
日経平均は5月2日の連休の谷間につけた1万0017円から5月13日(金)には9552円まで4.6%下げた。調整としては大きいものではない。ただ、30日線を4月20日以来、久々に割り込んだことで「買い方」は腰が引けてくる。このため、わずかな売物でも下げやすく、瞬間的には4月19日の安値9405円まで押す可能性はある。ただ、週前半にも下げるのか、あるいは、一旦、戻して下げるのかは不透明。いずれにしても、下値は9405円程度、上値は9850円程度だろう。
一方、これまで、日本株堅調の背景となっていたNYダウにも、ひところのような一本調子の上昇が見られなくなっている。高値波乱の様相を示し始めている。NYダウも去る4月29日に1万2810ドルの高値をつけ、リーマンショック後の安値6469ドル(2009年3月)から日柄で2年超、上昇率で2.0倍と、ひとつのフシどころを迎えている。つまり、リーマンショック後の大不況に対する景気テコ入れ政策は、「まだ続くのか」、あるいは、「もう必要ないのか」という見極めを必要とするところに来ているということだろう。
ヨーロッパでは、ギリシャの財政問題が引き続きくすぶっている。個人でも企業でも国家でも膨らんだ借金を返済することは簡単ではない。まだ続くと見ておかなくてはいけない。
日本も財政赤字は膨らむ一方で、今回の震災でさらに状況は厳しくなる。しかも、放射性物質をいまだに出している福島原発。原子炉の炉底に穴が見つかり汚染水が流出というから漁業への影響はさらに拡大する。しかも、神奈川県南足柄市の一番茶から放射能物質が出てきたという。あんなに遠くまでも、という驚きである。風評は慎まなくてはいけないが、誰もが本心は心配で怖いことなのだ。
しかも、今年はもう台風1号に見舞われた。この夏、どうなるのか心配は募るばかりだ。しかし、政府からは日本列島改造の青写真は出て来ない。
震災時下げで日経平均は3月15日に終値で8605円だった。2ヶ月後の5月13日の終値9648円は、2ヶ月前に対し1043円上に位置する。率で12.1%上だ。さきほどから気になる材料をタラタラと並べている割には、足元の日経平均はよく持ちこたえている。
これは3月15日の日経平均ベースの1株利益が642円だったものが5月13日現在の予想値では592円と、大震災の悪環境の中で、それほど落ち込んでいないことが大きい。今後も1株利益が頑張っている間は相場の大きい崩れはないだろう。今後も企業業績の動向を注意深く見守る相場だろう。
復興関連株の第二幕相場が始まるには、まだ早すぎるようだ。しばらくは個別物色相場の展開だろう。