
消費税引き上げの必要性については、国民は十分承知している。増加する福祉、医療、子供手当てなどに資金が必要なことは分かっている。しかし、国民感情はしっくりしないのも事実。
鳩山政権から菅政権へ変わっても、「民主党」であることには変わりはない。昨年9月の選挙で民主党は何を言って、政権を取ったかを国民はよく覚えている。「ムダを洗い出し排除すれば資金捻出はたやすい」と言ってきた。
しかし、これまでに、目に見える形で、どのようなムダを排除してきたか。事業仕分けで、派手な演出が踊ったものの、具体的には何も形になっていない。国会議員の定員削減、公務員制度改革などは何も進んでいない。それでいて、消費税を引き上げるという。消費税が先行する印象は否めない。国民としては、ここでも、約束をはぐらかされた気持ちが強い。
自民党が消費税引き上げを言っているから我々も、ということで、果たして国民が納得するかどうか。7月11日の参議院選挙投票に向けて国民の消費税への関心はいっそう高まる。過去、消費税引き上げでは、どの内閣も苦労している。今度も楽しい話にはなるまい。
■どこまで拡大するか?中国でのスト
ホンダに続いて、豊田合成も中国の工場でストが起きたと伝えられる。中国政府が「労働者の所得倍増政策」を打ち出しているから、中国の労働者は、すっかり、その気になってきたようだ。しかも、日本の企業が中国で、しっかりと、製造の根を下ろしたところを見計らったように、ストと賃上げである。日本から、頂戴する技術は頂戴したということか。今さら、日本は引くに引けない。中国は実に巧みである。
今後、どこまで、中国でのストが拡大するか。中国政府は、何年で、労働者の賃金を2倍とする計画かは分からないものの、そこは巧みな中国政府のこと。硬軟政策を取り混ぜながら仕掛けてくるはず。日本政府からは、対応策は、まだ何も聞こえて来ない。元、伊藤忠会長の丹羽宇一郎氏が中国大使に決まった。今後のカジ取りに期待したい。
日経平均は1万円台を回復し、目下、大台を固めている。もう少し上値、即ち、1万500円程度は見込めそうだ。しかし、そこから上は、2つの行方を考えれば難しそうだ。とくに、まだ、今の時点では中国の影響が企業業績に大きく影響することはないものの、先行きには楽観はできない。中国関連からベトナム、ブラジル、カナダ関連などに目を向けておくことも大切だろう。基本は好業績銘柄の逆張り投資がよい。