
3月19日終値ベースで、株価が公募価格を下回っている08年12月のIPO銘柄は7銘柄。全体としては小粒で、事業内容も地味な感が否めない。成長期待が小さいことに加えて、足元の景気悪化の影響が警戒されている可能性も考えられる。また指標面に割安感が強くても、公募価格を下回ると資金の逃げ足は速くなるようだ。こうした銘柄が浮上するためには、やはり業績面での好材料が必要になるだろう。
シイエム・シイ<2185>(JQ)の初値は1540円で、公募価格の1900円を19%下回った。ほぼ初値天井の形となり、1000円を挟むレンジで推移している。自動車やプリンターなどの修理手引書や取扱説明書の製作を手掛け、トヨタ自動車<7203>(東1)やブラザー工業<6448>(東1)など中部地域の大企業向けが主力である。指標面では割安な水準と考えられるが、事業内容で見て成長期待に欠けるようだ。
エス・ディー・エス バイオテック<4952>(JQ)は、初値が693円で公募価格750円を8%下回った。ほぼ初値天井の形となり一時は400円台を割り込んだ。その後は切り返しているが、依然として公募価格を下回る水準で推移している。農薬の開発・製造・販売を手掛け、農業関連のテーマ性で注目されるが、投資ファンドの保有比率が高いため、需給面での警戒感が強いようだ。
らでぃっしゅぼーや<3146>(JQ)の初値は600円で、公募価格600円と同じだった。IPO直後には一時765円まで上昇したが、その後は上値を切り下げて、軟調な展開が続き、公募価格を下回る水準である。有機・低農薬野菜などの会員制宅配サービスを手掛け、農業関連、健康関連などのテーマ性も期待されたが、景気悪化の影響などで業績面での強調材料に欠けるようだ。
ソーバル<2186>(JQ)は、初値が640円で公募価格600円を7%上回った。IPO直後には852円まで上昇し、800円を挟むモミ合いが続いたが、配当権利落ち後は軟調な展開となった。キャノン<7751>のデジタルカメラなどを制御する組み込みソフトの開発が主力である。無借金経営、低PER、高配当利回りが見直される可能性も考えられるが、ユーザーの新製品開発絞り込みの影響が懸念されているようだ。
ショーエイコーポレーション<9385>(HC)の初値は236円だった。公募価格225円を5%上回り、249円まで上昇したが、その後は軟調な展開となり、公募価格を下回る水準で推移している。プラスチック包装資材の製造販売と、ダイレクトメールの封入・配送を展開している。指標面の割安感が見直される可能性も考えられるが、成長期待が小さく、企業の広告費抑制の影響も懸念されているようだ。
リックコーポレーション<3147>(HC)は、初値が330円で公募価格330円と同じだった。しかし初値天井の形で急落した後は、上値を切り下げる展開となり、公募価格を大幅に下回る水準で推移している。岡山県を地盤にホームセンターとペットショップを運営する。指標面では割安な水準と考えられるが、競争激化が予想される業界であり、景気悪化の影響も懸念されているようだ。
paperboy&co.<3633>(JQ)は初値が4000円だった。公募価格1900円の2.1倍を付けて、一時は4320円まで上昇した。年内最後のIPOという話題性も材料視された可能性がある。ただし過熱感が強く、公募価格を下回った後は軟調な展開である。GMOインターネット<9449>(東1)の連結子会社で、個人向けサーバーホスティングサービスを手掛けている。指標面で見ればやや割安な水準と考えられるが、ネット関連としては特に目新しい業態ではなく、成長期待もさほど高くないようだ。
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