉(東1)

 マンションなどの個人仲介事業を中心に、受託販売事業なども行なっている、住友不動産販売〈8870〉(東1)を入れる。2日終値は35円安の3310円。単位10株。PERは約13倍、PBRは約1.5倍となっている。チャートは8月23日につけた直近安値3060円からの反発局面となっている。が、中期で見ればまだ安値圏。昨日と今日は2日続落で、押し目の拾い時と見る。まずは3500円フシまでの戻りを目指す。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 15:42 | 特集
2011年08月29日

【話題】民主党新代表は野田氏!マーケットは期待と不安が半々

【注目される「外国人投資家」の動き】

■財政悪化食い止めには期待

話題 29日(月)14時40分頃、民主党の新しい代表が決まった。決戦投票の結果、野田佳彦候補が海江田万里候補を破って新代表に就いた。しかし、途中まで前日比129円高と買われていた日経平均は、終値では前日比53円高の8851円と伸び悩んだ。今日の動きは期待と不安が「半々」だったようだ。

 マーケットでは、菅総理が6月2日に退陣表明をして以降、ガタついていた政局が落ち着いたことに対しては一応の評価をしている。また、財政畑の野田氏が財政立て直しに積極的に取り組むものとみられることから外国投資家の見直しが予想されることにも期待が持たれている。

■党内に亀裂の火種も

 しかし一方で、(1)小沢一郎氏の推していた海江田氏が敗れたことで党内にさらなる波乱の火種が残ってしまった、(2)野田氏の打ち出している大連立政権構想の行方が気になる、(3)野田氏は増税論者であり、増税が先行すれば景気に対して悪影響が予想される、(4)外交手腕は未知数、といった懸念も出ている。

 言うまでもなく今の日本は、「震災復旧・復興」、「財政立て直し」、「少子高齢化・人口減少による国力低下」、「年金・医療福祉問題」、「円高圧迫」、「領土など外交問題立て直し」など内外に問題が山積している。しかも、優先順位をつけることができないほど、全てが重要で、しかも急がなくてはいけない。

 ただ、「演説を聞いた中では、一番、お腹から声が出ていたのは野田氏だったように思われる。意志の強さを感じた人は多いのではないか。こういう大変なときは、筋論に強いだけでなく意志の強さが大切である。この点は新総理として期待できるのではないか」(中堅証券)との期待も。

■増税による景気への影響懸念

 株にとって増税は嫌な材料。仮に、増税が先行するなら株価は軟調となることも予想される。しかし、財政悪化を放置しておくとギリシャのことは他人事ではなくなる。悩ましい問題である。最終的には国民がどちらを採るかにかかってくる。もちろん、民主党が2年前に、「ムダを削ることなどで16.8兆円の財源を用意する」といって政権を取ったときの約束には手がついていないことは国民は覚えている。

 こうした難題を野田新代表(新総理)が強いリーダシップで乗り越えることができるかどうか。こういう問題には割り切って判断のできる外国人投資家の動きを見ておくことは大切のように思われる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:27 | 特集

「政策待ちに政策なし」か?メガソーラー関連株で「ご祝儀相場」の打診=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「両論併記」、「玉虫色」、「先送り」――――これは、いずれも政治決断ができない日本の政治家の特徴を表すといわれる慣用語である。前週末8月26日のバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長の講演は、どうもこの慣用語がふさわしかったようである。世界中のマーケット関係者が期待した金融の量的緩和策第3弾(QE3)について、「期待外れ」とも「期待通り」ともどちらにも取れる内容だったからだ。

 その証拠に、NYダウは、講演直後は220ドル安と続急落したものが、大引けでは134ドル高と急速に持ち直した。弱気も強気も、どちらも当たり屋で曲がり屋となり、正解は、9月20〜21日開催の次回FOMC(米連邦公開市場委員会)まで先送りなったわけだが、こんな日計りの高速エレベータ相場に揺さぶられた米国の投資家には同情を禁じ得ない。

