[特集]の記事一覧
  (ブログ内の記事検索は右サイドバーの検索窓から)

記事一覧 (05/30)「一粒で2度動く」業績予想未定銘柄の2度目の業績開示には待ち伏せ余地=浅妻昭治
記事一覧 (05/27)来週の相場は2次補正の規模を睨む動き=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (05/27)平山郁夫の画文集『西から東にかけて』を読んで=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (05/23)15勝4敗1分けの「外れMSCI銘柄」で日本市場の底力を試すのも一考余地=浅妻昭治
記事一覧 (05/20)株主総会を意識した展開を予想=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (05/20)今まで知らなかった世界を垣間見て、「おしゃれ銘柄」=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (05/18)今仙電機製作所は海外の積極的な強化が目立つ=犬丸正寛の銘柄カルテ
記事一覧 (05/16)制御可能で再臨界の懸念のない5月末の配当利回り買いでまず安全第一を優先=浅妻昭治
記事一覧 (05/13)復興関連株の第二幕相場は、まだ早い!今後の展開は?=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (05/13)「日本企業の良さ」から連想して、サービス業銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (05/11)富士重工は下値不安なく夏場狙い!「風力発電」のテーマ性も=犬丸正寛の銘柄カルテ
記事一覧 (05/10)電子書籍関連銘柄特集(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は?
記事一覧 (05/10)電子書籍関連銘柄特集(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場
記事一覧 (05/10)電子書籍関連銘柄特集(2)=電子書籍本格普及へのカギは?
記事一覧 (05/09)電子書籍関連銘柄特集(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大
記事一覧 (05/09)「想定内」か「想定外」か迷ったら「想定外」相場を先取りしてO111関連株をマーク=浅妻昭治
記事一覧 (05/06)空腹感の強い中で個別物色が続く相場=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (05/06)文学のきびしさ…から連想して、出版・製紙株=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (05/05)三菱重工業は短期的にはモミ合いを予想、中期では有望=犬丸正寛の銘柄カルテ
記事一覧 (05/05)地熱発電特集(4):地熱発電を国内・海外で事業展開する主要な関連企業
2011年05月30日

「一粒で2度動く」業績予想未定銘柄の2度目の業績開示には待ち伏せ余地=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「一粒で2度おいしい」とは、昔懐かしいグリコ・アーモンドキャラメルのキャッチコピーである。このキャッチコピーよろしく株価が、2度動いているのが、3月期決算会社で今期業績予想を未定、非開示とした銘柄である。4月末〜5月初めの決算発表時に今期予想を未定として株価が上下どちらかに反応し、前週あたりからその未定として今期予想を開示し、また売り、買いどちらかの株価評価につながっている。

 しかも、遅れて開示した今期予想が、続伸を見込んで市場コンセンサスを上回ったケースでは、株価も好感高を演じており、「2度目のおいしさ」はぜひ満喫したくなるのが投資家の当然の投資スタンスというものだ。東京エレクトロン<8035>(東1)は、今期予想が市場コンセンサス未達でその後の株価は伸び悩んだが、日立メディコ<6910>(東1)安川電機<6506>(東1)日立建機<6305>(東1)などは、市場コンセンサスをクリアして株価も好感高、下げた株ほどよく戻る「リターン・リバーサル」買いの有力候補銘柄に名乗りを上げているからなおさらである。

 もちろん今期業績を未定と予想したのは、東日本大震災の影響である。大震災の景気全般への心理的影響、サプライチェーンの復旧・復興動向、電力使用制限の対応など不確定要因が多すぎて、合理的な算定が困難としたからである。しかしいつまでも未定のままとはいかず、今月末に集中開催される定時株主総会までには、予想を開示してくるとするのが一般的な見方となっている。日産自動車<7201>(東1)のように、業績予想と株主総会の開催予定日を未定とした例もあるが、月末接近とともに両方を同時発表の可能性も想定される。

 ただ注意しなければならないのは、業績未定予想銘柄にも、純粋未定会社とそうでない会社があることだ。予想未定会社でも、決算発表の翌日付けの日本経済新聞の投資・財務ページには、しっかり今期予想の売上高、経常利益、純利益が打ち出されているケースが大半だからである。主力株のなかで今期予想が空欄となったのは、日立製作所<6501>(東1)ルネサスエレクトロニクス<6723>(東1)JR東日本<9020>(東1)ソフトバンク<9984>(東1)など数少ない。

 しかもこの日経の業績予想は、はなはだ的確なのである。安川電、日立建、さらに前週末27日発表の日立物流<9086>(東1)に遅れて開示した今期予想などは、日経予想とほぼ同レベルとなった。日経の担当記者の取材力、業績分析力には恐れ入るほかない。

 だから遅れて開示される今期予想が、この日経予想を上回るサプライズとなるのか、それとも日経予想通りとなって好材料・悪材料出尽くしと評価されるかによって、株価も2度目の動意を示すことになる。全般相場が手詰まり感を強めるなか、個別物色銘柄として浮上する展開も想定される。

 子会社が相次ぎ強気予想を打ち出した日立を筆頭にオリエンタルランド<4661>(東1)富士フイルムホールディングス<4901>(東1)パナソニック<6752>(東1)TDK<6762>(東1)アドバンテスト<6857>(東1)日産自動車<7201>(東1)ホンダ<7267>(東1)日立ハイテクノロジーズ<8036>(東1)などの動向からは目を離せず、待ち伏せ余地もあることになる。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:32 | 特集
2011年05月27日

来週の相場は2次補正の規模を睨む動き=犬丸正寛の相場展望

★3〜5兆円なら売り、10兆円規模で買い

来週の相場は2次補正の規模を睨む動き=犬丸正寛の相場展望 来週(30日〜6月3日)からの相場は、『第二次復興予算3〜5兆円は売り、10兆円で買い』を、睨んだ展開だろう。

 日経平均は、5月2日に瞬間1万0017円と1万円台乗せがあった。これは、ビンラディン氏殺害でテロ終結見通しからNYダウが上伸したのに引っ張られた側面が強い。基本的には、日経平均は9400〜9800円のボックス相場といえるだろう。3月の場中安値8227円に対しては15%程度上の位置にある。

 なぜ、戻り高値圏でモミ合っているのか?
(1)復興特需で先行き日本経済の回復が期待できる。
(2)その回復を見込んで外国人投資家が3兆円近く買い越していることがある。外国人投資家の目から見れば、アメリカの景気に不透明感が台頭、中国など新興国にもインフレ懸念からアクセルは踏み込めない状態。EUにいたっては金融不安で危険な状況。

 そうした中で、日本は「震災の復旧・復興投資が確実」なわけだ。今、世界を見渡して、「投資が絶対的に増える国」は日本しかないといえる。もちろん、日本も財政状態は厳しいとはいえ、個人金融資産は1400兆円もある。先行き間違いなく経済、景気が上向く日本は、外国人投資家にとって、「非常においしい投資先」なのである。

 日本の投資家もこの点は百も承知している。問題は、いつボトムとなって回復に転じるかである。われわれ、日本の投資家は阪神淡路大震災で、「震災→経済悪化→景気ボトム→景気回復」のサイクルを体験済みである。

 とくに、阪神淡路大震災の時は1995年1月の震災発生からTOPIXが底打ちするまでに5ヶ月かかっていることは、よく知っている。今回も同じ期間とみれば8月頃が底打ちの目安となる。今は、まだ早いとわれわれ日本の投資家は見ているわけだ。

