【製造業に続き消費・サービス関連株が本格成長を享受】■ストップ高銘柄が続出、アジアの「外国人買い」活発化も
株式市場は12月に入り、中国関連銘柄の急動意や高値更新がとりわけ目立つ展開となっている。乳飲料の伸びが急拡大している
ヤクルト本社<2267>(東1)は12月1日から連日、年初来の高値を更新。また
資生堂<4911>(東1)は「80后」(バーリンフォー)世代の増加とともに需要が拡大し12月1日から連日、戻り高値を更新。中国最大級の金融事業集団CITIC(通称シティック)グループの資本参加を発表した
極楽湯<2340>(JQ)は1日から2日連続ストップ高……。
12月相場は、正月の餅(もち)代を稼ぐ目的で値動きの良さそうな銘柄に次々と手を出す「モチつき相場」と呼ばれるが、中国をはじめとするアジア地域の経済成長は世界を牽引して拡大しており、関連銘柄の事業領域は広大だ。関連銘柄は、自動車などの製造業銘柄や海運株に続いて消費関連、サービス関連へと広がりつつあり、単なるモチつき感覚とは異なる視点でとらえる必要がある。
■極楽湯は中国大手と「温浴事業」提携で2日連続S高 極楽湯<2340>(JQ)が1日から2日連続ストップ高となった主要因は、11月30日にCITICグループと合弁で中国を中心とする東アジア地域で温浴事業を展開すると発表したことが発端だ。
発表によると、極楽湯では数年前から中国を中心とする東アジア地域での「温浴文化」の展開について調査検討を重ねており、上位株主
マーチャント・バンカーズ<3121>(大2)にCITICグループが出資している関係で、中国における温浴事業の展開を3社共同で進めていくことについて基本合意した。
提携事業を進めるにあたり、マーチャント・バンカーズは極楽湯の株式約48万株(発行済み株式総数の4.17%)をCITICグループに譲渡し資本関係を構築。3社で香港に合弁会社(出資比率は極楽湯40%、シティックAM30%、マーチャント・バンカーズ30%)を設立する。
中国の「温浴文化」は日本と異なる点が少なくないが、お湯につかって清潔さや健康を整えるという基本的な精神は東アジアの民族に共通。唐代の玄宗皇帝と楊貴妃も温浴・水浴を好んだとされ、日本国内で運営している施設とは規模もイメージも全く異なるスパ・リゾート展開が行なわれる可能性がある。
■ラオックスは「汎アジア貿易」構想で中国人投資家の目を集める機会大 ラオックス<8202>(東2)は11月下旬から静かな値動きとなり、ゆるやかな下値切り上げを続けている。中国資本の本格的な流入の端緒ともいえる銘柄で、09年8月、中国の家電販売大手・蘇寧電器の実質的なグループ入りとなった。本店を総合免税店に転換し、従来の郊外店舗は売却するなどの業態転換で赤字削減を進めている。
さる11月16日に中期3カ年計画(2011年3月期〜13年3月期)を発表、この期間で国内で新規出店を再開するほか、中国国内で約900店を展開する蘇寧電器の店舗内出店などを行い、計画到達時に売上高700億円(2010年3月期の見通しは100億円)と営業利益率5%台の黒字化、などをめざすとした。
市場の受け止め方は「過大感」が多く、株価は発表翌日に大幅安となった。ただ、その前日にかけて上昇し戻り高値159円(11月13日)を取っていたため、トレンドとしては底割れせず、その後の下値切り上げ継続につながっている。
計画では生活雑貨品や楽器も取り扱い、小売事業に加えて新たに貿易事業も行なうため、汎アジア的な事業展開がイメージされている。中国人投資家の注目を集めやすい銘柄になりつつある。
■蘇寧電器はパイオニアとも提携、3年後100億円の戦略を開始 また、ラオックスをグループ化した蘇寧電器は、
パイオニア<6773>(東1)とも提携事業で合意し、パイオニア製品を3年後に年間100億円以上販売する戦略を計画していることが12月3日、明らかになった。
パイオニアが蘇寧電器にブランドの提供を発表。まずは、技術・品質協力とともに、蘇寧電器の店舗で販売する液晶・プラズマテレビに「パイオニア」名を使用して販売を開始。続いて蘇寧の店舗で扱うパイオニアのAV(音響・映像)機器製品を現在の数十カ所から3年後には600〜700カ所まで増やし、同社を通じた年間売上高100億円をめざす。蘇寧電器は中国本土で900店舗を超える販売網を展開している。薄型TVのブランド使用料は5年間で数億円と観測されている。
この発表を受けた12月4日、パイオニアは一時19円高の287円まで急伸し、ほぼ半月ぶりに280円台を回復した。また、ラオックスの株価も一時13円高の141円まで上げて続伸し、強調展開となった。
■価値開発も広東省の国営旅行社と提携でS高 価値開発<3010>(東2)は12月3日に一時ストップ高となった。発端は1日の大引け後、中国国営・中国旅行社グループの「広東中旅旅遊投資発展有限公司」との間で観光客誘致などに関する提携を発表したことだ。
広東中旅社は、中国・華南地区で最大のネットワークをもつ旅行会社で、価値開発グループが運営するホテルや温泉旅行サービス事業に中国からの観光客を誘致する事業を中心に今後、より具体的な提携内容を詰めていくとした。
有利子負債が重いなど財務面での脆弱さがいわれる銘柄で、株価が2ケタという点で投機の対象にされやすいが、中国側は不動産関連事業で得たノウハウなどにも興味を示している可能性があり、今後も材料含みの銘柄といえる。
■中国資本提携・市場拡大銘柄特集:急動意や高値更新目立つ展開!(2)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:31
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