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記事一覧 (11/05)「お笑い芸人さんの見分けがつくようになった」から連想して、タレント連想株診断=田北知見の銘柄ウォッチ
記事一覧 (11/01)「ジャパン・パッシング」を避ける「株価多様性」の保全には「厳冬関連株」に先取り余地
記事一覧 (10/29)1にも2にも『アメリカの動きを待つ』相場!=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/29)「不平等と貧困」をテーマにした2冊から連想=田北知見の銘柄ウォッチ
記事一覧 (10/25)「選択と集中」のビジネスモデルの賞味期限を「01銘柄」の業績動向で検証するのも一考余地
記事一覧 (10/22)話題の「戦場カメラマン」からの連想で、情報通信株=田北知見の銘柄ウォッチ
記事一覧 (10/22)『手探り相場の展開』へ!日経平均3ヶ月リズムは不変=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/20)前場の東証1部新高値銘柄数は「0」!後場も通せば今年2度目に=犬丸正寛
記事一覧 (10/18)FOMC待ちのアゲインスト相場では「柳腰銘柄」に羽田空港国際化関連株が再浮上も
記事一覧 (10/15)なぜ世界は「ドルは要らない」というのか?『ドル安最終章』へ=犬丸正寛
記事一覧 (10/15)イタリアンな気分で?百貨店とワイン銘柄=田北知見の銘柄ウォッチ
記事一覧 (10/12)「馬が水を飲む」か強弱感拮抗の逆日歩5銘柄で期間限定、投資家限定のトライアルも
記事一覧 (10/10)円高はいつまで続く?どこまで続く?=妻と夫の株ロマン
記事一覧 (10/08)9月中間決算の発表が始まり『業績仕分け相場』へ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/08)美容院を変えてみた。連想銘柄=田北知見の銘柄ウォッチ
記事一覧 (10/08)【投資のヒント】温室効果ガス削減宣言と株式市場
記事一覧 (10/07)【投資のヒント】株式市場低迷時の「個人ポートフォリオ術」
記事一覧 (10/04)「中国四千年の中華思想」への有力対抗馬はしたたかにレアメタル関連の国策銘柄
記事一覧 (10/01)来週は『下期のリスクを嗅ぎ取る』動きへ=犬丸正寛の相場展望
記事一覧 (10/01)アフタヌーンティから「茶」連想銘柄=田北知見の銘柄ウォッチ
2010年11月05日

「お笑い芸人さんの見分けがつくようになった」から連想して、タレント連想株診断=田北知見の銘柄ウォッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 最近、テレビを見る機会が少し増えて、クイズ番組や、経済系・社会系・旅行系の番組を見るようになった。また、たまにバラエティ番組を見るようになった。以前はほとんテレビを見なかったので、流行りのタレントさんや、旬のお笑い芸人さんをあまり知らなかったのだが、少し判るようになった。たとえば、3人組でよく司会をやっているのはネプチューン。ポッチャリした男性とほっそりした男性の2人組はブラックマヨネーズ。同じくポッチャリしていても、マッシュルームみたいなヘアスタイルの男性は2人組のバナナマンのうちの1人だと知った。

 でも、まだ見分けがつかない人たちがいる。10〜20代を中心とした男性・女性アイドルグループなどは、皆かわいいとは思うものの、誰が誰だか、よく判らない。また、若い女性タレントさんで、欧米系外国人とのいわゆるハーフやクォーターらしき方々は、皆きれいだなあと思うものの、見分けがつかず、名前もカタカナが並んでいて判別しづらい。ご本人には失礼だし、ファンの方々には申し訳ないが…。

 「タレント」連想株の銘柄診断をしてみた。

★ホリプロ〈9667〉(東1)

 大手芸能プロダクションのホリプロ<9667>(東1)を入れる。5日終値は2円安の634円。単位100株。PERは約12倍、PBRは約0.46倍と割安水準になっている。チャートは4月21日、同26日、同27日につけた年初来高値740円から反落し、以降は凸凹しながらも続落トレンドで来ていた。11月2日につけた年初来安値613円からは反発しており、リバウンド局面に入ったと見たい。まずは680円フシまでの戻りを目指す。10月29日には、今期2011年3月期連結業績予想の一部上方修正を発表し、前年実績比増収増益の予想値としている。

★エイベックス・グループ・ホールディングス〈7860〉(東1)

 音楽事業、映像事業、マネジメント/ライヴ事業などを行なっている、エイベックス・グループ・ホールディングス<7860>(東1)を入れる。5日終値は5円安の1187円。単位100株。PERは約9.4倍と割安水準、PBRは約1.6倍となっている。チャートはこの半年ほど、高値圏の1000〜1200円ラインで推移している。1100円ラインの押し目を待って拾い、上値1200円ラインまでの戻りを待つのも一手か。信用売り残が増えており、買い戻しも期待できそうだ。前日4日には今期2011年3月期連結業績予想の上方修正を発表し、前年実績比増収増益の予想値としている。収益率の高いパッケージ商品の販売が好調だったこと、販促宣伝費が減少したこと等によるもの。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 15:32 | 特集
2010年11月01日

「ジャパン・パッシング」を避ける「株価多様性」の保全には「厳冬関連株」に先取り余地

浅妻昭治のマーケット・センサー 名古屋で開催された「生物多様性会議」ではないが、いまや株式市場の絶滅危惧種となりそうなのが新高値銘柄である。前週末の東証1部では、新安値銘柄が400銘柄にも達したのと比例して、新高値銘柄はわずか2銘柄程度にとどまった。

 絶滅危惧種化を懸念されているのは、新高値銘柄ばかりではない。東京市場そのものが、その存立基盤を揺るがせている。いわゆる「ジャパン・パッシング(日本通過)」である。「右顧左眄」、「前門の虎、後門の狼」よろしく米国市場の雲行きに一喜し、中国本土市場の風向きに一憂している。外国人投資家次第、先物主導は相変わらずで独自材料はカゲも形もなく存在感はますます薄くなっている。日銀まで、次回の金融政策決定会合の開催を11月2−3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)直後に前倒しする始末だ。

 無理もない。為替相場は、15年前の円最高値目前まで円高となり、持ち合い解消売りの需給悪化が続き、肝心の永田町も、国会は空転気配で補正予算の成立さえ危うい。折角の今3月期第2四半期の好決算発表も、連想買いは横に広がらず、先取りも不発で個別物色、マバラな反応にとどまっている。

 そのうえに前週末には、政府税制調査会が、証券優遇税制の軽減税率を廃止する検討に入ったとも伝えられて追い討ちをかけた。これでは仮にFOMCの結果次第で、円高・ドル安のトレンドが逆転しても、株価は、「陰の極」からの買い上がりよりも戻り売り優先とならざるを得ない。

 東京市場の絶滅危惧種化に歯止めをかけるには、「生物多様性」ならぬ「株価多様性」が不可欠である。かつては「ローテーション相場」が、市場参加者の多様な投資スタイルを可能にし投資家の共存共栄、共棲を実現した。主力株人気に乗り遅れても、低位材料株には先乗りし、低位材料株で先行者利潤を謳歌すると、IPO(新規株式公開)株や新興市場株に乗り換えて回転を効かせ、もう一度、主力株に挑戦するといった具合だ。売りも一方通行、買いも一方通行では、投資家は市場の後追いを強制されるだけである。

