[特集]の記事一覧
  (ブログ内の記事検索は右サイドバーの検索窓から)

記事一覧 (07/18)【太陽光発電関連特集3】勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー
記事一覧 (07/17)電力はどうなるか?需要は回復するか?投機から投資に戻るか?=妻と夫の株ロマン
記事一覧 (07/17)【太陽光発電関連特集2】さまざまな発電方式の種類が開発・量産
記事一覧 (07/17)【太陽光発電関連特集1】電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源
記事一覧 (07/16)【震災後の自動車株に明暗】「生産回復」から「需要の見極め」へ=犬丸正寛
記事一覧 (07/15)引き続き『閑散小動き相場』の展開へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (07/15)暑い日が続く中、アイスクリーム銘柄…ではなくて…=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (07/11)梅雨明け『猛暑相場』をどう乗り切るか?=浅妻昭治のマーケットセンサー
記事一覧 (07/08)ピッチの速さ警戒しながらのサマーラリーの展開へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (07/08)誕生日プレゼント…から連想して、サービス業セクターの銘柄を見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (07/04)リバウンド相場の方向は極くシンプルに!悪役銘柄に「リターン・リバーサル」余地=浅妻昭治
記事一覧 (07/03)【相場展望】シニアアナリストの水田雅展氏に今後の相場動向を聞く
記事一覧 (07/01)短期資金中心の素早い「居合い抜き」的な相場展開へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (07/01)「近所のパートさん」、その後から連想=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (06/27)土壌汚染処理関連の巴工業:状態と見通しと対応=犬丸正寛の銘柄カルテ
記事一覧 (06/27)7月以降の「親亀」たちの攻防次第で日産系「小亀」5社に「想定外」展開も=浅妻昭治
記事一覧 (06/24)乗り切れるか!『悩ましき夏相場』の始まり=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (06/24)味噌とまいたけのコラボから連想=田北知見の銘柄ウオッチ
記事一覧 (06/20)「粘り腰」、「強腰」発揮を期待し経常利益の高変化率上位銘柄をマーク=浅妻昭治
記事一覧 (06/19)【クラウドコンピューティング特集(6)】国内IT業界大手も事業展開を強化
2011年07月18日

【太陽光発電関連特集3】勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー

■新興国メーカーが躍進する一方で、日本メーカーの世界での地位は低下傾向

【太陽光発電関連特集3】勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー 現在の太陽電池セルの主要メーカーとしては、日本では、シャープ(6753)京セラ(6971)パナソニック(6752)(子会社化した三洋電機)、三菱電機(6503)カネカ(4118)富士電機(6504)三菱重工業(7011)昭和シェル石油(5002)ホンダ(7267)などがあり、海外では、サンテックパワー(中国)、インリーソーラー(中国)、JAソーラー(中国)、トリナソーラー(中国)、ファーストソーラー(米国)、サンパワー(米国)、Qセルズ(独)、カナディアン・ソーラー(カナダ)、ジンテック(台湾)、モーテック(台湾)などがある。

 欧州太陽光発電産業協会(EPIA)によると、世界の太陽電池の新規導入量は、2015年には2010年比で約4割増加する見込みとしている。ただし太陽電池セルの世界市場では、主要各国の政策、補助金制度、電力買い取り価格の変更などに伴って、成長市場が次々と入れ替わっている。

 日本では、太陽光発電に対する政府導入助成制度がスタートした1994年度以降、市場は拡大基調だった。しかし、政府助成制度が廃止された2006年度と2007年度は、原料となる高純度シリコンが品不足となったことも影響して、市場が縮小した。

 また、市場が拡大基調だった欧州では、ドイツなどで2011年から、太陽光で発電した電力の買い取り価格が引き下げられるため、2011年の新規導入量が減少する見込みとなっている。

■日本メーカーは総じて順位を落とした模様

 一方で、今後の有望市場と期待される米国と中国では、助成金などの支援策も活用して、太陽光発電の新規導入量を大幅に拡大する計画を掲げており、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が相次いでいる。

 成長市場の入れ替わりも影響する形となり、世界の太陽電池セルメーカーの勢力図も激しく塗り替わっている。かつては、シャープ(6753)京セラ(6971)、三洋電機、三菱電機(6503)などの日本メーカーが、太陽電池セル生産量の世界市場シェア上位を占めていた。しかし2010年には、サンテックパワー(中国)がファーストソーラー(米)を抜いて世界首位に立った。そして、サンテックパワー(中国)を筆頭として中国メーカー4社が、世界市場シェアのトップ10に入ったのに対して、日本メーカーは総じて順位を落とした模様である。

 中国や台湾などの新興国メーカーは、さらに生産能力の増強投資を進めており、日本市場への本格進出も相次いでいる。こうした新興国メーカーの躍進に対して、日本メーカーの世界での地位は低下傾向が続いており、国内でも新興国メーカーとの競争が激化している。

【太陽光発電関連特集】
(1)電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源
(2)さまざまな発電方式の種類が開発・量産
(3)勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー
(4)住宅用太陽光発電システム市場の推移は拡大基調
(5)国内の太陽光発電システムの市場規模
(6)大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設も活発化
(7)太陽電池セルメーカーなど主要な関連企業
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:03 | 特集
2011年07月17日

電力はどうなるか?需要は回復するか?投機から投資に戻るか?=妻と夫の株ロマン


■後半相場のカギを握る3つの視点

妻 今年(暦年)も後半に入りました。後半は、わたしたちの生活にもマーケットにも期待できるかしら。

夫 東日本大震災の復旧が進み、復興にもつながって行くだろうから前半よりは良くなると思われる。ただ、後半には、3つのことを注目している。(1)電力がどうなるか、(2)需要がどうなるか、(3)マーケットに投資が戻るか、という3点を。

妻 マーケットのことを最初に聞きたいわ。マーケットに投資が戻るか、ということはどういうことですか。市場では、新高値銘柄も多いし、賑わっている印象だけど。

夫 たしかに新高値銘柄は多い。しかし、東日本大震災後の日本経済再生を買っている動きではないと思っている。3年前の2008年に世界を大不況に落ち込ませたリーマンショックがあった。不況脱出のため、世界は一斉に景気テコ入れで歩調を合わせた。この効果が余韻として続いている。その現れとして、新高値銘柄の中身は、国際的主力銘柄ではなく小型銘柄や出遅れ銘柄が中心となっている。しかも、売買についても、株を長い期間持つという投資を目的とした人は非常に少なくなっていると思う。今日買って、できれば今日のうちに売却したいという人が多いようだ。元、大手証券の経営者だった方は、今のマーケットはパチンコゲームのようだと表現されていた。そうかもしれない。銘柄に夢をかけて買っているというより、値段を買っているということだろう。もちろん、許されていることだから悪いことではない。

妻 やはり、大震災で資産株の電力株が下がったことが影響しているのでしょうね。お友達にも、東京電力株を持っている方がいます。売るに売れない値段まで下がったうえに、配当金も、もらえなくなった。電力株なら長期投資で心配ないと思っていたのに、とガックリ肩を落とされています。これでは、株を長く持つ気持ちにはなれません。投資が復活するには何が求められますか。

>>全文を読む(電力はどうなるか?需要は回復するか?投機から投資に戻るか?=妻と夫の株ロマン)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:17 | 特集