 相場格言は、「押し目待ちに押し目なし」と教えているが、同じように「政策待ちに政策なし」とはならないことを願うばかりである。だいたいリーマン・ショック後の米国経済は、住宅不況、雇用不安に債務不安が重なって、バブル崩壊後の「失われた10年」にあえいだ日本経済と同様に「日本化(ジャパナイゼーション)」が懸念され、打ち出される政策も限定されてきた。金融政策のガバナンスも、調整型とする日本化はいたし方のないことなのかもしれない。

 政策不安は、米国ばかりの専売特許ではない。わが日本は、「1000年に一度」の大災害に見舞われ、為替相場で円が、史上最高値を更新しているのに、ただただ「注視する」だけで、対策は後手、後手に回るなどもっと深刻である。きょう29日には、民主党の代表選挙が投開票され、次期内閣総理大臣が誕生するが、政策の遅れを挽回してスピードアップが図られるのか不透明である。代表選の告示からわずか3日で投開票と、立候補者5名の政策論争はほぼ皆無で、政策の違いより「親小沢」か「反小沢」かを争点とする多数派工作で、大勢を決すると観測されている。これでは、次期首相に敬意を表する「ご祝儀相場」も、期待薄とならざるを得ない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:09 | 特集
2011年08月27日

新内閣に対する期待と不安の入り混じった相場へ=犬丸正寛の相場展望

新内閣に対する期待と不安の入り混じった相場へ=犬丸正寛の相場展望 来週(29〜9月2日)は、『新内閣に対する期待と不安の入り混じった相場』が予想される。期待は、「日本株式会社」に対する再生である。自民党時代の政策が、利権構造的で強い者優先だったとすれば、民主党政権の政策は「コンクリートから人へ」に象徴される庶民に軸足を置いたものだった。

 そのことは、決して、間違いではないものの、分配優先的なバラ撒き政策の色合いが強いものだったことは否定できない。人は、貰うことのクセがつくと、苦労して稼ぐことより貰うことに意識が強まる。当然、そのことは財政を悪化させる。さらに、増税で帳尻を合わせようとすれば企業の国際競争力は削がれる。この点に対する「不安」がある。

 しかも庶民、大衆に視線を置くあまり、国際的な日本の存在感が薄くなってしまった。つまり、外交力低下への「不安」である。とくに、尖閣諸島では他国の戦艦が出没、完全になめられている。北方領土など、領土問題に対する日本の立場は民主党政権になって明らかに悪化した。アメリカとの間の沖縄基地問題も未解決のままだ。「外交力」アップは避けて通れない。

 菅内閣からバトンを受ける内閣はどのような方針を打ち出すか。誰が総理になろうとも、震災からの「復興」は最優先課題である。と同時に、日本国債の格下げなど悪化する財政の再建も待ったなし。

 幸い、日経平均は8月9日の8656円を割り込み、22日には8619円まで下げたものの、そのまま下へ行くことはなかった。NYダウも波乱となりながらも下値を固め反発に転じている。今後もNYダウは、「QE―3」(3次金融緩和政策)を催促する動きとみられる。マーケットは落ち着きを見せている。当然、新内閣への「期待」が込められているとみられる。

 まもなく発足する新内閣。「国内政策」と、「外交政策」の両面に対して強いリーダーシップが求められる。凝縮して言えば、「稼ぐこと」と、「福祉・豊かさ」のバランスの取れた国づくりである。「人もコンクリートも両方大切」なのである。最近の企業のトップ人事異動をみていると、本業に強く、稼ぐことのできる人が就いているケースが目につく。当然、「日本株式会社」の社長である総理も稼ぐことと、社員(国民)の幸せを考えられる人が求められるはず。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:12 | 特集
2011年08月26日

マイカーのタイヤ取り替えから連想して、ゴムセクターを見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 先日、家人がマイカーのタイヤを取り替えた。私は自分専用の自家用車を長期にわたって保有した経験がないため知らなかったのだが(無知でお恥ずかしい…)、クルマって、ある程度の期間、乗っていると、タイヤが磨り減ってきて安全性や燃費の面で良くないので、新しいタイヤを購入して付け替えるものらしい。その値段が、私から見ると結構な額なので、「えっ?タイヤってこんなに高いの?」と驚いた。もちろん、リーズナブルな商品はあるし、交換の工賃も、チェーン店のようなところに頼めば比較的廉価にできるそうだが…。