 しかも、政治がガタついている。サミット終了後には内閣不信任案が提出される可能性が強くなっている。福島第一原発の冷却水注入での中断、継続を巡って一貫性のない政府と東京電力の間柄。国民の間に不信感が強まっていることは間違いない。この点を野党は見逃さないだろう。

 こうした状況の中で第二次補正予算はどうなるのか。遅れるほど景気には悪影響となる。内閣総辞職と引き換えに予算成立も囁かれはじめている。仮に、その場合でも、「第二次補正予算の規模が3〜5兆円だったら売り。10兆円規模でやっと買いだろう」とのマーケットの見方だ。関東も梅雨入りしたらしい。相場も政治もしばらくは、ジメジメが続きそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:11 | 特集

平山郁夫の画文集『西から東にかけて』を読んで=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 平山郁夫の画文集『西から東にかけて』を読んだ。日本画の大家である平山氏(1930−2009)が、ヨーロッパ、中東、インド、東南アジア、中国などの各地へ行き、仕事をした際の経験談や回想が綴られ、風景や遺跡などの素描が添えられているものだ。

 私のイメージでは、日本画家というのは「静」のイメージが強い。とくに平山氏のような大家ともなるとそうだ。が、この本を読むと、平山氏は若い頃から晩年まで、かなりの奥地にも多く出向いて、遺跡などの写生などもたくさんしていらっしゃったようだ。それだけでも尊敬に値すると思った。さらに、文を読むと、それぞれの土地や人や文化に対して、素直に尊敬の念を抱き、暖かい目で見ておられるのを感じた。

 平山氏の作品が多くの方々に好まれるのは、作品自体の素晴らしさもさることながら、そうした、ご自身の人となりが画面ににじみ出て、それで好まれるのではないだろうか…、などと、この本を読んで思ったのだった。

 本のタイトルから連想して、社名に「西」と「東」のつく銘柄で優良株を探してみた。

★河西工業〈7256〉(東1)

 自動車インテリア部品のメーカー、河西工業<7256>(東1)を入れる。27日終値は11円高の400円。単位1000株。PERは約6.1倍、PBRは約0.9倍となっている。チャートはこの2ヵ月ほど、400円ライン前後でモミ合っている。モミ合い上放れで、まずは次のフシである450円ライン奪回を狙ってみる。ただ、信用買い残が大きく膨らんでいる点、今期2012年3月期連結業績予想は未定としている点など、気になるところもある。押し目小すくいでジックリ待つのが無難か。

★関東天然瓦斯開発〈1661〉(東1)

 天然ガス生産事業、地方都市ガス事業を行なっている関東天然瓦斯開発<1661>(東1)を入れる。27日終値は5円高の449円。単位1000株。PERは約15.2倍、PBRは約0.4倍となっている。チャートは3月25日につけた年初来高値595円から反落し、続落トレンドで来ていたが、450円フシにあたり、ここ数日はリバウンドのきざし。まずは次のフシ500円ラインまでの戻りを目指す。ただ、筆頭株主が東京電力である(約2割保有)点と、今期2011年12月期連結業績予想が前年比減収減益である点は気になる。しかし中期チャート見ると現在は安値圏にあり、今期連結業績予想は2月に発表した当初予想が据え置かれている。地合いにもよろうが、もうしばらくは小幅リバウンドトレンドが続くと見たい。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:06 | 特集
2011年05月23日

15勝4敗1分けの「外れMSCI銘柄」で日本市場の底力を試すのも一考余地=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「15勝4敗1分け」である。日本時間の5月17日早朝に発表されたMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)株価指数の定期入れ替えで、同指数の組み入れから削除された20銘柄の前週末までの4日間の株価パフォーマンスを検証すると、そんな結果となった。

 勝率は7割5分に達している。削除前の16日終値に比べ、株価が下回ったままなのはわずか4銘柄にしか過ぎず、1銘柄はイーブンである。この勝率をどうみるか、はなはだ判断が分かれることになる。よく健闘していると拍手を送るか、20銘柄の外国人持株比率は平均すると20%を超えて高いから、これからリバランスの持株比率低下を受けて需給調整の本番を迎えるとみるか悩ましいことになる。

 とにかく「想定外」、ネガティブ・サプライズであった。下馬評では、削除銘柄の本命として3銘柄が上がり、新規採用銘柄には5〜7銘柄がノミネートされて先取りの動きもあった。それだけに新規採用は皆無で、削除だけ20銘柄というのは、これまで恒例のイベントとしては異例中の異例である。しかもその異例中の異例が、さらに異例なのは、削除20銘柄のうち、3銘柄の17日の高値が、16日の終値を上回ったケースもあったことである。20銘柄が、20戦全敗でなく、3勝17敗の結果となった。

 マーケットコメントとしては、東日本大震災の影響で日本株の株価が急落し、株式時価総額が減少、MSCIが定める基準を満たさなくなったことが、削除20銘柄、新規組み入れゼロの要因とされた。同株価指数の日本株比率は8.81%から8.72%に低下し、その代わりに中国やインドの新規組み入れ銘柄が純増した。いよいよ株式市場でも「ジャパン・パッシング(日本通過)」や日本株の「ガラパゴス化」が本格化するかと懸念材料視された。

 それだけに、その後の「15勝4敗1分け」の株価パフォーマンスは、よくよく熟読玩味が不可欠となる。それでなくともこのところの日本株は、まさに米国市場と中国市場に挟まれて、「コピー相場」となって、独自材料で動く要素がますます薄れ、投資主体別の動向も外国人投資家任せオンリーとなっている。

 だからことによったら、MSCI削除15銘柄の健闘は、DOWAホールディングス<5714>(東1)のように、国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げて示現したケースもあるが、もしかしたら「腐っても鯛」で日本の株式市場の独自性、底力の発揮である可能性も捨てきれないのである。DOWAのほか、日清紡ホールディングス<3105>(東1)日産化学工業<4021>(東1)トクヤマ<4043>(東1)ミツミ電機<6767>(東1)などの「外れMSCI銘柄」の逆張りで試してみるのも一考余地がありそうだ。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:07 | 特集
2011年05月20日

株主総会を意識した展開を予想=犬丸正寛の相場展望

■全般相場薄商いの中で個別物色が続く相場

株主総会を意識した展開を予想=犬丸正寛の相場展望 来週(23〜27日)以降の相場は、『株主総会を意識した展開』が予想されそうだ。

 3月期決算発表が一巡したことで、個別物色の動きがいっそう強まるとみられる。その中で、(1)株主総会を控え、PBRが1倍を割っているような割安銘柄、(2)4月、5月、6月、7月、8月期決算(中間期含む)銘柄への物色、(3)サマーストック関連、などが注目される可能性が強い。

 PBR(株価純資産倍率)は、「株価」÷「1株純資産」で計算される。1株純資産は会社の解散価値でもある。たとえば、1株純資産500円に対し、株価が200円だったとしたらPBRは0.4倍。こういう会社に対しては、株主側からみれば、極端なことを言えば、マーケットにおいて200円で売買されるより、会社を解散する方が500円にもなるから大いに得である。

大震災のような異変でPBRが1倍を割り込むことは仕方ないとしても、万年的に1倍を割り込んでいることは、経営者のマーケットとの対話が欠けていると受け取られる。株主総会で株主側から質問と注文の多い点である。今は、やや下火となったものの、外国ファンドが株集めするころはPBR1倍割れが多い。