【太陽光発電関連特集2】さまざまな発電方式の種類が開発・量産

■現在の太陽電池は多結晶シリコン(Si)型が主力

【太陽光発電関連特集2】さまざまな発電方式の種類が開発・量産 太陽光発電システムは、太陽電池が太陽の光エネルギーを吸収して、直接電気に変換する仕組みの発電方式である。発電装置の役割を担う太陽電池は、使用する材料や構造によってSi(シリコン)単結晶型、Si多結晶型、Si薄膜型、金属化合物型など、さまざまな種類が開発・量産されている。そして、太陽電池の基本単位である太陽電池素子を「セル」と呼び、セルを必要枚数配列して屋外で利用できるように樹脂や強化ガラスなどで保護し、パッケージ化したものが「モジュール」で、一般的にはモジュールを「太陽電池パネル」と呼んでいる。

 太陽光発電協会(JPEA)が5月20日に発表した「太陽電池セル・モジュール出荷統計」で見ると、2010年度の日本の総出荷量(国内生産出荷、輸入後出荷、輸出の総合計)253万8814KW(キロワット)の材料別構成比は、Si結晶型が84.8%(うちSi単結晶型が32.8%、Si多結晶型が52.0%)を占め、Si薄膜型が12.2%、その他が3.0%となっている。

 Si結晶型は、単結晶または多結晶のシリコンウェハーをスライスして基板とするタイプである。国内では、シャープ(6753)京セラ(6971)パナソニック(6752)(子会社化した三洋電機が製造販売)、三菱電機(6503)などが量産している。エネルギー変換効率の高さが特徴だが、Si単結晶型は高純度シリコンの使用量が多いため高コストが欠点とされ、現在ではコストと性能のバランスが比較的良いとされるSi多結晶型が主流となっている。またSi多結晶型でも、シリコン薄型化などによる低コスト化も進展している。

 Si薄膜型は、ガラスや金属などの基板の上に、CVD(化学気相成長)などの技術で薄膜状のアモルファスシリコンを形成するタイプである。Si結晶型に比べて変換効率の低さが欠点だが、シリコン層の厚みを薄くすることでシリコン使用量を減らすため低コストとなり、太陽電池を大量に設置する大規模太陽光発電所(メガソーラー)向けが需要の中心とされている。シャープ(6753)は、シリコン使用量が結晶型の約100分の1で、変換効率も向上させたSi薄膜型の量産を2009年に開始している。パナソニック(6752)(子会社化した三洋電機が製造販売)は、多結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層した独自のハイブリッド型を量産している。国内ではこの他に、カネカ(4118)富士電機(6504)三菱重工業(7011)などがSi薄膜型を量産している。

 シリコンを使用しないタイプには、金属化合物型、色素増感型、有機薄膜型などがある。金属化合物型は、化合物半導体を薄膜状にして発電層に使うタイプで、人工衛星など特殊用途に使用されているものもある。ホンダ(7267)(子会社のホンダソルテックが製造販売)は銅(Copper)、インジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)、セレン(Selenium)を原料とするCIGS薄膜型を量産し、昭和シェル石油(5002)(子会社のソーラーフロンティアが製造販売)は銅、インジウム、セレンを原料とするCIS薄膜型を量産している。

 色素増感型は、太陽光を吸収すると電子を放出する有機色素の性質を応用して電気に変える仕組みで、一般的には、色素を挟むガラス基板の上にインジウムなどで透明の電極膜を形成する。変換効率の低さが欠点だが、斜めから当たる光や弱い光でも発電が可能であり、低コストも特徴である。新日本製鐵(5401)(子会社の新日鉄化学が開発)、フジクラ(5803)ソニー(6758)アイシン精機(7259)大阪ガス(9532)などが商品化を目指している。

 有機薄膜型は、導電性ポリマーなどを組み合わせた有機薄膜半導体を用いる太陽電池である。変換効率の低さが欠点だが、低コストであり、シート状にして折り曲げることや、インクジェット方式で曲面に印刷することも可能となるため、用途拡大が期待されている。三菱ケミカルホールディングス(4188)(子会社の三菱化学が開発)が2012年夏をメドに商品化を予定しており、住友化学(4005)も商品化を目指している。

【太陽光発電関連特集】
(1)電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源
(2)さまざまな発電方式の種類が開発・量産
(3)勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー
(4)住宅用太陽光発電システム市場の推移は拡大基調
(5)国内の太陽光発電システムの市場規模
(6)大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設も活発化
(7)太陽電池セルメーカーなど主要な関連企業
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:49 | 特集

【太陽光発電関連特集1】電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源

■「脱原発」「小規模分散型電源」として注目度高まる太陽光発電システム

【太陽光発電関連特集1】電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、世界的に脱原発の動きが強まる中、深刻化するエネルギー資源問題や地球温暖化問題への有力な対策としても、再生可能な自然エネルギーの重要性が認識されている。

 そして再生可能な自然エネルギーの中でも、電力会社からの送電への依存度を減らす小規模分散型電源として、特に太陽光発電(PV=Photovoltaic)システムに対する注目度が高まっている。

 菅直人首相は5月、パリで開催された経済協力開発機構(OECD)の設立50周年記念行事の場で「2020年代の早い時期に自然エネルギーの割合を20%超に引き上げる」「太陽電池の発電コストを2030年に現在の6分の1に引き下げ、日本中の設置可能な1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置することを目指す」という構想を掲げた。構想の実現性は別としても、太陽光発電システムの市場が拡大する可能性は高いだろう。

■国の政策面での支援が重要

 太陽光発電システムは、太陽電池が太陽の光エネルギーを吸収して、直接電気に変換する仕組みの発電方式である。太陽光エネルギーは無尽蔵でクリーンなエネルギーであり、太陽光発電協会(JPEA)によると「もしも地球全体に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できるとしたら、世界の年間消費エネルギーをわずか1時間でまかなうことができるほど巨大なエネルギー」としている。

 ただし太陽光発電システムは、燃料費がタダで無尽蔵にあるとはいえ、日照時間など天候の影響を受けやすく、夜間は発電できないという欠点がある。さらに、太陽電池には蓄電機能がないため、出力変動の調整など安定的な電力供給を確保するという課題に対しては、蓄電池やスマートメーター(次世代電力計)を、太陽電池と組み合わせてシステム化することが重要なポイントになるだろう。

 また消費者の間では、エコ意識に加えて、電力不足や節電への自己防衛策として、家庭で発電可能な太陽光発電システムの導入意欲が高まっている。ただし、個人が家庭に設置するには高額な導入費用が問題となる。こうした導入コストの回収や、採算面などの課題に対しては、導入補助金制度や電力買い取り制度の充実など、国の政策面での支援が重要になるだろう。

 さらに太陽光発電システムの市場は、国内での需要は住宅用が中心だが、米国、中国、東南アジアなど成長が見込まれる市場での需要は、大規模太陽光発電所(メガソーラー)が中心である。主要関連企業にとっては、中国など海外メーカーとの競合が激化しているだけに、太陽電池の低コスト化、蓄電池と組み合わせたシステム化などへの対応とともに、国内と海外で異なった戦略を推進することも必要になるだろう。

【太陽光発電関連特集】
(1)電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源
(2)さまざまな発電方式の種類が開発・量産
(3)勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー
(4)住宅用太陽光発電システム市場の推移は拡大基調
(5)国内の太陽光発電システムの市場規模
(6)大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設も活発化
(7)太陽電池セルメーカーなど主要な関連企業
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:04 | 特集
2011年07月16日

【震災後の自動車株に明暗】「生産回復」から「需要の見極め」へ=犬丸正寛

■自動車株の動きから見える事とは?