 11月相場で「株価多様性」を先取りする候補株として注目されるのは、「厳冬」関連株である。歴史的な猛暑・残暑から一転して気温の冷え込みが続いているからだ。解説書によると、このカギを握っているのは気象現象の「北極振動」で、この動向次第では寒気が北極から南下し、2006年以来の厳冬となる可能性もあるということである。気象庁は、この北極振動の動向を11月末発表の3か月予報で公表する予定にあり、天候相場に拍車をかける展開も想定される。

 石油ファンヒーターのコロナ(5909)ダイニチ工業(5951)、LNG・LPGの関東天然瓦斯開発(1661)、岩谷産業(8088)シナネン(8132)、季節料理の鍋関連の雪国まいたけ(1378)ホクト(1379)ダイショー(2816)エバラ食品工業(2819)、即席ラーメンのユタカフーズ(2806)東洋水産(2875)日清食品ホールディングス(2897)、キッチン用品の中山福(7442)など顔触れもバラエティーに富んでいる。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 17:17 | 特集
2010年10月29日

1にも2にも『アメリカの動きを待つ』相場!=犬丸正寛の相場展望

1にも2にも『アメリカの動きを待つ』相場!=犬丸正寛の相場展望 来週(11月1〜5日)の相場は、1にも2にも『アメリカの動きを待つ』相場だろう。11月2〜3日にはFOMC(連邦公開市場委員会)、2日には中間選挙がある。

 どちらも、アメリカの景気と密接な関係がある。リーマンショックを乗り越えて、景気は回復に向かっている。しかし、オバマ民主党支持の若年層の失業率は依然、高いまま。住宅も底を這っている。中間選挙でのオバマ民主党の不利が伝えられている。

 仮に、負けるようだと、「大きい政府」の政策は難しくなる。しかし、代わりとなる、決め手の政策も見当たらない。ぶっそうな話だが、行き詰ると、紛争でも起こして特需を呼び起こす、ということも無しとはいえない。何が起きてもおかしくない状況にあることだけは頭の隅に入れておきたい。

 深刻に考えることはないとしても、今度のFOMCでの金融緩和策が打ち止めとなるのかどうかは注目される。思い切った大きい規模のものを出して打ち止め感となるのか。あるいは、後に少し残しておおくのか。打ち止め感ならドル安(円高)は転機となる可能性もある。いずれにしても、今ここで案じても、どうにもならない。待つしかない。

 一方、日本の決算発表は真っ最中。やはり、下期は厳しい。とくに、このまま円高が続けば企業業績の悪化は避けられない。とくに、シャープの減額は響いた。円高の影響に加え、期待の大型液晶パネルの価格下落が大きい。エネルギー関連の有力テーマ株だっただけに、今後、うっかりテーマ銘柄を買えないという投資家心理につながっている。

 結局は小型の好業績銘柄を物色する、「落穂拾い相場」にとどまる可能性がある。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:04 | 特集

「不平等と貧困」をテーマにした2冊から連想=田北知見の銘柄ウォッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 白波瀬佐和子 著『生き方の不平等』、門倉貴史 著『貧困ビジネス』を読んだ。前者は東京大学准教授の白波瀬氏の著書。生まれつき(家庭環境や性別)によって、あるいは就職時の好不況によって、あるいは高齢者になってから、本人の努力(の有無、多寡)や自己責任だけでない理由で不平等が生じている現状を、データ等によって浮き彫りにしている。そして、こうした不平等や格差を、社会的想像力などにより、「お互いさま」的な感性と制度で緩和する必要があるのではないだろうか、というような提言をしておられた。

 後者はエコノミストの門倉氏の著書で、データや取材などをもとに、ワーキングプア等の貧困者を搾取する貧困ビジネスについてレポート。その上で、「規制強化は貧困層を救うのか」を検討する内容や、「さらなる没落を招かない対策を」といった提言をしておられた。

 私も、昨今は経済環境の悪化などから、巷には自己責任論が強まっているように思う。確かに、努力をしない人が困窮するのは当然だ。また、若年層やニートなどの中の一部の人には、自分自身の努力不足を棚に上げて「社会が悪い、大人が悪い」「不況だから就職できない」と主張する向きも散見される。だが、本当に努力しているのに、上記のように社会的な理由のために困窮している人も、結構いるように思うのだ。

 上記から連想した銘柄。

★ベネッセホールディングス〈9783〉(東1)

 「不況なのに、いや不況だからこそ、教育関連の需要は増している」ということから、『進研ゼミ』などの事業を行なっている、ベネッセホールディングス<9783>(主市場 大1)を入れる。29日終値は85円高の3865円。単位100株。PERは約18.2倍、PBRは約2.2倍となっている。チャートは15日につけた年初来安値3625円からの反発局面。現在の3900円ラインはひとつのフシだが、中期チャートではまだ安値圏にあるように見える。3800円ラインの押し目を待って拾い、次のフシ4000円ラインを狙ってみる。

★ワタミ〈7522〉(東1)

 居酒屋『和民』事業などを展開するワタミ<7522>(東1)を入れる。リーズナブルな外食産業は不況を背景に堅調な需要があり、また、中長期で需要が見込まれる介護・農業の関連銘柄としても注目されている。29日終値は25円安の1470円。単位100株。PERは約20.8倍、PBRは約2.4倍となっている。本日は一時1468円まで売られ、前日28日につけた年初来安値1485円を更新した。底値圏の買い時と見る。信用倍率は約0.4倍の売り長になっており、今後、買い戻しが入ることも期待できそうだ。まずは次のフシであり13週移動平均線でもある、1600円ライン奪回を目指す。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:20 | 特集
2010年10月25日

「選択と集中」のビジネスモデルの賞味期限を「01銘柄」の業績動向で検証するのも一考余地

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー
 「栄枯盛衰」、「盛者必衰」は世の常だが、その歴史の厳しい現実を思い出させてくれたのが、先に発表されたドイツのフォルクスワーゲン(VW)の今年1〜9月期の好決算である。税引後利益が、前年同期の6.2倍にもなったという。好決算のどこに場違いな無常観を刺激されたのかといえば、その好決算の解説記事にある。

 解説記事によれば、VWの好決算は、ユーロ安を引き金にして輸出が急増していることを要因としており、ドイツ経済は、まるで1990年の東西ドイツ統一直後と同様のブーム状態にあるとの政府担当者のコメントを伝えていたからだ。1990年といえば、わが東京市場では日経平均株価が、前年12月29日に史上最高値3万8915円をつけた翌年で、まだ日本全体が資産バブルの余韻に酔いしれていたときである。

 当時は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は世界の常識で、「債権大国相場」、「国力相場」の勢いはとどまることを知らず、日経平均の「5万円説」などの見出しが、新春の証券情報誌、証券業界紙はいうに及ばず、一般紙の紙面にまで踊った。そしてその強気相場見通しの根拠の一つに、前年11月9日の「ベルリンの壁崩壊」をキッカケにした東西冷戦の終結、東欧革命を先取する「平和の配当」需要への期待感が盛り込まれていた。