 また、家人がニュースで見たという話によると、タイヤメーカーは円高なのに(円高だから?)業績が良いらしい。過日は業績予想の上方修正も発表されていた。そこでネットのニュースを検索してみたところ、ヤフーニュースのサイトで、ロイターの「タイヤ各社に円高・資源高への抵抗力 通期業績は上振れ期待も」という記事を見つけた。これによると、主要原材料である天然ゴム価格が落ち着いたこと、収益源である市販用タイヤはメーカーの価格決定力が強いこと、新興国での今後の伸長期待、などが指摘されている。

 東証1部業種別株価指数のランキングを見たところ、8月26日の大引けはゴム製品セクターが前日比の伸び率トップとなっていた。そういうわけで、ゴム製品セクターの銘柄を取り上げてみる。

★横浜ゴム〈5101〉(東1)

 タイヤの国内3位で、ドイツのコンチネンタル社と提携している、横浜ゴム〈5101〉(東1)を入れる。26日終値は11円高の424円。単位1000株。PERは約13.2倍、PBRは約0.9倍となっている。チャートは7月14日と同21日につけた年初来高値489円から反落し、続落トレンドで来ていたが、下値400円フシにあたり、反発局面となっている。まずは440円フシまでの戻りが目標となりそうだ。ドイツ証券は24日付けのレーティングで、投資判断「Hold」(中立)継続、目標株価500円とした。

★住友ゴム工業〈5110〉(東1)

 タイヤの国内2位企業で、欧米ではグッドイヤーと合弁もしている、住友ゴム工業〈5110〉(東1)を入れる。26日終値は43円高の963円。単位100株。PERは約12.1倍、PBRは約1.3倍となっている。チャートは7月20日と同21日に年初来高値1060円をつけたが、以降は反落。この1ヵ月ほどは900〜950円ラインの間でモミ合っていたが、反発のきざしが出ている。まずは前の高値1060円ライン上抜けを目指す。信用残は売り長で、今後、買い戻しが入ってくることも期待できそうだ。ゴールドマン・サックス証券は26日付けリポートで、投資判断「コンビクション」(買い)、目標株価1350円とした。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:08 | 特集
2011年08月22日

波乱相場をちょっとしたサプライズ!コロナとダイニチ工業の株価急騰=浅妻昭治

■石油ストープの特需思惑で再騰した銘柄

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー NYダウが、急騰・急落する高速エレベーター相場に揺さぶられ、為替相場が、ついに1ドル=75円台に突入する円最高値更新と振り回されると、いかに名うての強気投資家でも、「戦意喪失」、「脱力系」とならざるを得ない。「今年の相場は終わった」、「後半相場は撤退また撤退」との嘆き、弱気の声も、悲鳴に近く聞こえてきそうである。

 しかしである。その波乱相場をもう少し微視的にビビッドにみると、ちょっとしたサプライズ、救いがないこともない。その1つが、コロナ<5909>(東1)ダイニチ工業<5951>(東1)の株価急騰である。

 両社株とも、今冬の厳冬需要享受で動意付き、東日本大震災発生で急落したが、その安値から震災後の被災地での石油ストープの特需思惑で再騰、気がつけば大化けをした。とくにコロナは、震災時につけた上場来安値628円が、年初来高値1247円まで5カ月で98%高とほぼ倍化した。

 この急騰について、日経紙の証券市況欄のコラム『まちかど』では、相場格言の「麦わら帽子は冬に買え」を引き合いに出して、今冬の電力不足を先取りする株価の先行特性を発揮したとコメントした。しかし、半年後の冬場を期待して待ち伏せ買いしたはずなのが、7月以降の直近の猛暑の真っ只中で400円幅の急騰を演じたのだから、少なからずサプライズとなった。