【震災後の自動車株に明暗】「生産回復」から「需要の見極め」へ=犬丸正寛 震災後の自動車株に明暗がみられる。急ピッチで回復する生産に対し、「需要」が本格回復するのだろうか、と問われているようでもある。

 3月11日に発生した東日本大震災。自動車株も軒並み大きく値を下げた。しかし、その後の戻りにはバラつきが出ている。表のように、震災後の戻り高値が、震災発生直前3月10日の終値を奪回した銘柄(○印)は10銘柄中6銘柄。未だに達成できていない銘柄(●印)が4銘柄ある。

 日産自動車<7201> 816 − 881(7月8日) ○
 いすゞ自動車<7202> 354 − 393(7月12日) ○
 トヨタ自動車<7203> 3650 − 3480(7月8日) ●
 日野自動車<7205> 434 − 480(7月8日) ○
 三菱自動車<7211> 112 − 107(7月8日) ●
 マツダ<7261> 202 − 223(7月8日) ○
 ダイハツ工業<7262> 1259 − 1389(7月4日) ○
 ホンダ<7267> 3400 − 3295(7月14日) ●
 スズキ<7269> 1928 − 1950(4月28日) ○
 富士重工業<7270> 652 − 643(7月8日) ●
【社名、コード、3月10日終値、戻り高値(月日)、プラスマイナス】

■マーケットは軽自動車への期待が高い

 最も早く震災前水準を奪回したのは4月28日のスズキ。しかも、4月中は同社のみで群を抜いている強さ。続いて、7月上旬のダイハツ、マツダ、日産、日野、いすゞとなっている。奪回の最も早かったスズキは東南アジアでの需要が好調な「軽自動車」である。スズキに次いで早かったダイハツも軽自動車だ。明らかに、マーケットは軽自動車への期待が高いとみることができる。

 また、いすゞ、日野は「トラック」が注目された動きといえる。

 一方、トヨタ、ホンダの主力組は大きく出遅れている。ただ、日産はトヨタ、ホンダとは別格の動きをみせている。

 こうした株価の動きから見えてくるのは、震災の影響を受けた国内生産は各社とも急ピッチで回復しているのに対し、果たして、震災発生前のような国内需要が回復するのだろうかということだろう。

 海外景気には、いっそう不透明感が強まる。とくに、主力組にとって輸出は楽ではない。また、震災の痛手を受けた国内消費者には高価格車より低価格の軽を選考する。復興にもトラックは必要ということだろう。ここまで、生産の回復に注目してきたマーケットは、「需要」面に強く注目し始めているようだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:24 | 特集
2011年07月15日

引き続き『閑散小動き相場』の展開へ=犬丸正寛の相場展望

★新総理までは見送りの展開

引き続き『閑散小動き相場』の展開へ=犬丸正寛の相場展望 来週(19〜22日)も引き続き『閑散小動き相場』の展開だろう。仮に、日経平均が去る8日の場中高値1万207円前後まで買われても大きく抜くことができないと二番天井の心配がある。

 このところの出来高は依然少ない。東証1部の出来高は6月10日の24億株を最後に、それ以降は20億株割れが続いている。売買代金も1兆1000億円程度の低水準が続いている。外国人投資家の買いが大きく伝えられているもののマーケット全体を持ち上げるだけの馬力にはなっていない。

 このため、猛暑によるサマーストック銘柄も本命のビール株などを買う元気はなく、小型銘柄の「屋内消費関連株」を手がけているにすぎない。

★空売りの東京電力で1カイ・2ヤリ相場

 とくに、連日、出来高上位の東京電力<9501>(東1)を除いてみれば、実際の商いは、さらに閑散だろう。その東京電力は最安値148円をつけた6月9日から日柄としては1ヶ月強と、まだ日が浅い。このため、安値圏で急増した空売りの買い戻しは、これからも見込めるというところとなっている。国内の腕利きの短期売買投資家には、これからもしばらく、東京電力株は「1カイ・2ヤリ」的な相場ができる有望対象だろう。

 もちろん、8月末までに総理が退陣ということになれば相場の流れはガラリと変わる可能性はある。東京電力などの空売りを支えとした銘柄は終息するものとみられる。

★円高は燃料輸入にプラスの評価も

 一方、海外要因による円高は、それほど相場に影響ないだろう。「今は日本の輸出は震災後だけに難しい状況にある。むしろ、円高による輸入燃料のコスト低減効果に期待できる」(中堅証券)との見方もあるからだ。

 7月相場も半分以上が経過。これから、夏本番で商いは益々、閑散となる。4〜6月期決算発表が始まるものの、総理が電気を人質にとっているような状況では、企業経営者に増額を期待することは難しいだろう。日本の新政権誕生までは閑散相場が続く展開だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:33 | 特集

暑い日が続く中、アイスクリーム銘柄…ではなくて…=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 毎日、暑い日が続いているが、一方で節電ムードも続いており、クーラーをガンガンかけるのはなんとなく気が引ける。なので少しでも涼をとろうと、アイスクリームの消費量が増えている…のは、私だけかと思っていたら、報道によると、世間でもそうらしく、多くのアイスクリームメーカーが増産しているそうだ。そこから連想して、アイスクリーム関連銘柄を入れようと思ったのだが、やはり盛夏にサマーストックを買うのは王道に反するのではないか、「麦わら帽子は冬に買え」という格言もあるくらいだし…、と思い直して、やめた。

 きょう15日の日経平均は38円35銭高の9974円47銭で引けており、3連休前の様子見&手仕舞いムードもある中、堅調に推移したようだ。そこで、へそ曲がりの私は(笑)、「こういう地合いの時に、下がっている銘柄を『底値買い』のつもりで買うのが良いのではないか」と思い、東証1部値下がり幅上位の銘柄から2つ選んでみた。

★国際石油開発帝石〈1605〉(東1)

原油・天然ガスの開発・生産事業等を行なっている、国際石油開発帝石<1605>(東1)を入れる。15日終値は9000円安の58万8000円。単位1株。PERは約15.4倍、PBRは約1.1倍となっている。チャートは5月17日につけた直近安値51万2000円から反発し、以降は凸凹しながらも下値抵抗線を緩やかに切り上げてきている。今は押し目の拾い時と見る。まずは今月7日につけた直近高値61万4000円ラインの上抜けを目指す。モルガン・スタンレーMUFG証券は13日付けで投資判断「オーバーウェイト」(強気)、目標株価77万円継続とした。

★ノバレーゼ〈2128〉(東1)