 一方、3月期決算の発表一巡で短期売買筋は、4〜8月の決算期銘柄に目が向いている。この中には比較的、消費関連が多く、とくに、暑い夏と電力不足を考えれば、「サマーストック関連」が動く可能性は強い。

 引き続き、全般相場薄商いの中で個別物色が続く相場だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:01 | 特集

今まで知らなかった世界を垣間見て、「おしゃれ銘柄」=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ ここ最近、ネットでおしゃれ関連サイトを見ることにハマっている。何かの折に、たまたまバナー広告をクリックしてヤフーショッピングサイトに入ったのがきっかけだった。ちょっと検索をかけると、いながらにして、洋服、バッグ、靴、アクセサリーをはじめとしたさまざまな商品がたくさん見られる。ヤフーオークションサイトやコメ兵などのサイトでは、ブランド物でもユーズド品が安く購入できるようで、今まで知らなかった世界(?)を垣間見たようでおもしろい。

 また、日本ではあまり知られていないブランドや、日本未入荷の商品を専門的に扱うサイトを見るのも楽しい。過日ウィリアム英王子と結婚したケイト・ミドルトン(キャサリン夫人)さんが愛用しているというイギリスのブランドのワンピースを見た。ほかにも、有名セレブ(女優さんやミュージシャンなどの具体的な名前が挙げられている)が愛用しているというバッグやアクセサリー、ファッション業界で注目されている新進モデルが愛用しているというブランドなど、いろいろ出ていておもしろい。これまた、今まで知らなかった世界を垣間見るようで楽しいのだった。

 上記から連想して、アパレルなどの銘柄を見てみた。

★しまむら〈8227〉(東1)

 実用衣料・ファッション衣料店を全国で約1650店展開する、しまむら<8227>(東1)を入れる。20日終値は50円安の7510円。単位100株。PERは約12.9倍、PBRは約1.3倍となっている。株価は3月15日につけた年初来安値5680円から反発し、以降は上昇トレンドの好チャートとなっている。7400円ラインの押し目を拾い、中期で次のフシ8000円ラインを目指す。信用倍率は約0.4倍の売り長となっており、買い戻しにも期待してみる。

★ワコールホールディングス〈3591〉(東1)

 婦人下着トップのワコールホールディングス<3591>(東1)を入れる。20日終値は1円安の991円。単位1000株。PERは約35.5倍、PBRは約0.8倍となっている。チャートはここ数日、2011年3月期連結業績予想の下方修正などを受け、底値圏の990円台でモミ合っている。まずは次のフシであり13週移動平均線でもある、1050円ラインまでの戻りが目標となろう。

 同社には「接触冷感素材を使用した男性用ステテコ『冷やテコ』」や、「通気性が55%アップした『さら肌ブラ』」などの製品があり、節電クールビズ関連としての買い材料も出ている。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:13 | 特集
2011年05月18日

今仙電機製作所は海外の積極的な強化が目立つ=犬丸正寛の銘柄カルテ

■景気に明るさが加わって自動車販売が上向くまでは同社株は出番待ち

犬丸正寛の銘柄カルテ 【どうなっている】 今仙電機製作所<7266>(東1)=東日本大震災発生直前の3月10日終値は1327円。震災下げでは3月15日に2009年6月以来の水準となる850円まで下げた。3月22日には1187円まで39.6%戻し、この間のTOPIX(東証株価指数)の上昇率29.4%は上回ったものの、震災前水準は回復できていない。4月上旬以降は1000〜1070円のモミ合い。17日(火)終値1024円は年初来高値1450円(2月21日)に対し7合目水準。

 業績は営業利益でみればピークは2008年3月期の66億7600万円。以後、2009年3月期36億8700万円、2010年3月期51億8500万円、そして2011年3月期64億1400万円(23.7%増)と、ほぼ最高水準まで回復している。

 【どうなる】 2012年3月期の会社側見通しは「未定」。同社の主力はパワーシートデバイスなど機構製品、電子ユニット、ランプ、ホーンなど自動車関連製品。国内の自動車販売は厳しいものの、海外は好調。テネシー州に米国第二の生産拠点として新工場を設置、操業開始に向け準備中。タイにも第二工場を設置、中国においても広州に次ぐ第二の生産拠点「武漢今仙電機」の設立を決定など、海外の積極的な強化が目立つ。こうしたことから2012年3月期も高水準の業績が予想されそうだ。

 前期の営業利益率は7.7%(2010年3月期7.0%)、1株利益は206.2円、配当は年20円(同年17円)だった。

 株価が震災前水準を回復できていないことはホンダ(同社の1位株主)など自動車株の影響は大きい。全般相場次第では4ケタ割れも予想されるものの、基本は1000円ていどでのモミ合いとみていいだろう。

 【どうする】 5月17日(火)の1024円は、前期実績での配当利回りは1.9%、PERは4.9倍。とくに、PERでの割安が目立つ。年初来高値をつけた2月頃に高水準だった信用買残は3月の下げでそうとう減った。需給面での売り圧迫はなさそうだ。

 一方、低PERは裏を返せば人気性に乏しいことである。このため、同社株単独での活躍は考え難いだろう。ホンダ、トヨタといった自動車株の活躍が必要だろう。震災復興のツチ音が高まり、景気に明るさが加わって自動車販売が上向くまでは同社株は出番待ちだろう。短期投資向きではなく中長期向き。1000円以下を仕込んで待つのがよいだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:26 | 特集
2011年05月16日

制御可能で再臨界の懸念のない5月末の配当利回り買いでまず安全第一を優先=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 制御可能なのか?制御可能として、いったい誰が制御しているのか?考えさせられるトラブルが目白押しである。もちろん大型連休明け後の5月相場の動向が第一の関心事となるが、それ以上に深刻化が懸念されるのが、東京電力<9501>(東1)の福島第1原子力発電所の事故収束であり、欧州の財政債務不安である。

 原発事故の収束は、4月17日に東電が発表した工程表によれば、原子炉を安定的に冷却するステップ1がそれなりに進展しているはずだった。ところが、この最も処理が進展しているはずの1号機で、炉心溶融(メルトダウン)が起こっているのが明らかになり、新たな核分裂が発生する最悪の再臨界まで懸念されている。全国民をテレビの前に釘付けした原子炉建屋への注水作業はいったいどんな意味があったのか、事故処理は、発生当初からまったく変わっておらず、そもそも制御が可能だったのかと不安が高まる。

 欧州の財政債務不安も、またまたギリシャの再登場であり、ポルトガルの再出番である。ギリシャは、ユーロ圏からの離脱検討が観測報道され、格付け会社から長期債務格付けを2段階引き下げられた。この問題は、1年前の昨年の大型連休入り直前に両国の国債の格付けが3段階、2段階引き下げられ、世界各国の株価の大波乱要因となった。今回もこの不安再燃が、原油価格、金先物価格を直撃して下ぶれリスクを高めている。まさにメルトダウンであり、再臨界であり、そもそも制御可能なのか、誰が制御できるのかと不安になる。