 現在では、当時の世界を席巻した圧倒的な「ジャパンマネー」が、実は単なるバブルマネーでしか過ぎなかったことは明らかとなっており、この後遺症が「失われた10年」、「失われた20年」と連綿として続き、社会全般の閉塞感を強めている。この閉塞状況を打破するビジネスモデルは、「選択と集中」とされた。不採算的部門から撤退して、成長部門に経営資源を集中することが、業績と株価を押し上げた。以来20年、このビジネスモデルが、なお賞味期限をキープしているのか見直してみる必要がある。

 この関連で注目されるのが、「01銘柄」の出直りである。「01銘柄」とは、コード番号の末尾2ケタが「01」で構成されている業界の代表株である。前週末22日も、「01銘柄」の日立製作所(6501)は、今3月期第2四半期累計業績の上ぶれが観測報道され、東芝(6502)は、自ら2Q業績を上方修正したが、株価反応度も売買高も、日立が東芝に差をつけた。2Qの営業利益が、日立は2000億円超の黒字(前年同期は247億6000万円の赤字)と東芝の1040億円(同26億8800万円の黒字)のほぼ倍増となり、「選択と集中」の東芝より「総合力」の日立を評価したとマーケットコメントされた。

 前週末に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終わり、円高の潮目が変るのか、政府・日銀の円売り単独介入の再開があるのかにもよるが、日立と東芝をモデルケースに「01銘柄」に見直し買いが強まる展開も想定される。大成建設(1801)日本製粉(2001)横浜ゴム(5101)古河電気工業(5801)NEC(6701)東武鉄道(9001)日本郵船(9101)などが、株価存在感を高めることになるかもしれない。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 11:32 | 特集
2010年10月22日

話題の「戦場カメラマン」からの連想で、情報通信株=田北知見の銘柄ウォッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 最近、気になる男性がいる。といっても、男性として気になるというわけではないのだが(笑)。戦場カメラマンの渡部陽一氏だ。いま話題の人物の1人らしく、テレビにもしょっちゅう出ておられるそうで、私も御多分に洩れず、テレビで見て初めて知った。最初は、あの独特の話し方を見て「なんだろうこの人物は…?」と思ったのだが、戦場カメラマンと知り、「たぶん、いろいろ過酷な状況で仕事をしておられるわけだから、私たちのように平和な日本で普通に生活している人間とは、物の見方や考え方、行動様式が異なっているのだろうな」と納得したのだった。

 渡部氏は1972年、静岡県富士市生まれ。明治学院大学 在学中から途上国などへ行き、取材をしていたベテランだ。公式サイトを見ると、アフリカ、南米、東南アジア、東欧、中東などの戦争、内戦、紛争等、数多くの現場へ行っておられるようだ。

 私がたまたま見たテレビ番組は、渡部氏が母校へ行って「授業」をするという内容だった。授業後の質疑応答で、子供の1人が「どうしてカメラに黒いテープを貼ってるんですか?」と訊いた。すると渡部氏は、普段どおりのゆっくりした口調で「カメラが、太陽に反射して光ると、それが、相手からは、武器のように見えてしまいます。ぼくが、武器を構えていると誤解して、こちらをめがけて、銃で、撃ってくるから、それを防止するため、なんですね」と、撃たれる話を、普通のことのように答えていた。すごいと思った。

 「戦場カメラマン」から連想して、「情報・通信業」セクターで銘柄を探してみた。

★ITホールディングス〈3626〉(東1)

 クラウドをはじめとするアウトソーシング・ネットワーク事業、ソフトウェア開発事業などを行なっている、ITホールディングス<3626>(東1)を入れる。22日終値は20円高の904円。単位100株。PERは約14.4倍、PBRは約0.6倍と割安水準にある。チャートは4月26日につけた年初来高値1377円から反落し、以降は続落トレンドとなっていた。この2ヵ月ほどは、底値860円ラインを固める展開となっている。そろそろ上放れのタイミングと見たい。まずは次のフシであり26週移動平均線でもある1000円ライン奪回を目指す。

★インターネットイニシアティブ〈3774〉(東1)

 インターネット接続・アウトソーシング事業、システムインテグレーション事業などを行なっている、IIJ(インターネットイニシアティブ<3774>(東1))を入れる。22日終値は3100円高の17万6900円。単位1株。PERは約12.2倍と割安水準。PBRは約1.3倍となっている。チャートはこの1ヵ月〜半月ほど、23万円ラインから急続落していた。しかし10月20日につけた直近安値16万6200円から反発。前日と本日は2日続伸しており、リバウンドトレンドに入ったと見たい。まずは20万円フシまでの戻りを目指す。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 17:09 | 特集

『手探り相場の展開』へ!日経平均3ヶ月リズムは不変=犬丸正寛の相場展望

『手探り相場の展開』へ!日経平均3ヶ月リズムは不変=犬丸正寛の相場展望 来週(25〜29日)の相場は、大きい行事の集まる、『11月を見据えた手探りの相場』が予想される。(1)9月中間決算の発表、(2)アメリカの中間選挙、(3)オバマ大統領の日本訪問などの重要な動きが11月に控えている。その前、足元の10月22日(金)〜23日(土)には、韓国でG20の金融絡みの会議も行われている。

 とくに、来週には、主力どころの9月中間決算(第2四半期)の発表が始まる。これまでの、事前修正などで見ていると、「内需消費関連の不振」が目立つ。実際、このところ、東証1部では連日200社を超える年初来・新安値銘柄が出ており、その大半は内需関連銘柄である。

 その内需の不振をカバーしているのが中国を中心とした東南アジア輸出。しかし、最近、対日強硬姿勢が目立ち、しかも、金利引き上げに動いている中国の行方は気になる。決算発表の席上、こうしたことへの記者からの質問は予想される。決算数字以上に、経営者の世界情勢への発言が注目される。

 一方、「円高」には変化の兆しがみられる。20日にはガイトナー米財務長官が、「もうこれ以上のドル安は必要ない」との発言が伝わった。G20で為替に対する協調の動きが出れば、日本の頭を押さえてきた「円高」(ドル安)は峠を越す可能性がある。最近、アメリカは臨界前核実験を行った。中間選挙を控えているこの時期に。オバマ政権のなんらかのサインなのかもしれない。

 最近の日経平均は、2ヶ月半〜3ヶ月のサイクルで動いている。去る9月1日の年初来安値8796円から3ヶ月目とみれば12月あたりが戻りの目安となるだろう。中間決算が終わり、日米関係が強固なものとなり、円高も峠を越える。そうした中での、「日米関係の再出発相場」とでも位置づけることができるのではないか。ただし、中国との関係修復の課題は残したままとなる可能性はある。短期的にも中期的にも手探り状態の相場は続きそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:29 | 特集
2010年10月20日

前場の東証1部新高値銘柄数は「0」!後場も通せば今年2度目に=犬丸正寛

■ドル安(円高)の最終章となる可能性も?