ゲストハウス・ウェディング事業を行なっている、ノバレーゼ<2128>(東1)を入れる。15日終値は800円安の5万8100円。単位1株。PERは約6.2倍と業績堅調なわりには割安水準。PBRは約1.2倍となっている。チャートは5月24日につけた直近安値5万2600円を底に、ジリ高トレンドで来ていた。ここ数日は調整局面。しかし下値のジリ高トレンドラインは維持しているようなので、押し目の拾い時と見たい。まずは11日につけた直近高値6万1500円ラインの上抜けが目標となりそうだ。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:39 | 特集
2011年07月11日

梅雨明け『猛暑相場』をどう乗り切るか?=浅妻昭治のマーケットセンサー

■瀬戸際の菅首相

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 7月6日、7日の衆参の予算委員会は、久々に緊張感のある委員会審議であった。与野党委員の質疑応答に攻防があり、問題の核心に迫っただけでなく、政治家の人間性まで浮き彫りにした。敵役と立役の色分けが、くっきり浮かび上がるドラマを見るようで、分かりやすかったのである。もちろん敵役は、得意技の一つの「後出しジャンケン」を繰り出した菅直人首相である。立役は、四面楚歌、満身創痍の海江田万里経済産業大臣であった。

 とくに海江田大臣は、菅首相からは原発のストレステスト(耐性調査)でハシゴを外され、九州電力<9508>(東1)のやらせメールに足をすくわれ、部下のキャリア官僚にインサイダー取引疑惑の強制捜査が伝えられるなどサンザンであった。弾と矢が前から飛んで来るだけなら避けようもあろうが、上から後ろから下から横からと際限がなく、遂に進退窮まって「いずれ時期がきたら責任と取る」と声を振り絞るのが精いっぱいとなった。責任を追及した当の野党議員からさえ同情を買う始末であった。

 中継のテレビカメラは、すかさず菅首相の顔を大写しで捉えたが、表情一つ変えず、これが敵役の敵役たるゆえんと妙に納得させられた。巷間伝えられているように、かの小泉ライオン丸の「郵政選挙」での衆議院選挙の大勝に倣って、「反原発」を選挙争点に衆院解散・総選挙に打って出る腹積もりと見て見えないこともないというところだろう。

■株は総売りか?それとも抜け道があるか?

 しかし、もしこのシナリオ通りに政局が運ぶとして、選挙に連戦連敗、曲がり続けの菅代表の選挙相場感に同調する与党議員が果たしてどれだけいるか、ストレステストをしてみたくなった。延長国会会期末までに大臣が一人辞め、二人辞めの辞職テロが続き、『マザーグースの唄』ではないが、8月末には「そして誰もいかくなった」となるのではないかとの新聞観測もしきりである。そうなると、ボロボロとなる菅首相も、6日の衆院予算委で渡辺喜美みんなの党代表がけしかけたように、電力規制緩和、発送電分離まで踏み込んで勝負する以外に大義名分は立ちそうもない瀬戸際に追い込まれることは、どうも間違いなさそうだ。

 株は総売りか、それとも抜け道があるのか、相場シナリオの練り直しを迫られることになる。取り敢えず抜け道銘柄としては、自然エネルギー発電の太陽光発電関連株、風力発電、地熱発電の関連株とするのが定石だが・・。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:22 | 特集
2011年07月08日

ピッチの速さ警戒しながらのサマーラリーの展開へ=犬丸正寛の相場展望

★当面、「悪材料の在庫整理」一掃セール

ピッチの速さ警戒しながらのサマーラリーの展開へ=犬丸正寛の相場展望 来週(11〜15日)の相場は、『ピッチの速さを横目でみながらのサマーラリー』の展開だろう。まもなく夏本番。世界のファンド運用者はバカンス前のひと稼ぎということで一致しているのではないか。

 とくに、6月中に多くの懸念材料を店先に並べ、「悪材料の在庫整理」をやったことから、当面、今以上の悪い材料は考えなくてよいという取り組みやすさがある。

★超短期に徹する相場

 ただ、NYダウ、日経平均とも上げピッチは速くなっている。なかでも、日経平均の「30日線乖離」が危険水域の5%に達している。もちろん、プロの短期運用者は十分に承知のことだろう。むしろ、こういう危ないときこそ、熟れて落ちる前の柿がおいしいごとく、儲けるチャンスでもあるわけだ。

 しかし、個人投資家にとっては、運用者のように他人のカネではない。もし、急落に見舞われると直ちに自らのサイフに響いてくる。サマーラリーに参加するにしても、売買高は控えめにしておきたい。

 国内で気になるのは、やはり政局である。原発再開問題が揺れ動いている。総理の発言は何が狙いなのか。原発再開に対し、賛成・反対と揺さぶりをかけることで、狙いとする自然再生エネルギーへの賛同を得ようとされているのだろうか。組合がストを打つのと、どこか似ている気がする。

 しかし、国民の多くは、総理に対し不気味さを感じたのではないだろうか。日本をどうしようとするのだろうかと。党内幹部から「1秒でも早く辞めてほしい」と公然と語られるようでは今の政権は限界だろう。現総理をペテン師と名指しした前総理はどう動かれるのか。政治が落ち着かないと、サマーラリーが終わった後の本物の日本買いにはなり得ない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:35 | 特集

誕生日プレゼント…から連想して、サービス業セクターの銘柄を見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 7月は私の誕生日がある月なので、いつも行っているデパートやエステサロンや飲食店などから、いろいろなご案内をいただいた。ポイントカードを持っている、あるデパートは「お誕生月の1ヵ月間、当店でお買い物をすると1日につき○○ポイントをサービスします」とか「お誕生月に使えるクーポンをさしあげます」等。あるエステサロンからは粗品のしおりとともにパンフレットが郵送され、「次回サロンへお越しの際には、△△の無料施術をプレゼントします」という。ある飲食店からは「お誕生日のお祝いとして、ささやかなプレゼントをご用意しました。…ぜひお越しください」というご案内状が来た。

 来店の動機づけが目的だとは分かっているが、やはりうれしい気がする。「1年間、がんばった自分にご褒美」ということで、実際はとくに何もがんばったわけではないのだが(笑)、いそいそとデパートやエステや飲食店へ行ってしまうのだ。

 そこから連想して、サービス業セクターで優良株を探してみた。

★テイクアンドギヴ・ニーズ〈4331〉(東1)

全国に約60の直営店を持ち、ハウスウェディング事業を行なっている、テイクアンドギヴ・ニーズ<4331>(東1)を入れる。8日終値は170円安の6130円。単位1株。PERは約8倍、PBRは約0.5倍と割安水準になっている。チャートは5月25日につけた直近安値4695円から反発し、以降はモミ合いながらもジリ高トレンドで来ている。まずは次のフシである6500円ライン上抜けを目指す。震災の影響はほぼ終息、海外展開も進めているなど買い材料もある。

★ニチイ学館〈9792〉(東1)

医療事務受託、介護事業、関連人材教育・派遣事業などを行なっている、ニチイ学館<9792>(東1)を入れる。8日終値は3円高の703円。単位100株。PERは約11.4倍、PBRは約0.9倍となっている。チャートは3月15日につけた年初来安値545円を底に、上昇トレンドで来ている。この1ヵ月ほどは700円ライン前後でモミ合っているが、そろそろ上放れと行きたい。中期で800円ライン回復を目指す。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:10 | 特集
2011年07月04日

リバウンド相場の方向は極くシンプルに!悪役銘柄に「リターン・リバーサル」余地=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー

