
無理もない。マインド先行型の景気底割れ懸念の後退であり、金子国土交通省ではないが、「うなぎのかば焼きの匂いをかがされている」段階で、ファンダメンタルズに回復の実感はまだだ。それなのに前週末にイタリアで開催されたG8財務相会合の共同声明では、もう財政・金融政策の「出口戦略」の検討が不可欠と言及される始末であり、サブプライムローン・バブル破たんからは逃げ切ったのか、それともなお渦中にいるのか疑心暗鬼にならざるを得ない。
なかでも先進国中もっとも経済成長率が落ち込んでいる日本は、危機脱出がこれまで通りに米国や中国などへの輸出拡大をテコにする外需依存型で実現できるものなのかはなはだ心許ない。内需主導型への経済構造の改革で、持続可能な回復を図るのが本筋だが、定額給付金の支給や高速道路の1000円への値下げ、エコポイント付与、エコカー減税、まんが博物館などでは役不足、息切れ必至である。7月以降に発表される主力株の第1四半期決算の動向への懸念が先に立ち、株式投資でも「出口戦略」の検討優先となる。
となればローテイション通りにディフェンシブ株の出番となる。なかでもバイオ関連株である。主力の薬品株は、海外市場進出やM&Aに成長戦略の要としているが、後発医薬品関連株は医療費抑制の内需主導型で最高業績が続くだけに狙い目となる。日医工<4541>、東和薬品<4553>、沢井製薬<4555>、富士製薬工業<4554>(JQ)や後発医薬品に注力の田辺三菱製薬<4508>などなら、「入るを量りて出ずるを制す」ことにそう苦心は必要ないはずである。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。