■内需不振を民主党に期待できるかどうか見所に
主要指数で見る動きでは、今週(〜31日)の特徴は、日経平均が年初来高値を更新する中で、『TOPIX』(東証株価指数)が高値未更新と遅れの目立つことがある。
日経平均は、7月31日、ザラバ(場中)高値1万359円まであり、今年6月12日のザラバ高値1万170円を34営業日ぶりに抜いた。「終値」でも1万356円と年初来の高値を更新した。
しかし、一方のTOPIXはザラバでも終値でも高値未更新。TOPIXの高値は6月12日、ザラバで954円、終値で950円。前週はもう一歩まで来ているが抜くことはできなかった。
高値時期は日経平均、TOPIXとも、同じ6月12日。しかし、なぜ、両者に34営業日を経過した今日、差が出ているのか。この点に、今後の相場見通しのヒントがあると見ていいだろう。日経平均とTOPIXの関係を示す『NT倍率』(日経平均÷TOPIX)は、6月12日時点の『10.66倍』から週末時点では『10.90倍』に拡大している。日経平均優勢の倍率となっている。
■カギ握るトヨタ自動車とホンダの動き
こうした理由は、『輸出関連型銘柄の上昇、内需関連型銘柄のもたつき』である。もっとも、この括(くくり)が絶対的に正しいということではない。たとえば、
トヨタ自動車<7203>、
ホンダ<7267>の株価上昇。両銘柄とも、日経平均に寄与の大きい、輸出関連銘柄の代表ではあるが、両社とも材料は、国内向けの「ハイブリット車の販売増加」である。決して、輸出で販売が伸びていることではない。
それでは、ハイブリット車のほかに国内向けの販売・売上に好調な品物があるか。といえば、これが難しい。むしろ、国内消費、設備投資等は停滞している。「子育て支援関連銘柄」などが、内需関連として買われてはいる。しかし、こうした銘柄は小型でTOPIXへの寄与度は小さい。やはり、大所の内需関連株が動かないとTOPIXは動き難い。期待された夏場需要も天候不順が足を引っ張っている。それでも、TOPIXに寄与が大きい、「金融株」が水準訂正となっていることで、TOPIXが年初来高値に接近するところまで来ている。
今後のポイントは、日経平均が上値を追うかどうかにかかかっている。日経平均が一段上昇すればTOPIXも引っ張られて上昇する。そのカギは、やはりトヨタ自動車とホンダにかかっている。両銘柄とも年初来高値近辺まで来ている。ハイブリット車と高速道路無料化の材料は、「もっと評価できる」と強気の見方はある。半面で、需要の先食いで反動が怖い、といった慎重論もある。
■当面は先行きの新しい姿を思い描く展開
『分からないときは、相場に聞け』という教えもある。これに従うなら、両銘柄が今後、高値を更新して来るかどうか、TOPIXが上値を追うかどうかを見るところだ。強いてチャートに答えを求めて眺めれば、トヨタ自動車は4400〜5000円、ホンダは3350〜3900円が次の上値のフシとなっていることを紹介しておきたい。短期投資の向きには動きに機敏につけばよい。しかし、中長期投資の向きには無理をするところではない。衆議院選挙の結果による先行きの姿が、まだはっきりと見えないこともあるからだ。
一方、今後、『TOPIXが上昇すれば、民主党の内需政策を期待すること』でもある。『道路』、『子育て』、『農業』、『雇用』、『税制』など、民主党の公約はいずれも内需振興策。税制においても、低所得者の『給付付税額控除』が検討されている。しかし、これには納税者背番号制が必要となり、高所得者層には相対的に不利が予想される。高速道路無料化は、費用は当然、税金投入だろう。地方にはプラスでも電車利用の都会人にはあまりうれしい話ではない。8月30日の投票日までにわれわれは結論を出さなくてはいけない。
当面は、民主党への内需振興を期待しながら、先行きの新しい姿を思い描く展開とみられる。
●データで見るこの1週間の動き
|
7月24日 |
7月31日 |
比較(%) |
日経平均(円) |
9,944 |
10,356 |
△4.1 |
TOPIX |
920 |
950 |
△3.2 |
大型株指数 |
907 |
945 |
△4.1 |
小型株指数 |
1,418 |
1,430 |
△0.8 |
ジャスダック平均(円) |
1,202 |
1,211 |
△0.7 |
売買高(百万株) |
2,594 |
2,394 |
▼7.7 |
売買代金(億円) |
16,102 |
17,434 |
△8.2 |
売買単価(6日平均) |
622 |
700 |
△12.5 |
時価総額(兆円) |
305 |
315 |
△3.2 |
1株利益(円) |
240 |
243 |
△1.2 |
PER(倍) |
41.4 |
42.5 |
|
PBR(倍) |
1.2 |
1.3 |
|
利回り(%) |
1.48 |
1.43 |
|
円・ドル |
94.3 |
94.9 |
|
NYダウ(ドル) |
9,093 |
9,171 |
△0.8 |
上海総合 |
3,372 |
3,412 |
△1.1 |
トヨタ自動車 <7203> |
3,750 |
3,990 |
△6.4 |
新日本製鐵 <5401> |
362 |
379 |
△4.7 |
三菱商事 <8058> |
1,822 |
1,890 |
△3.7 |
東京電力 <9501> |
2,440 |
2,425 |
▼0.6 |
住友金属鉱山 <5713> |
1,452 |
1,425 |
▼1.9 |
日清製粉 <2002> |
1,099 |
1,151 |
△4.7 |
JT <2914> |
252,600 |
274,000 |
△8.4 |
シャープ <6753> |
960 |
1,053 |
△9.6 |
ソニー <6758> |
2,370 |
2,675 |
△12.8 |
日本郵船 <9101> |
418 |
405 |
▼3.1 |
大林組 <1802> |
409 |
423 |
△3.4 |
積水ハウス <1928> |
870 |
892 |
△2.5 |
ダイワボウ <3107> |
344 |
372 |
△8.1 |
東武鉄道 <9001> |
576 |
575 |
▼0.1 |
三菱UFJFG <8306> |
550 |
566 |
△2.9 |
野村HD <8604> |
795 |
829 |
△4.2 |
東レ <3402> |
457 |
474 |
△3.7 |
三菱ガス化 <4182> |
545 |
583 |
△6.9 |
武田薬品 <4502> |
3,740 |
3,830 |
△2.4 |
コマツ <6301> |
1,530 |
1,540 |
△0.6 |
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:18
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