
欧州太陽光発電産業協会(EPIA)によると、世界の太陽電池の新規導入量は、2015年には2010年比で約4割増加する見込みとしている。ただし太陽電池セルの世界市場では、主要各国の政策、補助金制度、電力買い取り価格の変更などに伴って、成長市場が次々と入れ替わっている。
日本では、太陽光発電に対する政府導入助成制度がスタートした1994年度以降、市場は拡大基調だった。しかし、政府助成制度が廃止された2006年度と2007年度は、原料となる高純度シリコンが品不足となったことも影響して、市場が縮小した。
また、市場が拡大基調だった欧州では、ドイツなどで2011年から、太陽光で発電した電力の買い取り価格が引き下げられるため、2011年の新規導入量が減少する見込みとなっている。
■日本メーカーは総じて順位を落とした模様
一方で、今後の有望市場と期待される米国と中国では、助成金などの支援策も活用して、太陽光発電の新規導入量を大幅に拡大する計画を掲げており、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が相次いでいる。
成長市場の入れ替わりも影響する形となり、世界の太陽電池セルメーカーの勢力図も激しく塗り替わっている。かつては、シャープ(6753)、京セラ(6971)、三洋電機、三菱電機(6503)などの日本メーカーが、太陽電池セル生産量の世界市場シェア上位を占めていた。しかし2010年には、サンテックパワー(中国)がファーストソーラー(米)を抜いて世界首位に立った。そして、サンテックパワー(中国)を筆頭として中国メーカー4社が、世界市場シェアのトップ10に入ったのに対して、日本メーカーは総じて順位を落とした模様である。
中国や台湾などの新興国メーカーは、さらに生産能力の増強投資を進めており、日本市場への本格進出も相次いでいる。こうした新興国メーカーの躍進に対して、日本メーカーの世界での地位は低下傾向が続いており、国内でも新興国メーカーとの競争が激化している。
【太陽光発電関連特集】
(1)電力会社からの送電依存度を減らす小規模分散型電源
(2)さまざまな発電方式の種類が開発・量産
(3)勢力図も激しく塗り替わる世界の太陽電池セルメーカー
(4)住宅用太陽光発電システム市場の推移は拡大基調
(5)国内の太陽光発電システムの市場規模
(6)大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設も活発化
(7)太陽電池セルメーカーなど主要な関連企業