■ローテク製品の稀少なメーカー

 しかも、同社株を買った投資家は、個人的な感覚だが、厳冬・電力不足の経験者だろうと推測されることも、サプライズを上乗せした。実は筆者も、この経験を痛いほど味わった一人である。20数年もの昔の大雪が降った朝、拙宅は、半日間にわたる停電に見舞われたことがあった。雪の重みで架線が切断されたのである。この時は、半日間、家族揃って寒さに震えることになった。暖房機器は、エアコンだろうと石油ファンヒーターだろうとコタツだろうと、肝心の電気が停電となり、まったく役立たずとなったからだ。

 当然、こうした緊急事態に備えて、「一家に一台、石油ストーブ」ということで石油スートブの購入に走ることになった。しかもこの石油ストーブは、電気が通じなければ動かない石油ファンヒ−ターでなく、タンクに灯油を給油さえすれば点火できて直ぐに暖が取れるいわゆる開放型の石油ストーブというローテク製品でなければならなかった。

 家電量販店の販売員の説明によれば、このローテク製品は、国内でコロナとダイニチ工が稀少なメーカーで、大手電機メーカーは、すでに石油ファンヒーターも含めて石油ストーブから撤退して、ハイテク技術の粋を集めたエアコンに特化しているというのである。石油ストーブ自体が、ハイテク製品のニッチ(すき間)のローテク製品であり、にもかかわらず社会的存在意義を失っていなかったことになるわけだ(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:24 | 特集
2011年08月19日

『秋待つ直前の様子見相場』政治、経済とも具体的展開待ち=犬丸正寛の相場展望

■信用6ヶ月期日も8月で一巡

『秋待つ直前の様子見相場』政治、経済とも具体的展開待ち=犬丸正寛の相場展望 来週(22日〜26日)は、『秋を待つ直前の様子見相場』が予想される。

 NYダウは18日、419ドル安と、再び、大きく下げた。しかし、9日に下げた時の安値に対しては、まだ余裕がある。9日の安値を下回ることがあるのか、ないのか、様子見だろう。

 民主党代表選挙は野田財務大臣で決まりかと思われていた。しかし、次々と候補者の名が挙がり新政権の姿も描き難くなっている。政局も今しばらく様子見だろう。

 一方、「猛暑」もやっと終わりかけた。しかし、こちらも残暑のブリ返しはないのか。このまま秋がくるのか。もうしばらく様子見だろう。

 さらに、EU問題もドイツ、フランスがどのように動くのか。こちらも、様子見の雰囲気だ。

 かくして、社会、経済、政局とも8月末まではしばらく様子見の空気が強い。しかし、そうした中で早くも石油ファンヒーターのダイニチ工業<5951>が急伸して新高値をつけるなど、「冬関連株」の新しい動きも出始めている。

 日経平均は週末19日に8707円と下げたものの、辛うじて去る9日の安値8656円はキープしている。もちろん、3月の震災時下げでつけた安値8227円に対しては十分余裕がある。目下、2月高値1万891円近辺の6ヶ月期日が到来して圧迫となっている。それも8月いっぱいで一巡する。仮に、9日の安値を切る場面はあったとしても大きく下げることはないだろう。まもなく、実りの秋が到来する。今しばらくの辛抱である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:22 | 特集

『空海と密教美術展』から連想した銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 東京・上野の東京国立博物館で9月25日まで開催中の『空海と密教美術展』へ行った。『弘法大師』として知られる、真言宗の開祖である空海(774〜835)にまつわる書や仏像など約100点が展示されている。特筆すべきは、京都の東寺から8体の仏像が出展され、規則的に並べられて密教の宇宙観を示す「曼荼羅」を再現した空間。以前、東寺へ行ったことがあるが、そこでは仏像は正面の壇上に並べられて、手前から参拝するだけだったように記憶している。今回は仏像の間を歩き、四方八方から眺めることができて楽しかった。