 まさに内憂外患である。こうした厳しい環境下では、少なくとも株式投資だけは制御可能で、再臨界の懸念のない安全第一を心掛けることが肝要となる。そこで5月末の配当取りを狙う好配当利回り買いが浮上する。5月期決算会社の期末配当か、11月決算会社の第2四半期配当に照準を合わせるのである。ただし東電のように期末ギリギリに期末配当を未定にした前例もあり、この懸念があるかどうか確認は怠れない。東日本大震災後に発表した第3四半期決算、第1決算の内容を熟読玩味することが不可欠となる。

 タクトホーム<8915>(東1)日本オラクル<4716>(東1)佐鳥電機<7420>(東1)ミタチ産業<3321>(東1)イワキ<8095>(東1)などに網を広げて置くことに一考余地がありそうだ。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 17:28 | 特集
2011年05月13日

復興関連株の第二幕相場は、まだ早い!今後の展開は?=犬丸正寛の相場展望

復興関連株の第二幕相場は、まだ早い!今後の展開は?=犬丸正寛の相場展望 来週(5月16日〜20日)の相場は、大きい下げはないとみられるものの、引き続き上値の重い展開だろう。

 日経平均は5月2日の連休の谷間につけた1万0017円から5月13日(金)には9552円まで4.6%下げた。調整としては大きいものではない。ただ、30日線を4月20日以来、久々に割り込んだことで「買い方」は腰が引けてくる。このため、わずかな売物でも下げやすく、瞬間的には4月19日の安値9405円まで押す可能性はある。ただ、週前半にも下げるのか、あるいは、一旦、戻して下げるのかは不透明。いずれにしても、下値は9405円程度、上値は9850円程度だろう。

 一方、これまで、日本株堅調の背景となっていたNYダウにも、ひところのような一本調子の上昇が見られなくなっている。高値波乱の様相を示し始めている。NYダウも去る4月29日に1万2810ドルの高値をつけ、リーマンショック後の安値6469ドル(2009年3月)から日柄で2年超、上昇率で2.0倍と、ひとつのフシどころを迎えている。つまり、リーマンショック後の大不況に対する景気テコ入れ政策は、「まだ続くのか」、あるいは、「もう必要ないのか」という見極めを必要とするところに来ているということだろう。

 ヨーロッパでは、ギリシャの財政問題が引き続きくすぶっている。個人でも企業でも国家でも膨らんだ借金を返済することは簡単ではない。まだ続くと見ておかなくてはいけない。

 日本も財政赤字は膨らむ一方で、今回の震災でさらに状況は厳しくなる。しかも、放射性物質をいまだに出している福島原発。原子炉の炉底に穴が見つかり汚染水が流出というから漁業への影響はさらに拡大する。しかも、神奈川県南足柄市の一番茶から放射能物質が出てきたという。あんなに遠くまでも、という驚きである。風評は慎まなくてはいけないが、誰もが本心は心配で怖いことなのだ。

 しかも、今年はもう台風1号に見舞われた。この夏、どうなるのか心配は募るばかりだ。しかし、政府からは日本列島改造の青写真は出て来ない。

 震災時下げで日経平均は3月15日に終値で8605円だった。2ヶ月後の5月13日の終値9648円は、2ヶ月前に対し1043円上に位置する。率で12.1%上だ。さきほどから気になる材料をタラタラと並べている割には、足元の日経平均はよく持ちこたえている。

 これは3月15日の日経平均ベースの1株利益が642円だったものが5月13日現在の予想値では592円と、大震災の悪環境の中で、それほど落ち込んでいないことが大きい。今後も1株利益が頑張っている間は相場の大きい崩れはないだろう。今後も企業業績の動向を注意深く見守る相場だろう。

 復興関連株の第二幕相場が始まるには、まだ早すぎるようだ。しばらくは個別物色相場の展開だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:40 | 特集

「日本企業の良さ」から連想して、サービス業銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 最近、日本メーカーの化粧品に凝っている。以前は欧米系のブランド商品を使っていた。私はバブル世代なので、少し高くてもブランド物がほしいと思ってしまうのだ(笑)。が、たまに海外旅行をした際に免税店で買うと意外に安く、「普段はずいぶん割高なお金(関税など)を払っているんだなあ」と思っていたのだった。

 そこで最近はなるべく日本メーカーの商品を買うようにしている。いくつかのメーカーの物を買ってみたが、どの店頭でも、どの店員(美容部員、ビューティーアドバイザーなど)さんも、きちんと接客をしてくれて、お肌の状態やお手入れなどについてもキメ細かく説明してくれる。それって当たり前なのかもしれないが、これまで、一部の外資系メーカーの一部の店員さんからひどい接客をされた経験のある私としては、技能や能力にバラツキがなく、高品質で粒ぞろいの人材を見ると、感激してしまうのだ。

 日本企業の強みは商品力だけでなく、キメ細かいサービスにある、とはよく言われることだが、こうしたことから見ても、「なるほどそのとおりだ」と思ったのだった。そこから連想して、サービス業セクターで銘柄を探してみた。

★NECフィールディング〈2322〉(東1)

 コンピュータ保守会社で国内最大級というNECフィールディング<2322>(東1)を入れる。13日終値は3円高の898円。単位100株。PERは約9.07倍、PBRは約0.65倍と割安になっている。チャートは昨年12月につけた直近高値1080円から反落し、以降は続落トレンドで来ていた。900円フシにあたり、そろそろ反発のタイミングか。まずは次のフシであり13週移動平均線でもある950円ライン、さらに震災前の1000円台までの戻りを目指す。

 今期2012年3月期連結業績予想は前年比微増収、営業・経常・純利益はそれぞれ2ケタ増益を見込んでおり、業績面からも買い安心感がある。また、今期配当金は9月中間・3月通期末それぞれ20円の年間計40円予想。現在の株価で利回り約4.5%の計算となる。

★TAC〈4319〉(東1)

 会計士などの「資格の学校」事業、公務員講座などを行っているTAC<4319>(東1)を入れる。13日終値は前日終値と同額の299円。単位100株。PBRは約1.4倍となっている。チャートはこの1ヵ月ほど、底値圏の300円ライン前後でモミ合っている。そろそろ上放れと行きたいところだ。まずは震災前の水準である340円ライン奪回が目標となろう。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:20 | 特集
2011年05月11日

富士重工は下値不安なく夏場狙い!「風力発電」のテーマ性も=犬丸正寛の銘柄カルテ

■夏場の電力不足が目立ち始める6月から7月頃に上昇となる可能性

犬丸正寛の銘柄カルテ 【どうなっている】 富士重工業<7270>(東1)は、2008年12月の安値223円から2011年2月の758円の2年2ヶ月長期スパンで約3.4倍の上昇。去る3月の震災時下げでは486円まで下げ直近では610円程度と、高値から約2割下、3月安値から約26%戻した水準。特に、高値と安値の「中間値」622円に対し、11日(水)には高値621円まであり中間値にほぼ達した。

 短期的な動きでは、3月安値からの上昇の形では、派手さはまったくなく、「ジリ高」の地味な動き。信用取引は「買残」、「売残」とも高水準で、この面からは、きっかけがあれば人気化する可能性はあるだろう。

 【どうなる】 短期的には引き続きジリ高か、モミ合いが予想される。

 (1)12年3月期の見通しが未定となっていて業績買いができない。
 (2)週足チャートで強弱の分岐点となる26週線(640円)に近づいている。
 (3)発行株数が約8億株と大型で、現在のマーケット人気が中小型の業績見通しの明確な銘柄に向かっている。