前場の東証1部新高値銘柄数は「0」!後場も通せば今年2度目に=犬丸正寛 20日(水)、午前のマーケットでは東証1部の新高値銘柄数が「0」となった。後場も新高値数がゼロとなるかどうか注目される。仮に、1日を通して「0」となれば、去る8月25日(水)に続く、今年2度目。

 新高値銘柄数がゼロとなることは、マーケットの先行指標的な動きがある。8月25日の時は、4月の高値1万1408円から下げてきた日経平均が8807円で最初の安値をつけた時と一致する。その後、9月1日に8796円で二番底をつけ、今回の9700円台までの戻りにつながった。

 「新高値銘柄数がゼロとなることはマーケットに弱気というより、諦めに近い見送り気分的な雰囲気となる場合が多い。いわゆる、相場でいう<陰の極>という状態である」(中堅証券チャーチスト)。8月25日の時も水曜日、今回もこのままゼロなら同じように水曜日。これは単なる偶然としても、ただ、データ的には火、水曜日が転機となることは多い。まもなく、韓国でG20が始まる。ひょっとすると、ドル安(円高)の最終章となる可能性もあり相場反転の可能性も秘めている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:48 | 特集
2010年10月18日

FOMC待ちのアゲインスト相場では「柳腰銘柄」に羽田空港国際化関連株が再浮上も

浅妻昭治のマーケット・センサー テレビの国会中継で「官房長官文学」の講義を受けるとは意外であった。仙谷由人官房長官の「柳腰外交」答弁である。例の中国漁船の衝突事件に際した政府の対応を野党から「弱腰外交」と責められて、「柳腰」のように「したたかな強い腰の入れ方もある」と反駁した。途端に国の外交政策を美人の腰に例えるのは不謹慎だと、野党議員が詰め寄った。

 もともと霞が関では「月例文学」が著名である。政府が毎月発表する月例経済報告で、積極財政を主張する経済産業省と緊縮財政を死守しようとする財務省とで景気判断の強弱感が分かれ、間に入った内閣府が、強気・弱気の景気判断のどちらにも解釈できる玉虫色の表現をひねり出す政治決着をそう皮肉っている。そこに「官房長官文学」が加わったことになり、与野党の先生方の漢字力や文学センスを試すどのような文学論争に発展するのか興味は尽きない。

 とくにこの「腰」関連では、かつての細川護煕元首相の「腰だめ」発言が思い出されるからなおさらである。細川元首相が、未明の記者会見で突然「国民福祉税構想」を発表し、消費税を当時の3%から7%に引き上げると打ち出したときの発言である。7%の根拠を記者団から質問された元首相が、「腰だめ」と答えて、根拠は薄弱とされて構想は立ち消えとなって、その後いくばくもなく元首相は政権を投げ出した。

 円高や小沢一郎元幹事長を巡る「政治とカネ」問題、補正予算編成、対中外交、沖縄普天間基地移設問題など野党の攻勢が強まるなか、低姿勢を貫く菅首相に代わって、攻勢を単騎顔面受けする仙谷官房長官である。このまま「柳腰」、「二枚腰」、「粘り腰」を続けるのか、「逃げ腰」、「及び腰」、「腰折れ」などと変節するのか、今後の相場展開にも影響しそうだ。

 相場の方も、官房長官流の「柳腰」対応をするにはややアゲインストである。先行きは11月2、3日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)でFBR(米連邦準備理事会)が、どのような追加金融緩和策を発動するのか、これを先取り、反映して為替相場が、1995年4月の円最高値1ドル=79.75円を突破するのかの一点にかかっている。追加金融緩和策はすでに株価や為替に織り込み済みとなっているのか、日本が再び単独円売り介入に踏み切るのか、それとも新興国サイドから欧米各国の通貨安戦争についてブーイングの声が大きくなって潮目が変るのかなど予断を許さない。

 そうした環境下で「柳腰」銘柄をセレクトするのは至難の技である。消去法的にやはり材料株中心とならざるをえないが、その材料株に羽田空港国際化関連株が浮上する展開も想定される。10月21日に新滑走路の供用が開始され、これに先立って新国際線ターミナルの開業記念式典が前週末16日に行われたばかりである。頼みの中国旅行客の動向は、尖閣諸島問題で不透明化が懸念されるが、オリエンタルランド(4661)京浜急行電鉄(9006)全日本空輸(9202)スカイマーク(9204)日本空港ビルデング(9706)などの関連株は、もう一度トライしてみるタイミングに差し掛かってきそうだ。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 14:12 | 特集
2010年10月15日

なぜ世界は「ドルは要らない」というのか?『ドル安最終章』へ=犬丸正寛

■「11月転機」の可能性は極めて強い

なぜ世界は「ドルは要らない」というのか?『ドル安最終章』へ=犬丸正寛 来週(18〜22日)以降の相場は、『ドル安最終章』を睨む展開だろう。1ドル・80円台まで進んだ「ドル安・円高」。1995年4月19日の最高値79円75銭に急接近した。これから、最高値を更新する場面も予想されるものの、そろそろ「ドル安(円高)」は最終章に差し掛かっているのではなかろうか。

 なぜ、世界は「ドルは要らない」というのだろうか。3つくらいの理由が考えられる。

 (1)アメリカ金利の低下
 (2)アメリカ経済の悪化
 (3)オバマ政権の平和宣言による軍事の後退

 お金は、「金利が高いところに流れ、危険を察知すると逃げる」性質がある。これに照らすと、アメリカは金利を下げてきたから、世界の資金がドルから逃避が起きたことは想像がつく。しかし、アメリカは、今や「0」金利状態である。これまでは下がること自体が売り要因だった。しかし、もう下がる余地はなくなっている。「下がるという変化」は見込めなくなっている。一方、新興国は金利面のインカムゲインだけでなく、経済成長によるキャピタルゲインの有利性もある。しかし、いつまでも続くはずはない。タイでの暴動はつい最近のことだ。何が起きるか分からない。ましてや、今度の中国の強行外交姿勢によって、新たなリスクが浮上した。

 2つめのアメリカの景気悪化。雇用は最悪で、アメリカ経済の先行きへの心配はある。しかし、悪いということにも程度がある。最悪のデフォルト(国家行き詰まり)ということではない。最近のドル売りはデフォルトまで織り込んでいるような下げである。明らかに行過ぎである。財政状態はアメリカより日本の方がもっと悪いし、ヨーロッパの国の中には危機的なところもある。デフォルトまでで売り込んでいるごときドルの底入れ反転は近いとみておくべきだろう。

 3つめの通貨の変動構成要因には経済、金利などのほかに「軍事」がある。冷戦時代は、「強いアメリカ」の象徴として「強いドル」だった。オバマ大統領が就任以来、核のない世界を打ち出し、これがアメリカの政策となっている。これによって、ドルを支える軍事面の影が薄くなった。世界は為替を見る場合、軍事を離れて経済要因中心にみていればよくかった。しかし、これからも、果たしてそうだろうか。先般、オバマ大統領は就任後初めての「臨界前核実験」を断行したと伝えられる。これは、強いアメリカ復帰への、なんらかのメッセージと受け取る必要があるのではないか。中国の経済、軍事の勢力増大が目立つ。いつまでもアメリカが黙っているとは思えない。

 ましてや、核開発を進める北朝鮮。65周年軍事パレードでは金正日総書記の傍には中国幹部が姿を見せていた。金正恩氏を後継者として中国は認めていることでもある。新鋭のミサイルも登場した。アメリカへ力をみせつけた。静かに緊張は高まりつつある。通貨への要因に軍事が再び息を吹き返す気配だ。