浅妻昭治のマーケット・センサー■死語化した相場用語=「男性的な下げ」

 最近とんと聞かなくなった相場用語に「男性的な下げ」というのがある。かつては相場の調整局面で、値幅整理優先で急激に調整するのを「男性的な下げ」、値幅よりダラダラと日柄を掛けて調整するのを「女性的な下げ」と言い習わしてきた。この相場用語が存在感を失った事情については詳らかではない。セクハラと非難されそうなのを慮ってのことか、それともこのところ草食系男子が叢生し、肉食系女子が跋扈して男女の区分けが不透明化した社会変化を反映してのことなのか、研究課題ではある。

 この相場用語の死語化とともに、暴落時の「狼狽売り」も、「リスク回避売り」と言い換えられているようである。かつては株価の急落に次ぐ急落、投げ売りが投げ売りを呼ぶ相場を前に、大手証券などからは決まって「狼狽売りは慎め」、「安値は絶好の買い場」などとヒステリックにマーケットコメントが連呼され、そのたびごとに底抜けを繰り返す「セリング・クライマックス」の緊迫感が伝わってきた。

■コツン」という音もなしにリバウンド・・・

 先輩からは、暴落時に兜町の地場を歩く時には、笑顔をみせるのは厳禁だとアドバイスを受けたことも思い出す。カラ売りをしていると勘繰られるからということだった。それが「リスク回避売り」ではどこか余裕があるようで、暴落時につきものの受け渡し不能だの証券事故だのとかとは無縁のようだと妙な安堵感を覚えさせる。

 今回の「1000年に1度」の大災害とそれに重なった原発事故に直撃された相場急落も、2日も3日も連続してストップ安をする銘柄が続出しただけに、まさに「男性的な下げ」に違いない。

 しかし相場の急落よりももっとリアリティーがあったのは、日々、テレビ画面で繰り返し放映された大津波の濁流と被災地のがれきの山、さらに水素爆発で崩壊した原子力発電所の原子炉建屋などの映像である。そのリアリティーに圧倒されて、相対的に暴落相場自体も矮小化され、「セリング・クライマックス」の緊迫感も大底を打つ「コツン」という音もなしにリバウンドした。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:19 | 特集
2011年07月03日

【相場展望】シニアアナリストの水田雅展氏に今後の相場動向を聞く

水田雅展 悪材料の重なった中で下げなかった相場。これ以上、売り叩けないということで売方の買戻しが先行している。果たしてこの先はどうか。シニアアナリストの水田雅展氏に今後の相場動向を聞いた。

――相場環境は必ずしも良くはありませんが、強い動きですね。

 【水田氏】 ギリシャ問題に加え、アメリカの景気減速懸念、中国の金融引き締め、さらに、日本の政局の不透明など悪い材料が重なりました。しかし、にもかかわらず相場は下がらなかった。当面は、もうこれ以上の悪い材料は出ないから、売り叩くことはできないということで売方の買戻しが先行となっている動きです。

――日経平均は、どのあたりまで見込めますか。

 【水田氏】 こういう時は意外にあれあれと思っている間に上がるものです。日経平均の1万円台は見込めるでしょう。

――今後、注目される点はいかがですか。

 【水田氏】 やはり、アメリカの景気でしょう。一時的な減速かどうか、というところが見所だと思います。私はアメリカの景気減速は一時的なものにとどまる可能性が強いとみていまし。当面は9日に発表の米国雇用統計が注目されます。

――日本では、復興関連株は相場の柱になりますか。

 【水田氏】 復旧と復興を定義的にきっちりと分けて見ておくことが大切です。当面、向こう半年間くらいは復旧関連だろうと思います。その後に復興という順番ですが、そのためには被災地の区画整理をどうするかといった解決しなくてはいけない課題があります。この点はまったく手つかずの状態です。復興関連銘柄の出番はもう少し時間が掛かりそうです。ただ、息の長いテーマとして「新エネルギー」が中心になってくると思います。

――日本の企業業績は。

 【水田氏】 企業の生産復旧は、早いスピードで進んでいますから、恐らく、今年7〜9月期の第2四半期ではかなりの上方修正銘柄が出るだろうとみています。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 21:25 | 特集
2011年07月01日

短期資金中心の素早い「居合い抜き」的な相場展開へ=犬丸正寛の相場展望

★マーケットが力強い相場となるには株価上昇のほかに出来高も膨らむ必要が!

短期資金中心の素早い「居合い抜き」的な相場展開へ=犬丸正寛の相場展望 来週(4〜8日)以降の相場は、外国人投資家が「消費税10%」を評価して買い姿勢を高めてくるかどうかが見所だろう。

 国内の金融機関、投信、事業会社、そして個人の中長期投資はいずれも主役として期待することは難しいだろう。東京電力<9501>(東1)など電力株の大幅下げで新規投資より終戦処理に追われているとみるべきだろう。

 こうした動きを如実に現しているのが東証1部の出来高。1日当りの出来高が20億株を超えたのは、5月が4営業日、6月はわずかに2営業日にすぎなかった。

 しかし、日経平均は1日(金)には場中で9900円台に乗せるなど値段としては堅調である。そのことは決して悪いことではないものの、難クセをつけるなら、売物の枯れている真空地帯を上げ下げしているにすぎない。マーケットが力強い相場となるには株価上昇のほかに出来高も膨らむ必要がある。それができていない。

 今後の注目点としては
 (1)日経平均はどのあたりまで売物の少ない真空地帯か。
 (2)商いを伴うためには、唯一頼りとなる外国人投資家が買いに出るか
という2点である。

 まず、最初の点については、日経平均の「価格帯出来高」でみれば1万400円程度までは比較的に売物は少ない。1万400円といえば、東日本大震災の発生する直前の3月10日頃の水準である。株価的には、このあたりまで戻す可能性はあるだろう。

 しかし、それ以上となると予想される売物はかなり多い。誰が買うか。この点が2つ目のポイントである外国人投資家が本腰を入れて買うだろうか、という視点である。

 基本的には外国人投資家は政治が揺らいでいる国の株には積極的にはならないはず。とくに、ギリシャの今の姿は将来の日本の姿ともいわれるだけになおさらだ。仮に、それをくつがえして買ってくるとすれば、政府が消費税10%を正式に打ち出したことだろう。財政悪化を食い止められるからだ。

 ただし、今後、野党との論戦の中で成立するかどうかが注視される。

 一方で、早くも猛暑が到来。「節電」が少なからず、経済活動面、消費面に影響を及ぼす心配がある。しかも、外国人投資家にとって夏は仕事より休暇である。こうしてみると、これからも出来高が急速に上向くことは期待し難いようだ。短期資金中心の素早い「居合い抜き」的な相場展開が予想されそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:32 | 特集

「近所のパートさん」、その後から連想=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 以前、「近所にあるスーパー内にあるクリーニング屋さんの、パートタイマーさんが似た雰囲気の女性ばかりで…」という内容を書いたことがある。いつも行っているクリーニング店で、店頭受付を行なっている女性パートさんが、シフトで数人いらっしゃるのだが、皆、見た目や雰囲気が似ているのだ。これは店長さんの「好み」(一緒に仕事をする上で、やりやすそうな人、接客に良さそうな人という意味で)なのだろうなと思ったのだった。