 また、空海直筆の書が5点、展示されており、「弘法も筆の誤りというが、誤っている箇所はあまり見られないなあ」などと思って楽しんだ。ほかに印象に残ったのは、空海が留学先の唐から帰国する際に、唐で修めた密教を日本で広めるのにふさわしい場所を求めて投げたところ、遠く飛行して高野山中の松の枝に懸かったという伝承の『飛行三鈷杵』。歴史と伝説を感じることができて感動した。いつか和歌山県へ行き、高野山を見てみたいと思った。

 上記の文とは関係ないが、美術展から連想して、社名に「美」のつく銘柄を見てみた。

★能美防災〈6744〉(東1)

 火災報知器の最大手、能美防災<6744>(東1)を入れる。19日終値は8円高の478円と、地合いが軟調な中で値上がりして引けている。単位1000株。PERは約15.3倍、PBRは約0.6倍となっている。チャートは今月に入ってから、400円台後半でモミ合っている。今後の地合いにもよろうが、460円ラインの押し目を拾い、500円フシまでの戻りを目指す。業績は回復基調にあり、買い安心感もある。今期配当金は9月中間期末と2012年3月通期末それぞれ7円50銭の年間計15円予想。現在の株価で利回り約3.1%の計算となる。

★ミズノ〈8022〉(東1)

 スポーツ用品大手のミズノ〈8022〉(東1)を入れる。19日終値は3円安の351円。単位1000株。PERは約18.7倍、PBRは約0.6倍となっている。チャートは今月9日につけた直近安値321円から反発したものの、以降は350〜360円ラインの間でモミ合っている。モミ合い上ばなれで380円フシを目指す。また、今期配当金は9月中間期末と2012年3月期通期末それぞれ5円の年間計10円予想。現在の株価で利回り約2.8%の計算となる。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:21 | 特集
2011年08月15日

米国NY商品取引所の金先物取引の証拠金引き上げ、なぜ取引規制が強化されたのか?=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 何か訝しい。米国ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物取引の証拠金引き上げである。この規制強化で連日、史上最高値を更新し、1トロイオンス=1817.6ドルまで買い進まれた金先物価格は、先週末に1751.5ドルと急落して引けた。最高値更新は、欧州の債務危機、米国国債の格下げ、米景気の二番底懸念、ドル安などを背景に「質への逃避」、「無国籍通貨」として金選好を強めたことが要因で、確かに上昇ピッチの速さはバブル的である。しかし、このバブルは、不動産バブルや商品市況の原油、穀物などのバブルとは趣きを異にしているはずだからである。

 日本の不動産バブルは、地価の急騰が、勤労者の住宅取得を困窮化させ、世論のブーイングに尻を叩かれて、時の自民党政権は、地価沈静化の不動産融資総量規制の発動に追い込まれた。原油価格の高騰も、ガソリン価格が上昇し消費者の購買力を奪い、今回の米景気減速の一要因となり、穀物価格の高騰も、世界の飢餓人口を悪化させる弊害を生むことは記憶に新しいところである。

 しかし、こと金価格に関しては、急騰しようが急落しようが、金兌換はすでに、ちょうど40年も前のきょう8月15日の「ニクソン・ショック」で停止されているから、実体経済への影響は無視できるほどに小さく、すべては市場参加者間、自己責任の範囲内にとどまる。

 にもかかわらず、なぜ取引規制が強化されたのか?察するところ、これは欧州の債務不安、銀行株安、米景気減速の裏返しに違いない。欧州の銀行株安が、金融危機再燃の引き金になるとして、株安阻止の空売り規制が発動され、もう一方では、マネーの逃避先の金価格の急騰に歯止めをかける取引規制の強化につながったと推測されるのである。

 もしこの推測が当たっているとすれば、世界各国の政策当局者は、揃いも揃って財政政策にしろ金融政策にしろ危機脱出策の手詰まりに陥っていて、残された「ラストリゾート(最後の拠り所)」として直接、マーケットに手を突っ込む市場介入策に踏み切ったとも解釈されることになる。株価に関しても、すでに日銀が、ETF、REITを市場購入しているが、今後は、株式市場に直接、「真水(カネ)」を注入する「真水相場」がないとは言い切れないのである。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:45 | 特集
2011年08月14日

