
「聞く耳」は、株式投資でもパフォーマンスを大きく左右する。相場格言でも「株価は株価に聞け」と教えている。しかし昨今の株式市場は、いくら「聞く耳」を傾けても聞こえてくるのはノイズばかりで、なかなか本音が聞こえてこないもどかしさが強い。
欧州市場のソブリン・リスク、米国経済の景況感、中国の金融政策、さらには朝鮮半島の地政学リスクなどに右顧左眄、振り回され、日本発信の独自材料は皆無である。この結果、日替わりメニューで強気、弱気が交錯するのはまだましで、前場は前日の米国株の反発を受けて上昇したのが、後場は中国市場の動向次第で急落するなどという半場メニューで売り・買いが目まぐるしくクロスすることも日常茶飯事となっている。
株式需給的には、外国人投資家のフトコロ具合が不透明なことが余計に疑心暗鬼を強める変動要因となっている。5月の投資主体別売買動向では、外国人投資家は昨年9月以来、8カ月ぶりに6010億円の売り越しに変ったが、これが利益確定売りか損切りか、リスク回避か売り崩しか皆目、見当がつかない。買い向かったのが個人投資家で、8730億円の買い越しとなったが、この逆張り資金が、マネー・マーケットの奔流に呑み込まれずに無事生還できるのか保証の限りではない。
相場対処方法としてはあくまで安全第一で、少なくとも海外材料に振り回されずに自律的に動ける銘柄以外は手出し無用の相場展開となりそうだ。となれば、取り敢えずはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)関連株となる。ディー・エヌ・エー(2432)は、きょう7日にNTTドコモ(9437)との合弁会社で新しい有料コンテンツサイトをオープン、目玉コンテンツとして中田英寿のサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会のリポートを連載するという。またグリー(3632・東マ)は、明8日には東証1部に指定替えとなる。今年2月に前期業績を下方修正して以来、元気のないミクシィ(2121・東マ)を含めてSNS三羽烏に出番が続くことになりそうだ。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。