【阪神・淡路大震災の株価の動きとの比較】■追い証発生に伴う売りが本格化する可能性
三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震を受けて、株式市場では阪神・淡路大震災後の株価の動きとの比較が話題になっている。経済や株式市場に与える影響などの面で、二つの地震を簡単に比較してみたい。
まず、地震発生時の状況を比較してみよう。
阪神・淡路大震災の発生は95年1月17日早朝(夜明け前)だった。3連休明けであり、株式市場での取引が始まる数時間前のことだった。また地震発生直後のメディアの第一報では、大きな被害は出ていない模様という内容だったこともあり、今思い出してみれば、株式市場での取引開始時には、不安材料としてそれほど警戒されなかった印象が強い。
しかし時間の経過とともに、阪神高速道路の倒壊現場がメディアで映し出されるなどして、被害の甚大さが認識され始めた。このため株式市場でも、時間の経過とともに警戒感が強まり、日を追うごとに売りが膨らんだ。日経平均株価は1月17日から23日まで5日続落し、終値ベースでの5日間合計の下落率は約8%だった。
これに対して今回の東北地方太平洋沖地震の場合は、地震の発生が週末11日の午後だった。株式市場での取引終了直前であり、地震発生直後に日経平均株価は急落した。そして、週明け13日の株式市場の取引開始まで2日間という時間があったため、落ち着きを取り戻す時間として期待されたが、阪神・淡路大震災を遥かに上回る甚大な被害が発生していることが認識された。したがって13日の株式市場では、寄り付きからリスク回避の売りが殺到した可能性があるだろう。13日の日経平均株価は6%強下落した。
こうした状況の違いを考慮すると、今回のリスク回避の売りは13日がピークとなっている可能性もあるだろう。ただし、個人投資家の追い証発生に伴う売りについては、これから本格化する可能性も考えられる。
■最大の焦点は電力供給能力に対する不安 次に、電力供給能力に対する不安という点で比較してみよう。
阪神・淡路大震災では、兵庫県の神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市などを中心に、ビルや家屋が大量に倒壊するなど甚大な被害を受けた。電気やガスなどのライフラインの復旧にも時間を要した。しかし、関西電力の発電設備の被害は小さく、ライフライン復旧後の電力供給能力そのものには、大きな不安がなかった。
これに対して今回の東北地方太平洋沖地震では、東京電力と東北電力の発電設備が、大きな被害を受けた模様である。特に東京電力の場合は、福島原子力発電所が甚大な被害を受けたため、安全性の確保に向けて必死の努力を続けている。したがって当面は、福島原子力発電所の安全性確保問題が落ち着くかどうかが注目点だろう。
しかし、福島原子力発電所の安全性が確保されたとしても、その後の東京電力の発電能力の大幅な減少は避けられない。休止火力設備の再稼働などの対策を進めても、通常の需要水準をカバーできるだけの供給能力に達することは難しいだろう。さらに、地震発生前の発電能力に回復するには、数年の時間を要する可能性も考えられるだけに、今後の日本経済に与える影響は計り知れない。電力供給不足の状況が続けば、人々の日常生活や、通常の経済活動はもちろん、被災地の復旧工事などに影響が出る可能性もあるだろう。
こうした点で見れば、株式市場への影響は、阪神・淡路大震災後に比べて長期化する可能性も考えられるだけに、特に電力供給能力の確保に向けて、政府や東京電力の対応が注目される。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:18
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