 などがあるからだ。

 仮に、同社株が人気化する可能性があるとすれば、3月期決算発表が一巡し業績相場が終わり、復興関連、エネルギー等のテーマ買いが再燃する時だろう。同社株には「風力発電」のテーマ性があるから、この観点に立てば、夏場の電力不足が目立ち始める6月から7月頃に上昇となる可能性はある。

 【どうする】 12年3月期の業績は未定ながら、11年3月期は10.6%増収、営業利益3.0倍、1株利益64.5円、配当は年9円復配という内容。国内の販売台数7.7%減の15万8000台に対し、世界での販売台数は27.4%増の49万9000台。今期も震災の影響等で国内には多くは期待できないだろう。

 11日(水)の終値612円は11年3月期の1株利益64.5円で計算したPERは9.4倍。12年3月期の1株利益が仮に横ばい予想でも、間違いなく割安。特に、配当利回りについては1.4%とそれほど魅力はないものの、先行き、年10円が期待できるということになれば年9円と年10円配当では優良株としての格がついてくるので配当面にも注目される。

 ただ、印象としては、第2四半期(4〜9月)が終わるまでは通期の予想は明らかにならないのではないか。そうすると、手がかりは、やはり夏場の電力不足→同社の風力発電に注目、ということだろう。

 結論としては、下値不安はなさそうだから、夏場狙いで600円接近場面は仕込んで待つのがよいだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:50 | 特集
2011年05月10日

電子書籍関連銘柄特集(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は?

【配信事業は業界の合従連衡の動きが活発化】

■電子書籍配信サービスの動き

電子書籍関連銘柄特集(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は? 電子書籍配信サービスの強化に向けて、有力電機メーカー、通信会社、印刷会社、出版社、書店、コンテンツ関連企業、ネット関連企業などで、合従連衡の動きが活発化している。

 凸版印刷(7911)は、ソニー(6758)KDDI(9433)、朝日新聞社と共同で、電子書籍の事業会社「ブックリスタ」を設立した。さらに、電子書籍の卸販売を手掛ける子会社ビットウェイが、新会社ブックライブを設立して新サービス「BookLive」を開始し、東芝(6502)NEC(6701)なども協力する模様だ。

 大日本印刷(7912)は、NTTドコモ(9437)丸善CHIホールディングス(3159)と共同出資で2011年1月、電子書籍ストア「2Dfacto(トゥ・ディファクト)」を開設した。5年後に市場シェア2割、売上高400〜500億円を目指すとしている。大日本印刷(7912)グループの書店では、立地ごとに総面積の異なるリアルの書店、電子書籍販売サイト、インターネット通販の連携などを強化し、事業拡大を図る方針だ。

 また、角川グループホールディングス(9477)は、電子書籍配信サービス分野で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)大手のグリー(3632)、動画投稿サイトの運営子会社を持つドワンゴ(3715)NTT(9432)などと提携している。今後もネット関連企業などとの提携を広げて、電子書籍事業を拡大する方針だ。ソフトバンク(9984)は、独自の電子書籍や動画サービスを増やすことで、コンテンツの充実を進めている。

■携帯端末と配信サービスの一体化は事業拡大に限界の可能性

 電子書籍の魅力を高めて本格普及を進めるためには、読者が1台の携帯端末で読みたい書籍・雑誌を選んで読めるという、読者にとっての利便性がカギになるだろう。読みたい書籍・雑誌に合わせて、異なるメーカーの複数の携帯端末を、積極的に買い揃える消費者は少ないはずである。

 有力電機メーカーや通信会社は、携帯端末の販売とコンテンツ配信サービスの両方を手掛ける事業モデルを構築し、相乗効果で収益拡大を目指している模様だ。しかし、自社の携帯端末とコンテンツ配信サービスへの囲い込みにこだわれば、サービス内容が限定されるため本格普及が進まず、事業拡大にも限界があるだろう。むしろ、多くの出版社や書店を抱えて、どのメーカーの携帯端末でも読める書籍・雑誌を数多く提供し、読者の利便性に対応する出版関連の連合体のほうが、電子書籍市場の主役となる可能性が高いだろう。

【電子書籍関連銘柄特集】
(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大
(2)=電子書籍本格普及へのカギは?
(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場
(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は?
>>参考:主な電子書籍関連銘柄一覧
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:40 | 特集

電子書籍関連銘柄特集(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場

【ソニー、シャープなど大手電機メーカーが市場投入・拡販を強化】

■タブレット型携帯端末市場の動き

電子書籍関連銘柄特集(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場 タブレット型携帯端末(多機能型、電子書籍専用型)市場では、米アップルが「iPad(アイパッド)」で圧倒的な市場シェアを握り、2011年3月には軽量化した「iPad2」も発売している。しかし韓国や日本の有力電機メーカーも、米グーグルのタブレット用基本ソフト「アンドロイド」を搭載したモデルの市場投入・拡販を強化している。国内の主要関連企業の動きを確認してみよう。

 ソニー(6758)は2010年12月、目に負担の少ない電子ペーパー方式を採用した電子書籍専用型の携帯端末「リーダー」を発売し、電子書籍配信サービスの「リーダーストア」も運営している。ただし「リーダー」はインターネットに接続できないため、パソコンにダウンロードして、書籍データを読み込む必要がある。同社は2004年4月に電子書籍端末「リブリエ」を発売したが、販売台数が伸びず、2007年春に国内市場から撤退していた。したがって「リーダー」で国内市場に再挑戦する形だ。また朝日新聞社、凸版印刷(7911)KDDI(9433)と共同で、電子書籍の事業会社「ブックリスタ」を設立した。さらに多機能型の電子書籍携帯端末「ソニータブレット」を、板状の「S1」と、折り畳み式の「S2」の2機種で、2011年秋から発売を開始する。

 シャープ(6753)は2010年12月、多機能型電子書籍携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を発売したが、販売台数は伸び悩んでいる模様だ。このためKDDI(9433)のスマートフォン(多機能携帯端末)向けなどに電子書籍を配信し、認知度を高める戦略の模様だ。また「ガラパゴス」の派生機種を2011年中に北米市場に投入する模様だ。

 さらに、東芝(6502)NEC(6701)富士通(6702)富士通フロンテック(6945)なども、電子書籍に対応したタブレット型のパソコンやスマートフォン(多機能携帯端末)の新製品を市場投入するとともに、電子書籍配信サービス事業にも参入している。

 米調査会社ディスプレイサーチによると、タブレット型携帯端末の世界市場は、2013年に現在の約5倍の約6600万台に拡大すると予測している。ただし、電子書籍の普及加速などで市場拡大が期待される一方で、携帯端末の機能面での差別化は難しくなり、競争が一段と激化するだろう。

【電子書籍関連銘柄特集】
(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大
(2)=電子書籍本格普及へのカギは?
(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場
(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は?
>>参考:主な電子書籍関連銘柄一覧
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:00 | 特集

電子書籍関連銘柄特集(2)=電子書籍本格普及へのカギは?