 11月にはアメリカでは金融政策会議、中間選挙がある。そして、オバマ大統領の来日。今度ばかりは日本の総理は大統領を放ったままにするようなことはしないだろう。日米の関係強化を確認ということになれば円高(ドル安)は止まる可能性もありうる。「11月転機」の可能性は極めて強いと思われる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:50 | 特集

イタリアンな気分で?百貨店とワイン銘柄=田北知見の銘柄ウォッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 東京・日本橋のM百貨店のデパ地下に、イタリア食品の専門店がある。パスタやパン、ワイン、生ハムなど、たくさんの物が売られているが、これまでは素通りしていた。いつも他のお店の惣菜などを目当てに行くので。しかし先日、生ハムの大きなかたまりから、リクエストした分量だけスライスしてくれるというのを見かけ、買ってみた。

 スライス(だけではないのだろうが)の担当スタッフは、日本語ペラペラのイタリア人で、「ちょいモテオヤジ」モデル等として有名なパンツェッタ・ジローラモさんに、ちょい似て(?)いる40代くらいの男性だった。たったそれだけのことなのだが、なんだか「イタリアン」な気分になってしまった。(笑)

 以前、東京・銀座のフランス系(外資系というわけではなく、「フランス」をコンセプトとしているのだと思われる)ショッピングビルの地下食品店でも、フランス人男性のスタッフを見たことがある。その時も、「おフランス」な雰囲気を(?)かもし出す演出なのだろうかと思ったものだった。

 せっかくの生ハムなので、おいしいワインと組み合わせたくて、デパ地下内の別のお店でワインを買った。イスラエル産のワインを見つけたので、珍しくてそれを選んだ。ゴラン高原にあるワイナリーの物らしい。ゴラン高原でワインづくりとは、私のようなシロートには、ちょっと想像しづらいが…。味はきちんとおいしかった。

 上記のエピソードから、百貨店株とワイン関連株。11月18日にはボジョレー・ヌーヴォー解禁も控えていることだし。

★高島屋〈8233〉(東1)

 東京・日本橋や新宿、大阪などに14店舗を展開する、高島屋<8233>(東1)を入れる。15日終値は8円安の684円。単位1000株。PERは約20.6倍、PBRは約0.8倍となっている。チャートは8〜9月にかけて底値モミ合いで、650円ラインを固める展開だったいたが、その後、リバウンドトレンドとなっている。押し目拾いで、まずは12日につけた直近高値717円ライン上抜けを目指す。

★やまや〈9994〉(東1)

 イオングループで、酒類専門店を全国で約260店、展開する、やまや<9994>(東1)を入れる。酒類だけでなく、直輸入食品なども扱っている。15日終値は8円高の713円。単位100株。PERは約6.8倍、PBRは約0.4倍と割安になっている。チャートはこの半月ほど、750円ラインから反落していたが、前日14日、本日15日と、2日続伸してきた。まずは750円フシまでの戻りを目指す。業績は堅調に右肩上がりとなっており、大口株主にはイオンのほか信託口や都銀なども並んでいる。買い安心感も充分と見る。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:31 | 特集
2010年10月12日

「馬が水を飲む」か強弱感拮抗の逆日歩5銘柄で期間限定、投資家限定のトライアルも

浅妻昭治のマーケット・センサー
浅妻昭治のマーケット・センサー 「馬を水辺まで連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」という欧米流の諺がある。いかに水辺で回りから馬を煽り立てても、馬に水を飲む意思がなければ、馬は目の前の水に首を伸ばすことはないという意味である。

 日本銀行が、5年ぶり3回目の復活をさせたゼロ金利政策は、どうもこの「馬と水」に例えられそうだ。ゼロ金利政策は、敢えて円の価値(金利)を引き下げて、資金を潤沢に市場に供給し、円買いから円売りへの転換、デフレ・マインドからの脱却、設備投資の拡大、リスク資産への投資などを喚起することを政策目標としている。5年ぶり3回目の復活で「馬を水辺まで連れて行く」政策環境は整ったことになる。

 しかし、「3度目の正直」で「馬」(為替投機筋、消費者、企業、投資家)が目出度く「水」を飲んでくれるのか、それとも「2度ダメだったものは3度目もダメ」で「水」にはまったく見向きもしないのかは、じっくり「馬」に聞いてみるしか方法はないのである。

 もともとこのゼロ金利政策は、初導入された1999年当時から評判は芳しくなかった。それでなくても低水準だった預金金利がさらに引き下げられて、受け取る利息は「銀行に預金を下ろしに行くバス代にもならない」とマイナス効果にブーイングの声の方が大きかった。預金者が逸失した利息収入は結局、大手銀行の不良債権の処理に消え、ゼロ金利政策が「銀行救済策」と冷たく突き放される始末であった。

 それ以来、デフレ・マインドからの脱却は、道半ばというよりさらに後退している可能性の方が強い。なかなか浮揚感には遠い景気実感に高失業率、孤独死、無縁社会化などの暗いニュースが続く世相、いまだに消費税引き上げの旗を降ろしていない菅連立内閣の迷走など、自ずと身構えてサイフの紐を締めざるを得ず、生活防衛意識、節約志向は高まりこそすれ低下することは想定し難い。資産運用面でも「デフレはカネ、インフレはモノ」の投資セオリーが有効で、キャッシュ・ポジションを高める方向に動き、タンス預金が増えることになる。いくら日銀が、ゼロ金利政策を3回も繰り返しても、デフレ・マインドが払拭されない限り、「失われた20年」にまで延びた「失われた10年」が、さらに「失われた30年」に深刻化するとの懸念は尽きないことになる。

 その上に今回は、政策の最大の目玉の円高阻止効果が、大きく毀損されてしまった。各国が「近隣窮乏化政策」を続けるいわゆる「通貨安戦争」を仕掛けるなかで、米連邦準備理事会(FRB)が、11月2−3日開催のFOMC(公開市場委員会)で、日銀を上回る追加金融緩和策を発動するのではないかとする警戒感や、為替市場介入への先進各国の牽制などから、日本が、再度の単独介入を政治決断できないと見透かされて、為替レートは、逆に9月15日の政府・日銀の為替単独売り介入前の高値を上抜き、1ドル=81円台まで円高となった。10月中旬から始まる3月期決算会社の決算発表が、増益・減益、上方修正・下方修正のどちらに転ぶか、雲行きは怪しく予断を許さない。

 秋相場が本番を迎えるなかで、こうした弱気材料を並び立てるのは気が引ける。『易経』でいうところの「陰が極まれば陽に転ずる」を祈るや切である。しかし、国際会議の相次ぐ11月のFOMCまでは、厄介な相場展開が続くネガティブ・シナリオを覚悟しておく方が無難である。「水(株式)」を飲む(買う)「馬(投資家)」不足が懸念されるからだ。こうした買い手不足相場では、超目先的には需給主導銘柄が大きく強弱感を対立させ急動意となる展開もたびたび繰り返される。株不足で逆日歩がつく銘柄が、買い方の攻勢で、売り方に強制的に買い戻しを迫ることも想定されるのである。売り方が「馬」として登場して「水を飲む」ことになる。

 ツルハホールディングス(3391)いすゞ自動車(7202)ガリバーインターナショナル(7599)サンリオ(8136)吉野家ホールディングス(9861)の逆日歩5銘柄は、11月のFOMCまで期間限定、腕に覚えの投資家限定で売り残、買い残の動向から目を離せないことになる。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 11:01 | 特集
2010年10月10日

