■引き続き出遅れ修正期待が高い

来週(11月29日〜12月3日)の日本の株式市場では、引き続き出遅れ修正への期待が高いだろう。依然として短期的な過熱感が残っているため、スピード調整が必要との指摘も多いようだが、地合いが改善して下値不安は後退している。日経平均株価が終値ベースで1万円の大台を維持していることで、投資マインドが改善し、リスク許容度が増しているだろう。外国為替市場でドル安・円高のトレンドが一服感を強めていることや、需給面で信用買い残高の整理が進んでいることも支援材料だろう。
ただし一方では、国内景気の減速懸念が強く、米国の景気指標や株式市場の動向、外国為替市場の動向、欧州の財政不安問題の広がり、朝鮮半島情勢の緊迫の動向、中国の金融引き締め懸念や株式市場の動向などに対する警戒感も、引き続き意識されるだろう。
上値の重さや出来高の減少などから、ヘッジファンドなどが日本株を買い戻す動きは、ほぼ一巡したとの指摘も出始めている。さらに週末の12月3日には、注目度の高い11月米雇用統計の発表を控えているため、常識的に考えれば、来週の日本の株式市場は様子見ムードが強くなる可能性が高い。また、米国で報じられた大規模なインサイダー取引疑惑の問題も、波乱要因として注意が必要だろう。
来週のスケジュールとしては、12月3日発表予定の11月米雇用統計の他に、国内では30日発表予定の10月鉱工業生産速報など、海外では30日発表予定の米11月消費者信頼感指数、9月ケース・シラー米住宅価格指数、そして12月1日発表予定の米ISM製造業景気指数などが注目されるだろう。また前週末26日には、米ブラック・フライデーでクリスマス商戦が本格スタートしている。序盤戦の好不調が米国の景気動向を探る上でもカギとなるだろう。
日本の株式市場は地合いが改善しているため、大きく崩れる可能性は小さいと考えられるが、単なる出遅れ修正だけでは上値を追うことも難しい。したがって好材料が必要となる。米国の景気回復期待が高まり、外国為替市場で一段とドル高・円安方向に進めば、日本の株式市場にとって追い風となり、日経平均株価は1万500円台も視野に入るだろう。それだけに、米クリスマス商戦の序盤戦の動向次第では、週末の11月米雇用統計を待たずして、大きく動く可能性も考えられる。