【米アマゾン電子書籍専用携帯端末「キンドル」発売で市場拡大が加速】

■国内普及のカギは読者にとっての利便性

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6753.T&d=6m 米出版社協会(AAP)の調べによると、2010年の米主要出版社87社による電子書籍の売上高は、前年比2.6倍の4億4130万ドルになった。一般書籍の総売上高に占める電子書籍の割合は、前年の3.2%から8.3%へ急上昇した。電子書籍に関する調査を始めた2002年から2007年までは、総売上高合計に占める電子書籍の割合は1%未満だったが、米アマゾン・ドット・コムが電子書籍専用携帯端末「キンドル」を発売した直後の2008年から、市場拡大のペースが加速しているという。

 さらに2010年には、米アマゾン・ドット・コムが低価格の「キンドル」を発売したほか、米アップルが発売した「iPad(アイパッド)」が人気商品となり、電子書籍の市場も急拡大した。手ごろな価格の携帯端末の登場などが追い風となって、電子書籍の普及が加速したとしている。

 米アマゾン・ドット・コムでは、電子書籍専用携帯端末「キンドル」の販売が好調であり、電子書籍の販売も2011年1月以降はペーパーバック(日本の文庫本に相当)を15%程度上回る水準で推移しているという。自社の専用携帯端末「キンドル」以外に、他社のスマートフォン(多機能携帯端末)や米アップルの「iPad」などでも、電子書籍を読めるようにする取り組みが電子書籍の販売増に貢献しているという。また米グーグルも、自社の専用携帯端末を用意せずに、300万冊超という豊富な品揃えを武器に電子書籍事業を拡大する方針だという。

 紙の書籍・雑誌の販売数量減少に歯止めがかからず、書籍・雑誌市場全体が縮小する一方で、電子書籍を手軽に読める携帯端末が相次いで登場し、購入できる電子書籍の量も増加基調のため、新たな読者層の開拓も含めて、国内の電子書籍市場の拡大が期待されている。

■コンテンツ配信サービスの統一規格や互換性などが課題

 大量の書籍データを保存できるなど、電子書籍のメリットに対する消費者の関心も高いようだ。しかし一方では、電子書籍のフォーマット(規格)統一や互換性、著作権の保護や管理、電子配信サービス時の電子書籍の価格、膨大な出版物の効率的な電子化作業など、課題も多いだけに、本格的な普及に対して懐疑的な見方も強い。

 また現在の電子書籍サービスでは、携帯端末と配信サービスが一体化しているため、携帯端末ごとに電子書籍の数や種類が限定され、購入できる書籍が異なる。この背景には、有力電機メーカーや通信会社が主導する形で、電子書籍サービスをコンテンツの一つとして活用し、自社の携帯端末購入者やサービス利用者を囲い込もうとしていることがある。

 リアルの書店であれば、出版社に関係なく、読みたい書籍・雑誌を自由に選べるが、現在の電子書籍サービスでは、読みたい書籍・雑誌に合わせて、複数の携帯端末を購入しなければならない可能性があり、読者にとって利便性が高いとは言えないだろう。電子書籍の魅力を高めて本格普及を進めるためには、1台の携帯端末を購入すればどんな書籍・雑誌でも読めるという、コンテンツ配信サービスの統一規格や互換性などの面で、読者にとっての利便性に配慮した取り組みがカギになるだろう。

■日本語電子書籍の制作に使う統一規格は事実上の国際標準

 日本語電子書籍の制作に使う統一規格については、出版社43社で構成する日本電子書籍出版社協会、シャープ(6753)大日本印刷(7912)などが2010年11月から進めており、海外で普及している「EPUB」にも対応させる方向だ。「EPUB」は、各国の出版やIT関連企業が参加する電子書籍の業界団体IDPF(インターナショナル・デジタル・パブリッシング・フォーラム)が定めた規格で、事実上の国際標準となっている。

 また、インターネット上で流通する電子著作物の著作権保護に向けて、世界知的所有権機関(WIPO)が2013年をメドに国際的な登録制度の骨格を固める模様であり、国際的に権利を主張できる新制度の検討が始まっている。

【電子書籍関連銘柄特集】
(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大
(2)=電子書籍本格普及へのカギは?
(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場
(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は?
>>参考:主な電子書籍関連銘柄一覧
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:50 | 特集
2011年05月09日

電子書籍関連銘柄特集(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大

【電子書籍コンテンツ市場=2015年度(2010年度比)に約3倍に拡大】

■電子書籍市場の本格拡大に期待

電子書籍関連銘柄特集(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大 電子書籍市場が本格的な拡大期に入ることが期待されている。有力電機メーカーが、タブレット型(画面を指で触って操作するタッチパネル式)の携帯端末(多機能型、電子書籍専用型)を相次いで市場投入するとともに、コンテンツ配信サービスの強化を巡る合従連衡の動きも活発化している。

■米アップルの「iPad」発売で普及に弾み

 米国の電子書籍市場では、2007年に米アマゾン・ドット・コムが、電子書籍専用型の携帯端末「キンドル」を発売して、普及の口火を切った。そして2010年4月には、米アップルが多機能型の携帯端末「iPad(アイパッド)」を発売したことで、普及に弾みがついた。米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」で読める書籍数は、現在70万冊〜100万冊と言われ、利用者が電子書籍を購入すれば「キンドル」以外でも閲覧できるようにしている。こうした利便性も普及の一因となっている。

 米調査会社のフォレスター・リサーチが2010年11月にまとめた予測によると、2010年の米国の電子書籍市場は前年比3.2倍の9億6600万ドルの見込みであり、2015年には28億1300万ドルに拡大するとしている。米アマゾン・ドット・コムが2010年夏に、139ドルという低価格の「キンドル」を発売するなど、電子書籍を読むための環境作りが進んでいるため、電子書籍市場がペーパーバック(日本の文庫本に相当)市場を上回る可能性が高いとしている。

■有力メーカーが電子書籍用携帯端末を相次いで投入

 国内でも2010年末に、ソニー(6758)が電子書籍専用型の携帯端末「リーダー」、シャープ(6753)が多機能型の携帯端末「ガラパゴス」の発売を開始するなど、有力電機メーカーが電子書籍用の携帯端末を相次いで市場に投入しているため、国内の電子書籍市場の本格拡大が期待されている。

 矢野経済研究所が2010年11月にまとめた予測によると、国内の電子書籍市場規模(端末代金、ダウンロードにかかる通信費、広告収入は含まない)は、2010年度見通しの約670億円から2014年度に1480億円に拡大するとしている。タブレット型の電子書籍専用携帯端末向けが、2010年度見通しの20億円から、2014年度に800億円まで拡大することが全体を押し上げる。

 現在は市場の大部分がスマートフォン(多機能携帯端末)を含む携帯電話端末向けだが、今後の市場のけん引役はタブレット型の電子書籍専用携帯端末向けに移行すると想定し、電子書籍専用携帯端末向けが市場全体に占める割合は2013年度に4割以上、2014年度に5割以上に達すると予測している。ソニー(6758)によると、米国で電子書籍が読まれる量は、専用携帯端末が多機能携帯端末の5倍だとしている。

 また野村総合研究所は、2010年12月にまとめたITの主要市場についての2015年度までの予測の中で、米アップルの「iPad」を含めた電子書籍用携帯端末の国内累計出荷台数は、2015年度に2010年度見込みに比べて約18倍の1400万台に拡大すると予測し、電子書籍コンテンツ市場については、2015年度に2010年度見込みに比べて約3倍の2400億円に拡大するとしている。

【電子書籍関連銘柄特集】
(1)=電子書籍用端末は2015年に1400万台に拡大
(2)=電子書籍本格普及へのカギは?
(3)=競争が一段と激化するタブレット型携帯端末市場
(4)=電子書籍市場の主役を目指す連合体は?
>>参考:主な電子書籍関連銘柄一覧
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:19 | 特集