円高はいつまで続く?どこまで続く?=妻と夫の株ロマン


妻 1ドル・81円台へ急激な円高です。わたしたち庶民には、円高が、「どうしてなのか」、「いつまで続くのか」、「どこまで続くのか」、疑問ばかりです。先日、政府・日銀は為替介入したばかりなのに、効き目なしですか。

夫 現実に、円高が進んでいることで言えば、「効き目はなかった」と言わざるを得ない。9月15日に日銀が2兆円規模の円売り・ドル買いの介入を実施したことで、円相場は1ドル・83円台から85円台へ円安になった。しかし、効果はそこまでだった。仮に、介入がなかったら、もっと、早く円高が進んでいた可能性はあっただろう。結局、政府・日銀の介入は、多少のブレーキの役目はあったていどということだろう。

妻 分からないわ。2兆円もよ。庶民の感覚では、凄い数字です。

夫 われわれの生活感覚では2兆円はたしかに大きい金額だ。しかし、世界に出回っているドルに比べると微々たるものだ。世界には、想像できないほどの、多くのドルが流通している。そのドルを相手に、一国だけで、向かって行くこと自体が無理な話だ。為替変動は、「強調介入」がなくては止められない。仮に、今回、協調介入が行われている時の2兆円なら効果はあったと思う。

妻 たしかにね、ドルが基軸通貨ですから、ドルは世界にじゃぶじゃぶです。でも、どうして協調介入がないのですか。少なくとも、日米の間では、円高で困っている日本を助けてくれてもよいのではないですか。

夫 3つくらい理由があると思っている。(1)アメリカの景気対策、(2)対中国、「人民・元」への圧力、(3)日本の対米姿勢軽視への報復、などが考えられる。

妻 アメリカの景気は良くなったといわれています。実際、ニューヨークダウは前週末10月8日には1万1006ドルと1万1000ドル台に乗せています。リーマンショックでつけた09年3月の安値6469ドルから1年半で70%も上昇しています。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:13 | 特集
2010年10月08日

9月中間決算の発表が始まり『業績仕分け相場』へ=犬丸正寛の相場展望

9月中間決算の発表が始まり『業績仕分け相場』へ=犬丸正寛の相場展望 来週(12日〜15日)以降の相場は、年末・年始のテーマ買い相場へ入る前の、『業績仕分け相場』が予想される。9月中間決算の発表が始まり、下期に対する明暗が予想されるからだ。

 とくに、投資家の頭には、先ごろ、大幅減額を発表した任天堂(7974)の株価急落が強烈に焼きついている。「まさか、あそこまで大幅とは」、という驚きである。理由は世界景気のマダラ模様回復と円高。世界各国はリーマンショックの落ち込みを政府支出の増加で支え、ある程度の回復に成功した。しかし、各国とも失業率は高いままで、雇用増を伴わない回復であり、総じて消費は盛り上がらない。ましてや、消費の中でもゲームなどには庶民の気持ちは向かわない。

 結果、消費の中でも「必需品」関連は堅調に対し、「嗜好・便利・遊び」関連は厳しい、二極化が鮮明となっている。任天堂はそうした流れのひとつだろう。しかも、円高である。今の日本企業は多くのところが海外で展開している。為替の影響を受ける度合いは非常に強くなっている。これから先、円高終息の時期が不透明なだけに、企業は下期予想に対し慎重が予想される。とくに、海外比率の大きいところは厳しいだろう。

 一方の国内需要も弱い。少子高齢化の構造的な国力低下問題が横たわり、企業は簡単には雇用を増やそうとはしない。とくに、菅政権の企業に対する姿勢がもうひとつ明確でないからだ。「ほんとうに法人税の引き下げはあるのだろうか。仮に、引き下げられても、またすぐに引き上げられるのではないか」という不安感がある。結局、消費の力強い回復は期待しにくい状況だ。

 もちろん、政府の5兆円規模の補正予算に対する期待はある。菅政権の都市再生・災害対策、環境・エネルギー、医療・介護、観光・地域活性化、保育など成長戦略への期待はある。しかし、かつての公共投資のようにすぐに効果は期待できない。

 政策テーマを評価し買う相場は徐々に強くなってはくるだろうことは予想されるものの、その前に9月中間決算発表での「業績仕分け」が控えている。とくに、条件の厳しい今年はそこを乗り越えなくてはいけない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:48 | 特集

美容院を変えてみた。連想銘柄=田北知見の銘柄ウォッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 美容院を変えてみた。「そろそろ髪を切りに行こう。頭もプリンになってきた(カラーリングをしているのだが、髪が伸びて頭頂部の根元の黒い部分が目立ってきて、まるでプリンの上に黒いカラメルソースが載っているように見える)し」と思っていたところ、ちょうど美容院の割引の宣伝があったので、今までかよっていたところと違う美容院へ行ってみた。

 担当してくれたのは、20代後半の男性美容師さんだった。前にかよっていたところも、それくらいの年代の男性だった。話によると、美容師さんの世界では、それくらいの年代が「中堅」なのだそうだ。そういえば、昔かよっていたところでは30代の男性が担当してくれていたが、その人は「店長」「マネージャー」クラスのかただった。

 前に行っていたお店では、「次回の予約を入れると、施術料が20%オフ」だったが、今回初めて行ったお店では、そういったサービスはない代わりに、「次回、2ヵ月以内に来店していただくと、ヘッドスパかトリートメント(どちらも数千円相当)が無料」というサービスがつくそうだ。各店とも、お客の囲い込みにいろいろ工夫しておられるなあ、と思った。次回は、無料サービスをお目当てに(笑)、もう一度このお店へ行ってみようと思う。

 というわけで、美容室連想銘柄。

★ミルボン〈4919〉(東1)

 美容院向けのパーマ剤、染毛剤、ヘアケア製品などの専業トップメーカー、ミルボン<4919>(東1)を入れる。8日終値は7円安の2268円。単位100株。PERは約15.5倍、PBRは約1.6倍。チャートはこの4〜5ヵ月ほど、底値2000円ラインから反発し、凸凹しながらも上昇トレンドをえがいている。中期で見るとまだ上値余地はありそうだ。押し目を拾い、まずは9月27日につけた年初来高値2380円上抜けを目指す。4日付けのいちよし証券のレーティングでは、「B」(中立)、フェアバリュー2700円とされている。

★マンダム〈4917〉(東1)

 男性向け頭髪用化粧品などで有名なマンダム<4917>(東1)を入れる。8日終値は27円高の2208円。単位100株。PERは約16.7倍、PBRは約1.2倍となっている。チャートは1月12日につけた年初来高値から反落し、以降は続落トレンドで来ている。しかし、10月6日につけた年初来安値2167円で底を打ったと見る。まずは次のフシであり13週移動平均線でもある2300円ライン、さらに次のフシであり26週移動平均線でもある2400円ラインへ…と、戻り足で行きたい。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:22 | 特集

