相場急落中にややマニヤック的な話で恐縮だが、将棋界には「升田賞」という顕彰制度がある。「新手一生」を将棋哲学とした故升田幸三実力制第4代名人を記念して創設された賞で、その年に最も画期的で創造的な新戦法、新定跡を開発した棋士に贈られる。もちろん開発した棋士は、連戦連勝で高い勝率を上げ、新戦法はまさしく必勝法となる。ところが、その新戦法がいまや大変なことになっているらしい。これはテレビ番組で現在、最強の棋士とされている羽生善治名人が語ったことだが、新戦法が通用するのはたった1回だけになっているというのである。新戦法が指された途端に、棋士が寄ってたかって研究して、次の対局では対抗策が準備され、必勝法が必勝法にはならなくなる。研究の量と研究のスピードのなかに埋没して、新戦法が急速に陳腐化してしまうわけだ。
株式投資にとっても身に詰まされる話である。株価は、ポジティブだろうとネガティブだろうとサプライズで大きく動く。ところが、昨今は、このサプライズの消化スピードが高速化して、サプライズがアッという間に日常化し、シクリカル(循環的)な変化にしか過ぎなくなる。この結果、どのようなことが起こっているか?かつて資産形成の王道とされた「成長株投資」の成立する可能性が、限定的になってしまった。「成長株」を「成長株」とするブランド力もビジネスモデルも技術開発力も、すべてが急激に常態化、コモディティ化するとすれば、循環株と何ら変りはなくなる。かつてソニー(6758)、ホンダ(7267)などとともに語られた「成長株神話」は、死滅寸前となっているのかもしれない。
相場急落中に市場が拠り所とした政策期待も、この視点から精査する必要がある。菅直人首相と白川方明日銀総裁が、会談して経済対策と金融緩和策を決めたとして、これが昨年11月のドバイ・ショック時と同様に円高を阻止し、株高を演出するのか、将棋の「升田賞」と同様に、2回目として通用するのか保証の限りではない。まして、棋士は「盤上没我」で脳細胞を総動員して「新手」を編み出すが、こと菅首相に関しては、9月の民主党代表選挙が目の前にチラつくのか、集中力に欠けているように見受けられるのである。
「成長株神話」より「循環株セオリー」と割り切れれば、銘柄選びにそう苦労しないはずである。手掛かり材料は、猛暑特需である。すでに7月の猛暑特需で、電力需要量やコンビニ店の売り上げが追い風を享受したことが報告された。これに次いで9月入り早々にも小売り各社の8月月次売り上げが公表される。カギを握るのはファーストリテイリング(9983)だろうが、これに続いてポイント(2685)、ユナイテッドアローズ(7606)のアパレル株、エービーシー・マート(2670)、ビックカメラ(3048)、ヤマダ電機(9831)などの量販店株など、先取り余地はありそうだ。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。























先日、ある百貨店が実施中の「コスメティック(化粧品)フェスティバル」へ行ってきた。百貨店と化粧品メーカー各社がタイアップして、「サンプル(試供品)プレゼント」や「化粧品を○○円以上お買い上げのお客様に、××をプレゼント」といったキャンペーンを展開し、宣伝と販促を行なうものだ。私はふだん行かないようなメーカーの売り場へ行って、そのメーカーの商品をその場で塗ってもらったり、いろいろ説明などを聞いて、楽しんだ。