「想定内」か「想定外」か迷ったら「想定外」相場を先取りしてO111関連株をマーク=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「想定内」か「想定外」か、「天災」か「人災」か、東日本大震災発生以来、この大型連休中まで、判断に迷う災害、事件、イベントが数多く起こった。しかもその判断は重要で、例えば東日本大震災では、巨大地震と巨大津波が「想定内」か「想定外」か、それによって引き起こされた原発事故が「天災」か「人災」かに仕分けられるによって、東京電力<9501>(東1)の求められる損害賠償額も、それこそ2ケタから3ケタも違ってくる。

 同時多発テロの首謀者、ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害も、殺害が「想定内」か「想定外」かのいずれに判断されるかによっては、報復テロが想定を超えるか、想定内にとどまるか左右されそうで、物騒極まりない。6日に観測報道されたギリシャのユーロ圏離脱検討は、「想定内」か「想定外」かによっては、欧州のソブリンリスク懸念が再燃し、一段のユーロ安・円高の引き金となり、大震災後の安値からようやく持ち直した欧州関連株の再波乱要因となる。

 さらに連休中に最初のヤマ場を越えた3月期決算の発表も、今期予想を未定とした会社が、約30%に達したと推定されたが、これを「想定内」とするか「想定外」とするかによっては、日経平均が1万円台の上値を追って行くか、それとももう一度、下値を確認するか、方向感を大きく左右しそうである。

 もっと身近な問題では、4人が死亡した外食チェーン店の腸管出血性大腸菌O111の食中毒事件がある。同タイプの大腸菌O157による食中毒事件は、これまでも外食産業でたびたび起こって、上場企業のなかには、この後遺症でいまだに業績と株価が低空飛行を余儀なくされているケースも少なくない。今回の食中毒事件が、「想定内」か「想定外」なのかの判断に大きく影響することになる。

 そういえば、1996年に大阪府堺市の学校給食で起こったO157食中毒事件では、感染源としてとんだ濡れ衣を着たカイワレ大根の風評被害を防止するために、当時の菅直人厚生大臣が、テレビカメラの前でカイワレ大根を食べるパフォーマンスを演じたことが懐かしく思い出される。その元厚生大臣は、いまや一国の総理大臣にまで上り詰めたが、やっていることは、テレビカメラの前で原発立地周辺地域で収穫されたキュウリとイチゴを食べるパフォーマンスを演じて風評被害の拡大防止をアピールすることでまるで変わらず、十年一日の感なきにしも非ずである。

 食中毒事件が「想定内」か「想定外」となるかによっては、関連株に「想定外」の相場が到来する可能性もある。全般相場が、「想定内」、「想定外」の材料目白押しとなって、なお方向感を探る展開が続くとすれば、それだけ材料株人気が高まることも想定され、先取りのウオッチは怠れないことになる。ビフィズス菌が感染防御効果を発揮する研究を発表したことのあるヤクルト本社<2267>(東1)、検出試薬キットの栄研化学<4549>(東1)、整腸剤のビオフェルミン製薬<4517>(大1)、消毒剤の花王<4452>(東1)、殺菌剤生成装置のフジマック<5965>(東2)タクミナ<6322>(大2)ホシザキ電機<6465>(東1)などをマークしておくことである。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 14:20 | 特集
2011年05月06日

空腹感の強い中で個別物色が続く相場=犬丸正寛の相場展望

★値幅狙いの中小型銘柄に目が向く

空腹感の強い中で個別物色が続く相場=犬丸正寛の相場展望 連休明けの来週(5月9日〜13日)からは、引き続き『空腹感の強い中で個別物色が続く相場』だろう。

 空腹感とは、3月の急落で痛手を受けたことから、新年度はなんとか稼がないといけない。とくに、機関投資家、証券会社に空腹感が強いはず。しかし、大型の主力株は次期業績見通しが「未定」だったり、あるいは、減益見通しで、本腰を入れて取り組むことは難しい。

 結果、数量で稼ぐことより、値幅狙いの中小型銘柄に目が向く。しかし、小型ならなんでもよいかというと、そうでもない。「12年3月期見通しが好調」、「PERなどでの割安感がある」、「復興・エネルギーなどのテーマに乗る」、「チャートがよい」といった、いくつかの条件が揃わないといけない。当然、条件の揃った銘柄は、空腹感の強い買い方が一斉に飛びつくため急伸する可能性が非常に強い。

 こうした動きは「3月期決算」発表が一巡するまでは続くとみられる。日経平均も高値圏の水準をキープするものとみられる。

 しかし、怖いのは3月決算が終わったあとの材料空白となったとき。そのときに、先ほどの、条件の中で、業績の材料が消えるわけだから、「復興・エネルギー」などのテーマを前面に打ち立てて相場を盛り上げることができるかどうかポイントだろう。

 その一方で、注意しておかなくてはいけないことが出てきた。今回の米国によるウサマ・ビンラディン容疑者の殺害により、テロ報復の懸念が高まっていることだ。もしも実際に起きればNYダウ急落の懸念は極めて高い。

 いまだに終息の目処が立たない原発問題。忍耐強く、ガマン強い日本国民にも疲れが出始める。ガンバロウという盛り上がった気持ちが萎む心配もある。消費が落ち込んでしまう心配がある。

 その時こそ政治の出番である。次なる日本の復興を目指した青写真を示し、国民に夢と希望を与えることができれば、そこから、もう一度ガンバル気持ちが芽生える。菅総理が辞める覚悟で日本再生に取り組む姿勢を国民にみせることができるかである。日経平均が1万円を回復したからといって安心されては困る。マーケットはいつまでもガマン強くはない。今こそ政治の出番である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:53 | 特集

文学のきびしさ…から連想して、出版・製紙株=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 朝日文庫の『戦争文学を読む』という本を読んだ。川村湊・成田龍一の両大学教授がホスト役となり、何度かに亘り、毎回ゲストを1人招いて、戦争(日中戦争・太平洋戦争)を題材にした文学作品などについて鼎談した内容を本にまとめたものだ。川村教授の専門は文芸評論・日本近代文学、成田教授の専門は歴史学・近現代日本史。ゲストは上野千鶴子教授や、作家の井上ひさし氏、高橋源一郎氏など。鼎談はおおむね1998〜99年に行なわれたものだ。

 テキストとして取り上げられたのは大岡昇平『レイテ戦記』、井伏鱒二『黒い雨』などの有名どころが多いが、あまり一般には知られていないものの、文学的には高く評価されている作家の作品群についても多く触れられた。また、島尾敏雄、大江健三郎、三島由紀夫らが「戦争」をどのように書いていたかなど、作品ではなく、作家という切り口から語られた内容もあった。

 対談集や鼎談集なら、私にも読みやすそうだと思って読み始めたのだが、やはり専門家のお話だけに、視点が高めで、それでいて緻密だった。一般的には評価が高い(と私は思っていた)作品や作家についてさえ、内容を吟味され、冷徹な評価が下されている。私はそれを読んで「文学・文芸というのは、きびしいものなのだなあ」と、当たり前のことを、今さらのように思ったのだった。

 上記の文から連想して、出版銘柄と、そこからさらに連想して、製紙銘柄を見てみた。

★昭文社〈9475〉(東1)