 しかし、その原稿を書いてから後、しばらく通ってそれぞれの人と接しているうちに、だんだん個性が掴めてきた。私はいつも、バラバラな時間帯に衣類を持って行ったり、取りに行ったりするので、どのシフトの人の接客も受ける機会があるのだ。人によって、愛想はいまひとつだが、仕事はシッカリする人、愛想は良いのだが調子が良く、仕事はてきとうな人、愛想は良くも悪くもなく、仕事がイヤそうな人など、いろいろなキャラの人がいると分かってきた。パッと見は似ていても、当然といえば当然だが、やはりそれぞれの個性があって、やはり人間っておもしろいと思うのだ。

 「パートさん」から連想して、スーパー銘柄を見てみた。

★イオン〈8267〉(東1)

 GMS(大規模総合スーパー)などを全国展開するイオン<8267>(東1)を入れる。1日終値は2円安の966円。単位100株。PERは約19.3倍、PBRは約0.8倍となっている。チャートはこの約1ヵ月、下値900円ラインで底を打ち、ジリ高トレンドを形成している。まずは1000円フシまでの戻りを目指す。信用倍率は約0.6倍の売り長で、買戻しにも期待できそうだ。ゴールドマンサックス証券は6月21日付けのレーティングで投資判断「買い」、目標株価1100円とした。

★イズミヤ〈8266〉(東1)

 関西を地盤に、スーパーを約90店を展開するイズミヤ<8266>(東1)を入れる。1日終値は2円安の326円。単位1000株。PERは約34.7倍、PBRは約0.3倍となっている。チャートは6月17日につけた直近安値300円からの反発局面。まずは次のフシであり26週移動平均線でもある、300円台央が目標となりそうだ。板を見ると買い気がやや優勢。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 17:40 | 特集
2011年06月27日

土壌汚染処理関連の巴工業:状態と見通しと対応=犬丸正寛の銘柄カルテ

巴工業<6309>(東1)
犬丸正寛の銘柄カルテ 【状態】 3月の震災時に安値912円と下げたあと急反発、4月22日には1849円の年初来高値をつけた。その後も1750円を挟んだモミ合いで高値圏の頑強といえる動き。長期的な動きでは、上場来高値3000円(06年2月)からの下げには完全にピリオドを打ち出直りに入っている。
 営業利益の最高は2008年10月期の24億5600万円で、今期の営業利益は22億7000万円(前期比4.5%増)とピークに対し9.2合目まで回復する。来期には最高益更新が見込めるだろう。土壌汚染処理関連としての人気から注目度は高い。

 【見通し】 既に、高値圏のモミ合いは2ヶ月半に達し、ひとつの目処である3ヶ月にあとわずか。モミ合いを放れるなら、下ということは考え難く、当然、上放れだろう。その場合の第一目標は06年6月以来となる2000円台乗せだろう。人気次第では一気に2000円を大きく突破することも予想されるが、常識的には2000円台に乗せた後、大台を固めてから上場来高値挑戦とみられる。

 【対応】 同社はデカンタ型遠心分離機の最大手。遠心分離機には洗濯機型のバスケット型と、筒の中に筒が入った形のデカンダ型がある。このデカンタ型のタテ型、ヨコ型で世界最大規模の実績があり、下水処理等で活躍。東京都から使用電気量を半分に抑えた省エネタイプを複数台9億円受注した。北米からも今期は103台の受注となる。放射能を含んだ汚泥処理が社会的に問題となっており、同社への発注の可能性もありそうだ。今10月期は10.8%増収、営業利益4.5%増益、純益2.6%減益、1株利益132.2円の見通し。配当は年40円の予定。
 27日の1760円台の株価はPER13倍強。売買単位100株。モミ合い上放れに備えて1760円どころは仕込み場とみてよいだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:46 | 特集

7月以降の「親亀」たちの攻防次第で日産系「小亀」5社に「想定外」展開も=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「親亀こけたら子亀がこける」のは、早口言葉として人口に膾炙しているように十分に「想定内」である。誰も驚きはしない。ではこの反対の「子亀こけたら親亀がこける」となるとどうなるか?親亀の背中に乗った子亀が、親の背中から落下したくらいでは、親亀にとって痛くも痒くもない日常茶飯事と想像するのは常識である。ところが、こけた小亀が、甲羅を背中にして手足をバタバタさせ慌てふためいている隣で、親亀がそれ以上にもがき苦しんでいるのである。これは、どうしても「想定外」とするほかない。

 この「想定外」の事態が、3月11日に発生した東日本大震災の影響で起こってしまった。いわゆるサプライチェーン(供給網)の寸断、途絶である。被災地の部品会社、素材会社の生産が停止した途端に、自動車、電機などの日本の基幹産業の生産ラインがストップしてしまった。この影響は国内だけにとどまらない。米国景気の下ぶれ要因になって、株価まで変調させる大事に発展してしまった。

 この「想定外」の緊急事態を前に次に問題となるのは、親亀のこけ方の程度となる。こけ方の差が歴然と現れたのが、自動車業界である。業界序列の変動が如実となった。業界3位の日産自動車<7201>(東1)の業績がトップのトヨタ自動車<7203>(東1)や2位のホンダ<7267>(東1)の業績を上回ろうとする激変が起きようとしているのである。日産の今3月期の営業利益は、4600億円(前期比14%減)と予想され、トヨタの3000億円(同35%減)、ホンダの2000億円(同64%減)の各予想値に減益率の低さでも利益額でも大きく水を開ける。

 この親亀たちのこけ方は認められるのか?とくに問題となるのはトヨタであるのは衆目の一致するところだろう。前期は、わずかの差でホンダの後塵を拝し、今期は日産に1600億円もの差をつけられるのである。社長の座にあるのは、創業家直系3代目の豊田章男氏である。リコール問題の処理でミソをつけ、いままた大震災の後処理で後手に回ろうとしている。もちろん、かつての事業仕分けで鋭く切り込んだ蓮舫行政刷新担当大臣のように「2番じゃ駄目なんでしょうか」というわけにはいかないはずだ。ということは7月以降、この親亀たちの攻防、こけ方の修復方向、まき返し方が、株価動向の大きな注目材料に浮上することは、容易に想像がつくことになる。

―――第1のチェックポイントは今3月期業績の開示動向―――

 親亀たちのこけ方の修復には、2つのトレンドが考えられる。1つは、トヨタ、ホンダが急速にマイナスをプラスに転換し日産に追い付き、追い越すアップ・トレンドである。証券アナリストの評価では、両社の業績予想は「保守的」とするのが大勢だそうだから、この観測通りならトヨタ、ホンダが、いずれ日産を上回ってくるアップ・トレンドが期待されることになる。もう1つは、日産が頼みの綱としている中国市場が急速に失速し、日産のこけ方がよりひどくなり、トヨタ、ホンダに下寄せするダウン・トレンドである。どちらのトレンドが主流になるのか、ゴーン社長、豊田社長の顔色から目が離せないことになる。

