
値段のうえでは、去る、3月中旬の急落で最悪状況は、相当に織込んでいる。たとえば、日経平均が8227円の安値をつけた3月15日までの、わずか3営業日で21%もの下落率となっている。これによって、東日本大震災による景気、企業業績の悪化は、かなり織込んだという見方だ。事実、そうだと思う。
そして、現在のシナリオは、日本経済は下期には回復に転じるという期待である。このことから現在の相場は、急落に対するリバウンドと下期回復の両方を反映した相場展開となっている。もちろん、新営業年度入りということで、営業等にプレッシャーがかかっていることもある。
しかし、このまま、下期回復を好感する相場が長く続くとは思えない。「人は、目の前に悪いことを突きつけられると腰が引ける」からだ。先行き、景気、企業業績は回復するとしても、その前に「現実悪」を通過しなくてはいけない。
そんな中で、外国人投資家が日本株を買い越しているのはなぜか。彼らの基本的な投資スタンスは、「逆張り」であるからだ。外国人投資家の目には、今回の大震災は、太平洋戦争に負け、焦土と化した日本が驚異の復活を成し遂げた、という姿とダブらせている。今回も復活は間違いないと見てくれている。だから、8227円という大暴落は買うことができる。
しかし、だからといって、外国人投資家が上値をどんどん買い上がるかといえば、それはないだろう。これから、到来する現実悪によって、下げれば、また買うことは予想されるものの、上値を追ってまでは買わないだろう。
結果、これから、3月期決算の発表と共に、全体相場は閑散相場が予想される。相場で言われる、『陰の極』を通らないと次の本格的な上昇相場は無理なのである。いくら、先行きが良くなるといっても、目の前に悪い数字を突きつけられると全資産をつぎ込んで買う勇気のある人はいないだろう。既に、東証1部の出来高は3月中旬の1日40〜50億株という大商いが、4月には半分ペースまで落ちている。これからも商いが少ない状況が続く。そして、どこかの時点で無風状態の超薄商いとなる。その時が相場の転機である。それまでは、個別物色の相場が続くだろう。