【投資のヒント】温室効果ガス削減宣言と株式市場

投資のヒント 昨年9月22日、デンマークのコペンハーゲンにおいて、国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)に出席した鳩山首相が、全ての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提のもと、日本の2020年の排出量目標を1990年度比25%削減と述べた。1997年に京都議定書が採択されたとき、二酸化炭素排出量世界一の米国や成長著しい中国は批准しなかった。昨年のコペンハーゲン合意の重要なポイントは以下の通り。

■コペンハーゲン合意(Copenhagen Accord)の主な骨子

 1.まず、この合意は「採択する」のではなく「留意する」という位置づけにあること。要するに、京都議定書以降の拘束力のある枠組み作りについて決定を先送りしたこと。

 2.長期目標として、世界の気温上昇を摂氏2度以内に抑えるべきという科学的見地を認識したこと。

 3.先進国は2020年の排出削減目標にコミット。目標は2010年1月31日までに提出する。賛同する締約国だけがリストに出ていること。京都議定書では、先進約40カ国について2008−12年の排出制限が規定されているが、米国はこれを批准していない。途上国の排出制限は拘束力を持たないということ。

 4.途上国が、初めて削減行動を国際的に示すことになったこと。途上国は排出量の増加を緩和する計画を実施。計画は2010年1月31日までに提出し、削減計画の取り組み状況は2年に一度、国連を通じて報告する。中国など途上国は、先進国全体で2020年までに1990年比で少なくとも40%の削減を要求。また、先進国の削減目標と、途上国の削減行動の結果は、COP(Conference of the Parties)によって確立されるガイドラインによって算定、報告、検証がなされるというもの。

 5.新規で追加的な資金を途上国へ提供する、というものだ。

 今回、米国が重い腰をあげ、中国及びインドもこのコペンハーゲン合意で排出削減行動の誓約を行ったことは画期的な事である。その内容は、米国は2005年度比0.6%削減、2020年度17%程度削減。中国は、GDPあたり二酸化炭素排出量を2005年度比で40−50%削減、非化石エネルギーの割合を15%増加、森林面積を4000万ha増加。インドは、GDPあたり二酸化炭素排出量を2005年度比で20−25%削減、ただし自発的というものである。

 今後の日本の対応であるが、当初、京都議定書における目標数値は2008年―2012年までで1990年度比6%減の11億8600万トンだった。その後のマラケシュ合意によって森林が吸収する二酸化炭素量を差し引くため、目標排出量は12億3367万トンとなる。2007年度は13億7400万トン、2008年度は景気悪化による製鉄業及び電力業等の操業低減により12億8600万トンとなった。2020年度における目標排出量の25%減少は9億2500万余トンとなる。

 ポイントは「絶対的な制約」がキーになるものと考える。要するに「キャップ」を付けることである。世界全体でみると、キャップを設定することにより、その設定したキャップまでの温暖化ガス削減社会経済への制約となるキャップ設定、日本をはじめとする各国が自己責任として設定し実行できるか、ここがポイントとなる。

 さて、これが実現すると仮定した場合、例えば株式市場の指標となる銘柄は大きく変わるだろう。構造転換が遅れれば、製鉄業は国内には存在できないかもしれない。まず、化石燃料を使用する石油部門、電力部門、化学部門よりも、非化石燃料への変換をサポートする業種が恩恵を受ける。日本が国力であるGDPを増加させる戦略的な見地からは、GDP比で規模の小さい食品や繊維ではなく、自動車、船舶、航空機、電機、電気、IT部門等の分野に資金配分されるものと考える。

 具体的には非化石燃料及び省エネルギーの見地からハイブリッド、水素、電気を用いた自動車等の輸送用原動力機器及びバッテリー、モーター等の周辺産業、地球の70%を占める海に不可欠な船舶並びに航空機の原動力部分の進化とともに、家庭から発生する温暖化ガス削減の見地からの家電も世界規模での大きなニーズが見込める。今後の株式市場にとって楽しみな兆候といえる。

 店頭からレコードが消えCDになった、フィルムがデジタルに替わり姿を消し、PCからフロッピーディスクが消えた、ガラス瓶が紙に替わった、ただと思っていた水がガソリンより高価になった、安全という概念が事業になった、公衆電話が少なくなり携帯電話所持が必須となった、とドラスチックな構造転換が産業構造を活性化し、変化させていく。今までの既成概念がいとも簡単に崩れ、新たな価値観が生まれる社会への変化。バイアンドホールド、トレンドの長さを買う、投資の基本となるこの言葉が復活する日は近い。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:19 | 特集
2010年10月07日

【投資のヒント】株式市場低迷時の「個人ポートフォリオ術」

投資のヒント 株式市場が低迷している中、変動率の比較的高い銘柄を自己のポートフォリオに組み込むことは選択肢の一つと思う。

 2009年7月15日、原油価格に連動する日本国内では初めてのETF(Exchange Traded Fund、指数連動型上場投資信託)「WTI原油価格連動型上場投信(WTI原油ETF)(証券番号:1671)」が同年8月3日大証に上場した。

 「WTI原油ETF(1671)」は、WTI原油先物の直近限月の清算値(1バレルあたり)を円換算した価格に連動する。その源となるWTI(原油先物)とは、アメリカ南部などで産出される原油、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate)WTIの先物価格のことである。

 WTIの産出量・現物の取引量はさほど大きいわけではないが、先物取引量は非常に大きく、世界の原油市場、さらには商品市場に与える影響の大きさでも知られている。かつての中東紛争時の変動率の高さは、他の投資資産との高い反相関関係により、無視できない存在となっている。

 同投資信託の売買単位は1口。直近の10月5日時点ではWTIの該当価格は80ドル台に入ってきているが、円高が進んでいることもあり、過激な値動きとまではいかないものの、じりじり上昇してきており、1口あたり5120円となる。

 大証や東証ではすでに各国の通貨や有力企業、特定産業の株価に連動したETFを開発・上場しているが、この原油価格に連動するETFが上場したことで、SPDRゴールド・シェア(1326)(東証)金連動ETF(金価格連動型上場投資信託)(1328)(大証)と合わせ、金(ゴールド)と原油の商品価格連動ETFが上場となり、当然流動性が確保されるため、現物株式などと同様にコントロールが可能となり、自分のポートフォリオ上に「現物株式」と「資源商品の金と原油」とを同時に取り扱えるようになった。

 流動性のあるETFの登場により、個人投資家の現物資産のヘッジとして、投資に厚みが出るようになったことは嬉しい限りである。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:05 | 特集
2010年10月04日

「中国四千年の中華思想」への有力対抗馬はしたたかにレアメタル関連の国策銘柄

浅妻昭治のマーケット・センサー 「衣の下に鎧」が垣間見えると、やっぱりドキッとする。例の尖閣諸島沖の日本の巡視船と中国漁船との衝突事件に対する中国の強硬姿勢である。逮捕した漁船の船長を超法規的に釈放しても、嵩にかかって高飛車に日本側に謝罪と賠償を求め、別件逮捕してなお人質に残した日本の建設会社の社員一人を解放するのかどうかしたたかだ。急にナショナリズムに目覚めたわけではないが、軍事大国の膨張主義かと身構えさせられた。

 とにかく「中国四千年の中華思想」である。聖徳太子よろしく「日出ずるところ」の日本が、「日没するところ」の中国に、衝突事件は国内問題といくら主張しても、中国サイドでは、いまだに朝貢外交の君主国と冊封国の意識が消えてないのではないか?レアメタル(稀少金属)は禁輸するわ、通関業務は厳格化するわと「化外の民」の教化にあの手、この手を繰り出してきた。