 「親亀」のこけ方が、「想定内」か「想定外」かによって「小亀」会社に連動の余地がある。株価的に注目したいのは、日産系の小亀会社の5社、鬼怒川ゴム工業<5196>(東1)日産車体<7222>(東1)カルソニックカンセイ<7248>(東1)河西工業<7256>(東1)ヨロズ<7294>(東1)である。すでに株主総会を終わっているにもかかわらず、日産車体を除いてなお4社が、今3月期の業績と配当を未定のままとしているがやや気になるが、親亀が、前週末24日に今期業績を明らかにしたから遠からず業績開示があるはずで、この動向がまず最初のチェックポイントになる。

 いずれにしろ、「ゴーン革命」で「ケーレツ」崩壊の厳しい現実にも直面したこともあって、親会社がこのままアップ・トレンドを突き進み、株価もさらに強含むようなら、前期と同様な相次ぐ業績上方修正で上値を伸ばす展開も期待できそうだし、例えダウン・トレンドを余儀なくされても、こけ方への対応はそれ相応に心得ていると推測できることになる。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:45 | 特集
2011年06月24日

乗り切れるか!『悩ましき夏相場』の始まり=犬丸正寛の相場展望

★相場は『閑散に売りなし』

乗り切れるか!『悩ましき夏相場』の始まり=犬丸正寛の相場展望 来週(27日〜7月1日)は、7月相場入り。『悩ましき夏相場』の始まりとなりそうだ。

 世界を眺めれば、いずこも内に悩みを抱えている。アメリカは量的緩和政策で景気は持ち直したものの、失業率の改善、消費の上向きなどは思ったほどではない。むしろ、財政の悪化、ガソリン価格の高騰を招き、これ以上の量的緩和政策は難しく、アフガンからの撤退で軍事費削減を進めなくてはいけないほどに追い込まれている。EUもギリシャ問題など頭の痛い材料に対し根本的な解決の目処は立っていない。

 一方、高い成長を続けてきた中国、インドでは物価高と貧富の差拡大で社会が急速に不安定化している。いつ暴動が起きてもおかしくない状態と指摘されるほどだ。もちろん、日本も同じ。改めて取り立てることがないほど政治が揺らぎ、日本の進路に自信が持てない。

 リーマンショックを乗り越えてきた各国がここに来て、難しい局面を迎えている。問題は、このように内に悩みを抱えるときはトラブルが起きやすいことだ。国内における国民の不満を外へ向けるという常套手段がとられやすいこともある。とくに、貧富の格差を抱えている地域は要注意である。南シナ海での領海問題あたりは目が離せない。宮城沖の日本の排他的経済水域にも無断で外国の怪しげな船舶が出没しているという。もちろん、世界でテロの脅威はおさまってはいない。むしろ、アメリカのアフガン撤退で脅威は増す心配さえある。

 こうした不安定な動きを嗅ぎ取ってか、既に、23日のNYダウは一時230ドルの急落となるなど波乱を見せ始めている。強くないはずの「円」が、ドル、ユーロに対し高くなっていることは、日本以上に海外の状況が厳しいということかもしれない。かといって、強い円が強い株式マーケットにつながっているか、といえばそうではない。政局がガタつき、しかも放射能問題がいっこうに終息に向かわない日本の株については外国人投資家が大量に売り越しに転じている。

 厳しい話ばかりである。相場が『閑散に売りなし』で、夏を乗り切ることができればよい。しかし、暑い夏には世界中がイライラ状態となるため、ちょっとしたことをきっかけに大きい事件となってしまう危険もある。何も起こらないことを祈りつつも、今年は悩ましき夏となりそうだ。外国人投資家の持株の少ない銘柄ということになりそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:41 | 特集

味噌とまいたけのコラボから連想=田北知見の銘柄ウオッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 先日、スーパーでマルコメの「液みそ」を使った料理のレシピをもらった。液みそとは、だし入りの味噌だが、従来の半固体タイプと違って液状なので溶けやすく、味噌漉しなども不要で、いろいろな調理にも使いやすいというもの。ペットボトルに入って売られている。なるほど、便利な商品だと思った。

 レシピには「雪国まいたけとのコラボ」とあり、「雪国まいたけと小松菜の味噌バター炒め」「雪国まいたけの味噌かき揚げ」など、簡単にできておいしそうな料理が並んでいる。また、まいたけには「うまみ成分のグアニル酸が多く含まれている」ことなども紹介されていた。

 他の商品分野でのコラボはいろいろ見たことがあるが、野菜の会社と味噌の会社のコラボは、少なくとも私は今回、初めて見た。「企業各社は勝ち残りをかけて、いろいろ需要掘り起こしの努力工夫をしておられるんだなあ」と改めて実感したのだった。

 雪国まいたけと調味料連想銘柄をウォッチしてみた。

★雪国まいたけ〈1378〉(東2)

雪国まいたけ<1378>(東2)の24日終値は5円高の465円。単位100株。PERは約20.1倍、PBRは約2.5倍となっている。チャートは1月17日につけた年初来高値586円から反落し、以降は続落トレンドとなっていた。下値460円フシにあたり、そろそろ反発のタイミングと見たい。まずは次のフシであり26週移動平均線でもある、500円ラインまでの戻りが目標となりそうだ。

★永谷園〈2899〉(東1)

調味料・味噌汁などからの連想で、永谷園<2899>(東1)を入れる。24日終値は12円高の843円。単位1000株。PERは約20.4倍、PBRは約1.4倍となっている。チャートはこの1ヵ月ほど、凸凹しながらも、下値800円ラインから800円台央へとジリ高トレンドで来ている。信用売り残が増えているので、買い戻しにも期待しつつ、もうしばらくトレンドが続くと見たい。地合いにもよるが、中期で880円ラインまでの戻りも視野に入りそうだ。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 17:11 | 特集
2011年06月20日

「粘り腰」、「強腰」発揮を期待し経常利益の高変化率上位銘柄をマーク=浅妻昭治

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「レームダック」、「死に体」といわれた菅直人首相が、驚異の粘り腰を発揮している。野党も身内の与党からも誰も、首相の首に辞職の「鈴」をつけられずにいるうちに、粘り腰が強腰に変じたような趣きさえある。政治評論家のなかには、首相をバルカン政治家と呼ぶ向きがある。尊称を奉っているのは、卑称として貶めているのか詳らかでないが、月足で5月、6月と日経平均の陰線が続き、混迷の度を増している株式相場にとっても、お手本にしなくてはならない出処進退ということになる。

 株式相場が、粘り腰を発揮しさらに強腰に転換するためには、どう株価環境が動いたら望ましいのか、そのためにどう対処すべきなのか?この出処進退の第一のヤマには、7月に迫った決算発表がある。3月期決算会社が、第1四半期(1Q)の業績を発表してくるが、このイベント期待である。

 同イベントは、まず決算発表の一番乗り争いからスタートする。トップを争うのは、アドヴァン<7463>(東1)あみやき亭<2753>(東1)の2社である。両社は、この1年、発表一番乗りのデッドヒートを演じてきた。昨年7月の前期第1四半期決算では、アドヴァンが、7月5日の15時50分に発表してあみやき亭より1日先んじたが、第2四半期(2Q)決算では、今度は、あみやき亭が巻き返して、10月4日寄り付き前の7時30分に発表してアドヴァンに1時間先行し、そのあとの第3四半期、3月本決算では同日・同時刻発表の同着となっている。

