東京・日本橋の高島屋8階ホールで1月17日まで開催中の『河井寛次郎 生命の歓喜』展を見に行った。河井氏は1890(明治23)年 島根県安来市生まれ、東京高等工業学校(現 東京工業大学)窯業科卒業。京都の窯で作陶を行なっていた陶芸家であり、手仕事の日用品に「用の美」を見出す民藝運動の推進者の1人でもあった。人間国宝に推挙されたが断り、文化勲章も辞退するなど、生涯、無位無官を貫いた人物だ。1966(昭和41)年 没。展覧会では、河井氏の作品のほか、ゆかりの品々など180点以上が展示されている。1月19〜31日には大阪高島屋7階グランドホールでも開催される。作品はどれも素晴らしかったが、私の印象に残ったのは、展示物とともに紹介されている、河井氏の人となりが伝わってくるようなエピソードだ。たとえば、親交の深かった作家・井上靖が随筆に書いた話。ある日、井上氏が河井氏の家を訪問した折に、部屋に置かれていた河井氏の陶芸品を気に入って所望した。河井氏もその作品を気に入っていたようで、少し逡巡した後、陶芸品に向かって「井上さんのところへ、行くか」と語りかけたという。その後、井上氏が帰ろうとして車に乗り込んだところ、その陶芸品が包まれて、車の座席に置かれていたそうだ。
また、河井氏は生涯、無位無官を貫いたが、伊ミラノと仏パリの賞は受賞した。これは親交の深かった高島屋の川勝堅一氏が取り計らって出品したものだったそうで、そのためか、河井氏は「私ではなく作品が受賞したのだから」と言って受けたという。河井氏のそうした人柄を踏まえて作品を見ると、感動もひとしお深くなったのだった。
★ノリタケカンパニーリミテド〈5331〉(東1)
陶芸からの連想で、陶磁器やセラミック原料などのノリタケカンパニーリミテド<5331>(東1)を入れる。12月30日終値は1円高の290円。単位1000株。PERは約30.5倍、PBRは約0.7倍となっている。チャートは10月29日につけた直近安値244円から反発し、以降は調整をはさみながらも上昇トレンドとなっている。280円ラインの押し目を拾い、300円フシを狙ってみる。今期2011年3月期連結業績予想は前年比増収、営業・経常・純損益は前年の損失計上から黒字転換の見込みであり、期中に上方修正も行なった。『会社四季報』には、次期2012年3月期も増収増益との予想値が出ている。
★京セラ〈6971〉(東1)
河井氏が京都の窯で作陶していたこと、生前の住まい兼仕事場を公開している『河井寛次郎記念館』が京都市内にあること等から連想して、京都市に本社のある京セラ<6971>(東1)を入れる。12月30日終値は110円安の8290円。単位100株。PERは約13.4倍、PBRは約1.1倍となっている。チャートは7月6日につけた年初来安値6910円を底に、リバウンドトレンドを形成している。まずは12月10日につけた直近高値8870円上抜けを目指す。
田北知見(たきた・ともみ)
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。
エネルギー業界専門紙の記者を経て、現在、株式ジャーナリスト、日本インタビュ新聞社記者。雑誌や証券専門紙への寄稿、ムック「インド株成功の極意」などに執筆。著書に実業之日本社から「分足チャートで儲ける 超デイトレ入門」、かんき出版からは「サラリーマン投資家のための株 黄金分割比投資法」などがある。また企業のIR支援活動にも携わっている。
























飛んだ一日遅れのクリスマスプレゼントだった。12月25日に発表された中国の追加利上げである。年末ギリギリまたまた波乱材料の突出であり、来年2011年相場の激動を予兆させる。こうなると、新年早々にどんなお年玉が待ち受けているのか心配になる。