 ただ中国のレアメタルの対外貿易抑制政策は、いまに始まったことではないようだ。この辺の事情は、中村繁夫著の『レアメタル超入門』(幻冬舎新書)が詳しい。それによると中国は、資源小国で原油や穀物などでは輸入大国となっており、唯一、埋蔵量に恵まれたレアメタルで資源ナショナリズムを強め、さらにその支配力を最大化するためにアフリカや中南米の発展途上国にスリ寄って鉱山開発に着手しているという。日本が、小麦やマグロ、鉄鋼原料などで、すでに中国に「買い負け」したことは記憶に新しいが、レアメタルでも同様の事態が懸念される。

 政府・民主党では、この緊急事態に対応してレアアースを含む鉱物資源について海外調達先を拡大する官民合同の資源外交に力を入れ、補正予算にも盛り込むと報道されている。「買い負け」しないように、またレアメタル調達に膝を屈した交渉を余儀なくされる前に、間に合うことを祈るや切である。前書では深海底鉱物資源の開発、「都市鉱山」開発のリサイクル推進、国立公園内に位置するのが難点の黒鉱鉱床の採掘など可能性のある対策の記述がある。株式市場のテーマとしても息長く取り沙汰されそうだ。

 ということで、日銀の金融政策決定会合の動向などを巡って相場全般が手詰まりになったら、改めて材料株としてしたたかにレアメタル関連の国策銘柄である。双日(2768)アルコニックス(3036)フルヤ金属(7826)豊田通商(8015)の専門商社株に始まって、アンチモンの日本精鉱(5729)、タングステンの東邦金属(5781)日本タングステン(6998)黒鉱のDOWAホールディングス(5714)、リサイクル関連の三菱マテリアル(5711)アサヒホールディングス(5857)松田産業(7456)、深海底開発の日本海洋掘削(1606)鉱研工業(6297)三井造船(7003)などを事前にチェックしておくことも有効になりそうだ。

浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
 1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 14:47 | 特集
2010年10月01日

来週は『下期のリスクを嗅ぎ取る』動きへ=犬丸正寛の相場展望

来週は『下期のリスクを嗅ぎ取る』動きへ=犬丸正寛の相場展望 来週(4〜8日)の相場は、『下期のリスクを嗅ぎ取る』動きだろう。下期のリスクとは、(1)円高はどこまで続くか、(2)エコカー補助金終了による影響はどのていどか、(3)電子部品等にみられる在庫増はどうなるか、(4)ネジレ国会で、政策は有効な景気対策が打てるか、(5)任天堂ショックにみられるように、企業の減額修正が相次ぐことの心配はないか、(6)5〜6月信用買いの期日到来の需給圧迫はどうか、(7)対中国との交際見直しの必要はないか、(8)快調なNYダウの急反落懸念はないか、など心配で気になる材料は多い。

 こうした中で、やはり気になるのは円高による企業業績の下方修正への心配だろう。直近では任天堂(7974)が円高の理由で9月中間期の純益を当初の黒字700億円から一転、20億円の赤字へ大幅下放修正した。3月通期でも黒字はキープするものの当初予想は大きく下放修正した。「任天堂が減額なら、われわれもということで減額へ進む企業は増える心配がある。また、電子分野のところで在庫が積み上がっている懸念もある」(中堅証券)。

 第1四半期(4〜6月)の好調で増額が期待されていた、今年半ば頃に比べると、企業業績の先行きに対しは雰囲気がかなり変わっている。

 もっとも、相場全体としては、下期の企業業績下ブレ懸念はかなり織り込んでいるとの見方もある。その雰囲気があることは否定しない。しかし、減額発表の任天堂が急落し新安値。エコカー補助金終了のトヨタ自動車株が3000円を割り軟調。大手証券株の安値更新など、個々に見ていくと気になる動きは目につく。

 とくに、円高(ドル安)は、少なくとも、アメリカの中間選挙が終わるまでは続くとみなくてはいけないだろう。そのかわり、中間選挙が終われば、一転、ドル高・円安の可能性も含んではいるのだが。しばらくは、円高が頭を押さえることは避けられない。そして、まもなく、9月中間決算の発表が始まる。新規買いは決算発表が終わるまでは慎重に臨むのが無難だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:49 | 特集

アフタヌーンティから「茶」連想銘柄=田北知見の銘柄ウォッチ

田北知見の銘柄ウオッチ 先日、久しぶりに「アフタヌーンティ」をとる(という言い方でいいのだろうか?)機会があった。お皿が3段、重ねられて、それぞれに、スコーン、一口大の小さなサンドウィッチ、小さめのケーキがいくつかずつ乗っており、それらをポット1杯の紅茶を飲みながら、じっくりいただくものだ。東京・日本橋のデパ地下に、英国老舗ブランドの紅茶や食品を扱うお店があり、ティールームを併設していて、そこで飲食したのだった。

 スコーンもサンドウィッチもケーキも、ひとつひとつは小さいし、とてもおいしいのだが、全部食べるとなると、けっこうなボリュームになる。それでも以前は平らげていたのに、最近は全部食べきれず、少しだけ残すようになった。自分では「健啖家」(というか、ただの大食いか?)だと思っていたのだが、やはり加齢には勝てないのだろうか。

 アフタヌーンティから連想して、「茶」をキーワードに銘柄を探してみた。

★永谷園〈2899〉(東1)

 お茶漬けの素『お茶づけ海苔』からの連想で、永谷園<2899>(東1)を入れる。お茶漬けの素のほか、味噌汁の素『あさげ』、ちらし寿司の素『すし太郎』や、『松茸の味お吸い物』、『おとなのふりかけ』なども有名で、私は同社の商品では『麻婆春雨』が好きだ。また、今回、ホームページを見てみたところ、『永谷園 生姜部』というのもあるそうで、なかなかおもしろい。

 10月1日終値は14円安の857円。単位1000株。PERは約20.5倍、PBRは約1.4倍となっている。チャートは5月10日につけた年初来安値831円から反発し、以降は下値抵抗線を切り上げてきている。信用売り残が増えており、買い戻しにも期待ができそうだ。880円フシ上抜けを目指す。

★高速〈7504〉(東1)

 食品容器、フィルム、紙製品、包装機械・設備など、食品軽包装資材の専門商社、高速<7504>(東1)を入れる。茶包装関連資材も扱っているということから連想した。10月1日終値は5円安の735円。単位100株。PERは約9.1倍と割安。PBRは約1.1倍。チャートは2月9日につけた年初来安値601円を底に、上昇トレンドとなっている。現在は中期的に見ても高値圏なので、押し目を待って拾うのが無難そうだ。

 ただ、PERは割安水準ではあるし、業績は好調。今期2011年3月期は前年比増収増益予想であり、『会社四季報』には次期2012年3月期も増収増益との予想値が出ている。6月四半期末で利益剰余金109億0500万円、有利子負債11億8900万円と財務面も堅い。大口株主には自社従業員持株会、都銀、地銀、生保、信託口などが並んでおり、買い安心感は充分にありそうだ。

田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 16:10 | 特集