【金融波乱を検証】プロ運用者の基本はS&P500=杉山哲夫氏にNY相場と為替を聞く

【HORUS Investmentの杉山哲夫代表に聞く】

【金融波乱を検証】プロ運用者の基本はS&P500=杉山哲夫氏にNY相場と為替を聞く ニューヨークで為替等ディーラーとしての豊富な経験を持つHORUS Investment(海外投資運用専門会社=本社・香港)の杉山哲夫代表にNYダウ、為替等について東京事務所で聞いた。

――ニューヨークで、為替のプロとしてご活躍の経験から、今回のアメリカの金融の波乱はどのようにご覧になっていますか。

 【杉山氏】 正直、アメリカ国債の格付けまで下がることまでは予想していなかった。しかし、為替に携わってきた長い経験から、これまでとは違うという直感が働いて保有していた通貨、株などは7月26日に全て売却しました。

■金融・経済の世界に政治が絡むと経験則は通じない

――どのような直感でしたか、是非、お聞かせ下さい。

 【杉山氏】 長い経験の中で、私が基本としていることのひとつに、『金融、経済の世界に政治が絡んでくると経験則が通じなくなり読めなくなる』ということです。もちろん、EUの財政危機の問題もあります。しかし、それ以上に、今度のアメリカの債務上限枠拡大をめぐっては、オバマ民主党と共和党が、来年の大統領選挙を控え政治的な駆け引き材料に巻き込まれたことが大きいと思います。これまでの量的緩和による資金が設備投資、住宅投資などに向うのではなく雇用の増加に結びつかないまま「商品」に流れ込み、実体経済と商品相場が遊離していたという問題のあったことは否定できませんが。

――アメリカは来年、大統領選挙です。

 【杉山氏】 共和党の候補に誰が出てくるかです。テキサス州のペリー候補が出てくるようだと、来年の大統領選挙ではオバマ大統領は苦しくなるでしょう。

■NYダウより「S&P500」が1100ポイント維持するか注目

――NYダウはいかがですか。

 【杉山氏】 その前に、アメリカでは、われわれのようなプロはNYダウで話をすることはありません。このことを申し上げておきます。プロ運用者の基本は、「S&P500」です。NYダウは言うまでもなく、わずか30銘柄で構成されています。S&P500は銘柄全体の60〜70%カバーしています。それでも、敢えて、S&P500とNYダウの関係を言うなら、S&P500の1ポイントは大体NYダウ9ドルていどの変動です。

――そのS&P500は、どのような状況ですか。

 【杉山氏】 リーマンショックの2009年3月に666ポイントまで下げ2010年4〜5月に1920ポイントまで戻した。しばらく、モミ合い、今年5月の1370ポイントまで上げ調整となっています。週末は1178ポイントですが、今後、1100ポイントを維持できるかどうかが最大の見所です。もし、1100ポイントがキープできないと1000ポイントまで下げる心配があります。そうなると、S&P500とNYダウの関係でいえば、NYダウは900ドル下げることになります。当然、日経平均も9000円割れの心配が強まります。

■米国10年債の金利3.25%で一気に円安へ

――円高はどうでしょうか。

 【杉山氏】 以前から、今年の年末から円安方向とみていました。ただ、アメリカの金融政策当局が2013年半ばまでは低金利政策を続けると表明したことで、円安に向う「時期」については読み難くなりました。しかし、日本の政権交代もあるので、日本にとって特別、悪い材料はありません。1ドル=75円を大きく上回るような円高にはならないとみています。今後、とくに注意しておくべきは米国10年債の金利です。現在の2%が、もしも3.25%程度へ今より1%ていど高くなれば、円安(ドル高)が鮮明となるとみています。個人投資家の方は米国債金利が3%を超えてくるかどうかを注意してみておくべきです。そうなれば、ドル・キャリーから円・キャリーの動きが強まります。

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:05 | 特集