 主力株の決算発表一番乗りは、信越化学工業<4063>(東1)と決まっている。同社の決算評価が、その後の業績相場の方向性を決定する試金石になるのも例年の恒例であった。東証は、上場会社にタイムリー・ディスクロージャーとして決算発表の所要日数として期末から45日以内を求めている。この所要日数を大幅に短縮する3社には、スピード開示プレミアムとしてご褒美の株価の上乗せがあるのも例年のことだが、今年の7月も例年通りとなるか注目されることになる。

 もちろん今年の1Q決算発表は、大勢としては期待薄とするのも否定できない。東日本大震災でサプライチェーン(供給網)が寸断されたまさに渦中の決算期になるのが1Qである。今期業績は、1Q、2Qと赤字が続き、後半の3Q、4Qに急回復し3月通期で黒字転換する予想が大半となっており、1Qはボトムの決算期に該当するからである。株価にとっては業績悪として追い討ちになるか、それとも悪材料出尽くしになるか、予断を許さないことは確かである。

―――「水準より変化率」で
    まず低位株価の6銘柄に先取り余地―――


 ただ救いがないこともない。業績評価には、昔から「水準より変化率」とされる価値基準が厳然として存在するからだ。株価は、利益額の大小よりも利益の方向性に敏感に反応する傾向が強いのである。赤字会社が黒字転換し、無配会社が復配するときほど株価変化率が高いといわれるのはこのためだ。だから今期の1Q決算も、好決算のサプライズ銘柄が飛び出して、相場全般をリードするのがベストだが、たとえ赤字であっても、直前四半期の前3月期第4四半期(4Q)より赤字が増大しているか縮小しているか比較して、株価が歓迎高する可能性がなきにしも非ずとなる。

 さて、結論である。「粘り腰」発揮から「強腰」転換が期待できる銘柄をセレクトしなければならない。取り敢えずマークするのは、今期経常利益の増益率ランキングの上位銘柄となる。業績のV字回復銘柄である。V字回復は、それだけ前期の業績が悪かった裏返しではあるが、株価的にはそれだけ意外性を強めることになるからだ。

 トップはNEC<6701>(東1)である。前期の通期経常利益4100万円が、今期は550億円と高変化率が予想されている。前期1Q経常利益は、404億6100万円の赤字、直近の前期4Qは、491億8400万円の赤字であり、今期1Q決算がどう転ぶか注目される。同社のほか東証1部の増益率上位銘柄には、3月期決算会社以外も含めて日東製網<3524>有沢製作所<5208>東光<6801>ユニデン<6815>光通信<9435>などがノミネートされており、低位株価からの「粘り腰」、「強腰」の発揮も期待したくなる。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:10 | 特集
2011年06月19日

【クラウドコンピューティング特集(6)】国内IT業界大手も事業展開を強化

■主要関連企業の動向(国内)

【クラウドコンピューティング特集(6)】国内IT業界大手も事業展開を強化 日本のクラウドサービス市場では、米IT業界大手が日本にデータセンターを設置してサービスを提供するなど、事業展開を活発化させている。日本国内のデータセンターからサービスを提供することで、日本の利用者にとっては、海外の法律にとらわれずに社内データを管理し、社内データを海外に流出させない安心感が生まれるとされている。米アマゾン・ドット・コムは2011年3月、子会社のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が、クラウドサービスの日本での中核拠点となるデータセンターを東京周辺に設置し、日本での顧客開拓を本格化させている。

 また米セールスフォース・ドットコムは、早くから日本での事業展開を強化しており、シナジーマーケティング(3859)ネットイヤーグループ(3622)などに資本参加もしている。さらにトヨタ自動車(7203)と提携し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の技術を活用して、自動車ユーザー向けに情報発信サービスを共同展開する。

 日本のIT業界大手も、成長市場を狙って事業展開を強化している。日立製作所(6501)は、米ヴィエムウェアとの提携、データセンターの新増設などで、事業強化の方針を打ち出している。NEC(6701)は2011年2月、ITプラットフォーム事業の強化策を発表した。サーバー、クラウドサービス向けソフトウェア、IP(インターネット・プロトコル)電話システムなどを重点事業領域とし、新製品の投入や海外展開を積極的に進める。

 富士通(6702)は米マイクロソフトと提携した。国内では自社のデータセンター(群馬県館林市)と、米マイクロソフトのクラウドサービス「ウインドウズ・アジュール」を組み合わせて、2011年8月から共同でクラウドサービスを提供する。さらに海外のデータセンターを増強し、共同でグローバル展開する。

 日本電信電話(NTT)(9432)は南アのIT大手ディメンション・データを買収し、NTTデータ(9613)は情報システムの米キーンを買収した。さらにNTTコミュニケーションズが、マイクロソフト日本法人とクラウドサービス分野で提携し、海外でもデータセンターを増設する。クラウドサービスを軸として、NTTグループでのグローバル戦略を加速する模様だ。

 富士ゼロックスの「ネットプリント」の登録利用者数は、累計100万人を超えたという。2003年から開始したサービスで、インターネットで送信したデータを同社のサーバーに保管し、セブン−イレブン(セブン&アイ・ホールディングス・3382)の店舗に設置された同社のカラー複合機で印刷する。2010年以降は米セールスフォース・ドットコムと協力して機能を拡充し、外出先でも手軽に印刷できるニーズを開拓している。シャープ(6753)サークルKサンクス(3337)と共同で同様のサービスを開始している。

 会社以外の場所で働くテレワーク向けのクラウドサービスでは、日本ユニシス(8056)の「SASTIK(サスティック)」などがあるだろう。USBメモリー型の専用認証装置をインターネットが使えるパソコンに差し込めば、内蔵プログラムが起動し、社内システムに接続して利用できる。

 クラウドサービスの主要関連企業としては、情報システム関連企業、ネット関連企業、コンテンツ関連企業、通信関連企業などがあり、いずれも今後、クラウドサービス事業を本格化させるだろう。三井情報(2665)セキュアベイル(3042)ネットイヤーグループ(3622)ITホールディングス(3626)1stホールディングス(3644)テクマトリックス(3762)インターネットイニシアティブ(IIJ)(3774)さくらインターネット(3778)GMOクラウド(3788)ビットアイル(3811)ニフティ(3828)コムチュア(3844)アイル(3854)シナジーマーケティング(3859)オービック(4684)ヤフー(4689)オービックビジネスコンサルタント(4733)伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)(4739)サイボウズ(4776)電通国際情報サービス(ISID)(4812)日立製作所(6501)NEC(6701)富士通(6702)ソニー(6758)日本ユニシス(8056)NTT(9432)GMOインターネット(9449)NTTデータ(9613)住商情報システム(9719)ピー・シー・エー(PCA)(9629)CSK(9737)TKC(9746)富士ソフト(9749)ソフトバンク(9984)などがあるだろう。(終)

【クラウドコンピューティング特集】
(1)クラウド普及本格化!各分野に拡大
(2)独自のクラウドサービス事業が急増!
(3)東日本大震災時に真価を発揮!
(4)2015年の市場は約2兆3700億円規模に
(5)米IT業界大手が事業強化へ
・(6)国内IT業界大手も事業展開を強化
クラウドコンピューティング関連銘柄一覧
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:28 | 特集