 地図出版、ガイドブック大手の昭文社<9475>(東1)を入れる。6日終値は1円高の615円。単位100株。PERは約15.2倍、PBRは約0.4倍となっている。チャートはこの1ヵ月ほど、610円台前後でモミ合っている。そろそろ上放れで、まずは次のフシであり、13週・26週移動平均線の間の650円ラインを狙いたい。現在のところ、2011年3月期連結業績予想は前年比微増収増益の従来予想を据え置いている。

★王子製紙〈3861〉(東1)

 製紙業界ツートップの一角である王子製紙<3861>(東1)を入れる。6日終値は7円高の377円。単位1000株。PERは約14.1倍、PBRは約0.9倍となっている。チャートはこの2ヵ月ほど、上値400円ライン、下値330円ラインで三角保ち合いを形成しているように見える。業績や今後の地合いにもよるが、上放れで400円ライン上抜けを目指す。また、信用倍率は約0.5倍の売り長となっており、買い戻しにも期待してみる。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:04 | 特集
2011年05月05日

三菱重工業は短期的にはモミ合いを予想、中期では有望=犬丸正寛の銘柄カルテ

■三菱重工業<7011>(東1)

犬丸正寛の銘柄カルテ 【どうなっている】 3月の震災時下げでは安値255円まで下げた。その後は地味ながら下値を切り上げ4月25日には年初来高値393円をつける。安値からの上昇率は54.1%に達した。昨年(2010年)は、1月の安値から4月の高値まで26.5%の上昇だったことに比べると、今回の上昇率は大きい。

 ただ、「地味ながら」という表現は、3月安値が瞬間であり、相場の実態を現す「終値」ベースでは、300円前後からジリ高歩調で、地味な動きとなっているからだ。本来の大型株といえる動きである。

 気になるのは、簡単に達成かと思われた400円台乗せを達成できでいないことだ。これは、08年秋以降、何度もつけて、抜くことのできなかった400〜420円の壁が控えていることが大きい。ただ、商いは、比較的に活発でマーケットでの注目度は高いといえる。

 【どうなる】 短期的には400円をつけ損ねたことでしばらくモミ合う可能性はありそうだ。それに、去る4月28日に発表の3月期決算で、12年3月期の営業増益率が8.7%と順調なものの期待された2ケタではなかった。それに、予想1株利益も10.4円にとどまる。ただ、営業利益率は前期の3.5%から今期3.8%に若干向上し、配当も年6円(前期年4円)へ増配する。また、福島第一原発事故による夏場の電力不足から、LNG発電用のタービンに対する需要拡大という材料もある。

 指標的には、増配するとはいっても年6円に対する利回りは1.5%ていどと特に魅力的ということではない。PERにいたっては37倍台とマーケット平均を大きく上回る。わずかにPBRが1.0倍にすぎないことが割安ていどである。

 このように指標面で割安感がないため、今、敢えて積極的に手がける必要はない。なぜなら、3月期決算発表の真っ最中であり、他に、大幅増益で指標割安の銘柄が予想されるためだ。実際、大きく値を飛ばしている銘柄は多い。

 指標に割安感なく、上値に厚い壁のあることなどから、人気がすぐにも、盛り上がることは考え難い。しばらく、モミ合いとみるのが妥当だろう。

 【どうする】 短期的にはモミ合いが予想されるものの、中期的には有望だろう。中期的に上値が期待される条件としては、(1)3月期決算の発表が一巡し、12年3月期好調銘柄買いが一巡すること、(2)マーケットの目が、業績から、再び、エネルギーのテーマに向うこと。

 とくに、夏場の電力不足問題が社会的に一大事との見方が強まるほど人気は高くなる。かつて、新日本製鐵株が2007年に964円の高値をつけたときも、日本の公園からスベリ台が盗まれるほどの鉄不足が社会的に発生したことは、まだ記憶に新しい。

 そのような環境となれば、同社株は指標的に割高でも人気・テーマ性が優先して400円の上値の壁を抜くことも予想される。30日線が位置する370円前後を目処に仕込んで待つのがよいだろう。夏場に向け、気温の上昇と共に人気を高めて500円へ接近することも予想されそうだ。3月の急落相場では短期投資が成功した。しかし、ここからは短期投資よりも中期投資向きだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:10 | 特集

地熱発電特集(4):地熱発電を国内・海外で事業展開する主要な関連企業

■主要関連企業はタービン・発電機メーカー、総合商社

地熱発電特集(4):地熱発電を国内・海外で事業展開する主要な関連企業 国内、海外に事業展開する主要な関連企業としては、ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)東芝(6502)富士電機(6504)三菱重工業(7011)伊藤忠商事(8001)丸紅(8002)三井物産(8031)住友商事(8053)三菱商事(8058)などがある。

 また、国内の地熱発電事業者としては、三菱瓦斯化学(4182)出光興産(5019)JXホールディングス(5020)三菱マテリアル(5711)東京電力(9501)東北電力(9506)九州電力(9508)北海道電力(9509)J−POWER(電源開発)(9513)などがある。

 ニュージーランドでは2010年5月に、住友商事(8053)富士電機(6504)が共同受注した、ナ・アワ・ブルア地熱発電所が完成している。総事業費は約300億円で、世界最大級の14万キロワットの出力があり、ニュージーランドの電力供給量の14%が、地熱発電で賄われることになったという。

 東芝(6502)も、ニュージーランドの地熱発電所向けに、タービン・発電機・復水器2セットを受注した。受注額は約80億円で、2012年上期に納入する。同社によると、これまで世界各地で52セットの納入実績があり、今回のニュージーランド向けの受注は、2005年11月のアイスランドのヘリシェイディ地熱発電所(2007年11月運転開始)向け以来、約5年半ぶりだという。

 また三菱重工業(7011)はアイスランドと、地熱発電を柱とした再生エネルギー導入支援で提携している。インドネシアでは、住友商事(8053)三菱商事(8058)など総合商社が、タービン・発電機メーカーと組んで受注を拡大させている。富士電機(6504)は、低温領域の地熱資源に対応したバイナリー発電方式の設備も手掛け、地熱発電の需要に幅広く取り組む方針だ。JFEエンジニアリング(ジェイ エフ イー ホールディングス5411の子会社)は、地熱発電所の配管などを手掛けており、低温型地熱発電設備に豊富な実績を持つ米オーマット社と提携した。

 国内の地熱発電事業者としては、現在は、三菱マテリアル(5711)が2カ所、東北電力(9506)が5カ所、九州電力(9508)が6カ所の運営に参画する大手である。さらに非鉄各社が、国内の地熱発電事業を拡大する方針を打ち出している。三菱マテリアル(5711)は、秋田県で2010年度から調査を始め、国内5か所で地熱発電事業を目指す方針だ。JX日鉱日石金属(JXホールディングス5020の子会社)は、2010年度中に北海道で調査を始め、本格参入を検討する模様だ。

【地熱発電銘柄特集】原発事故を受け新エネルギーに注目
(1):地熱発電はCO2排出量が少なく再生可能な自然エネルギー
(2):地熱資源大国「日本」の地熱資源量は原発20基分以上
(3):地熱発電は世界20カ国以上で稼働!市場規は年間3000億円
(4):地熱発電を国内・海外で事業展開する主要な関連企業
主な地熱発電関連銘柄一覧
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:14 | 特集